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【3月21日更新】 ミュージックバードで新番組がスタート『ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music』

2017/03/21
衛星デジタル音楽放送ミュージックバードで、2017年1月にスタートした番組「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」と連動したコラム。音にこだわるオーディオ・ファン、ハイレゾに初トライしてみたいクラシック・ファンのために、「ハイレゾ女子」として活躍する音楽ライター・原典子が、e-onkyo musicから選りすぐりのタイトルをご紹介します。
文◎原典子
 少しずつ春の訪れを感じられるようになってきた今日このごろ、分厚いコートを脱ぐと心まで軽くなって、ちょっと華やいだ気分になるというもの。そんなときに聴きたいのが「歌」。というわけで4月は「春の声」と題して、オペラや歌曲、合唱などのアルバムをご紹介していきたい。

 熱狂的なオペラ・ファンならともかく、一般的な音楽リスナーにとってオペラは贅沢なもの。それはチケット代が高いといった面だけでなく、オペラを鑑賞するには十分な時間が必要という面においても言えることである。育児と仕事に追われバタバタな毎日を送る筆者にとっては、「オペラを楽しむ余裕があるか」が忙しさを計る指標になっているほど。けれどやっぱり、数時間かけてどっぷりドラマの世界に浸る体験は何ものにも代え難い。  ちょうど4月は放送回数が多く、時間を贅沢に使ってオペラ全曲盤を2タイトルまるまるお届けすることができる。最新の研究成果にもとづき、メッゾ・ソプラノのチェチーリア・バルトリがタイトルロールを務めた意欲的な『ノルマ』と、アントニオ・パッパーノ指揮、アニャ・ハルテロス、ヨナス・カウフマンという黄金の布陣による『アイーダ』。どちらも、オペラ全曲盤のスタジオ録音が激減している現在においては貴重なプロジェクトである。ぜひハイレゾでご堪能いただきたい。

 ひとりの歌手の歌唱を思う存分味わいたいなら、歌手ごとに企画・制作されたオペラ・アリア集がおすすめ。近年は、さまざまなオペラから有名なアリアを並べた名曲集的なアルバムだけでなく、テーマ性を持ったコンセプチュアルなアルバムも増えている。今回ご紹介しているなかでとくに興味深いのが、ジョイス・ディドナートの『戦争と平和の中で』と、ディミトリー・ホロストフスキーの『ホロストフスキー~戦争、平和、愛、悲しみを歌う』というふたつのアルバム。ディドナートはバロック・オペラから、ホロストフスキーはプロコフィエフやチャイコフスキーらのロシア・オペラから、「戦争と平和」「愛と悲しみ」を歌ったアリアの数々が選曲されている。いつの世も、オペラは為政者の運命や愚行、人々の暮らしや感情をドラマティックに描いてきた。世界情勢が不穏に波打つ今だからこそ、オペラから学ぶことは多いのではないだろうか。

 オペラはちょっと苦手……という方には歌曲(リート)を。ここでは、女性のベテラン歌手によるふたつの異色なアルバムをご紹介したい。ひとつは、アンネ・ゾフィー・フォン・オッターによる『Douce France~優しきフランス』。naiveレーベルでブラッド・メルドーとのコラボ・アルバムなどを発表してきたオッターが、フランスの「歌曲」と「シャンソン」を、それぞれ1枚ずつのディスクに収めた作品である。放送では「歌曲」の方しかお届けできなかったが、「シャンソン」ではまったく別の顔を見せるオッターがたまらなく魅力的なので、ぜひその両方をお楽しみいただきたい。

 もうひとつは、ルネ・フレミングの新作アルバム『ディスタント・ライト』。スウェーデンの現代作曲家、アンデシュ・ヒルボリの新曲と並んで、かのビョークの曲が収録されていることに驚いた。フレミングが歌うビョークが一体どんなふうに仕上がっているのか、ご自身の耳でお確かめを。

