回を重ねるごとに円熟が際立つペトレンコ&ロイヤル・リヴァプール・フィルのショスタコーヴィチ交響曲全集もこれで第7集。今回は対照的な2つの作品が収録されています。「10月革命に捧げる」と題された第2番は1927年の作品で、労働者の叫び(らしきもの)は、混沌と喧騒に満ちた抽象的な音楽として立ち現れ、最後は力強い合唱として実を結ぶのです。単一楽章で書かれ、途中に現れる「ウルトラ対位法」…27声のフガートは圧巻です。かたや、最後の交響曲である「第15番」は極めて謎の多い作品として知られています。ロッシーニやワーグナーなど過去の作曲家、またショスタコーヴィチ自身の作品からの引用が見られ、それらが自由に飛び交う様は愉快でもあり、また不気味さも感じられるものです。さて、ペトレンコの指揮については、今回も見事なものの一言に尽きましょう。どんなに入り組んだ音形でも、彼は柔軟に解き解し、曲の深層に眠る何かを呼び覚ますべく、ずんずん奥深くへと分け入って行くのです。曲中にちらばったショスタコーヴィチの心を拾い集めながら…。
●レビュー
Positive Feedback Online, May 2012
"Petrenko is back with early…and last…Shostakovich symphonies and is in his customary form. Great music making and great sound. This is one of the very best contemporary recording series I know of."
●録音
Recorded at the Philharmonic Hall, Liverpool, England on 14th June 2011 (tracks 1-3), and on 26th and 27th October 2010 (tracks 4-7)
Producers and editors: Andrew Walton (K&A Productions Ltd.) (tracks 1-3) and Peter Newble (tracks 4-7)
Engineers: Mike Clements (tracks 1-3) and Andrew Lang (K&A Productions Ltd.) (tracks 4-7)
【ショスタコーヴィチ: 交響曲第2番/第15番/ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー合唱団, ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団, ヴァシリー・ペトレンコ/ハイレゾ】
1 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー合唱団[演奏], ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団[演奏], ヴァシリー・ペトレンコ[指揮], ショスタコーヴィチ[作曲]
2 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー合唱団[演奏], ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団[演奏], ヴァシリー・ペトレンコ[指揮], ショスタコーヴィチ[作曲]
3 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー合唱団[演奏], ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団[演奏], ヴァシリー・ペトレンコ[指揮], ショスタコーヴィチ[作曲]
4 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団[演奏], ヴァシリー・ペトレンコ[指揮], ショスタコーヴィチ[作曲]
5 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団[演奏], ヴァシリー・ペトレンコ[指揮], ショスタコーヴィチ[作曲]
6 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団[演奏], ヴァシリー・ペトレンコ[指揮], ショスタコーヴィチ[作曲]
7 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団[演奏], ヴァシリー・ペトレンコ[指揮], ショスタコーヴィチ[作曲]