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INORANソロ20周年の集大成となるセルフ・カヴァーによるベスト・アルバム『INTENSE/MELLOW』がハイレゾで登場!

2017/08/25
不動の人気を誇るLUNA SEAのギタリスト、INORANさんのソロ活動20周年を記念したベスト・アルバム『INTENSE/MELLOW』が完成。新アレンジ、新録音によるセルフ・カヴァーに、新曲2曲も収録された本作は、まさにソロ活動の集大成となる注目作です。本作のハイレゾ配信開始に際してINORANさんが話してくれたのは、音楽作りやライヴ演奏を続けることへのこだわりと、支持する人たちへの感謝の言葉。そして、「過去と未来が繋がった」という現在の心境……。名言連発のインタヴューをお見逃しなく!

文・取材◎美馬亜貴子 撮影◎山本 昇


『INTENSE / MELLOW』/INORAN




 LUNA SEAのギタリストとして日本のロック・シーンをリードし続け、Tourbillon、Muddy Apesといったプロジェクトでも自在に活動するINORAN。彼が20年に亘るソロ・キャリアを総括するベスト・アルバム『INTENSE/MELLOW』をセルフ・カヴァーでリリースする。収録曲はアップリフティングな曲を収めた“動”的な「INTENSE」サイドと、抒情的な曲が中心の“静”的な「MELLOW」サイドとに分けられ、2つの異なる世界観をじっくりと堪能できる趣向だ。
 20年という節目を迎えたINORANに、これまでのこと、そしてこれからのことを語ってもらった。「ズレこそが音楽」という発言に顕著だが、そこには、常に人に囲まれ、人と共に成長してきた人ならではの深い見識がある。

■自分が楽しめる音楽を求めてきたソロ活動

--まずは20周年おめでとうございます。今回、ソロ・キャリアを網羅した作品でご自身の歩みを辿ってみて、どんな感慨がありますか?

 率直な感想としては、気付いたら20年経っていたという感じ。それは、これだけをやっていたわけではないっていうのが大きな要因だったりするのかな。LUNA SEAもソロ活動してから7年後にコンサートやりだしたり、その前にTourbillonというバンドをやったり、FAKE?というバンドをやったりもしていたので。

--ええ、最近ではMuddy Apesもありますね。いろんなプロジェクトが並行している中で、INORANさんにとって“ソロ”っていうのはどういう位置づけですか?

 元々ソロをやりたいという気はそんなになかったんですけど、バンドが止まっている最中に1枚作った。それはLUNA SEAが「終幕」ってかたちでなくなってしまった中で、自分にとっての決意表明でした。それがきっかけで以後何枚か作品を出していくうちに、ソロとしての自分のファミリーができていったっていうか。それはスタッフであったり、もちろんファンであったり、バンド・メンバーだったりとかですね。それを大切に育んできた歴史=ソロだと思ってます。

--アルバム毎に、その時々の自分を率直に反映させているのがわかります。「こういうアルバムを作ろう」という意図よりも、素直な感情が表われていますね。

 作る最中も、作ることで自分が楽しめるものを目指して作っていたような気がします。それが時には実験だったり、自分の中で旬のものであったり、様々だと思うんですけど。

--今回、CDは「Intense」「Mellow」と、曲調で2枚に分けていますね。選曲、曲順は“ライヴ”をイメージしながら決めていったそうですが、それは、流れの中でひとつの世界観を作りたいっていう気持ちのあらわれですか?

 そうですね。元々、アナログから聴き始めた人なので、A面/B面というのを意識しているのもあるし、アルバムという1枚の中での世界観は考えます。どんな時代であっても自分はそういうふうにアルバムを作っていくんだろうなって思いますね。

--ダウンロードで曲ごとに買える時代になって久しいですけど。

 うん、自分は何か、1曲だけ買うとかはないですね。1曲いくらという概念が理解できないというか、嫌なんでしょうね(笑)。

--“単価”がついちゃうのが……。

 そう。

--その一方で、アナログがまた人気が出始めたりして、若い人たちがアルバムを聴く流れもありますね。これまでの反動かもしれないですけど、古い聴き方を知ってる世代からすると、そっちのほうがやっぱり音楽に対してちゃんと聴けるような気がします。

 そうですよね。ぶっちゃけ、若い世代の人に言ってもよく分からないとは思うんですけど。アナログ人気はハードの面での面白さで復活してるのかな。まあ、作り手の僕らも、ダウンロードでも構わないので、手に入れた時に「やった!」っていうものを作らなきゃいけないと思ってますけど。

■妥協のない音質をハイレゾでこそ聴いてほしい

--音楽と向き合うって意味では、今回のハイレゾもそうだと思うんですよね。すごくいい音で、しっかり聴きたいってことだと思うので。

 作り手としてはやっぱり、プレスの前段階、マスターの状態で聴いてほしいんですよ。ハイレゾはそういう意味では限りなくマスターに近いと思うし、今回それで出せるのはすごく嬉しいです。
 前にヘッドフォンのイメージ・キャラクターをやらせてもらったことがきっかけで、僕が知らなかったイヤフォンやヘッドフォンの世界を経験させてもらったんですが、例えば秋葉原のヘッドフォン売り場に行くと、お客さんがすごくこだわって、音楽を聴くものを大事にしてるのが分かる。それまで秋葉原のことはそんなに知らなかったんですけど、こっちのほうが渋谷より音楽に対してアツいんじゃないかと思ったりして。そういう中で、ひとつのアイテムとしてハイレゾがあるわけですね。だから、それを出せるのはすごく嬉しいです。聴いてもらって、何か言ってほしいし。

