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連載『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』 第50回

2017/09/01
マイケル聴くなら、これだ!
~ 圧倒的なグルーヴ、疾走感、そして驚くほど広大なサウンドステージ。



ありがとう、連載50回!

気がつけば、連載50回に到達しました! スタートしたのが2013年10月ですから、もうすぐ4年になるのですね。なんのシガラミもなく音源選別を自由にやらせてもらい、好き勝手に書いてきた50回。よくぞ連載打ち切りにならなかったものだと思います。全て、読んでくださっている皆様、そして太鼓判ハイレゾ音源を実際にご購入いただいている皆様の応援があってこそです。本当にありがとうございます!

それにしてもハイレゾ音源、4年前とは随分と状況が変わってきました。2013年当時は、まだまだ発売タイトルも少なく、新発売音源のほとんど全部をチェックできていたくらい。その中から、お宝のハイレゾ音源を発掘していこうというのが、当初の趣旨だったように記憶します。

しかし、今となっては毎日のように凄い数のハイレゾ音源がリリースされていきますので、もはや全数聴くなんて夢のまた夢。ですので、どうしても私の得意なジャンルやミュージシャン、エンジニアといった視点での太鼓判ハイレゾ音源選定となってしまったことをお許しください。

といっても、太鼓判選定の基準に関しては、連載スタート当初から一切のブレはありません。実際に聴いて、感じて、興奮して、「これだ!」とハートに突き刺さったものだけをご紹介しています。これができなくなった時が、きっと連載終了の時ではないでしょうか。あ、連載打ち切りという線もありますが。

今回の50回記念号は特別なことが企画できませんでしたが、4周年記念の10月には何か考えてみたいです。久しぶりの試聴イベントも楽しそう。本当は『太鼓判ハイレゾ音源コンピ盤』なんて面白そうですが、クリアする問題も多いのかな? レコード会社別で選別すれば可能かも? 考えるだけで、ワクワクしてきました。

50回、お付き合いいただき、ありがとうございます。まだ書き続けられるようですので、今後ともよろしくお願いいたします!



全てのリミッターを取り去った、ハイレゾ版マイケル!

マイケルのハイレゾは既に数多くありますが、私の大好きなアルバムが出ました!


『HIStory - PAST, PRESENT AND FUTURE - BOOK I』(flac 96kHz/24bit)
/Michael Jackson >



マイケルのベスト盤なら『Number Ones』が以前からあったのですが、私は『HIStory』派。CD盤のころから『Number Ones』よりも『HIStory』をよく聴いています。何となくCD盤『Number Ones』は、音がカリカリした印象があって・・・。ハイレゾ版での厳密な比較試聴は行っていませんが、『HIStory』のハイレゾを聴いて「ああ、これこれ~!」とガツンと感じるものがあったので、その直感を重視します。

「Smooth Criminal 」が収録されていないのが、唯一『HIStory』の個人的に残念なところ。でも『Number Ones』には「Heal the World」が無いですから、やっぱり選曲は『HIStory』が好みかも。

曲は、それはもう素晴らしいの一言。ヒット曲満載です。その名曲たちがハイレゾになり、どのようなサウンドになったのか? ここが注目ポイントでしょう。

ズバリ、全てのリミッターを取り去った、マイケル・ジャクソンがそこに居ます。圧倒的に広いサウンドステージ、突き抜ける高音域、首から上が吹き飛ばされそうな低音、高速回転するマイケルが見えるくらいのグルーヴ。その全てにリミッターがありません。

CD盤でも高音質盤だった『HIStory』です。私もイベントのデモで何度鳴らしたことか。その記憶の中のCD盤サウンドを軽く吹き飛ばすくらい、ハイレゾ版『HIStory』は凄いですよ、皆さん!

オーディオ的チェック曲としては、「Billie Jean」がオススメ。実はこれ、サチる寸前なんです。ギリギリの「サシスセソ」。シャーッと高域がサチるようでしたら、おそらく何かオーディオアクセサリーが悪さしています。もしくは、低音の出にくいケーブルが原因かも。「Billie Jean」がサチるようでしたら、まずは高域強調のアクセサリーを撤去してみてください。金属系アイテムが第一容疑者です。

その「Billie Jean」、シンセベースに聞こえますよね? 実はこれ、手でミュートしながら親指で弾いています。ベースのルイス・ジョンソン氏にお会いした時、実際に弾いて見せてもらいました。このベースのグルーヴも聴きどころのひとつでしょう。

有名な「Thriller」の冒頭、扉のキシミ音も面白いです。上手く再現できると、あまりにリアルすぎて笑っちゃうくらい。CD時代にイベントで驚いて、お客さんと何度もリピートして大ウケしたのを思い出しました。ハイレゾで聴くと、そりゃもうギギギギ・・・なんです。楽しんでみてください。

その他、マイケル全般で難しいのは、低音の連打です。オールドのシステムだと、ここまで早い低音のパッセージは再現できないかも。バスレフダクトがボーボー鳴っているスピーカーなら、もうお手上げです。超低域の再現というよりは、実低音と言いましょうか、ミッドローあたりのスピード再現が要求されます。ボーボボーではなくズバババです。

マイケルサウンドを苦手にしている真空管アンプに出会ったことがあります。疾走感が全く再現できていませんでした。ここもチェックポイントです。

ハイレゾになって、とにかくサウンドステージが広いことも注目してください。しかも、濃くて広い。スピーカーで聴いているなら、部屋全体が音楽で満ちるくらいが正解です。ヘッドホン/イヤホンなら、頭の中心に音楽が定位するだけでなく、目を閉じればバーチャル音楽空間が出現します。私がハイレゾ版『HIStory』で一番魅力的だと感じているのは、この広大なサウンドステージなんです!

音質、楽曲、パフォーマンス、そして音楽エネルギー。全てが最高レベルのハイレゾ音源です。オーディオのデモには最適ですね! 私も4周年記念イベントが開催できた暁には、『HIStory』をガンガン鳴らしたいと思っています。連載50回記念に相応しい、文句無しの太鼓判です!



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筆者プロフィール:

西野 正和(にしの まさかず)
3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。