長きに渡り現代クラシック界を牽引したマエストロ「クラウディオ・アバド」が若手精鋭演奏家と紡ぎ出すモーツァルトとハイドン至高の作品。
個性的なアーティストのリリースで世界中のクラシック・ファンの人気を博すスイスの老舗レーベル “Claves Records”より、指揮は巨匠クラウディオ・アバド、彼自身が2004年イタリア、ボローニャに設立したモーツァルト管弦楽団を率いて、彼が亡くなる1年前の2013年スペインでおそらく最後に演奏、録音された「モーツァルト:オーボエ協奏曲ハ長調/ハイドン:協奏交響曲変ロ長調」を紹介。
もはや語り尽くせないほど輝かしい実績を持つ指揮者アバドは、知的で物静かな人間性がそのまま音楽に表されていると言ってよく、18~26歳の若手集団であるモーツァルト管弦楽団のメンバーへ言葉ではなく身体で表現する事と、お互いによく聴き合う事を伝えていく真摯な態度が今回の演奏にも滲み出ている。おすすめはモーツァルト、オーボエ協奏曲の2曲目「アダージョ」と3曲目「ロンド・アレグレット」でのオーボエ奏者ルーカス・マシアス・ナバロの演奏は絶品。彼は2006年国際オーボエコンクール・軽井沢にて優勝し、同時にモーツァルト賞も受賞した実力派である。他にヴァイオリンのグリゴリー・アースは、マーラー・チェンバー・オーケストラのコンサートマスター、またチェロのコンスタンチン・プフィッツ、ファゴットのギョーム・サンタナも同オケの首席を務め、アバドに絶大な信頼を置かれたアーティストの演奏が楽しめる。
アバド生前最後のツアーとなった模様はドキュメンタリー番組にもなっており、彼がその音楽に対する情熱や哲学を語っている。しかし、まずは彼のおそらく最後になる演奏を堪能して頂きたい。神々しいほどに美しく且つ、絶妙な表現力と音楽に対する深遠な解釈、包容力によってオーケストラメンバーの素晴らしい演奏を引き出す神業のようなアバドのタクトは必聴。
【モーツァルト:オーボエ協奏曲ハ長調 K. 314 /ハイドン:協奏交響曲変ロ長調 Hob.I-105/モーツァルト管弦楽団&クラウディオ・アバド/ハイレゾ】