--音の再現性が良いということが、作風に影響することは起こり得ると思いますか? 例えば、今までラウドな音楽をやっていたけどアコースティックの綺麗な音色を際立たせる音楽をやってみたいとか。

 そのうち可能性はあるかもしれないですね。今の時点ではレコーディングの仕方やプレイへの気持ちの込め方、込める思いの上手い人は、どんな音楽を作っても変わらないと思うんですけど、ハイレゾではそれがさらに如実に出る。ラウド・ロックでも、ジャズでもね。そういう意味では、いずれはそういうのにもトライしてみたい。
 音質について言うと、昔からドラムは必ずスタジオで録っているし、譲れないところは絶対に妥協しません。テクニシャンもエンジニアも日本一だと思っているし、ハイレゾで聴いても「いい音だ」と思ってもらえる自信はすごくありますね。

--『INTENSE/MELLOW』のラインナップですが、ファーストから最新作まで、まんべんなく選ばれてますね。

 逆にそうしないと選べなかったんですよ。

--網羅するというか、キャリアの全部を辿っている印象です。

 そういう基準で選んでいったものを皆に聴いてもらうほうが、自分では思い描かなかったストーリーがツアーのセット・リストやライヴの雰囲気とかにマジックを起こすんじゃないかなと思って。

--各サイドに1曲ずつ新曲が入ってますね。Intense sideの「Ride the Rhythm」は、音楽に対する愛というか、希望が感じられる曲だなと感じました。INORANの“今”のテーマ・ソングというか、そういう感じに受け止めたんですけど。

 新曲を入れようと思って、漠然とした中で出てきた曲ではあるんですけど、やっぱり、未来をみたような。自分の未来に向けての曲だったりするのかもね。



■過去と未来がくっついた今回のベスト盤

--今まで、音楽を作るのがキツいなと思ったことはありますか?

 ありますよ。3回ぐらい。

--それはどういうふうに克服したんでしょう?

 1回目は、物事をすごくフラットに考えることで。悪い方向に考えると悪いものを引き寄せてきちゃうし、かといってポジティヴになるのも無理があるじゃないですか。だからフラットに考える。2回目は諦めた(苦笑)。LUNA SEAが売れた時代に、ものすごく状況が変わって、疲れちゃった。でも言ったところで変わらないから、諦めて乗り切った。3回目は38歳ぐらいで、もう音楽やり尽くしたなって、なんとなく思った。でも半年経ったら、また曲作ってました(笑)。それ以降はないです。

--今、INORANさんにとって音楽っていうのは、逃れられない宿命みたいなものなんでしょうか?

 そうですね。これだけやらせていただける状況というのは、自分の意志だけの問題ではないっていうか。音楽を作るとき、プレイする時は、ただただ自分に嘘をつかないようにしていますけど、“責任”もありますよね。支えてくれる人に対して、支えてもらった音楽に対して。プロですから、好きなことだけをやるわけにはいかないけど、嫌いなことも好きなことも含めて、“好き”が勝っている限りはやり続けると思います。

--そういう風に腹が括れるようになってきたのは、いつ頃のことですか?

 30歳くらいの時は“好き嫌い”が結構重要でしたけど、40代……2000年以降になるともう“責任”ですよね。「やーめた」ってなっても、そもそもひとりでやってるわけじゃないので、やりきらないと。各セクション、各バンドにファミリーがいるしね。

--これまで積み上げてきたものに対する自負もあるでしょうし。

 それはね、あんまりないな(笑)。俺ってすごいとか、偉いとかは思わないですし。でも、継続ができてる、続けられたってことはすごく自信になってる。20周年を記念してこういうベスト盤を出せたっていうのは、そういうことを改めて考えさせてくれるきっかけにもなりましたね。いつもアルバムを作る時に「今、今、今、今、今」って思うんですけど、今回、ベスト盤を作った時に過去と未来がくっついたんですよ。“今”ではなく、過去と未来がくっついた。これってやってきて良かったなと思うことですね。自分が今までやってきた経験、やってきたものが未来に繋がる。だから、こういうアルバムを作れてすごく幸せです。

■ミュージシャンINORANとしての役目

--新曲の話に戻りますが、Mellow sideの「Shine for Me Tonight」は、演奏もすべてご自分で行ったそうですね。

 ドラムとベースとギター、歌ですね。

--ちょっとトッド・ラングレンやエイドリアン・ブリューとかを彷彿とさせたんですけども、やっぱり全部を自分でやると多少内省的というか、ミュージシャンとしての個に向き合う感じはあったのでしょうか。

