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【7月20日更新】 ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music

2017/07/20
衛星デジタル音楽放送ミュージックバードで、2017年1月にスタートした番組「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」と連動したコラム。音にこだわるオーディオ・ファン、ハイレゾに初トライしてみたいクラシック・ファンのために、「ハイレゾ女子」として活躍する音楽ライター・原典子が、e-onkyo musicから選りすぐりのタイトルをご紹介します。 文◎原典子
第8回:エキゾでフォークなクラシック

 いよいよ本格的な夏到来。蒸し暑い日本を飛び出して海外へバカンスに出かける方も多いことだろう。それでなくとも夏は「非日常」なムードが高まるもの。そこで8月は、「エキゾでフォークなクラシック」と題し、異国情緒漂うエキゾティックな音楽、民族色の濃いフォークロアな音楽をご紹介していきたい。

■魅惑のジプシー・ヴァイオリン

 クラシックと民族音楽の接点といえば、ジプシー(ロマ)の音楽を取り入れて作曲されたブラームスの「ハンガリー舞曲集」やリストの「ハンガリー狂詩曲」、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」、モンティの「チャールダーシュ」、ラヴェルの「ツィガーヌ」などが有名だ。ときに哀愁たっぷりに歌い、ときに曲芸師の如く駆け回るジプシー・ヴァイオリンはクラシックの音楽家たちをも魅了し、多くのヴァイオリニストがこれらの作品をジプシー風に演奏している。なかでもハンガリーのヤーノシュカ・アンサンブルや、ヴァイオリニストのパトリツィア・コパチンスカヤなどは、ジプシー・スタイルとクラシックの両方を極めたハイブリッドな存在だといえるだろう。
 もし、ジプシーの音楽や文化についてもっと知りたいという方がいたら、ルーマニアのジプシー・バンドであるタラフ・ドゥ・ハイドゥークスや、『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』をはじめとするエミール・クストリッツァ監督の映画、あるいは世界各地に散らばるジプシーのルーツを描いたドキュメンタリー映画『ジプシー・キャラバン』をおすすめしたい。

■音楽でめぐる世界の旅

 さて、ここからは音楽で世界をめぐる旅を。アメリカではカントリーやフォーク、ブルーグラスといった音楽とクラシックとのユニークなコラボレーションが繰り広げられている。4人のヴォーカリストを迎えてトラディショナルな楽曲を再構築したクロノス・クァルテットの新作『Folk Songs』や、ヨーヨー・マがマンドリンの名手クリス・シーリーを含むトリオで録音した『バッハ:トリオ~チェロ、マンドリン、コントラバス』などがそれ。歴史や伝統に縛られることのない、新大陸ならではのフロンティア精神がクラシックの未来を拓くかもしれない。

 スペインやラテン・アメリカを音楽で旅するならギターだろう。ロドリーゴの「アランフエス協奏曲」はもちろんのこと、ヴィラ=ロボスやポンセ、バリオスらの作品からは、照りつける太陽の明るさだけでなく、木陰に吹き抜ける風の涼しさ、夕暮れどきの海辺に漂うサウダージなど、さまざまな情景が伝わってくる。

 イスラエルが今、新たな「ジャズの聖地」として注目を集めているのをご存じだろうか? 東と西の文化が出会う場所には、「ここではないどこか」ともいうべきエキゾティックな音楽が生まれる。クラシックのマンドリン奏者アヴィ・アヴィタルと、ジャズ・ベーシストのオマー・アヴィタル、エルサレムで同じ音楽アカデミーに通った2人(兄弟ではない)のコラボレーションによる『アヴィタル・ミーツ・アヴィタル』は、そんな豊かな文化的土壌とエネルギーを感じさせる一枚だ。

