PC SP

ゲストさん

NEWS

【5月22日更新】 ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music

2017/05/22
衛星デジタル音楽放送ミュージックバードで、2017年1月にスタートした番組「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」と連動したコラム。音にこだわるオーディオ・ファン、ハイレゾに初トライしてみたいクラシック・ファンのために、「ハイレゾ女子」として活躍する音楽ライター・原典子が、e-onkyo musicから選りすぐりのタイトルをご紹介します。
文◎原典子
第6回:雨の日の音楽

 梅雨の季節、皆さんはいかがお過ごしですか? 外出するにも億劫で、洗濯物も乾かず、低気圧のせいか気分まで沈みがちな雨の日。けれど、ちょっと見方を変えれば、雨の日は静かに家の中で過ごし、自分の心を見つめ直してデトックスするのにぴったりでもある。今月は、そんな時間にそっと寄り添ってくれるような音楽をご紹介したい。

■雨音とのコラボレーション

 「雨の日の音楽」といってクラシック・リスナーが思い浮かぶ曲といえば、ショパンの前奏曲第15番「雨だれ」や、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」が真っ先に挙げられるだろう。また、ラヴェルの「水の戯れ」やドビュッシーの映像第1集より「水の反映」など、近代フランスの作曲家による「水」を描写した作品の数々も有名だ。
 こういった名曲には、それぞれ歴代の演奏家による名盤があるわけだが、以前この番組でご紹介した2枚のアルバム、アリス=紗良・オット&オーラヴル・アルナルズの『ショパン・プロジェクト』と、エレーヌ・グリモー&ニティン・ソーニーの『ウォーター』は、エレクトロニクスを取り入れることにより既存のクラシック曲に新たな光を当てたユニークなコンセプト・アルバムとして、もう一度おすすめしておきたい。

 雨粒が軒先から滴り落ちる規則的なリズムは、ミニマル・ミュージックとも相性がいい。『フィリップ・グラス:Glassworlds, Vol.4 - On Love』というアルバムには、グラスが音楽を手がけた映画『めぐりあう時間たち』のサウンドトラックがピアノ独奏で収められており、雨の日に聴くと、まるで外に降る雨音とコラボレーションをしているようで、じつにしっくりくる。アレンジャーにニコ・ミューリーの名前がクレジットされている点でも要注目。

■意識の底へと導いてくれる音楽

 もの思いに耽っていて、ふと気付くとすでに音楽は終わっており、聞こえるのは窓の外に降る雨音だけだった――そんな瞑想的なひとときも雨の日ならでは。高橋悠治の『モンポウ:沈黙の音楽』は、誰からも忘れ去られた時間へとあなたを連れていってくれることだろう。タルコフスキー・カルテットの『Nuit blanche』は、ずっと深く、意識の底へと導いてくれるような音楽。そこにはタルコフスキー監督の映画のワンシーンのような、この世のどこでもない幻想的な光景が広がっている。

 雨の日は憂鬱で仕方ないという方にはバロックがおすすめ。リュリやラモーといったフランス・バロックの作曲家たちは、「憂鬱(メランコリア)」を題材に多くの作品を残した。蝋燭の灯りのようにほの暗く、どこまでも優雅で美しいそれらの作品を聴きながら、思いっきり「華麗なる憂鬱」に浸ってみるのもいい。クラヴサンが流れる大広間、羽根飾りのついた扇子の後ろで囁き合う貴婦人の憂鬱に思いを馳せながら……。



<雨音を聴きながら>

フィリップ・グラス
『Glassworlds, Vol.4 - On Love』

録音:2014年/Grand Piano



エリック・ウィテカー
『Water Night』

Decca



アリス=紗良・オット(p)オーラヴル・アルナルズ 他
『ショパン・プロジェクト』

Mercury Classics





<ピアノが紡ぐ物語>

エレーヌ・グリモー(p)ニティン・ソーニー
『ウォーター』

録音:2014年/Deutsche Grammophon



アレクサンドル・タロー
『オートグラフ』

録音:2013年/ERATO



ユップ・ベヴィン(p)
『プリヘンション』

Deutsche Grammophon





<ロマンティックに>

庄司紗矢香(vn)メナヘム・プレスラー(p)
『雨の歌』

Deutsche Grammophon



チョ・ソンジン(p)ジャナンドレア・ノセダ指揮ロンドン交響楽団
『ショパン:ピアノ協奏曲第1番、バラード第1番~第4番』

録音:2016年/Deutsche Grammophon



ギドン・クレーメル(vn)ダニール・トリフォノフ(p)ギードレ・ディルヴァナウスカイテ(vc)
『祈り~悲しみのトリオ』

録音:2015年/Deutsche Grammophon





<フランスの色彩>

ワルター・ギーゼキング(p)
『ラヴェル:ピアノ曲全集』

録音:1954年/Warner Classics



福間洸太朗(p)
『水の反映 ~ドビュッシーピアノ作品集』

録音:2012年/日本コロムビア



シューベルト・アンサンブル(p)
『フォーレ:ピアノ五重奏曲第1番・第2番』

CHANDOS





<沈黙の音楽>

高橋悠治(p)
『モンポウ:沈黙の音楽』

録音:2007年/フォンテック



児玉桃(p)
『モンポウ:鐘の谷~ラヴェル、武満、メシアン:ピアノ作品集』

録音:2012年/ECM



タルコフスキー・カルテット
『Nuit blanche』

ECM





<美しき憂鬱>

ダウランド:ラクリメ、または7つの涙
ファンタズム、エリザベス・ケニー(lute)

LINN RECORDS



本村睦幸(bf)平尾雅子(vg)櫻田亨(lute) 上尾直毅(hc,og)
『バルサンティ:リーコーダーソナタ(全6曲)』

録音:2007年/Waon Records



ソフィー・イェーツ(harpsichord)
『ラモー:クラヴサン曲集)』

CHANDOS





【バックナンバー】
<第1回> 違い歴然!ハイレゾで聴きたい名曲名盤
<第2回> ポスト・クラシカルが止まらない!
<第3回> 世界のこだわりレーベル探訪 その1!
<第4回> 春の声
<第5回> 確信犯的クラシック――革新的NEXT GENERATIONS



※ミュージックバードとは
音楽にこだわる人の「高音質」音楽放送サービス。
本格派クラシック、ジャズをはじめ、歌謡・演歌、ロック、J-POPなど、 音楽ジャンルごとに専門チャンネルを放送。
いい音にこだわる オーディオ・ファンのためのチャンネル「THE AUDIO」も絶賛放送中!
初期費用無料、月額2,000円(税別)で楽しめる「コミコミLight」プラン好評受付中。
「コミコミLight」の詳細はコチラ→ http://musicbird.jp/komikomi/a


お問合せは、
ミュージックバード カスタマーセンター TEL 03-3221-9000
<平日・日・祝日>10:00~12:00、13:00~18:00 (※土曜休業)
オフィシャル・ウェブサイト


*********
出演者:原典子(はら・のりこ)
音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。
*********