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大坂昌彦率いる東京キネマ・ジャズトリオ最新作!ヴィンテージとDSDの融合が生み出す超弩級サウンド!

2017/03/08
日本を代表するドラマー、大坂昌彦を中心としたピアノトリオ、東京キネマ・ジャズトリオ。これまで、キング関口台スタジオでのネイティヴDSDマルチトラックレコーディングによる作品『ジャズ・シネマ・ファンタジー』、『ジャズ・シネマ・ファンタジー』に加え、シンガーのグレース・マーヤを迎えた東京プレミアム・ジャズ・セッション feat. Grace Mahya名義での『シーズン・ソングス』をリリース。ジャズファンには耳馴染みのある楽曲を中心としたレパートリーを最高音質でお届けするという本プロジェクトの最新作『ジャズ・シネマ・ノスタルジア』が登場。ヨーロッパ映画に登場する、哀愁漂うスタンダード・ナンバーを厳選したオーディオファン、ジャズファン必聴の新たな名作!
今作でも引き続き、キング関口台スタジオでのネイティヴDSDマルチトラックレコーディングを敢行。収録のスペックは、現在考えうる最高スペックともいえるネイティブDSD11.2MHz。

レコーディング&ミックス・エンジニアに塩田哲嗣を迎え、ジャズの名盤が多く生み出された時代に使用されたヴィンテージ機材を使用した「ヴィンテージ×DSD」という何とも心躍る方向性でレコーディングが行われた。

e-onkyo musicでは、今作のエンジニアリングを手掛けた塩田哲嗣を迎え、今回のレコーディングについて、エンジニア視点でのお話を中心に伺ってみた。


『ジャズ・シネマ・ノスタルジア』/東京キネマ・ジャズトリオ




東京キネマ・ジャズトリオ

左より パット・グリン(Ba)、熊谷ヤスマ(Pf)、大坂昌彦(Dr)



◆レコーディング&ミックス・エンジニア、塩田哲嗣氏インタヴュー

--Q:今回の収録を終えてみて、どのような作品に仕上がりましたか?

塩田 哲嗣(以下、塩田): ドラマーとしてもミュージシャンとしても尊敬している大坂昌彦さんの作品という事で、個人的にもとても感慨深いものになりました。リスナーとしては自分の好きなミュージシャンが自分の好きなサウンドで聴けるという、贅沢な作品でもあります。(笑)

--Q:今回の録音に於けるテーマや方向性はどのようなものでしたか?

塩田: そもそも大坂さんとはミュージシャンとして多くのステージをご一緒させて頂いた経験から、彼のドラムサウンドはよく理解していました。それが彼と録音エンジニアとしてご一緒した時に大坂さんにも伝わったのがきっかけでお声がけ頂いた訳ですが、大坂さんも僕も、アメリカ発のJazz録音で育っていますので、音像がマイクに近い、かつビンテージなサウンドにJazzやBlues、そしてスイング(=Groove)を感じる訳です。ところが今回の録音方式であるDSD録音ではその周波数の広さ&ダイナミクスの特性からか、今までは少し離れた所から音像を狙った作品が多かった訳です。それはそれで素晴らしいのですが、僕らがJazzだと思うテイストは、やはりルディバンゲルダー以降のオンマイク(近い音像)なものですので、そのテイストをちゃんと生かしつつ、いかに最先端の録音スペックを使ってそれが実現出来るか?という事だったと思います。別の言い方をすれば、高解像度な録音でありながら昔ながらのJazzの匂いがぷんぷんする作品を目指したという事です。

今作のレコーディング&ミックスを手掛けた塩田哲嗣氏



--Q:今回のレコーディングで、機材や方法論などで特徴的な点は?

