<セルフ・ライナー>
ブライアン・ブロンバーグのアルバム『Wood』初版の帯に、「僕はこれを聴いて3日間寝込みました」というキャッチコピーが書いてありました。確かに、もし自分がウッド・ベース奏者だったら寝込むかも、と思うような圧倒的な演奏が収められています。ウッド・ベース(アップライ・トベース)は、エレクトリック・ベースと比べてフィジカルにハードルの高い楽器なのですが、それを全く感じさせない超人的な演奏力に舌を巻きました。そんな彼とプロジェクトを組み、『Brombo !』『Brombo 2 !!』 と続けて2枚のアルバムを制作したのはもう10年以上前の事です。光陰矢の如し。その時に一緒に仕事をしたエンジニアのトム・マッカーリーには、僕の一連のカヴァー・アルバムのミックスでお世話になり、最終チェックでブライアンのスタジオを使わせてもらっていたので、ブライアンとは毎年顔を合わせていました。JBプロジェクトの3枚目を作ろうという話は毎回のように出ていましたが、なかなかタイミングが合わず、いつの間にやら10数年が経ってしまったというわけです。反省。しかしようやく3枚目が出来上がりました!ビックリマークも3個付いています。!!!。前2作がカバー曲中心だったのに対して、今作はオリジナルが半分以上。3枚目なので3人のピアニストをフィーチャーしています。ピアノ・トリオを核に、前作よりもう一歩踏み込んだ音作りで、エレクトリック・ベースやピッコロ・ベースも登場。曲によってはプログラミング・パートも加えています。超絶さをキープしつつ、この10数年間のお互いの成長や成熟を感じさせる作品に仕上がりました。自画自賛。3人のピアニストの人選も大変スムースでした。同じスタジオの同じピアノを弾いても、それぞれの個性が如実に現れ、カラフルなラインナップになっています。最初はクレジットを見ないで聴いていただくのも一興かと思います。
オトマロ・ルイーズ
ベネズエラ出身。ラテンの野生とジャズの知性が絶妙にブレンドした唯一無二のスタイルを持ちます。88年、ソロ・アルバム制作の合間にドリ・カイミのライヴを見に行きました。ドリも素晴らしかったのですが、僕はそのバンドでキーボードを弾いていたオトマロの演奏にすっかり魅入られてしまいました。終了後に挨拶に行くと、オトマロが僕を見て「アキラ・ジンボ」と叫びました。なんで知ってるの?と尋ねると、ベネズエラでカシオペアを良く聴いていたというのです。すっかり意気投合し、今度是非一緒にやろうと約束して来ました。共演が実現したのはそれから 10数年経ったJBプロジェクトの1stアルバムのレコーディングです。彼の独自の演奏スタイルは、このアルバムの成功に大きく貢献しました。ブライアンもすっかり気に入り、その後も別プロジェクトで声をかけています。昨年、グラミー賞ジャズ・アレンジャー部門にノミネートされ、類い稀な彼の才能に注目が集まっています。
パトリース・ラッシェン
「Forget Me Not」の大ヒットでポップ・シンガーとしての顔も持つ女性ピアニスト。女性ならではの繊細さと、小さな身体から想像出来ないダイナミックな演奏が持ち味です。六本木ピットインでのリー・リトナー&ジェントル・ソウツの初来日公演では、入場の列が六本木交差点近くまで伸び、警察が出動して始末書騒ぎになりました。(大学1年の僕もその中にいました。)リーダーのリー・リトナーとサックスのアーニー・ワッツがフロントを張り、ドラムにハービー・メイスン、ベースがアンソニー・ジャクソン、パーカッションにスティーヴ・フォアマン、そしてキーボードがパトリースでした。日本のフュージョン・シーンはこのライブから始まったと言っても過言は無いほど、衝撃的で圧倒的なパフォーマンスでした。そしてそれから35 年後、リー・リトナー&ジャパニーズ・フレンズ公演でパトリースと初共演。演奏はもちろんですが、常にユーモアと気配りを忘れない温かい人柄にも強い感銘を受けました。2年前にリリースされた僕のアルバムのタイトル「Groove Of Life」は、実はパトリースのアイデアです。アルバム・クレジットにも彼女の名前が入っています。
ジェフ・ローバー
70年代後半から80年代初頭にかけて、ジェフ・ローバー・フュージョン名義で精力的にアルバムを発表。(メンバーとしてケニーGも在籍していました。)『Wizard Island』と『Galaxian』の2枚は当時の僕の愛聴盤でした。ポップなメロディー・ラインとオシャレなコード進行、小気味よいリズム、ファンキーで明るく爽やかなサウンド。個人の意見ですが、今のJフュージョンのルーツをたどると、ジェフ・ローバーに行き着くのではないかと思っています。その後プロデューサーとしても大成功。数々のポップR&Bヒットを生み出しました。ブライアンが親しいので、声をかけてみようか?と言うので、それは是非是非お願いしてちょんまげ!ちょんまげ!ちょんまげ!ちょんまげ3連発。快諾してもらえて嬉しかったです。超絶ファンキーなプレイを披露してくれました。
2017年吉日 神保 彰
<クレジット>
JB Project
Akira Jimbo (Drums)
Brian Bromberg (Wood Bass, Kiesel B24, B25 electric basses, hollow body piccolo bass guitar)
Featuring Pianists
Jeff Lorber
Patrice Rushen
Otmaro Ruiz
Produced by Brian Bromberg & Akira Jimbo
