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連載『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』 第52回

2017/11/03
ピアノのライブを聴くなら、これだ!
~ 強烈なグルーブと音楽エネルギーで、目の前にピアノが出現する ~



試聴ルームに新プレーヤーを導入

本連載、4周年を迎え5年目へと突入しました! 皆様の応援があるからこそ、無事に連載が続いております。本当にありがとうございます。4周年記念の企画やイベントも、いろいろと計画しております。全部決まるかどうかわかりませんが、是非今後の発表をお待ちください。
さて、5年目突入記念に、リファレンスのプレーヤーを入れ替えました。選んだのは、パイオニア/N-70AEです。試聴デモ機貸与などではなく、きちんと自腹購入ですから、自由な感想発言が可能です。といっても、今のところ悪いところは見当たりません。

N-70AE導入にあたっての諦めポイントは、ただひとつ。CD盤が直接再生できないというところです。これは一昔前のノートパソコンからCDドライブが消えたことに似ているかもしれません。「CDドライブが無いパソコンなんて!」と当時はショッキングでしたが、今ではノートパソコンの標準仕様です。時代は変わっていきますから、オーディオもそうなるのかも。少なくとも、私は今のところCDドライブ無しのN-70AEで全く問題無しです。

プレーヤーからCDドライブが無くなることには、実は音質的に大きなメリットがありました。それは稼働する部品が無くなるということ。トレイが動く、盤が回転する、ピックアップが移動するためには、固定されていないパーツが存在しなければならず、振動の影響をどうしても受けやすくなります。いくらCDドライブを強固な防振設計としたところで、歯車などの稼働構造パーツは振動的にはグラグラなのです。

その点、N-70AEはCDドライブ無しですから、いたって堅牢な作り。自社で開発している制振アクセサリーや振動コントロールチューニングの効きが良く、電源ケーブル交換によるアップグレードも素晴らしく反映されます。プレーヤーがCDドライブを捨てると、故障確率が圧倒的に下がるだけではなく、振動モードがコントロールしやすくなるという大きなメリットがあると、私は感じています。

ネットワークプレーヤーというと、NASを準備したり、ネットワーク接続をしたりと、なかなかハードルが高く思えがち。でも実は私は、今のところフロントパネルのUSBメモリ入力しか使っていません。USBメモリに保存した音源データーを再生しているだけで、N-70AEとパソコンとは未接続。これがまた良いのです。パソコンからのノイズ混入を気にすることなく、スタンドアローンのプレーヤーとしてCDプレーヤー感覚で使えるのが気に入りました。ですので、ネットワークプレーヤーというよりは、ハイレゾ音源プレーヤーという感覚で使っています。

私のように、仕事でハイレゾ音源を聴く場合、プレーヤー側で勝手にアップサンプリングなど音のお化粧をしてもらっては困りもの。もちろんそういう便利機能も搭載しているN-70AEですが、ボタンひとつで音源そのもののダイレクト再生ができるのも魅力です。

デジタル音声出力があるので、私のリファレンス機であるDAコンバーターと接続し、N-70AEをトランスポートとしても活用中。flac音源をきちんと変換し、デジタル出力してくれるのも嬉しい仕様です。

これからの太鼓判ハイレゾ音源の選定は、このN-70AEが活躍してくれることでしょう。イベントが開催される暁には、私の右腕としてN-70AEを持参し、バッチリ鳴らしたいと思います。今から楽しみです!


ガツンとくるピアノを聴きたいなら、これだ!

ピアノは、録音も再生も難しい楽器です。目の前にグランドピアノを浮かび上がらせるのは、オーディオの醍醐味と言えるでしょう。そんな夢を叶えてくれる太鼓判ハイレゾ音源がまたひとつ!

『ライヴ・イン・ロンドン』/Michel Camilo
flac 88.2kHz/24bit




ミシェル・カミロのピアノソロ、しかもライブ音源となると期待は高まるばかり。その期待をも大きく超える作品に大満足です。

1曲目、なんとなく聞いたことのある曲だと思ってたら、なんと「フロム・ウィズイン」ではないですか! アルバム『RENDEZVOUS』でデイヴ・ウェックル(ds)とアンソニー・ジャクソン(b)とのトリオ演奏で弾きまくっている、私のお気に入りの1曲。オーディオイベントでも、よく鳴らていました。その「フロム・ウィズイン」がピアノソロで蘇るのですから、それはもう3倍の手数かと思えるほどの迫力ある演奏です。

そう、ピアノだけで聴かせることに全力で挑んだという感じで、飽きさせることなくミシェル・カミロのピアノが炸裂しています。時に穏やかで美しく、時に鍵盤を叩き壊さんばかりのエネルギーで押しまくる。ピアノという楽器の可能性を再確認させてくれました。

何より、そのサウンドが魅力的。曲の終わりで歓声が上がるまで、すっかりライブ盤だということを忘れていました。それほど完成度が高いですし、音質が素晴らしい。それこそ、目の前にグランドピアノがドーン!と出現します。

ライブの熱気をそのままパッケージングするのに、ハイレゾ音源の大きな器が大活躍。稲妻のようなハイトーンから、腹の底に響くような重低音まで、巨大なピアノという楽器を堪能できるハイレゾ音源です。これがライブ盤とは驚き。いや、ライブ収録だからこそ、これだけのエネルギーが出せたのだと思います。
7曲目「アイ・ガット・リズム/キャラヴァン/シング・シング・シング」のメドレーも圧巻! こんなグルーブするピアノ、聴いたことがありますか? ソロ演奏だからこそ、自分のリズムだけで全てを表現できる自由さ。そんな時間軸からの解放が魅力の演奏が満載なんです。

ピアノの低音弦、グォーン! というサウンドが大好物の私にとって、理想とも言えるピアノサウンド。単にマイクが良いだとか、録音フォーマットが良いというだけでは達成できない、音楽の気迫が障害壁を突き抜けて、リスナーの心を打ち抜きます。そんなピアノが満喫できる、太鼓判ハイレゾ音源の登場です!



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筆者プロフィール:

西野 正和(にしの まさかず)
3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。