塩田: 40’s-60’sのJazz録音というのは、ほぼほぼ真空管のテレコ(今でいうアンプorマイクプリアンプ)と真空管もしくはリボンマイクといわれる古い方式のマイクの組み合わせで録音されていた訳です。真空管には独特のサチュエーション(歪み)と倍音があります。しかも昔の録音はテープですので、そこにヒスノイズ(テープ再生によって生まれるノイズ)が全体を包んでいて、それがあのJazzテイストの一部でもある訳です。ところがDSDというのはテープ録音とは真逆の、幅の広い周波数特性とダイナミクスレンジ、S/Nの良さ(ノイズが少ない)が売りですから、ノイズによって細かい事が隠れない、つまりごまかせないですし、古いビンテージ機材を使うにもかなり状態が良いものを揃えなくてはならない。ダイナミクスのピーク(音量が録音機材のok範囲を超えてしまう事)もテープだといい感じに圧縮したり歪んでくれますが、デジタルだとただのノイズ=ミステイクになるので、演奏のダイナミクスレンジ(何れくらいの幅で楽曲の音量が上下するか)をしっかりと把握していないとならない。しかも後から編集が出来ないので、その演奏に対する録音エンジニアの読みと技量がそのまんま音に反映される訳です。かなり高度な技術と素早い決断が要求される作業でした。



左より、関口台アシスタントエンジニアの高橋友一氏
キングレコード・ディレクター、本田丈和氏、エンジニア、塩田哲嗣氏



--Q:過去にDSDネイティヴ録音を行った経験は?DSD録音のむずかしさ、逆にその素晴らしさは?

塩田: DSD録音は尊敬する伊藤八十八さん(僕と同じ8月8日生まれ)というプロデューサーが、90’sから1bitレコーディングという言い方で推奨していたので、かなり早い時期から注目していました。ですからその長所も欠点も理解していると言えます。それまでは機材のスペック、チャンネル数の制限も考えて、録り終わった後の2ミックス(ミックス後のステレオトラック)に使う事が多かったです。録りだけの方も、アメリカから帰国してすぐにあるバンドのライブ録音で2チャンネルのDSDレコーダーを何台も重ねてやった事があります。ただ今回はDSD11.2MHzですので、今までのDSDともまるで解像度が違います。技術的なごまかしも効きませんし、後からなんとかする事もほぼほぼ出来ません。全てリアルタイムでの作業になる訳です。カメラで言えば、手動でピントをあわせつつ、確実に良い写真になる構図や光を素早いスピード感の中でドキュメンタリーとしてキャッチしていく事になります。しかしながらその音の質感とか、音の質量=重さの違いを感じとれる位の高解像度という意味では、未来のスタンダード=ニュースクールにもなりうる録音方式です。反面録音技術的には、過去から学ぶ=オールドスクールな技術と経験を必要とされます。プロの職人にとっては腕の見せ所になるかもしれませんね。どちらにしても一番大事なのは、その”音”をリスナーが楽しめるかどうか?にかかってるとは思いますけど。

--Q:今作の聴きどころ、リスナーに注意して聴いてほしい点などありましたらお教えください。

塩田: 単純に音が良いので、目の前で自分の為にパフォーマンスしているライブ演奏を聴いてる様な贅沢な気分が味わえます。まさにJazz演奏をV.I.P.席で常に楽しめる訳です。もっと言えば、自分が実際にJazzの演奏をしている気分も味わえるかもしれません。ドラムのレガートにあわせて右手にスティックを握ってふりながら聴いたりするのも楽しいかもしれませんね。それだけリアルな音で仕上がっています。

--Q:塩田さんはプレイヤーでありエンジニアでもありますが、プレイヤーゆえお持ちの視点などはございますか?

塩田: 僕にとっては、楽器も録音も、そしてその技術も”音楽”です。音楽やミュージシャンを様々な立ち位置と角度から、より具体的に理解しているという点では有利かもしれません。特に今回は演奏家として長年共演させていただいて、かつリスペクトしている大坂昌彦さんの音楽です。目をつむれば、あの大坂さんのドラミングが一瞬で脳内に浮かぶだけの十分な経験値があります。でもそれは過去の偉大な録音エンジニア(ルディ・バンゲルダーやアル・シュミットなど)の多くが残して来た録音の中にもあるクオリティな訳です。ちなみにプレイヤーの方が、演奏は素晴らしいけど録音など、その音の最終的なアウトプットに対して無頓着な人が多いです。そういった意味では、この作品に興味を持つ様な鋭いリスナーで居続ける事が、一番のメリットになるかと思います。リスナー=オーディエンスに勝る耳は無いですからね。

