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ゴジラ音楽の原点ここに集結。元祖「ゴジラ」劇中音楽全曲が最新録音で蘇る!

2016/08/03
「シン・ゴジラ」の公開で注目が集まる「ゴジラ」シリーズ。そのゴジラ音楽の原点ともいえる元祖「ゴジラ」(1954年公開)劇中音楽全曲が、和田薫&日本センチュリー交響楽団による最新録音で現代に蘇る。

『映画「ゴジラ」(1954)ライヴ・シネマ形式全曲集』
/ 和田薫, 日本センチュリー交響楽団




1954年公開「ゴジラ」の劇中に使用された全ての音楽を伊福部昭の弟子である和田薫が完全復刻、編纂。「ゴジラ・ライヴ・シネマ・コンサート」用のスコアとして遂に蘇る。

指揮は伊福部昭が信頼する愛弟子、和田薫(わだかおる)。管弦楽は大阪を拠点に活動を展開し、海外からも注目を集めている気鋭のプロフェッショナル・オーケストラ、日本センチュリー交響楽団。

映画では一部カットされたハーモニカ+ギターの楽曲完全版など、この音源でしか聴くことができない貴重な演奏も収録。マニアにはたまらない最新録音による「ゴジラ」音楽バイブルの登場!



【収録曲目】
伊福部昭:映画「ゴジラ」(1954)全曲
1 メインタイトル
2 栄光丸船員の休息《幻の全曲を収録》
3 栄光丸の沈没
4 備後丸の沈没
5 大戸島の不安
6 大戸島の神楽
7 嵐の大戸島
8 調査船出航(フリゲートマーチ)
9 大戸島のテーマ
10 フリゲートマーチⅠ
11 水槽の恐怖
12 ゴジラ上陸
13 ゴジラ迎撃せよ
14 ゴジラ再上陸
15 ゴジラの猛威
16 ゴジラ東京湾へ
17 帝都の惨状
18 オキシジェン・デストロイヤー
19 平和の祈り
20 フリゲートマーチⅡ
21 海底下のゴジラ
22 エンディング

23 SF怪獣ファンタジー

和田薫 指揮 日本センチュリー交響楽団
大阪センチュリー合唱団
コンサートマスター:荒井英治、ハーモニカ:マツモニカ ギター:哘崎考宏

録音:2016年5月1日 センチュリー・オーケストラ・ハウス(セッション・レコーディング)

映画「シン・ゴジラ」大ヒット上映中に合わせて、8/24のCD発売に先駆けての先行ハイレゾ配信となります。




映画「ゴジラ」(1954)ライヴ・シネマ形式全曲集のリリースに寄せて
和田薫


2014年、ゴジラ生誕60周年とその音楽を担当した伊福部昭生誕100周年を記念した第四回伊福部昭音楽祭で、邦画作品初のライヴ・シネマ形式による本作品は初演された。なんと言ってもこの企画の立役者は、東宝ミュージック前社長の岩瀬政雄氏である。実は、この企画は岩瀬氏の長年の夢であり、“ゴジラ+伊福部”メモリアルイヤーとして是非とも実現したいという超人的なパワーがあればこそ成立した企画であった。

だが、この夢の企画を実現化するためには様々な問題があった。1954年公開の「ゴジラ」の音声は、セリフ・効果音・音楽が1つのチェンネルで再生されるモノラルという形態で、その中から音楽だけを抜き取ることは、これまでの技術では不可能であった。また伊福部先生が書かれたスコアも全曲は残っておらず、何曲かは紛失してしまっていた。さらに、実際映像とオーケストラをどのようにして生のステージで画合わせするのか等々、打ち合せを重ねるたびに問題は噴出してきたのであった。筆者も当初、「この企画は難しいな…」と考えていたのだが、岩瀬氏は諦めなかった。

まず、東宝のラボ(映像や音響の技術セクション)による最新のデジタル技術で、モノラルから音楽だけを抜き取ることに成功したとの技術テストの結果を得ることができた。当時、ゴジラ60周年の企画としてデジタルリマスター版のリリースを進めていた東宝サイドから、音響もブラッシュアップするが、その過程で音楽の抜き取りが可能かもしれないとの報告があった。早速テストしたところ吉報を得ることができたのである。筆者もそのテスト版を試聴したが、その技術の高さと情熱に驚嘆したものだった。

そうなると現実化するためには音楽面の問題、特にスコアの再生ということが最大の課題となった。伊福部家に残っていたスコアは全部で34ページ分のみ。それと当時試験録音として磁気テープで録音したサウンドトラック全曲が残るのみであった。つまり、紛失した曲のスコアは所謂「耳コピ」で再現するしかないのである。また録音のためのスコアだと、マイクロフォンを前提とした40人程度のスコアなので、2000人規模のホールでのステージ化は効果が期待できない。

