【HD RENEWAL MASTER】（96kHz/24bit、48kHz/24bit共）

多くのファンからリクエストのあった、ChouChoのハイレゾ版がいよいよリリースされる。その第1弾となるのが、彼女のファーストアルバム「flyleaf」だ。

　メジャーデビュー曲となるTVアニメ『神様のメモ帳』のOP主題歌「カワルミライ」や、TVアニメ『ましろ色シンフォニー』OP主題歌「Authentic symphony」、そしてTVアニメ『氷菓』OP主題歌「優しさの理由」と、数々の名曲が収められている「flyleaf」だが、北川勝利が作曲・編曲を手がける表題曲や、虹音（松田彬人）、前山田健一、A-bee、佐藤純一(fhana)なども楽曲提供をおこなっているなど、収められた14曲すべてがそれぞれに印象的で魅力的な、渾身の1作に仕上がっている。

　ハイレゾバージョンの特徴としては、CDとは異なる、新たなリマスタリングが行われていることだ。ChouChoならではの、暖かみと優しさのある、それでいて透き通った美しい歌声をとことん活かすため、またアルバムとしての統一感を与えるために、有名ミュージシャンの作品を数多く手がける名マスタリングエンジニア、原田光晴氏が手がけている。
　その結果として作り上げられたサウンドは、楽器の音色がとてもリアルに感じられるようになったと同時に、ChouChoの声がとにかく伸びやか。心にすっとしみこんでくるような、美しくも心地よい歌声を堪能させてくれるようになった。たとえば10曲目「ハルモニア」は、虹音が編み上げた美しいアコースティックギターとストリングスの旋律をバックに、ChouChoの歌声が印象的に響いているのだが、ここまでナチュラルな音色と聴き心地の良さは、ハイレゾ版だからそこ成し得た絶妙なバランスといえる。その点で、11曲目「looping star」も、佐藤純一ならではの特徴的な旋律をChouChoが表情豊かに歌い上げているという、新たな魅力が発見できる。
　ちなみに、先日「ヘッドホンブック2014」に付属された「優しさの理由」だが、アルバムに収められたリマスタリングとはまた別バージョンとなっている。声の伸びやかさや楽曲としてのまとまりなどが変わり、こだまさおりの歌詞がより印象的に感じられるようになったので、気になる方はぜひ聴き較べをしてみて欲しい。

　なお、今回の配信音源に関しては、48kHz/24bitのオリジナル音源を96kHz/32bit(floating)環境にてハイレゾ音源用のリマスタリング作業を行う「HD RENEWAL MASTER」を採用。加えて96kHz/24bit、及び48kHz/24bitという2タイプのサンプリングレートをリリースすることになった。どちらもリマスター音源から直接出力されたものであること、オリジナルが48kHz/24bitであることから、データ的な差異はほとんど生じていないものの、ダイナミックレンジやクロック精度などフォーマット自身が持つスペック差や、再生機器側のハイカットフィルターによる特性の違いなど、環境によって音質が異なってくる場合があるので、2タイプを用意することになったのだという。少しでも良い音を追求したい人は96kHz/24bitを、オリジナルフォーマットを尊重したい、またはiPhoneなどスマホ系でも手軽に再生したいという人は48kHz/24bitをチョイスするといいかもしれない。

　実際、試聴に活用した環境（※）では、96kHz/24bitのほうが素性の良い高域特性をもつ、フレッシュなサウンドを聴かせてくれ、48kHz/24bitのほうはまとまりの良い、CDのイメージに近いサウンドキャラクターに感じられた。こういった音色傾向の違いは、使用機器によって多少なり変わってくる可能性があるので、是非、自分の環境にピッタリと思われるタイプをチョイスして欲しい。

※MacBookAirとラトックシステム「RAL-24192DM1」（USB DAC）、Aura「vita」（プリメインアンプ）、ELAC「BS312」（スピーカー）、AKG「K812」（ヘッドホン）を使用

（text by 野村ケンジ）

※「アルバム購入特典」は当作品のジャケット写真データ（jpeg）です。