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【10月27日更新】 ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music

2017/10/27
衛星デジタル音楽放送ミュージックバードで、2017年1月にスタートした番組「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」と連動したコラム。音にこだわるオーディオ・ファン、ハイレゾに初トライしてみたいクラシック・ファンのために、「ハイレゾ女子」として活躍する音楽ライター・原典子が、e-onkyo musicから選りすぐりのタイトルをご紹介します。 文◎原典子
第11回:いま聴きたい弦楽器奏者たち

 ヴァイオリンは、私にとって永遠の憧れである。いきなり個人的な思い出話で恐縮だが、中学に入学したらオーケストラ部に入ってヴァイオリンをやろうと固く心に決めていたものの、あえなく抽選で外れ、「ユーフォニアムなら空いてるよ」と言われるも固辞し(今になって思えばやっておけばよかった!)、泣く泣く合唱部に入った私にとって、ヴァイオリンという楽器の艶やかな音色、しなやかに弧を描くような音の運び、伏し目がちになる奏者の弾き姿……すべてが“美”の象徴のように思える。
 さて、そんなヴァイオリンへの憧れを胸に、11月は「いま聴きたい弦楽器奏者たち」というテーマで、ヴィオラやチェロも含めながら、旬の演奏家をご紹介していきたい。

■ドイツを代表する同世代の名手

 現代におけるヴァイオリニストの最高峰は誰か? と問われたら、フランク・ペーター・ツィンマーマンとクリスティアン・テツラフの名前は必ず挙がってくるだろう。ツィンマーマンは1965年デュースブルク生まれ、テツラフは1966年ハンブルク生まれ。1歳違いで、ドイツを代表する二大巨頭である。
 放送では、昨年末に配信スタートしたツィンマーマンの『ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番・第2番』(アラン・ギルバート指揮北ドイツ放送エルプフィルハーモニー交響楽団)と、テツラフの新作『J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』をお届けする。ショスタコーヴィチがダヴィド・オイストラフに献呈した2つのヴァイオリン協奏曲を、鮮やかなテクニックで切れ味抜群にドライブしていくツィンマーマン。かたや3度目となるバッハの「無伴奏」録音に臨み、気負わず自然な呼吸で自己の内面と向き合うテツラフ。いずれも未来の巨匠を感じさせる名演奏である。

■自由に飛翔する想像力

 肌寒い季節には、ヴィオラやチェロの深々とした温かみのある響きに包まれたくなるもの。ヴィオラ奏者のアントワン・タメスティが、ヒンデミットの没後50周年にリリースした、その名も『BRATSCHE!』(ドイツ語でヴィオラの意)というアルバムは、自身もヴィオラ奏者だったヒンデミットが残したヴィオラのためのさまざまな編成の作品を集めた一枚。パーヴォ・ヤルヴィ指揮hr交響楽団と共演した「白鳥を焼く男」では、吟遊詩人としての役割を担うヴィオラ独奏が、古い民謡をもとにした旋律をファンタジーに満ちた歌い口で聴かせてくれる。

 チェロのアルバムでは、鬼才マット・ハイモヴィッツが15年ぶりに録音した『J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲』と、スティーヴン・イッサーリスがドビュッシーの幻の作品を録音した『reVisions』が面白い。羽が生えたかのように軽やかで、どこまでも自由なハイモヴィッツのバッハは、PENTATONEチームによる録音も優秀。また、第4曲「間奏曲」を除いて失われたとされるドビュッシーの「チェロと管弦楽のための組曲」を、イギリスの女性作曲家サリー・ビーミッシュが補完した作品も、イッサーリスの甘やかで神秘をたたえた演奏によって想像力をかきたてられる。

 実力派の若手カルテットが続々と登場している室内楽の分野では、ダークスーツに身を包んだジャケット写真もクールなドーリック弦楽四重奏団に要注目。CHANDOSからさまざまなレパートリーが次々とリリースされているが、コルンゴルトの作品を世に紹介し続けてきたCHANDOSが自信を持って送り出したデビュー・アルバム『コルンゴルト:弦楽四重奏曲集』はぜひ聴いておきたい一枚だ。

 オーケストラ録音では感じられない、親密な空気に満ちた「楽興のとき」を、お気に入りの弦楽器奏者のアルバムで感じていただけたらと思う。



<ヴァイオリン協奏曲>

『ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番・第2番』
フランク・ペーター・ツィンマーマン(vn)アラン・ギルバート指揮北ドイツ放送エルプフィルハーモニー交響楽団
録音:2012・2015年/BIS




『ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 他』
フランク・ペーター・ツィンマーマン(vn)リサ・バティアシュヴィリ(vn)クリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデン 他
録音:録音:2012年/Deutsche Grammophon



『コルンゴルト&ブリテン:ヴァイオリン協奏曲』
ヴィルデ・フラング(vn)ジェイムズ・ガフィガン指揮フランクフルト放送交響楽団
録音:2015年/Warner Classics




<ヴァイオリン>

『J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』
クリスティアン・テツラフ(vn)
録音:2016年/Ondine




『グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ全集』
アレクサンドラ・スム(vn)ダヴィッド・カドゥシュ(p)
録音:2010年/Claves Records




『バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ&ラプソディ集』
ジェームズ・エーネス(vn)アンドルー・アームストロング(p)
CHANDOS





<チェロ>

『プロコフィエフ&ラフマニノフ:チェロ・ソナタ 他』
ヨハネス・モーザー(vc)アンドレイ・コロベイニコフ(p)
録音:2016年/PentaTone




『J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲』
マット・ハイモヴィッツ(vc)
録音:2015年/PentaTone




『reVisions』
スティーヴン・イッサーリス(vc)ガボール・タカーチ=ナジ指揮タピオラ・シンフォニエッタ
BIS





<弦楽四重奏>

『ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番、第14番』
アリス四重奏団
録音:2017年/Genuin




『コルンゴルト:弦楽四重奏曲集』
ドーリック弦楽四重奏団
録音:2010年/CHANDOS





<弦楽合奏>

『ブラームス:弦楽六重奏曲第1番、第2番』
ルノー・カピュソン(vn)クリストフ・コンツ(vn)ジェラール・コセ(va)マリー・シレム(va)ゴーティエ・カピュソン(vc)クレメンス・ハーゲン(vc)
録音:2016年/ERATO




『シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」他』
パトリツィア・コパチンスカヤ(vn&指揮)セントポール室内管弦楽団
Alpha




『J.S.バッハ(D.シトコヴェッキー編):ゴルトベルク変奏曲(弦楽合奏版)』
ドミトリー・シトコヴェッキー(指揮&vn)千々岩英一(vn)紀尾井シンフォニエッタ東京
マイスターミュージック









【バックナンバー】
<第1回> 違い歴然!ハイレゾで聴きたい名曲名盤
<第2回> ポスト・クラシカルが止まらない!
<第3回> 世界のこだわりレーベル探訪 その1!
<第4回> 春の声
<第5回> 確信犯的クラシック――革新的NEXT GENERATIONS
<第6回> 雨の日の音楽
<第7回> 第7回:世界のこだわりレーベル探訪 その2 ~自主レーベル篇
<第8回> 第8回:エキゾでフォークなクラシック
<第9回> 第9回:来日オーケストラ&演奏家特集2017
<第10回> 第10回:物語から聞こえる音楽




※ミュージックバードとは
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出演者:原典子(はら・のりこ) 音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。
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