★レコード芸術(2017年5月号)特選選出タイトル
10年越しの想いが名器ベヒシュタインによって解き放たれる。
モーツァルトが21-23歳の間、就職活動の為に母を伴ってマンハイム~パリへと旅行した時期(1777/78)に書かれたソナタと、29-31歳の時に書かれ たロンドを採り上げた。このアルバムでは幾つかの試みが見られるが、第一に使用楽器と調律法が上げられる。ユーロピアノの献身的なバックアップ体制のもと、録音会場には新潟県小出郷文化会館が選ばれた。この会場には1985年製のベヒシュタインモデルEN(シリアル:178268)が備わっており、また同会館は響きの良い会場としてレコーディングにもしばし利用される。 不等分律の調律法にも多くの種類があるが、稲岡千架とピアノマイスターの加藤正人氏の綿密な計画により「Bach’s seal 1.0」が選ばれた。また今回利用した楽器は、本国ベヒシュタイン本社が所有していたコンサート用楽器で、アンドレ・ワッツの指名楽器であった。
■稲岡 千架
兵庫県生まれ。京都市立堀川高等学校音楽科、東京音楽大学ピアノ演奏家コース、マンハイム国立音楽芸術大学芸術家育成コース、ソリストコースをDAAD(ドイツ政府学術交流会)特別奨学生として最優秀で卒業。国家演奏家資格を授与される。マンハイム学内・モーツァルト・コンクール全部門総合優勝。バーデンヴュルテンベルク州政府新年会、ハイデルベルク音楽祭、モーツァルトガラコンサート等出演。SWRドイツ南西ラジオで放送される。ヒルデスハイム劇場オーケストラ、韓国室内オーケストラなどと共演。モーツァルトの作品にライフワークとして取り組み、また現代の作曲家の作品も取り上げ、ピアノ協奏曲やソロの委嘱された作品も数多くある。モダンピアノだけでなく、フォルテピアノやクラヴィコードなどのピリオド楽器にも触れ、レクチャーや演奏会を行っている。ソロだけでなく、室内楽奏者としても積極的に活動している。これまでに、ピアノを柳井修、大畑博貴、石附秀美、渡辺健二、Ok-Hi Lee、Rudolf Meisterに、室内楽をAndreas Pistrius、リート伴奏法をHeike-D. Allardt、各氏に師事。
【Mozart: Rondos & Sonatas - モーツァルト ロンドとソナタ -/稲岡千架/ハイレゾ】