e-onkyo musicが厳選してお送りする、オーディオ・ファンに向けた新シリーズ「Audiophileシリーズ」
共同通信社「オーディオ・ベーシック」64号の付録CDとして収録され、各方面で絶賛を受けた「華麗なる吹奏楽の世界」ハイレゾ・バージョンが「Audiophileシリーズ」として登場。今作は、アマチュア吹奏楽ではその名を知られた「六角橋吹奏楽団」の神奈川県・相模湖交流センター 多目的ホールでの演奏を収録した作品。
指揮者の位置でダミーヘッドを用いて収録したTr.9“「ダーガソン」による幻想曲”をはじめ、吹奏楽のための「神話」~天の岩屋戸の物語による (フルレンジ版)、更に「チェック・トラック」3曲など、オーディオファイルに向けた貴重なトラックも収録しています。
※各楽曲の詳細解説、舞台配置図、録音環境解説など満載のPDFブックレットが特典として付属します。
録音・マスタリング:小川洋(スタジオ プラン*プラン)
使用マイク:DPA4006 / AT4050
◆◇オーディオビジュアル評論家、山之内正氏 推薦!◇◆
発音原理や奏法が異なる楽器が重なり合って豊かな音色が生まれることが吹奏楽の醍醐味だ。複雑な倍音が共鳴して柔らかい響きを生み、打楽器と管楽器の競演がスケールの大きな音響空間を作り出す。音色のパレットの豊かさや広大なダイナミックレンジなど、オーケストラとは異なる聴きどころがたくさんあり、ハイレゾで聴く楽しみは尽きない。
六角橋吹奏楽団の演奏はどの曲もアンサンブルの楽しさにあふれ、強弱緩急ともに起伏に富んだサウンドが展開する。相模湖交流センターの残響は自然でくせがなく、大音圧のパーカッションが細部をマスクすることがない。
空間情報の豊かさもハイレゾ音源ならではの魅力だ。澄み切った残響を活かしたテスト用トラックは、楽器ごとの音色の違いを聴き分けたり音像定位を確認する用途に活用できるし、低域をカットしていないフルレンジバージョンやダミーヘッド録音など、滅多に聴けないマニアックな音源も収めている。
吹奏楽の奥の深さを味わいながら再生システムをチューニングするというアイデアも気に入った。音にこだわるすべての音楽ファンにお薦めする。
【山之内 正 プロフィール】
神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオ機器の評論にも反映されている。
◆◇エンジニア・オーディオライター岩井喬氏 推薦!◇◆
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華麗なる吹奏楽の世界 配信に寄せて~エンジニア・オーディオライター岩井喬
◆◇異なる楽器の組み合わせによる響きの多様性が吹奏楽の魅力だ 文@庵吾朗◇◆
(以下、特典PDFブックレットより抜粋)
この録音は2012年共同通 信社、オーディオベーシック誌 64号の付録CDとして録音された音源を、今回の配信にあたり、あらためてエンジニアである小川さんにリマスターを依頼したものです。リマスターにあたっては、私も立会い、ハイエンド・オーディオでプレイバックしながら、可能な限り当日の録音に近いサウンドになるよう心がけました。
吹奏楽。オーディオ愛 好家の皆様にはあまりなじみのないジャンルではないかと思います。中には吹奏楽のことを「弦楽器のない、マーチを演奏するバンド」くらいに思われている方もいるかもしれません。
弦楽器+管楽器+打楽 器で構成されるオーケストラは弦の滑らかさと、管の華やかさ、打楽器のリズムが一度に楽しめて色彩も豊かです。しかし音色の変化は弦楽器によるものが主であり、オーボエ、トランペットといった管楽器は、もちろん全てではありませんが、ソロ的な役割を担っていると言っていいでしょう。
吹奏楽は管楽器+打楽器のみで構成されています(低域の表現力向上のためにコントラバスは数本追加されます)。このことは表現力に乏しいようなイメージを与えるかもしれませんが、そんなことはありません。吹奏楽は違う楽器が同時に旋律を奏でたとき、不思議なサウンドを作り出します。例えばクラリネットとサックス、ユーフォニウムが同音量でメロディーを吹くと、本当につややかで美しい、オーケストラでは聴いたことのないサウンド(私はこれをクラサキニウムと呼んでいます)を奏でる ことができます。そう。吹奏楽の魅力はこの「合奏力」にあると言っても過言ではありません。それぞれの楽器の音が融合してさまざまな音色 を作り出すのです。
オーケストラでこのこ とが不可能なわけではありませんし、作曲家によっては積極的に音を作り出すようなオーケストレーションを得意としている人もいます。しか し、吹奏楽はより音色の変化を作りやすい、と言っていいでしょう。そしてこのクラサキニュウムのようなサウンドを十分に楽しむには、オーディオの再生能力も非常に重要です。
ブレンドされた音は倍音の洪水です。今回の録音は96kHz/24bitで録音されており、超低域である20Hz以下の周波数を24dB OCTでカットしてあります。一般的な音源に比べてカットしている数値はごくわずかであり、これは素晴らしいことですが、スピーカーに対してアンプの駆動力、瞬発力が足りていないと、大音量でなくても簡単に音が歪んでしまいます。しかし、アンプがスピーカーを完全にドライブできた時、本当に素晴らしい重低音が録音されていることにお気づきいただけると思います。
今回収録した3曲はそれぞれに吹奏楽ならではの魅力を味わっていただける曲なだけでなく、クラシックファンでない人でも聴きやすい、なじみやすい曲で構成しました。作曲家はアメリカ、イギリス、日本。音楽の違い、サウンドの違いを楽しんでいただけると思います。とは言えアマチュア楽団の演奏です。お聴き苦しい点も多々あろうかと思いますが、気合の入った演奏ということでお許しいただければと願っております。
また、今回は舞台配置図を掲載させていただきました。録音を行った相模湖交流センターの多目的ホールは定員456人の中規模のホールでした。残響も1.5秒程 度と、吹奏楽の録音を行うホールとしては短いのですが、響きが非常に美しく、むしろ残響の少なさがクリアな音質に繋がっており、抜群の環境だったと思います。ステージ上のどこに、どの楽器が配置されているかをご覧いただき、ご自宅のオーディオでどのように再生されるかを確認しながら、吹奏楽の「合奏」の楽しさを発見していただきたいと思います。