いま東京で起こるクワイエット・ミュージック運動
その中心的アーチストである藤本一馬によるソロアルバム
Orange Pekoeのギタリスト、藤本一馬による3作目となるソロ・アルバム。岡部洋一、沢田穣治、金子飛鳥らに加え、ブラジルの若手No.1ピアニストとして高い評価を得るアンドレ・メマーリらをゲストに迎え、ブラジルなどの南米音楽やジャズ、そして室内楽など、藤本自身が影響を受けたと語るECM的な響きを持つ素晴らしい内容の作品となっている。
"これはひたすら気持ちよいサウダージなアルバムが来たなあ。orange pekoeのギタリスト、藤本一馬による3枚目のソロ・アルバム。以前のソロ作でも、中島ノブユキやカルロス・アギーレなどといった、“風景を音で感じさせる”アーティストとの素敵な共演を果たしていたが、この最新ソロでも、おなじみの岡部洋一や、沢田穣治、金子飛鳥、そしてブラジルの若手No.1ピアニストとして高い評価を得るアンドレ・メマーリらをゲストに迎えて、南米音楽の要素を多分にたたえた美しいナチュラル・アンビエント室内楽といった趣の世界を披瀝している。とくに中盤5曲目の13分近い「Night Spirit」の、まさに音だけでトべる超絶快楽トリップ・サウンドはもぉー、圧巻。48kHz/24bit音源から、DSFも2.8MHzと5.6MHzの2種類、すべて同一価格で配信されているというのも良心的。でも、この究極楽園主義音響工作は、スペースすら音楽として鳴っているDSF5.6MHzで楽しむのが◎。"(text by 國枝志郎)提供:
CDジャーナル
-- 藤本一馬による楽曲解説 --
1.My Native Land Ⅱ
この曲が今回のアルバムの方向を決めたように思います。
2ndアルバム「Dialogues」の最後にソロギターで収録された「My Native Land」の続編として作曲したため「Ⅱ」とつけられたのですが、このたび3rdアルバムの冒頭を飾ることになり、アルバムタイトルにも躍り出ました。
近年特に自分のルーツについて考えることが多くなり、そんな自分の感覚がよく出たのではないかと思うこの曲は、
ブラジルのバイアオンを感じるリズムに、メロディーは随所に日本的な旋律があります。
ギターはスティール弦のオープンチューニングを使用。
そして1stアルバム「SUN DANCE」を気に入ってくれたことから交流が始まったブラシルが誇る素晴らしいピアニスト、アンドレ・メマーリさんの演奏が美しく、ギターにからむように世界を広げてくれています。
2.Moon Dance
月の光の中で踊っているようなイメージで作曲しました。
前半はナイロンギターの旋律を主体に、夜がふけて淡い月の光のイメージ、中盤からは深夜で佐藤芳明さんの美しいアコーディオンの音色と共に少し強い月の光の中で5拍子のダンス、そして最後はまたギターの旋律で朝の淡い光へと向かっていく、そんなある一夜の物語です。
3.鴇色 -Tokiiro-
鴇色はトキの風切羽の色で、やや紫に近い淡い桃色。
僕なりの女性讃歌です。
ナイロンギターとベース工藤精くんとのデュオ演奏で収録いたしました。
4.El Corazon
Corazonは心という意味のスペイン語。
1stアルバムのSUN DANCEトリオで演奏、熱き心をイメージしました。
ナイロンギターの静かなイントロダクションの後、ブラジリアンなフレイバーからややスパニッシュなフレイバーへと無国籍感漂う演奏に。
パーカッションの岡部洋一さん、ベースの工藤精くんのソロパートも素晴らしいです。
5.Night Spirit
中近東~アジアのフレイバーを持つこの曲は、4章からなる組曲的な楽曲になっています。
楽譜には1章「砂漠の夜」、2章「Spiritual Dance」3章「Oasis」、4章「砂漠の夜~Reprise~」というタイトルもついていました。
ギターはかなり変則的なオープンチューングでアグレッシブに演奏しています。
中盤からのバイオリン金子飛鳥さんの演奏、凄みがあふれています。
6.光に包まれて-Embraced by Light-
人が輝いたり、幸せを感じるときは、光に包まれるような感覚になるように思います。
そんな崇高な光を感じたときメロディが出て来たバラード曲です。
ギターはスティール弦のレギュラーチューニングで開放弦の響きを生かしました。
沢田穣治さんがベースで奏でる旋律も美しいです。
7.宇宙への翼 -Wings of Ascension -
アセンションの時代へ突入すると言われている人類、幸福感と高揚感とともにそのスパイラルが上昇していくイメージです。
ナイロンギターのアルペジオのからテーマをへて、徐々に高揚していくアンドレ・メマーリさんの繊細かつダイナミックな演奏が強力です。
8.My Native Heart
この地球の鼓動を静かに目を閉じて感じたとき何か大きなものと繋がっているような、心の奥底にある意識へと向かうイメージで作曲しました。My Native Land物語をこの曲で終えるそんなエピローグ的な1曲です。
【演奏】
藤本一馬 / Acoustic Guitar [Steel String(Tr-1,5,6,8) , Nylon String (Tr-2,3,4,7)] & Voice (Tr-5)
岡部洋一 / Percussions (Tr.1,2,4,5,6,7,8)
沢田穣治 / Contrabass (Tr-1,6,7)
工藤精 / Acoustic Bass (Tr-2,3,4,5,8)
Andre Mehmari / Piano (Tr-1,7)
金子飛鳥 / Violin & Voice (Tr-5)
佐藤芳明/ Accordion (Tr-2)
Recording ,Mix Down & Mastering : 奥田泰次/ Taiji Okuda (Stuio MSR)
Recorded at King Record Sekiguchidai Studio & Heart Beat Studio
Mixed April.2014 at Studio MSR
Producer: 藤本一馬/Kazuma Fujimoto
Co-producer: 成田佳洋/Yoshihiro Narita (NRT)