【中南米ピアノ名曲コレクション〜極彩色のリズム】
“中南米のピアノ音楽を、新しい切り口で紹介したい”という、シンプルな動機でスタートした、このシリーズ。
サッカーや野球等のスポーツを通じて、中南米への関心が高まりを見せている中、音楽の世界も、リズムの宝庫と呼ばれるキューバ音楽を始め、リオ五輪で、あらためて注目を浴びたブラジル音楽、不動の人気を誇るアルゼンチンタンゴ、ジャマイカのレゲエ等々、その豊かなヴァリエーションと独自性への評価は、益々上がり続け、高い人気を誇っている。
…とは言え、それはポピュラー音楽の世界のお話では?と考えていらっしゃる方には、近年のベネズエラの、シモン・ボリバル・ユースオーケストラの目覚ましい活躍や、アルゲリッチ、バレンボイムといった巨匠が、自国の作品を積極的にプログラムに取り入れている事等を思い出して頂ければ、クラシックの世界にも、新たな流れを起こす動きが高まり、実を結んでいる事をご理解いただけるであろう。
さて、肝心の中南米ピアノ音楽の認知度は、というと、日本においては、やっとスペインのアルベニスやグラナドス、ファリャ等への関心が芽生えて来た程度で、中南米のピアノ作品に関心をお持ちの方は、まだまだ少ないというのが現状である。
今回、長年の盟友であるピアニスト下山静香を迎えてスタートしたこのシリーズでは、先ずは、中南米ピアノ曲の名作を広く知っていただこうという事で、有名曲に加え、独自の世界観を持った隠れた名作を多数収録していく予定である。
そして、更に、このシリーズには、或る仕掛けを施してある。すなわち、ピアノと同じく、和音の出せる独奏楽器であり、中南米音楽と深い関わりを持つギターとのデュオ曲を毎回アレンジして、ピアノ独奏の合間に差し挟んで行こう、という試みである。
勿論、中南米の作品の中には、ピアノ&ギターの為に書かれたオリジナル曲も存在するが、敢えてそこには拘らず、和音楽器同士のアンサンブルとして面白さが出せるものなら、何にでもチャレンジして行こうという姿勢で、選曲を考えている。
この「中南米ピアノ名曲コレクション」の、記念すべき第1作目となった本アルバムには、メキシコ、カリブのロマンティックな名品、そして、ダイナミックなピアニズムに溢れた傑作を収録している。 名曲〈エストレジータ〉で知られるメキシコのポンセ、“キューバのガーシュウィン”と呼ばれ、見事な技巧とリズムの融合を成し遂げたレクオーナ等々、中米、カリブの、充実したピアノレパートリーを是非お楽しみいただきたい。
今後は、ブラジル、アルゼンチンはもとより、中南米各国の代表的なピアノ曲、知られざる名作に取り組んでいく予定である。 このシリーズを通じて、未知の中南米クラシック音楽の世界が身近な存在となり、各国の文化の違い、音楽様式やセンスの違いを感じ取って頂ければ幸いである。
解説:竹内永和
【下山静香 プロフィール】
桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学卒業。同室内楽研究科修了。
99年、文化庁派遣芸術家在外研修員としてマドリードへ。故R.M.クチャルスキ、M.サバレタのもとで研鑽。ロドリーゴ生誕100年には、マドリード、ベルギーなどでの記念コンサートに出演。その後バルセロナのマーシャル音楽院にて、C.ガリガ、故C・ブラーボ、故A.デ・ラローチャに師事。マドリード、アランフェス、バルセロナほかに招かれリサイタルを行う。
帰国後は、バロックから現代まで幅広いレパートリーで演奏活動を行い、オール・スペインプログラムでのリサイタルも数多く開催する。また、スペイン・ラテンアメリカ作品の室内楽、ピアノライブ「ラテンアメリカに魅せられて」、美術方面の造詣も生かした<音楽×美術>などの斬新なコンサートシリーズを継続し、これまでにない切り口が話題となっている。