 そして時空を超えた旅も忘れてはならない。中世~ルネサンス期のヨーロッパで民衆の間に流行していた歌や踊りは、いってみれば民族音楽とクラシック音楽との境界線。エスニックな要素を多分に含んでいる。古楽のフィールドで活動する音楽家たちが、考古学的な検証をもとに、あるいは幻想的なファンタジーを膨らませて、それらを活き活きと現代によみがえらせるのを聴くのは、本当に心躍る体験である。


<ジプシック>

『ヤーノシュカ・スタイル』
ヤーノシュカ・アンサンブル


『ジャーニー・イースト わが母の教え給いし歌~チャールダーシュ』
ネマニャ・ラドゥロヴィチ(vn) 他


『ウェスト・ミーツ・イースト』
ユーディ・メニューイン(vn)ラヴィ・シャンカール(シタール)他
録音:1967年/Warner Classics




<中欧からバルカン半島へ>

『バルトーク/コダーイ/リゲティ:管弦楽作品集』
ローレンス・フォスター指揮グルベンキアン管弦楽団 他
録音:1967年/Warner Classics


『クリスチャン・ヤルヴィ・サウンド・プロジェクト~バルカン・フィーバー』
クリスチャン・ヤルヴィ指揮MDR交響楽団 他
録音:2013年/Naive


『ブルガリアン・ポリフォニーI(ハイパーハイレゾ・ニューエディション)』
フィリップ・クーテフ合唱団
VICTOR STUDIO HD-Sound.



<This is America>

『Folk Songs』
クロノス・クァルテット 他
Nonesuch Records


『バッハ:トリオ ~チェロ、マンドリン、コントラバス』
ヨーヨー・マ(vc)クリス・シーリー(マンドリン、g)エドガー・メイヤー(cb)
録音:2016年/Nonesuch Records


『ニューヨーク・ラプソディ』
ラン・ラン(p) 他
Sony Classical




<ギターで巡る世界の旅>

『ロドリーゴ:アランフエス協奏曲 他』
ナルシソ・イエペス(g)ガルシア・ナバロ指揮フィルハーモニア管弦楽団 他
録音:1977・79年/Deutsche Grammophon


『エストレリータ~ラテン・アメリカ名曲集』
福田進一(g)
マイスターミュージック


『ラプソディー・ジャパン』
村治佳織(g) 他
録音:2016年/Decca




<古楽×民族音楽>

『スペイン再発見~ファンタシーア、ディフェレンシア&グロサ集』
ファミ・アルカイ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)アカデミア・デル・ピアチェーレ、ラケル・アンドゥエサ(S)
録音:2012・13年/Glossa


『プルハー:オルフェオ・シャーマン』
クリスティアーナ・プルハー(指揮、テオルボ)ラルペッジャータ 他
録音:2015年/ERATO


『フロットーレ - イタリア・ルネッサンスの世俗歌曲集』
リング・アラウンド四重唱団&コンソート 他
録音:2013年/2xHD-Naxos




<東と西が出会う場所>

『アヴィタル・ミーツ・アヴィタル』
アヴィ・アヴィタル(マンドリン)オマー・アヴィタル(ベース) 他
録音:2016年/Deutsche Grammophon


『ミニアチュール&フォークロア』
ガブリエル・リプキン(vc)アレクサンドラ・リュプチャンスキー(p)
録音:2006年/Lipkind Productions


『Sing Me Home』
ヨーヨー・マ&シルクロード・アンサンブル
Masterworks





【バックナンバー】
<第1回> 違い歴然!ハイレゾで聴きたい名曲名盤
<第2回> ポスト・クラシカルが止まらない!
<第3回> 世界のこだわりレーベル探訪 その1!
<第4回> 春の声
<第5回> 確信犯的クラシック――革新的NEXT GENERATIONS
<第6回> 雨の日の音楽
<第7回> 第7回:世界のこだわりレーベル探訪 その2 ~自主レーベル篇




※ミュージックバードとは
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********* 出演者:原典子(はら・のりこ) 音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。 *********