昨秋発売されたベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集が『レコード芸術』特選はじめ、高く評価されたギルトブルク。並行して進めているピアノ協奏曲全集の第2弾です。今作は人気曲第5番「皇帝」の登場です。今回もギルトブルグは作品について熟考を行い(その考察はブックレットに詳細に記されています)、独自の解釈に彩られた若々しくエネルギッシュな演奏を披露しました。併録は「皇帝」と同じ変ホ長調による「第0番」。ベートーヴェン13歳の作品です。オーケストラ・パートの大半が失われたため、復元を加えて演奏する試みもありますが、ギルトブルクは遺されたソロ・パートのみを演奏しています。ギルトブルグお気に入りのファツィオリ・ピアノの厚みのある響きも聴きどころです。第5番でギルトブルグの華麗な演奏をバックアップするのは、前作の第1番&第2番と同じく気鋭の指揮者ヴァシリー・ペトレンコとロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団。息のあった演奏が繰り広げられています。
【ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番「皇帝」/第0番/ボリス・ギルトブルグ, ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団, ヴァシリー・ペトレンコ/ハイレゾ】