ソロのほか、室内楽・二重奏も重要な活動軸とし、これまでにウィーン・ヴィルトゥオーゾ、チェコフィルハーモニー六重奏団、S.フッソング(acco)、M.ホッセン(vl)、R.シメオ(trp)など数々の海外アーティストと共演。
録音現場での信頼も厚く、長年にわたりNHKスペシャルやドラマ、美術展などにおいてピアノ演奏を担当。NHK-BSプレミアム「クラシック倶楽部」、NHK-BS「ぴあのピア」、NHK・Eテレ「ららら♪クラシック」、TBS-BS「本と出会う」、NHK・FM、フランス国営放送ラジオなどに出演している。
現在、各地で精力的な演奏活動を展開するかたわら、翻訳・執筆・朗読とそのフィールドは進化し続けている。また、桐朋学園大学音楽学部および東京大学教養学部にて、スペイン、ラテンアメリカ音楽の講義を担当。2012年より、NPO法人JML音楽研究所にて「スペイン音楽演奏講座」を開講。2015年より「下山静香と行くスペイン 音楽と美術の旅」を実施(主催:郵船トラベル)。これまで、京都外国語大学、東京大学、東京藝術大学、慶應義塾大学、上智大学に招かれ、特別講義やレクチャーコンサートを行っている。
【竹内永和 プロフィール】
第7回ギターコンクール第1位。アレンジャーとしても、スウェーデンのギタリスト、イョラン・セルシェルの2枚のビートルズアルバムにアレンジを提供(ドイツグラモフォンより、ワールドリリース)。
2003年、ピアニストの下森佳津美(しももり かつみ)とデュオ・シルフィードを結成し、3枚のアルバムを発表。 音楽関係各誌にて高い評価を受ける。
近年ではオーケストラとの共演も多く、佐渡裕指揮、シエナ・ウインド・オーケストラとのディズニーアルバム、竹本泰蔵指揮、アンサンブル金沢との映画音楽アルバムが、エイベックスからリリースされている。
アンサンブルでは、クアトロ・ビエントス、TRITONE、ユカリッシモ他に参加。 また、歌、オカリナ、ヴァイオリン、フルート、サックス等との共演多数。洗足学園音楽大学、ギター科、編曲法講師。
【レコーディングデータ】
録音:2016年6月8〜9日、9月1日 かながわアートホール
192KHz/24bit Hi-Resolution Recordings
Microphones: Neumann SM69、AKG414 他
Piano: Steinway D-274
Producer: 竹内永和、曽根信敏
Director: 曽根陽子
Recording & Mastering: 武鑓幹人(a.k.a 山崎潤一郎)
Piano Technician: 神辺 敦
Hair-Make-Up & Photo: ASUMI (STUDIO KUMU)
【ロマンサ・デ・アモール - メキシコ&キューバ 珠玉の小品集 -/下山静香/ハイレゾ】
1 下山静香[アーティスト], マヌエル・ポンセ[作曲]
2 下山静香[アーティスト], マヌエル・ポンセ[作曲]
3 下山静香[アーティスト], マヌエル・ポンセ[作曲]
4 下山静香[アーティスト], 竹内永和[アーティスト], マヌエル・ポンセ[作曲]
5 下山静香[アーティスト], マヌエル・サウメル[作曲]
6 下山静香[アーティスト], マヌエル・サウメル[作曲]
7 下山静香[アーティスト], イグナシオ・セルバンテス[作曲]
8 下山静香[アーティスト], イグナシオ・セルバンテス[作曲]
9 下山静香[アーティスト], イグナシオ・セルバンテス[作曲]
10 下山静香[アーティスト], イグナシオ・セルバンテス[作曲]
11 下山静香[アーティスト], イグナシオ・セルバンテス[作曲]
12 下山静香[アーティスト], マヌエル・ポンセ[作曲]
13 下山静香[アーティスト], エルネスト・レクオーナ[作曲]
14 下山静香[アーティスト], エルネスト・レクオーナ[作曲]
15 下山静香[アーティスト], 竹内永和[アーティスト], エルネスト・レクオーナ[作曲]
16 下山静香[アーティスト], マヌエル・ポンセ[作曲]