【「High Resolution Soundtracks 龍刻 RYU-KOKU/音楽:阿保 剛」】
2006年9月にPlayStation2でリリースされた「言い伝え、民話、神話、伝承」を、学園ものである現代劇に巧みに組み込んだ、伝奇小説的恋愛アドベンチャーゲーム「龍刻 RYU-KOKU」(2011年10月にPSP版リリース)。唯一無二の個性的なキャラクターたちが、妖が存在する世界、日本人がかつて持っていた信念や自然を敬う心をも体現する、ゲームユーザーには忘れられない作品。和楽器の音色を積極的に取り込み、どこか懐かしく、心休まる楽曲で、和の雰囲気を高めるBGMに対する評価も高い作品であり、今回も全28曲を各曲のサウンドデータの具体的検証からスタートし、2006年当時のイメージをいたずらに誇張することのない作者自らの繊細なマスタリングで、2016年型96kHz24bit版リマスターが完成。
【阿保 剛 コメント】
------ゲーム「龍刻 RYU-KOKU」について
私自身、和風楽曲を主体にしたゲームは初めてだったかと思います。なので、曲名を漢字二文字でまとめてみたり、BGMの音色も普段使っていなかった系統のものを組み込んだりしています。
日本古来の文化や伝承、妖怪のいる風景など元々好きな世界観なのですが、何より「龍刻」の物語自体が純粋にとても好きで、シナリオを頂いて読んでいる時点から作りたい曲が色々思い浮かんできて、その制作行程自体を楽しんで作編曲していました。
彩音さんの歌うゲームオープニング映像を見ると色々思い出して、今でもグッとくるお気に入りの作品でもあります。
------サウンドイメージや当時の制作環境など
まず最初にイメージテーマ曲を作ったのは2005年11月末でしたので、今から10年以上前にもなります。ちなみに当時この「龍刻」の後に着手したタイトルが、2月より配信頂いている「12RIVEN」です。BGMに物語的な展開を盛り込んだり、メインテーマを用意し、演出効果を狙った派生曲を作り始めたのもこの頃からでしょうか。
制作環境はPowerMac G4(QuickSilver)を使い、この時、既に確立しつつあったCubase+Reasonの組み合わせです。当時まだMacOSXではなくMacOS9.2辺りを使っていたと思います。
制作時、何かを具体的に参考にするという事は殆どないです。ただ、本作はお稲荷様に関連する作品だった事もあり、個人的にお参りにも行きました。秩父の宝登山にあるお稲荷様のお社なのですが、以前訪れた際の凛とした光景が印象的だったので、再度お参りに行きました。そこは、その場で作曲したいくらい創造力も沸くパワースポットでした。機会があれば龍刻サウンド縁の地として訪れてみて下さい。
------思い入れのある曲、本作品集の聴きどころなど
本作ではオリジナルの状態を維持するような仕上げを行っています。大体調整すべき所も予測出来るようになったので、出過ぎた成分を押さえたりの微調整作業を主に行いつつ、ハイレゾ化によって、リバーブなどの残響音が思ってたより深く感じる部分があったので、調整しています。
特に思い入れのある曲はイメージテーマとして作った「鼓動」、そしてクライマックス用の「烈火」です。
「鼓動」はプロジェクトに入る際、イベント用に先行して作った曲で、輿水さんが描いた神秘的な1枚のイラストから受けたインスピレーションを元に、物語風の構成で作曲しました。月夜に浮かぶ光の胞子、木々やしめ縄が微かにざわめき、静から動へ移り変わると共に、いつからか寄り添うように佇んでいた少女、そして大樹を守るかのように浮かび上がる白き龍...。そういった流れを1曲にしてます。
「烈火」はシナリオのクライマックスシーンを読んでいる段階で「ここは専用曲で熱くしたい!」と思い作りました。仲間、犠牲、覚醒、など駆け上がっていく物語を盛り上げる様にと、私自身シンクロして作った思い出があります。
他にもメインテーマの「時空」と、その関連曲の1つ「現界」や、プレイしていていい演出効果が出たかなと思えた「伝承」等、全ての楽曲には思い入れがあります。余談ですが、発売直後の時期にTVのバラエティー番組で「徒然」が流れたのを偶然耳にしたのですが、その時はテンション上がりました。
【阿保 剛 プロフィール】
豊富なゲームサウンドシステム知識を有し、全てのコンシューマーゲームハードの内蔵音源の様々な特性を最大限に生かした音色遣いで定評。洗練されたメロディセンスで、キャッチーで切ない楽曲や、スタイリッシュなEDM系、恐怖やホラーを表現するものまで、それぞれが強い世界観を持つゲーム原作の世界に呼応する、音響的かつ幅広い作風を持つ人気ゲームミュージック作家。1992年よりパソコン/コンシューマーゲームのBGM制作をスタート。その後、KID、5pb./MAGES.等で数多くのゲームタイトルの BGM/効果音を統括的に制作し、メインコンポーザとして活動。代表作は「Memories Off」シリーズ、「Ever17」等のInfinityシリーズ、「CHAOS;CHILD」や「STEINS;GATE」「ROBOTICS;NOTES」の科学ADVシリーズなど多数。「STEINS;GATE」「ROBOTICS;NOTES」はアニメ版の劇伴制作にも参加。現在も常に新作と向き合い続け、年間200曲ペースの制作活動を精力的にこなす。
ゲームサウンドクリエイター、阿保 剛。ハイレゾ版限定サウンドトラック、絶賛配信中!?
自身が音源からハイレゾ特性に合わせてセッティング、全曲再収録したこだわりのハイレゾマスター使用。 ※全作品アルバム価格:\3,500
①「
STEINS;GATE サウンドトラック」(全40曲)
②「
STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム サウンドトラック +6」(全30曲)
③「
ROBOTICS;NOTES サウンドトラック +6」(全50曲)
④「
High-Resolution Soundtracks メモリーズオフ ~Piano images」(全33曲)
⑤「
High Resolution Soundtracks Ever17 -the out of infinity-/音楽:阿保 剛」(全31曲)
⑥「
High Resolution Soundtracks 12RIVEN -the Ψcliminal of integral-/音楽:阿保 剛」(全35曲)