"1991年生まれの若きギタリスト/コンポーザー、多田大幹のデビュー作が、高音質で知られる亀吉レコードから配信。洗足学園音楽大学出身で、バンド・メンバーも同大学の卒業生と在校生で構成されるという。亀吉レコードはもともと東京の大田区にある亀吉音楽堂というスタジオが母体となったレーベルで、このスタジオは築60年の一軒家を改造したもの。電源などにも相当なこだわりのあるスタジオとして、ハイレゾ通にもよく知られており、配信された作品も温かみのあるアナログライクなハイレゾ作品として愛聴しているファンが多い。1曲のカヴァー(トム・ハレルの「Sail Away」)と4曲の多田オリジナル作品からなるミニ・アルバム的な構成で、オーセンティックな佇まいをみせながらも、ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』とリディアン・スケールを組み合わせたアルバム・タイトルからも想起される二面性もユニーク。ファンタジー豊かな世界がDSD5.6MHz(録音は96kHz/24bit)の豊穣なサウンドに変換されている。"(text by 國枝志郎)提供:
CDジャーナル
【アルバム紹介】
良質なジャズレーベル亀吉レコードの新作は若いコンポーザー/ギタリスト多田大幹(Hiroki Tada)による作品「The Portrait of Lydian Gray」である。
若干23歳でありながらも独創性にあふれ、強烈な存在感を示す多田大幹の世界を高音質で堪能していただきたい。
またレコーディングメンバーも同世代のミュージシャンで新しい才能を感じさせてくれる。
The Portrait of Lydian Gray(リディアングレイの肖像)とは、美と醜さの二律背反が印象深いオスカー・ワイルドの小説「ドリアン・グレイの肖像」と、多田の音楽的礎とも言える音階、リディアン・スケール(およびリディアン#5スケール)を掛け合わせたもの。
ステレオタイプなジャズの構成を一つのキャンバスとして描かれる抽象画。モノトーンのサウンドスケープに少しずつ滲むパステルカラー。色温度の変化によって次第に表情を変えていく音楽。
4曲は多田のオリジナル曲。オリジナルが持つ緊張と緩和、静と動といった対比と曖昧なトーナリティや美しく濁るハーモニーは聴き手に様々な印象を与える。
そんな中でトム・ハレルの楽曲(Sail Away)を驚くほどストレートにカヴァーすることにより、難解に入り組んだ世界観へ一滴の清涼剤を与えている。
【多田大幹 Hiroki Tada プロフィール】
1991年生まれ茨城県出身。
11歳の頃よりギターを、高校時代よりジャズを学び始める。
2010年、洗足学園音楽大学に入学。ギターを道下和彦氏、有田純弘氏に師事。作曲を香取良彦氏に師事。
2013年度特別選抜演奏者に認定、2014年優秀賞を受賞。
ECMを始めとするコンテンポラリージャズを中心軸にプログレッシブロックやシカゴ音響派、アルゼンチン音響派などの幅広い音楽を通過して得た独特な世界観を持つ楽曲には定評がある。
【録音】 2014年春
【レコーディングメンバー】
多田大幹 Guitar
佐瀬悠輔 Trumpet
萩原優 Alto Saxophone
後藤沙紀 Piano
石垣陽菜 Bass
秋元修 Drums
【レコーディングスタジオ】亀吉音楽堂
【レコーディング&マスタリングエンジニア】 上田隆志
【プロデュース】 上田隆志
96K/24bitでの録音をアナログミキサーでミックスダウンしマスターをDSD5.6Mhzで作成。DSDマスターから96K/24bitでマスタリング。