シューマンの晩年に光を当てるアルバム
個性的なアーティストのリリースで世界中のクラシック・ファンの人気を博すスイスの老舗レーベル”Claves Records”より、イスラエルのバイオリニスト Nurit Stark とスイスのピアニスト Cédric Pescia による独創的なプログラムによるロベルトとクララ・シューマン曲集が登場。
ここ近年で再び人気が高まっているロベルトとクララ・シューマンのプログラムだが、今作で焦点が当てられているロベルト・シューマン作品は、どちらもデュッセルドルフ時代に書かれたもの。シューマンの最晩年は最良の時期とは言えないという意見が一般的であるなか、ここに収録された1851年作曲の the Märchenbilder op. 113 と the Second Violin Sonata op. 121 はどちらもいまだ注目するに値する作品だ。ピアノ作品から作曲家としてのキャリアをスタートし、その活動の場をリート、シンフォニー、チェンバー、コーラル、そしてオペラへと広げていったが、こと弦楽とピアノのチェンバー作品に関しては逆に小規模なものへと変化していく。
そしてヴィオラとピアノによる初のデュオ作品となった the Märchenbilder op. 113 は、シューマンだけにとってではなくロマン派の作曲家による最初のヴィオラのソロ曲でもある。 ここでの Nurit Stark のトーンは美しく、8曲目の I. Nicht schnell では特に効果的で、その後の緩急にも演奏家の新しい独自の観点がうかがえる。
ヴァイオリン奏者の Ferdinand David に捧げられた the Second Violin Sonata op. 121 の1曲目 第一楽章は “DAVID” をモチーフにした “D-A-F-D” のテーマで幕を開ける。エナジー溢れる情熱的な演奏は素晴らしく、決して大げさになりすぎないところにも好感が持てる。3曲目での演奏も Stark の個性が表れた演奏だ。
1853年以降ほとんど作曲をしなかったクララ・シューマンによる Three Romances for Violin & Piano, Op. 22 (1853) での演奏は決して遅くなりすぎることなく、特に6曲目と7曲目で聞かれる演奏には新しさが感じられる。
シューマン夫妻の作曲家としての最後の数年に焦点を当てることで、これまでとは少し違った魅力が発見できる一枚。
Nurit Stark (violin, viola)
Cédric Pescia (piano)
【シューマン:ヴァイオリン/ヴィオラとピアノのための作品/Cédric Pescia, Nurit Stark/ハイレゾ】
1 Cédric Pescia[アーティスト], Nurit Stark[アーティスト], Robert Schumann[作曲]
2 Cédric Pescia[アーティスト], Nurit Stark[アーティスト], Robert Schumann[作曲]
3 Cédric Pescia[アーティスト], Nurit Stark[アーティスト], Robert Schumann[作曲]
4 Cédric Pescia[アーティスト], Nurit Stark[アーティスト], Robert Schumann[作曲]
5 Cédric Pescia[アーティスト], Nurit Stark[アーティスト], Robert Schumann[作曲]
6 Cédric Pescia[アーティスト], Nurit Stark[アーティスト], Robert Schumann[作曲]
7 Cédric Pescia[アーティスト], Nurit Stark[アーティスト], Robert Schumann[作曲]
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9 Cédric Pescia[アーティスト], Nurit Stark[アーティスト], Robert Schumann[作曲]
10 Cédric Pescia[アーティスト], Nurit Stark[アーティスト], Robert Schumann[作曲]
11 Cédric Pescia[アーティスト], Nurit Stark[アーティスト], Robert Schumann[作曲]