 こうしてオペラ・アリアや歌曲のアルバムを見ていると、チャレンジングな試みを行なっている女性歌手の作品が多く見受けられる。クラシック以外のジャンルに挑戦したり、独自のコンセプトのもとに選曲したり、これまでの慣習を打ち破る音楽的アプローチをしたり……。やはり新たな時代は女性が切り拓いていくものなのか。パワフルなディーヴァたちの活躍が今後も楽しみだ。

<オペラ全曲>

チェチーリア・バルトリ(Ms)ジョヴァンニ・アントニーニ指揮ラ・シンティッラ管弦楽団 他
『ベッリーニ:歌劇「ノルマ」』

録音:2011・2013年 Decca



アニャ・ハルテロス(S)ヨナス・カウフマン(T)アントニオ・パッパーノ指揮ローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団&合唱団 他
『ヴェルディ:歌劇「アイーダ」』

録音:2015年 Warner Classics



<オペラ・アリア集~女性編>

アンナ・ネトレプコ(S)アントニオ・パッパーノ指揮ローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団&合唱団 他
『ヴェリズモ』

録音:2015・2016年 Deutsche Grammophon



サビーヌ・ドゥヴィエル(S)ラファエル・ピション指揮アンサンブル・ピグマリオン 他
モーツァルト・アリア集~ウェーバー三姉妹』

録音:2015年 ERATO



ジョイス・ディドナート(Ms)マクシム・エメリャニチェフ指揮イル・ポモ・ドーロ
『戦争と平和の中で』

録音:2016年 ERATO



<オペラ・アリア集~男性編>

フアン・ディエゴ・フローレス(T)リッカルド・フリッザ指揮ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団&合唱団
『人知れぬ涙~ベル・カント、アリア集』

録音:2002年 Decca



ローランド・ビリャソン(T)ジャナンドレア・ノセダ指揮トリノ王立劇場管弦楽団
『ヴェルディ:魂の歌曲』

録音:2012年 Deutsche Grammophon



『ホロストフスキー~戦争、平和、愛、悲しみを歌う』
録音:2012年 Deutsche Grammophon



<歌曲・リート>

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)ジェラルド・ムーア(p)
『シューベルト:冬の旅』

録音:1971年 Deutsche Grammophon



アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)ベンクト・フォルスベルク(p) 他
『Douce France~優しきフランス』

録音:2013年 naive



ディミトリー・ホロストフスキー(Br)コンスタンティン・オルベリアン指揮ロシア国立交響楽団 他
『ディスタント・ライト』

録音:2012年 Deutsche Grammophon



<宗教曲>

フィリップ・ジャルスキー(CT)フライブルク・バロックオーケストラ 他
『J.S.バッハ&テレマン:カンタータ集』

録音:2015年 ERATO



オスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団
『The Sound of Sibelius』

録音:2015年 Sony Classical



マッシモ・パロンベッラ指揮システィーナ礼拝堂聖歌隊
『システィーナ礼拝堂のパレストリーナ』

録音:2016年 Deutsche Grammophon







【バックナンバー】
<第1回> 違い歴然!ハイレゾで聴きたい名曲名盤
<第2回> ポスト・クラシカルが止まらない!
<第3回> 世界のこだわりレーベル探訪 その1!



※衛星デジタル音楽放送ミュージックバード 121ch THE CLASSICにて放送!
新番組「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」【24bit放送】
(月~金)15:00~18:00 リピートあり、1月2日(月)スタート
出演:原典子
◆ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music 番組ウェブ・サイト

※ミュージックバードとは
音楽にこだわる人の高音質衛星デジタル音楽放送です。
本格派クラシック、ジャズをはじめ、歌謡・演歌、ロック、J-POPなど、 音楽ジャンルごとに専門チャンネルを放送。いい音にこだわる オーディオ・ファンのためのチャンネル「THE AUDIO」も絶賛放送中!多彩なジャンルを50ch 月額2,000円 (税別)から。
お問合せは、
ミュージックバード カスタマーセンター TEL 03-3221-9000
<平日・日・祝日>10:00~12:00、13:00~18:00 (※土曜休業)
オフィシャル・ウェブサイト


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出演者:原典子(はら・のりこ)
音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。
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