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【連載】 ドラマー川口千里の連載コラム 最終回

2017/08/23
女子高校生時代に、Youtubeに自身がドラムを叩く動画をアップし、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロをはじめ、世界中から“天才女子高生”として注目を集めたドラマー、川口千里。現在は大学に通いつつ、国内外の一流アーティストとの共演を日々繰り広げている彼女の連載コラム!
◆バックナンバー
第3回:『ウェックルさんは私の陰の師匠』
第2回:『ディープパープルは私のバイブル』
第1回:『アニメ・ソングは私の音楽サプリ』


『CIDER ~Hard & Sweet~』/川口千里




『ドラムスティックは私の勇者の剣』

8月も下旬に入り、私にとっての一大イベント、東京Jazzの開催も近づいてまいりました。ロサンゼルスでの、フィリップ・セスさん、アルマンド・サバルレッコさんとのリハーサルも順調に進み、川口千里TRIANGLEとして、バンドらしいサウンドが仕上がってきました。レコーディングメンバーでもあるので、楽曲がメンバーそれぞれの身体に染み込んでおり、自然と溢れ出す感じがとても心地よいです。

最新アルバム「CIDER ~Hard&Sweet~」のレコーディングメンバーを決めた動機はとても単純です。私は 、フィリップ・セスさん、サイモン・フィリップスさん、ピノ・パラディノさんで編成されたバンド、「PSP」が大好きで、憧れていました。新しいアルバムを作るにあたって固定メンバーで一作品を作り上げるという方針が決まった時、思い浮かんだのが「PSP」だったんです。そこで、フィリップさんに「PSP のSを、Senri Kawaguchi にしてみませんか?」と、何とも烏滸がましいにも程がある提案をしてみたんです(笑)。
そうしたら、フィリップさんは意外にもこの話に乗ってくれたんです!ただ、ピノ・パラディーノさんはスケジュールが合わなかったので、代わりにフィリップさんがアル・ディ・メオラのツアーで一緒だったという、アルマンド・サバルレッコさんを紹介してくれました。私はお会いした事は無かったんですが、調べて聴いてみたら、本当にカッコよくて。ほぼほぼ一目惚れならぬ、「一聴惚れ」だったのかなと思います。このような流れを経て、このトリオでのアルバム制作へと繋がっていったのです。

そしてさらに、なんと、アルバムのオリジナルメンバーでライブができることになり、このトリオを「川口千里TRIANGLE」と名付けることになりました。ライブは、9月3日の東京Jazz Festivalを皮切りに、9月5日はモーションブルー横浜、9月7日に大阪フラミンゴ・ジ・アルーシャ、9月8日名古屋ボトムライン、そして9月10日には「いわてジャズ」出演と、このメンバーで各地をツアーします。まるで夢のような出来事で、今からもう、緊張感と期待感で胸を膨らませています。
川口千里TRIANGLEらしい、パッと雰囲気が明るくなるようなステージを目指して、頑張っていこうと思っています。
みなさん、ぜひ見に来てくださいね。



ところで、、、
ふと「私がもしドラムに出会っていなかったら、今頃何をしていただろう」と考える事があります。ぶっちゃけて言ってしまうと、私からドラムを取り除いてしまえば、何も残らないと思っています。勿論大学には通っているので、勉強が嫌いなわけでは無いのですが、特別優秀ななわけでも無く。最近では惜しみなく言ってしまっていますが、運動は勉強以上に出来ません。そして、一番の問題は性格。本来、私は引っ込み思案で、出来ることなら人前に出ずに、人目のつかない狭い部屋にずっと引きこもっていたい、と思ってしまうほどで、基本的な考え方もネガティヴなんです。そんな私に、外に出る自信と勇気を与えてくれたのが、ドラムなんです。普段なら、コミニュケーションを積極的にとりにいけない私を、「音楽についてもっとお話したい!」という気持ちにしてくれます。目立ちたくないと思ってしまう私でも、ドラムに座ると、「もっと一緒に演奏していたい、共鳴していたい!」と引っ込み思案が何処かにいってしまいます。ドラムという特技を持った事で、私を前向きな人に変えてくれるのです。

これは幸運としか言いようがないのですが、気が付けばいつも、歴戦の猛者たちが私に手を差し伸べてくれています。私はドラム・スティックを手に、その猛者たちの演奏に飛び込んでいきます。「体当たり」するしかないという状況。でも、ドラム・スティックを持ってドラムの前に座ると、不思議と勇気が湧いてくるんです。私では想像もできない程の知識や経験を持っている一流のミュージシャンの方々は、その寛大な心で、私が一心不乱に演奏するところを温かく見守ってくれるんですね。それは、その技を体で感じて学ぶという普通ではあり得ない、とんでもない贅沢ですよね。何度も演奏している楽曲でも、そのたびに新しい感動や発見があって楽しくて仕方がありません。そのたびに、私はそういった人たちに育ててもらっているんだなって、つくづく感じます。

まさしく、私にとってドラム・スティックは、勇気と希望を与えてくれる「剣」なのかも知れません。


◆川口千里 関連作品





【プロフィール】
川口千里(かわぐち・せんり)


1997年、愛知県生まれの女子大生ドラマー。5歳でドラムを始め、8歳から「手数王」こと菅沼孝三氏に師事している。
「YouTube」でのドラム演奏動画は世界中から注目され、その総再生回数は現在およそ3,700万回。また、世界的なドラム関連サイト「ドラマーワールド」で世界のトップドラマー500人に選ばれた日本人二人の内の一人でもある。
2014年にはLAでの単独ライブを成功させ、その後も国内外の有名アーティスト・アイドルとの共演など、活躍の場を広げている。
現在は大学に通いながらライブやスタジオワークなど多彩に活躍中。

川口千里オフィシャルサイト


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