作品全体・楽章ごとのストーリー展開を見事に再現したマーラー作品
1997年に設立され、クラシックを中心に厳選された良質の音楽を提供し続けているイギリスのレーベル「Signum Records」より、2014年にリリースされたオーストリアを代表する作曲家グスタフ・マーラーの作品を取り上げたアルバムをご紹介!
今作『Mahler: Symhponies Nos.4-6』はもともと3枚組のアルバムだが、今回はその3枚を1枚ずつリリースという形になる。
第3弾となる今作は『交響曲第6番イ短調』を収録。『悲観的』というサブタイトルが良く知られているが、例のごとくマーラーがつけたものではないという見方が一般的だ。しかしながら、サブタイトル通り暗さと激しさを持った展開が続くのが特徴で、第5番と並ぶレベルのアグレッシブさを持った作品でもある。
特に第1楽章の開始2分は、CDで聴いていても圧倒されるほどの迫力に満ちている。その迫力は第2楽章にも受け継がれ、アメリカを代表する指揮者であるロリン・マゼールのタクトが猛威を振るっている。マーラー作品の特徴ともいえる音圧の差の激しさを見事に再現、作品全体はもちろん、楽章ごとのストーリー展開も聴き応え十分だ。
この作品の締めくくりとなる第4楽章は32分を超える大作だが、その展開の豊富さでまったく飽きさせないどころか、抜群の緩急の付け方でぐいぐい引っ張っていく力に満ちている。
一般的には第5番がマーラー作品の絶頂期ととらえられているが、この第6番も同様の評価が与えられるべき……そう感じさせてくれる1枚だ。
【マーラー:交響曲第6番/Philharmonia Orchestra, Lorin Maazel/ハイレゾ】