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【12月1日更新】 ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music

2017/12/01
衛星デジタル音楽放送ミュージックバードで、2017年1月にスタートした番組「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」と連動したコラム。音にこだわるオーディオ・ファン、ハイレゾに初トライしてみたいクラシック・ファンのために、「ハイレゾ女子」として活躍する音楽ライター・原典子が、e-onkyo musicから選りすぐりのタイトルをご紹介します。 文◎原典子
第12回:話題作&私的ベスト2017

 早いもので2017年もあとひと月で終わり。音楽雑誌の特集やレコードショップの店頭でも「年間ベスト・アルバム」といった文字を見かける年の瀬だが、皆さんはこの一年、どんな音楽との出会いがあっただろうか。12月は『話題作&私的ベスト2017』というテーマで、今年のクラシックやハイレゾをめぐる音楽シーンで話題になった作品を中心に、私が個人的によく聴いていたアルバムなども交えながら一年を振り返ってみたい。
 とはいえ、放送するアルバムを選んだ10月以降も続々と注目新譜がリリースされていること、また、ここ数ヶ月以内の放送で一度紹介したアルバムは外したことなどから、純然たる「私的ベスト」ではないことをご承知おきいただければ幸い。

■未知なる響きの追求

 古楽・バロック音楽では、歴史的な検証よりもイマジネーションに満ちた新しい響きを追求する「幻想の古楽」ともいうべきシーンが数年前から盛り上がっているが、今年も鮮烈なアルバムが次々と登場した。クリスティーナ・プルハー指揮ラルペッジャータによる愉悦に満ちた『ヘンデルはワイルドでいこう!』(10月の放送で紹介)をはじめ、ジャズや即興演奏にも精通したジャン・ロンドーの3rdアルバム『ディナスティ-王家-~バッハ一族のチェンバロ協奏曲集』、ダニエル・ホープが現代とヴィヴァルディの「四季」をひとつのアルバムの中で融合させた『フォー・シーズンズ』など。加藤訓子が『J.S.バッハ:マリンバのための無伴奏作品集』で描いてみせたバッハのアンビエントな音響世界も見事だった。

 コンテンポラリーでは、引き続きポスト・クラシカル勢の新譜がメジャー・レーベルからたくさんリリースされたが、私個人的には坂本龍一の8年ぶりとなる新作『async』を一聴した途端、すべて持って行かれたような気持ちになった。坂本が「今まででいちばんわがままに作ったアルバム」だと語る“非同期的な音楽”からは、3.11や大病を経て、人生の集大成へと向かう覚悟を決めた音楽家の凄みがビシビシと伝わってくる。また、坂本がキュレーターを務めるグレン・グールド生誕85周年企画“GLENN GOULD GATHERING”のライヴにも出演するフランチェスコ・トリスターノの新譜『ピアノ・サークル・ソングス』は、仕事中もリラックスしたいときも、日々の生活の中にすっかり溶け込んだ一枚となった。

■オーケストラ新時代

 2017年はオーケストラ好きにとってはたまらない一年だったのではないだろうか。ベルリン・フィルの次期首席指揮者・芸術監督となるキリル・ペトレンコの来日が話題を集めたが、ほかにも、長らく来日が待ち望まれていたウラディーミル・ユロフスキ&ロンドン・フィル、新しいシェフでは初の来日となるダニエレ・ガッティ&ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ウィーンの新時代を担う新鋭フィリップ・ジョルダン&ウィーン交響楽団など、注目の公演が続いた。これらのオーケストラはどこも自主レーベルを運営しており、e-onkyo musicでは多くのライヴ音源が配信されているので、ぜひチェックを。

 放送では上記以外にもたくさんのアルバムをお届けしているが、選曲を終えた後にテオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナによる『チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」』がリリースされ、発売早々にベストセラーとなっている。かくいう私も、しばらくとり憑かれたようにこのアルバムばかり聴いていた。こちらは12月の「いちはや新譜」コーナーに間に合わせることができたので、とにもかくにもご一聴いただければと思う。



<新しく響くバロック>

『ディナスティ-王家-~バッハ一族のチェンバロ協奏曲集』
ジャン・ロンドー(cem) 他
録音:2016年/ERATO




『J.S.バッハ:マリンバのための無伴奏作品集』
KUNIKO
録音:2015年/LINN RECORDS




『フォー・シーズンズ』
ダニエル・ホープ(Vn)チューリッヒ室内管弦楽団、チリー・ゴンザレス、ジャック・アモン(P)他
録音:2016年/D.G.





<同時代を生きる音楽>

『ピアノ・サークル・ソングス』
フランチェスコ・トリスターノ(p)チリー・ゴンザレス(p)
録音:2016・2017年/Sony Classical




『async』
坂本龍一
commmons




『スウィート・アポカリプス』
ランバート(P、ほか)
Decca





<続々来日! 注目指揮者>

『ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」他』
ウラディーミル・ユロフスキ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
録音: 2014・2015年/LPO




『マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」』
ダニエレ・ガッティ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音: 2014・2015年/LPO




『ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」、プロコフィエフ:古典交響曲』
フィリップ・ジョルダン指揮パリ国立オペラ座管弦楽団
録音:2016年/ERATO





<楽興のとき>

『ブラームス:ピアノ三重奏曲(全曲)』
ヨーヨー・マ(vc)エマニュエル・アックス(p)レオニダス・カヴァコス(vn)
録音:2016年/Sony Classical




『ロマンス』
寺下真理子(vn)須関裕子(p)
キングレコード




『メンデルスゾーン』
カルテット・アロド
ERATO





<ピアノと静謐なる時間>

『点と線~ドビュッシー&細川俊夫:練習曲集』
児玉桃(p)
録音:2016年/ECM




『ヴォロドス・プレイズ・モンポウ』
アルカディ・ヴォロドス(P)
録音:2012年/Sony Classical




『エリック・サティ:新・ピアノ作品集』
高橋悠治(p) 録音:2012・2015年/BIS





<祈りの声>

『ドヴォルザーク:スターバト・マーテル』
イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 他
録音:2016年/Decca




『J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV245』
マルク・ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノーブル
録音:2014年/ERATO







【バックナンバー】
<第1回> 違い歴然!ハイレゾで聴きたい名曲名盤
<第2回> ポスト・クラシカルが止まらない!
<第3回> 世界のこだわりレーベル探訪 その1!
<第4回> 春の声
<第5回> 確信犯的クラシック――革新的NEXT GENERATIONS
<第6回> 雨の日の音楽
<第7回> 第7回:世界のこだわりレーベル探訪 その2 ~自主レーベル篇
<第8回> 第8回:エキゾでフォークなクラシック
<第9回> 第9回:来日オーケストラ&演奏家特集2017
<第10回> 第10回:物語から聞こえる音楽
<第11回>
第11回:いま聴きたい弦楽器奏者たち





※ミュージックバードとは
音楽にこだわる人の「高音質」音楽放送サービス。
本格派クラシック、ジャズをはじめ、歌謡・演歌、ロック、J-POPなど、 音楽ジャンルごとに専門チャンネルを放送。
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出演者:原典子(はら・のりこ) 音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。
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