日本でも有名なモーツァルトの『The Four Flute Quartets』がファイン・アーツ・カルテットとフルート奏者、サミュエル・バロンとのコラボで登場

活動期間は長くはないながら日本でも熱狂的な支持者を持ち、伝説のレーベルとしてカルトな人気を誇るアメリカのレコード・レーベル「Everest Records」 の数あるライブラリーの中から、結成70年のキャリアを誇る弦楽グループであるファイン・アーツ・カルテットとフルート奏者、サミュエル・バロンがコラボした、モーツァルトの『The Four Flute Quartets』が、オリジナル・マスターよりハイレゾで復刻。

ファイン・アーツ・カルテットは’46年にシカゴ交響楽団のメンバーであった第1ヴァイオリンのレナード・ソーキン、チェロのジョージ・ソプキンが中心になって結成され、現在も活躍中の弦楽グループ。古典から近現代の楽曲までという幅広いレパートリーと、時代によりメンバーが変わっても普遍的な独自のサウンド・テイストと確かなテクニックで各時代ともに高い評価を得続けている楽団である。本作ではフルート奏者に、当時のアメリカ、欧州で大活躍をしていたサミュエル・バロンを迎え、この上なく素晴らしいモーツァルトの世界を築き上げ、大成功を収めている。

モーツァルトはフルートを少々苦手としていたことは余りにも有名だが、天才モーツァルトは、様々な経緯を経て、幾つもの素晴らしいフルート四重奏曲を編み出した。本作に収められている作品はモーツァルト・ファンを惹きつけてやまない素晴らしいフルート四重奏曲である。モーツァルトの場合、その楽曲の緻密な構成、オーケストラをはじめとする各楽器のアンサンブル等々については余りにも見事であるが、それ以上に彼が今日まで世界中で愛され続けている大きな理由は楽曲のチャーミングさにあろう。ところが、モーツァルトの楽曲がもつチャーミングさを表現することは極めて困難なのであるが、本作においてファイン・アーツ・カルテットとサミュエル・バロンは、見事なまでにチャーミングなモーツァルトの世界を表出させ、本作を大成功に導いた。

オススメは全曲なのであるが、先ず挙げるとするなら4曲目の「Andante」になる。同曲は、チャーミングさを表しながら陰影を描写しなくてはならない、極めて演奏が困難な曲であるが、ファイン・アーツ・カルテットとサミュエル・バロンはそれを見事に成功させていることに喝采を送りたい。まさに秀逸な演奏。次に10曲目の「Rondo.Allegretto grazioso 」。同曲は小品ながら、そのなかで気品溢れる演奏が必要とされるが、ここで聴くことの演奏は本当に素晴らしい。本当に素晴らしいモーツァルトの世界である。

聴き終えた後には、モーツァルトの素晴らしい世界の余韻に浸れること間違いなしの珠玉の作品。

The Fine Arts Quartet
Leonard Sorkin （violin）
Irving Ilmer （viola）
George Sopkin （cello）　
Samuel Baron （flute）

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