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【6月20日更新】 ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music

2017/06/20
衛星デジタル音楽放送ミュージックバードで、2017年1月にスタートした番組「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」と連動したコラム。音にこだわるオーディオ・ファン、ハイレゾに初トライしてみたいクラシック・ファンのために、「ハイレゾ女子」として活躍する音楽ライター・原典子が、e-onkyo musicから選りすぐりのタイトルをご紹介します。
文◎原典子
第7回:世界のこだわりレーベル探訪 その2 ~自主レーベル篇

 3月に放送した「世界のこだわりレーベル探訪 その1」に続く第2弾として、7月はオーケストラの自主レーベルなどを中心にご紹介していきたい。

■自主レーベル全盛時代

 オーケストラの世界も、いまや自主レーベル全盛時代。ロンドン交響楽団が1999年に「LSO Live」を立ち上げたのを皮切りに、2000年代に入るとサンフランシスコ交響楽団の「SFS Media」、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の「RCO Live」、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の「LPO」など一流オーケストラが次々と自主レーベルを設立。ついに2014年にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団までもが「ベルリン・フィル・レコーディングス」を立ち上げ、自身が運営するレーベルで音楽や映像ソフトを制作するようになった。

 このような現象の背景には、やはりCD不況の影響がある。CDが売れなくなり、体力のなくなったレコード会社は、おのずと録音に消極的になる。確実に売れるような有名演奏者・人気プログラムしか録音してくれない。それならばオーケストラが自分たちでレーベルを立ち上げ、自分たちのコンサートを、自分たちでライヴ録音して、自分たちでソフトを制作してしまえばいいじゃないか、という流れになるのは当然である。
 ネット配信が手軽に、身近になった昨今、経費のかかるパッケージ(CDやDVDなど)制作にこだわらなくても、デジタル配信で世界中に流通させることが可能になったことも大きい。

■オーケストラへの「愛」の結晶

 放送ではそんな自主レーベル制作による注目タイトルの数々をご紹介しているが、ここではオーケストラによる自主レーベルならではの魅力をお伝えしたいと思う。
 第一に、ラインナップが多彩かつ体系化されているということ。たとえば「RCO Live」は、1935年からの膨大な録音を年代ごとにまとめた『アンソロジー』シリーズをCDのボックス・セットで発売しているほか、同時代の作曲家による現代作品や委嘱作品を収めた『ホライゾン』シリーズを継続的にリリースしている。いずれも、マーケット重視のレコード会社主導では、なかなか実現しない企画と言えるだろう。
 第二に、こだわりの音質。パッケージでもSA-CDハイブリッド盤でリリースされているタイトルが数多くあるが、ハイレゾでもオーケストラのスペクタクルを思う存分に楽しめるクオリティの高いタイトルが多い。シアトル交響楽団のレーベル「Seattle Symphony Media」などは、5.1chの音源まで配信しているほどである。
 そして第三に、世界各地のオーケストラの演奏を耳にできること。来日公演を行なうオーケストラ、メジャー・レコード会社からCDが出ているオーケストラなんて、ほんの一握りだけ。世界には私たちの知らないローカルなオーケストラがまだまだたくさんある。配信を通して、そんな知られざるオーケストラの魅力を発見することができたら、これほどエキサイティングなことはない。

 このように、自主レーベルにはオーケストラの団員やスタッフの「愛」がつまっていると私は感じる。「演奏活動をアーカイヴとして残したい」「より良い音で録音したい」「世界中に発信したい」――オーケストラを愛する人々のそうした想いがつまった自主制作音源。それを「支えたい」と願うファンが買うという循環こそが、健全な音楽マーケットと言えるのではないだろうか。



<LPO>

ウラディーミル・ユロフスキ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
『ブラームス:交響曲第3番、第4番』

録音:2011年/LPO



ウラディーミル・ユロフスキ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
『ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」、管楽器のための交響曲(1920年原典版)、オルフェウス』

録音:2014・2015年/LPO



ジェイムズ・オドネル(org)ヤニック・ネゼ=セガン指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
『プーランク:オルガン協奏曲 ト短調、サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」』

録音:2014年





<LSO Live>

ヴァレリー・ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団 他
『マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」』

録音:2008年/LSO Live



サイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団 他
『シューマン:オラトリオ「楽園とペリ」』

録音:2015年/LSO Live





<RCO Live>

マリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
『ベートーヴェン:交響曲第2番、ブラームス:交響曲第2番』

録音:2004年/RCO Live



ダニエーレ・ガッティ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
『ベルリオーズ:幻想交響曲』

録音:2016年/RCO Live



ウラディーミル・ユロフスキ指揮ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団 他
『Horizon 6』

録音:2012・2014年/RCO Live





<BR-Klassik>

マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団
『マーラー:交響曲 第9番』

録音:2016年/BR-Klassik



デニス・マツーエフ(p)マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団
『Rhapsody』

録音:2015年/BR-Klassik



ペーター・ダイクストラ指揮バイエルン放送合唱団、ミュンヘン放送管弦楽団
『ペルト:テ・デウム 他』

録音:2012・2014年/BR-Klassik





<Mariinsky>

レオニダス・カヴァコス(vn)ヴァレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団
『ショスタコーヴィチ:交響曲第9番、ヴァイオリン協奏曲第1番』

録音:2012年/Mariinsky





<SFS Media>

マイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団&合唱団 他
『ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」』

録音:2012年/San Francisco Symphony





<DSO Live>

ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮ダラス交響楽団
『ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」』

録音:DSO Live





<CSO Resound>

リッカルド・ムーティ指揮シカゴ交響楽団 他
『ヴェルディ:レクィエム』

録音:2009年/CSO Resound





<Tonkunstler Orchestra>

佐渡裕指揮トーンキュンストラー管弦楽団
『R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」、「ばらの騎士」組曲』

録音:2015年/Tonkunstler Orchestra





<Tonkunstler Orchestra>

リュドヴィク・モルロー指揮シアトル交響楽団 他
『ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲、ニコラエフ:The Sinewaveland(ジミ・ヘンドリックスへのオマージュ)』

録音:2011・2014年/Seattle Symphony Media





<Lipkind Productions>

ガブリエル・リプキン(vc)
『J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲)』

録音:2006年/Lipkind Productions





ガブリエル・リプキン(vc)ミシャ・カッツ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア
『チェロ・ヒロイクス I ~シューマン:チェロ協奏曲』

録音:2009年/Lipkind Productions





<Canary Classics>

ギル・シャハム(vn)デイヴィッド・ロバートソン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック 他
『1930年代のヴァイオリン協奏曲集 第1集』

録音:Canary Classics





<トッパンホール・トライアングル>

ティル・フェルナー(p)
『ティル・フェルナー - ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全曲演奏会7』

録音:2010年/トッパンホール・トライアングル



須川展也(sax)宮谷理香(p)
『おとなの直球勝負 - 須川展也』

録音:トッパンホール・トライアングル





【バックナンバー】
<第1回> 違い歴然!ハイレゾで聴きたい名曲名盤
<第2回> ポスト・クラシカルが止まらない!
<第3回> 世界のこだわりレーベル探訪 その1!
<第4回> 春の声
<第5回> 確信犯的クラシック――革新的NEXT GENERATIONS
<第6回> 雨の日の音楽




※ミュージックバードとは
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出演者:原典子(はら・のりこ)
音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。
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