--Q:最後に、この作品のリスナーにひとことお願いいたします。

塩田: 本作は、素晴らしいJazz録音作品であると共に、これからの未来に繋がる録音方式(DSD11.2MHz)のフラグシップ(=先駆け)とも言える作品だと思います。最新の録音技術と温故知新=ビンテージ機材、そして最高なミュージシャンとのマリアージュ(組み合わせ)。アポロの月面着陸をリアルタイムで見る様な感覚で楽しんで聴いて頂けたら幸いです。

このリアルな音像の録音を聴いて、ふとJazzライブに足を運びたくなったらより嬉しいですね。一番のハイレゾは、生のミュージシャン、生演奏ですから。(笑)

--貴重なお話大変ありがとうございました。

ビンテージリミッター Collins/26U-2
(ゲインリダクション真空管が6386=有名なフェアチャイルドと同じ)


ビンテージリミッター&コンプレッサーFairchild670
(歴史的なリミッター&コンプレッサー。今回は録音時のパラレルコンプレッションに使用)




RCA 44BXリボンマイク
(1932からあるベロシティ「リボン」マイク。
チャーリー・パーカーやチェット・ベイカーなどの作品などでの使用でも有名。
今回はドラムのルームマイクに使用。)


Coles 4038リボンマイク
(ビートルズのドラムサウンドでも有名なリボンマイク。今回はドラムの背後からのステレオに使用)
&Neumaan U67チューブマイク
(ノイマンの有名な真空管マイク。今回はドラムのセンターイメージに使用)


手にしているのはAEA N8リボンマイク
(リボンマイクで有名なRCAのリボンをそのまま使って作られた、新しいタイプのリボンマイク。
ファンタム電源を併用出来るので従来のリボンマイクよりも音量が稼げる。
今回はドラムのステレオイメージに使用。)


上からManley Dual Mono真空管マイクプリアンプ、AMPEX MX-10真空管ミキサー
&マイクプリアンプ、NEVE1272アンプ
(トランスにマリンエアというビンテージものを使用)
どれもピアノの録音に使用。


奥からNeumann KM54真空管マイク
(ルディ・バンゲルダーがPianoに使用していた事でも有名)、
Neumann M49真空管マイク
(1949年に作られたマイク。マイルス・デイビスのラッパやピアノに使われていた事でも有名)、
AT4081リボンマイク
(オーディオテクニカ最新の技術で生まれたリボンマイク。ファンタム電源が使える事で音量が稼げ、
プリアンプのチョイスも広がる)


Neumann M49真空管マイク
(1949年に作られたマイク。マイルス・デイビスのラッパやピアノに使われていた事でも有名)


Neumann KM54真空管マイク
(ルディ・バンゲルダーがPianoに使用していた事でも有名)


Telefunken V41a 真空管マイクプリアンプ
(ヒットラーが政見放送に使っていた時代のものと言われる真空管アンプ。
音像が大きく、平原綾香さんのジュピターなどでも使われたという噂。
今回はベースに使用。)




AEA A840リボンマイク&Neumann U67
(リボンマイクで有名なRCAのリボンとデザインをそのまま使って作られたタイプのリボンマイク。
ファンタム電源を併用出来るので従来のリボンマイクよりも音量が稼げる)
&ノイマンの真空管マイクではとてもポピュラーなU87の元になった真空管マイク)


上からALTEC1567a真空管ミキサー&マイクプリアンプ
(モータウンの録音でも有名な真空管ミキサー)、
Neve1272(コンソールで有名なNeveのラインアンプ。
改造してマイクプリアンプとして使用。こちらもトランスにマリンエアが入っている)、
AMPEX MX-10真空管ミキサー&マイクプリアンプ、API312&512cマイクプリアンプ
(コンソールで有名なAPIの初期型312と現行品の512c。
今回はドラムのパーツに使用。打楽器やギターに向いているマイクプリアンプ)



◆東京キネマ・ジャズトリオ/大坂昌彦 関連作品


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