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ハイレゾ/バイノーラルで聴く「地球の美しい音色」

2014/04/25
ネイチャーサウンドアーティスト・ジョー奥田氏がおくる「ハイレゾ/バイノーラル録音」による自然音シリーズ。ここでは、e-onkyo musicユーザーのために特別に、ジョー奥田氏本人による「ハイレゾ配信」に向けた思いを語っていただきました。
「高音質(ハイレゾ)配信開始に寄せて」 by ジョー奥田

この度、「e-onkyo music」のサイトから私の作品が高音質配信されることになりました。「自然の音をより良い音で届けたい」と、長年思い描いていた『夢』が、今ようやく叶ったような思いです。この機会に私の自然音の録音について少しお話させていただきます。

『自然音は世界で最も美しい!』


私はある日このことに気がついて以来、どんどんと自然音録音にのめり込んでいくことになりました。その日は自宅スタジオである楽曲のミックス作業をしているときでした。ほとんど一日中、同じ曲を何度も何度も聞くわけですから、相当耳が疲れていました。その時、自分が録音してきた森の音を聞いたのです。いわゆる耳休めとして聞いたわけです。その時、凄いことに気がついたんです。それはバランスが『完璧』だ、ということなんですね。そして森の音が、まるで交響曲やストリングス・カルテットのように美しい、ということに気がついたんです。時として、人間が作った音楽よりも、完璧な美しさを持つ自然音。この美しい音を多くの人に届けたい。そう思うようになってからは、もう自然音録音の道をまっしぐらに走り始めることになりました。

私にとって、まったく未知の世界だったフィールド・レコーディングというものを、始めた当時は、レコーダーはSONYのポータブルDAT、TCD-D10を使用していました。マイクはNuemunn社製のバイノーラルマイク、KU-100を使うことにしました。それはある機会があって、最初にこのマイクで録った森の音を聞いた時に、あまりの生々しさと、強烈な臨場感に打ちのめされ、すっかり虜になってしまったからです。「まるでその場にいるかのような音」、まさにそんな感じの音像でした。

フィールド用の録音機材をそろえてからは、それまでの仕事場だった暗いスタジオを飛び出し、KU-100とDATを担ぎ、海や山へ行くようになりました。そして丁度その頃から、デジタル・オーディオ技術の進化が加速し始め、嬉しいことに、フィールドレコーダーの性能はどんどんと進化していきました。

最初のデジタルレコーダーとの出会いは、Fostex社製のPD-6でした。試作機をお借りして最初に出かけたのが奄美大島だったと思います。このレコーダーは最高のサンプル・レートが96kHz、記録メディアは3.5インチのDVD-RAMを採用していました。PD-6で録った音を、最初に聞いた時の驚きは今でもよく覚えています。それまで使っていたDATと比べ、音の情報密度が非常に濃い感じで、波うち際の水音や、森の空気感などが、非常に細やかに再現されていました。当時はアナログテープの音もよく聞いていましたので、それと比べると全体のトーンが非常にクリアに感じました。また音はとても細やかだけれど、なんとなく定位がしっくりしないような感じがありました。音像の安定感とでも言うのでしょうか。それに比べ、当時使っていたポータブルDATの音像は本当に素晴らしく安定していて、音の質感もとても音楽的で好きでした。

それからしばらくして、同じくFostex社から発表されたFR-2を手にしました。この機種はコンパクト・フラッシュをメディアとしたレコーダーで、サンプル・レートはPCM192kHzまで扱えました。これには本当に狂気乱舞しました。そしてこの時、もう確実にテープメディアの時代は終わったと思いました。写真が銀塩フィルムからデジタルに変わっていったのもこの頃のことでした。

FR-2は非常に軽量で取り扱いも良く、長年フィールドレコーダーを手がけているノウハウの蓄積が随所に見られる素晴らしいレコーダーでした。また信頼性も高く、故障したことはありません。当時は大容量のコンパクト・フラッシュがなく、そのとき最大だった4GBのコンパクトフラッシュが$800くらいしていたように思います。また録ったデータの量も飛躍的に大きくなりました。当然ながら、ハードディスクを買い続けることになってしまいました。それでも高音質で収録した自然の音は本当に美しく魅力的でした。そして、きっといつか自分が聞いているこの音を聞いてもらえる時代が来るに違いない、そう信じていました。




時代は進み、遂にKORG社からDSDレコーダー、MR-1000が発表されました。これには本当に驚きました。以前から、デジタル・オーディオの行き着く先は、1bitオーディオのDSDしかない、という意見は多く聞かれました。しかし諸々の理由から、民生レベルのDSDレコーダーはどこの音響メーカーからも発売されることはありませんでした。それがなんと楽器メーカーであるKORG社からDSDレコーダーが発売されたのです。これはまさに衝撃でした。

早速デモ機をお借りして、近所で試し録りしてみました。それはまさに新しい体験でした。 DSDで録った音は、まるでヒスノイズのないアナログのようでした。音の輪郭のシャープさ、滑らかさ、奥行き、空気感、などなど、すべてがまったくそれまで経験したことのない世界でした。このときの衝撃が私をDSDの世界へと導いていったような気がします。

私はデジタル・オーディオ技術が進化することで、その実力が最も発揮出来る分野は、自然録音ではないか思っています。ハイビジョン映像が始めて世の中に紹介された時、最も映像の美しさが感じられたのは、人や人工物ではなく森の映像でした。これは音の世界にも共通することだと思います。ハイレゾリューションのデジタル・オーディオの実力を体感するには、自然音が最も適しているように思います。

今まで、CDでは再現しきれなかった細やかな自然の音が、ハイレゾリューションのデジタルオーディオでは見事に再現されるのです。森の静けさや空気感までもが表現出来るのです。森の静けさは無音ではありません。『静寂』という音があると思います。いわゆる「Sound of Silence」 と呼ばれる、静寂の音が森にはあるのです。ハイレゾリューションのデジタル録音は、この『静寂』を表現することを可能にしてくれました。表現者にとってはひとつの 『革命』 に近い出来事だと思います。

ジョー奥田




ジョー奥田(Joe Okuda) プロフィール

自然音録音家 ネイチャーサウンドアーティスト
音楽プロデューサー、音響空間プロデューサー

バイノーラルマイクと最高品位のデジタルレコーダーで、世界各地の自然音を録音し、その素材を元に音楽製作で培った編集ミックスの技術を導入し、そのストーリー性豊かな、新しい自然の音の世界をクリエイトする。その驚異的な臨場感と世界観の独自性は、各方面で高く評価されている。



ジョー奥田 作品一覧

『The Big Island』
/ ジョー奥田



『Sacred Bay』
/ ジョー奥田



『Quiet Wave 』
/ ジョー奥田



『AMAMI 』
/ ジョー奥田



『YAKUSHIMA』
/ ジョー奥田

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