 ありますね。ひとりでやってもつまんないんですよ、本来は。全部自分でやると、ノリが一緒だからズレない。でもそのズレこそが音楽なわけでね。今、機械で全部作れますけど、これを合わせていっちゃうと面白くないんです。ズレてるからどっちかが後から粘ってくるとか、先走って聞こえるとか、感情じゃない抑揚が生まれる。自分でやると決して面白くはないんですけど、この曲は感覚的に自分でやった方がいいだろうという気がしてやったんです。

--徹頭徹尾バンド志向のミュージシャンなんですね。

 うん、人と一緒になにかをやるのが好きですね。何であれ。ひとりでご飯食べるよりも皆で食べるほうが好きだし、飲むのもそうだし、バンドもそう。

--だからでしょうか、INORANさんの音楽には必ず明るさというか、前に進んでく感じが常にある。一方で、ネガティヴな感情を突き詰めて、ヘヴィな音楽を作る人もいるじゃないですか。

 僕自身はもちろん内向的な音楽も大好きだけど、それが“ミュージシャンINORAN”として考えると、そっちを作ることは自分の役目じゃないのかなって。“INORANとしての役目”ということを、勘違いかもしれないですけど、考えながら作ってはいますね。

--それは届ける人たちのことが視野に入っているということですよね。

 もちろんです。誰かの役に立ちたいっていうか……最終的に皆に届いた時に、皆のものになって欲しい。だから、そういうストイックなミュージシャンから見ればどこかいい加減だと思われるかもしれないですけど、僕は作ってる時、プレイしている時、皆で共有している時は楽しいほうがいい。

■体の50%以上はLUNA SEAのDNAでできている

--9月にはライヴも控えていますけど、キャリアを総括するライヴっていうのは感慨深いものですか?

 感慨深くはないです。いつも通りやるつもりですけど、「20周年ツアー」って書いてあるので、それらしいことはするかな。

--今、音楽をやっていて楽しいなと思う瞬間って?

 ライヴですね。こうやって活動してくればくるほど、ライヴとか人との体温を感じるところはすごく大事だなと思うんです。そこから次に行動するパワーをもらうし。

--では、こうしてソロでもキャリアを重ねてきた今、LUNA SEAというバンドはINORANさんにとってどういう存在ですか?

 LUNA SEAってバンドも2回くらい止まりましたけど、復活して活動できるのは、それだけ多くの人に支えられているバンドだということですよね。そういう人たちがいてくれるのはありがたいことだし、続ける責任があるバンドだなと思ってます。ただ、皆忙しいし、皆キャラクターが立ってるメンバーなんで、ずーっとやりますという約束はできない。誰かひとりがいなくなったらもう終わりだしね。

--“ホーム”っていうのとは違う感覚ですよね。

 そうですね。そういうのではないかもしれない。ちょっと前ならそう言ったかもしれないですけど。ただ、自分の体の50パーセント以上はLUNA SEAのDNAでできてることに変わりはないので、それに侵されることもなく作用されることもなく、各々が外で思い切りやって、LUNA SEAはそれをまた集結してもっとメガ・バンドになっていくんだろうと。でも、やるタイミングは神のみぞ知る感じなんで、俺には分からない(微笑)。

--最後に、ファンの方々にメッセージを。

 どんな時も支えてくれる皆がいるから、多分僕はひとりだけでスタジオで音楽を作らなくて済むし、本当に感謝してます。その気持ちを、この9月から始まるツアーで強く共有できたらいいなと思います。

「ギターもベースもドラムも、音色や音質には本当にこだわって作っています。
ハイレゾではそのあたりも楽しんで聴いてもらえると嬉しいですね」




●ライヴ情報
「SOLO 20TH ANNIVERSARY TOUR 2017 -INTENSE / MELLOW-」

9月1日(金)長野 CLUB JUNK BOX
[OPEN/START] 18:30/19:00

9月2日(土)新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE 〈SOLD OUT!〉
[OPEN/START] 17:30/18:00

9月7日(木)広島 SECOND CRUTCH
[OPEN/START] 18:30/19:00

9月8日(金)福岡 DRUM Be-1
[OPEN/START] 18:30/19:00

9月10日(日)熊本 B.9 V1
[OPEN/START] 17:30/18:00

9月12日(火)高松 DIME
[OPEN/START] 18:30/19:00

9月14日(木)京都 磔磔 〈SOLD OUT!〉
[OPEN/START] 18:30/19:00

9月16日(土)梅田 CLUB QUATTRO
[OPEN/START] 17:15/18:00

9月18日(月・祝)名古屋 ElectricLadyLand
[OPEN/START] 16:15/17:00

9月21日(木)札幌 cube garden
[OPEN/START] 18:30/19:00

9月23日(土)盛岡 CLUB CHANGE WAVE
[OPEN/START] 17:30/18:00

9月24日(日)仙台 darwin
[OPEN/START] 17:30/18:00

「B-DAY LIVE CODE929/2017」
9月29日(金)新木場 STUDIO COAST
[OPEN/START] 18:00/19:00

*ツアーの詳細はこちらをご参照ください。