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【5月17日更新】 ヴァイオリニスト寺下真理子の音楽なしでは語れない

2017/05/17
2月にリリースされたアルバム『ロマンス』が、ここe-onkyo musicをはじめ各方面で大きな話題となっているヴァイオリニスト、寺下真理子による連載企画がスタート!彼女自身の作品をはじめ、さまざまなクラシックの作品をご紹介してまいります。
◆バックナンバー
<第1回>寺下真理子 自己紹介前編
<第2回>寺下真理子 自己紹介前編



ロシア人作曲家と私

今年の2月22日に発売された私のニューアルバム’ROMANCE’にも、ロシア近現代作曲家であるストラヴィンスキーのイタリア組曲が収録されてあるのですが・・・。
昨年、個人的に少し辛い事が重なり、意気消沈していた時間が長かったのですが、その時に、このイタリア組曲にとても励まされました。とにかく、好きで仕方がない曲なのですが、、。
なぜ、こんなにもハマってしまったのだろう・・・?と考えてみました。

実はつい最近まで、ロシア人作曲家の作品はあまり好きではありませんでしたし、演奏してきませんでした。けれど、昨年から、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィッチ、、と、ロシア人作曲家にフォーカスを当てている自分が居ます。この3人のロシア近現代作曲家が生きた時代というのは、長く続く独裁政権の統制の下、第1次世界大戦、ロシア革命、第2次世界大戦が次々と勃発し、今の日本からは想像もできないほど過酷な状況でありました。
そして、彼らの作品は時に政府のプロパガンダとして利用され、自由に表現する事は許されませんでした。政府から批判されれば、命を落とす事だってあります。彼らの仲間も大勢粛正されています。こんな状況の中で、音楽を書き続けることは、まさに‘命がけ’だったのではないでしょうか。

戦争中の絶望の中でも、絶えず音楽を書き続けた彼らの本当の想いは何だったのだろうか?その原動力は何だったのだろうか?とか、同じ人間として、とても興味がわくし、尊敬しています。彼らの音楽に対する想いは、言葉で表す事ができないほど、情熱的に感じるのです。

今、‘ショスタコーヴィッチの証言’という本を読んでいるのですが、(この内容に関しては、真偽の程は定かではありませんが)当時のロシアの様子をよく理解する事が出来て、とても興味深いです。




3人のうち、ストラヴィンスキーはロシアを早いうちに離れて、最終的にアメリカに亡命します。プロコフィエフも、27歳の時にアメリカに亡命しますが、最終的にはまたロシアに戻ってきます。この2人の行動は、当時のロシアに対して葛藤があったことを象徴しています。
ショスタコーヴィッチは亡命はしませんでしたが、いつも政府の様子を気にしながら意向に沿う作品は書きながらも、その狭間で葛藤する様子がこの本には書かれています。
それに、政府を意識した作品と、ジダーノフ批判が解除された後に発表された曲とでは、全く作風が違います。そこからも、彼の心の中にあった苦悩、葛藤、そして探していた希望や彼の本当の姿を汲み取る事が出来ます。

私たちは、今、平和で自由のある国で生活が出来ているため、このような状況になったことがありません。ただ想像するだけなのですが、私はもし同じ状況下にあったら、音楽をここまで愛することが出来るのだろうか?と考える様になりました。
そして、ストラヴィンスキーのイタリア組曲から感じられる、あの明るさは何だろう?と。この明るさは、簡単に手に入ったものではなかったのでは無いのかな?と。絶望の先に感じた明るさであるからこそ、絶望に陥っていた(笑)私に説得力をもって救い出してくれたように感じてならないです。

このように、過酷な時代に、苦しみ、悩み、もがきながら、音楽と共に前を向いて歩み続けた、この3人のロシア近現代作曲家の作品から生きる強さを貰いました。
今は、プロコフィエフのヴァイオリンソナタの2番を勉強しています。弾いていて、ものすごく楽しいですし、曲から様々なインスピレーションを受け取っています。
そこからは、生きる強さも感じ取っています。そして、ストラヴィンスキーのプルチネッラも大好きです。とても明るい曲で、聴いていると、ハッピーな気持ちになります。
ショスタコーヴィッチのヴァイオリン協奏曲も大好きです。これらの曲は、この時代特有の力強さと、彼らの本質的な部分が垣間見えて、その融合がとても魅力的だと思っています!

これが、私が‘ロシアもの‘にハマっている理由です!

では、次回もお楽しみに♪

次回は最終回!5/24更新予定です。




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