Arranged by Akira Jimbo (on tracks 1,3,4,7,9,10) & Brian Bromberg (on tracks 2,5,6,8,9)
Horns arranged by Nathan Tanouye (on track 5)
Willie Murillo (Trumpet)
Tony Guerrero (Trumpet)
Mark Visher (Alto Sax, Baritone Sax)
Vince Trombetta (Tenor Sax)
Jason Thor (Trombone)
Recorded at NRG Recording Studios and Be Squared Studios (North Hollywood, CA)
Engineered by Tom McCauley for MixWorks, Inc. and Brian Bromberg for Be Squared Productions LLC.
Assistant Engineer : Kyle McAulay (NRG Recording Studios)
Mixed & Mastered by Tom McCauley, with Brian Bromberg at Be Squared Studios (North Hollywood, CA)
Recording Coordinated by Keisuke Nakai for Songbirds Inc.
Designer : Kiyomi Hashimoto
Photos : Keisuke Nakai
Artwork Coordinator : Kei Nishikawa
A&R : Takekazu Honda
Media Promotion : Sayaka Suzuki
Sales Promotion : Eri Nukada
Supervisor : Susumu Morikawa
Executive Producer : Masato Osumi, Jun Endo and Hideki Okouchi
Akira Jimbo plays YAHAMA Drums, Zildjian Cymbals, REMO Drum Heads, Vic Firth Drum Sticks,
and Groove Booster.
Brian Bromberg plays the Brian Bromberg signature model Kiesel B24 and B25 electric basses,
La Bella Strings, BSX electric upright basses, EBS digital 24 bit reverb pedal.
Special Thanks from Akira Jimbo to : Susumu Morikawa, Keisuke Nakai, Brian Bromberg,
YAMAHA Corp Japan & America, Daryl Anderson, Zildjian, Cragie and Debby Zildjian, Paul Francis,
Kirsten Matt, Tina Clarke, Bob Wiczling, Kim Pang, Vic Firth, JoeTesta, Ben Davies, REMO,
Stephen Baerwitz,Takashi Hagiwara, Mitsutaka Edakawa, Ayumi Yoshida, Hands On Entertainment,
Hideaki Ohtsuki, Masatoshi Usui,
Yukari, Ai & Rei
Special Thanks from Brian Bromberg to : Keisuke Nakai, Susumu Morikawa and everyone at King Records,
Akira Jimbo, Otmaro Ruiz, Patrice Rushen, Jeff Lorber, the great horn section, and of course the fans
from Japan and throughout Asia who are just fantastic!
And very sadly I am dedicating my performance on this CD to my lovely Mother, who at the age of 89 passed away the morning we started recording this CD. The making of this CD was one of the most challenging things I have ever done, as playing music with great musicians and making a third Brombo CD with my good friend Akira Jimbo is supposed to be a joyful happy experience. I thank Akira and Nakai for their patience with me through this project and how painful it was to try and be creative and positive while mourning the loss of mother.
【BROMBOⅢ!!!/JBプロジェクト(神保彰&ブライアン・ブロンバーグ)/ハイレゾ】