ライヴ・シネマ形式のスコアを編纂するにあたっては上記の2点を熟考しつつ制作にあたった。まず編成に関しては、ホールでの演奏効果を上げるため三管編成の70人規模に拡大した。その際最も留意したのは原曲の雰囲気を壊さないということである。伊福部先生が書かれた音以外は一切足さない。しかしながらライヴでのオーケストラの迫力感は最大限発揮できるよう努めた。また当初の磁気テープが奇跡的に残っていたため、それを元に耳コピ作業をするわけだが、筆者も経験があるが、オーケストラとの録音現場では頻繁にスコアを現場修正することがある。現存するスコアがあっても全曲耳コピをしながら確認をしなければならないのである。

それと、ステージ化に関して最大の問題は、音楽のバランスとカットの問題であった。映画では、ダビングまたはファイナルミックス作業といって、セリフ・効果音・音楽のバランスや音響演出をするのであるが、その際フェーダーを下げてフェードアウトしたり、演出の意向で曲途中てカットアウトしたりする。またセリフを聞かせたい箇所は、オーケストラがフォルテで演奏していても音量を下げられるのである。

これら演出的・電気的問題をどう処理するか、権利者でもある東宝と東宝ミュージック、つまり前述の岩瀬氏とかなり協議を重ねた。結果、伊福部先生が当初音楽設計したスコアを尊重することとなった。生演奏はあくまで生演奏の効果として、映像とのコラボレーションを企図することとしたのである。また当時技術的に音楽編集が困難だったため不自然な曲終わりになったところ(例えばM1メインタイトル)は、伊福部先生が想定したであろう音楽ラインに準じて曲構成を編纂した。

これらにより、ゴジラが上陸し送電線により迎撃するシーンは、送電スイッチのタイミングで音楽はカットアウトされているが、今回ではそのまま音楽が続く。これは演出的には、スイッチオンでカットアウトすることにより人間目線の演出だったが、音楽の継続によりゴジラの脅威を増幅する音楽となっている。またラストのオキシジェン・デストロイヤーによるゴジラの最期は7分近い長大なスコアが用意されたが、ダビングではセリフやゴジラの咆哮を活かすため音楽の音量は認識できないまで下げられている。この曲も伊福部先生が設計された音楽を再現することにより、荘厳な「ゴジラ・レクイエム」となった。

様々な問題が解決されつつも、大きな問題も残されていた。映像とオーケストラとの画合わせである。その昔は、音楽録音の際に映像とオーケストラを合わせる職人的な伝説的指揮者がいた。しかし現在では、録音の際は既にクリックという画と合わせたテンポが仕込まれ、それが主流となった今、画合わせできる指揮者がほとんどいないのである。近年ハリウッドでも同様のライヴ・シネマが流行っているが、その際は指揮者モニターから映像によるクリック(通称デルマ)に合わせながら映像と同期するのだが、日本にはまだその技術は無かった。

そうなると、やはり指揮で合わせるしかない。筆者も90年代中期までの録音現場では、映像とそれに附しているタイムコードを見ながら録音していた。結局、岩瀬氏の進めもあり筆者が指揮を執ることとなった。録音の際は、やり直しもできるが、ライヴでは一発勝負である。これは相当の重責であった。特に女学生が歌う「平和の祈り」のシーンでは、口パクに音楽を合わせなければならず、かなり難しい。また芹沢博士がオキシジェン・デストロイヤーの独白をするシーンでの曲は、テンポが四分音符36という超スローな長尺で演奏者泣かせのシーンでもある。しかし、演奏にも携わることで伊福部先生の映画への深い造詣を、身を以て感じることができるのはとても感慨深いものであった。

今回、録音に協力して頂いた日本センチュリー交響楽団と大阪センチュリー合唱団の演奏は素晴らしく、リハーサルと同時にレコーディングを進めたのだが、この特に金管楽器にとってヘビーな曲をフルパワーで演奏してくれた。コンサートマスターの荒井氏をはじめ、オーケストラのメンバーにゴジラファンも多く、その愛情が演奏に十二分に発揮されている。また初演のときから演奏して頂いているハーモニカのマツモニカ氏とギターの哘崎考宏氏には、ステージでは20秒程でゴジラの襲撃で遮られてしまう曲をフルコーラスで録音して頂いた。まさに幻の一曲である。

今回アルバム化することとなり、各曲にタイトルを附すこととなったのだが、以前前述した磁気テープを元にリリースされたアルバムの、特撮やアニメ評論家である早川優氏が附したタイトルに基本的に準じている。冒頭の栄光丸の船員が奏でるハーモニカシーンや大戸島の調査へ出航するシーン等は新たにタイトルした。また演奏上連続する曲は、1つのMナンバーにしているため、タイトルも分けずに同一した。

また、このアルバムの最後を飾る「SF怪獣ファンタジー」は、2015年NHKホールでのゴジラ音楽祭での再演の際に、アンコール曲として筆者が編曲したものである。これまで大体アンコールとしては、SF交響ファンタジー第1番からの抜粋という形が多かったのだが、折角なのでゴジラ・モスラ・キングギドラの御三家に人気曲「怪獣大戦争マーチ」を構成した曲を作ろうという話が持ち上がり制作に至った。それ以降、本公演のアンコール曲の定番となる。今回が初録音である。

この「ゴジラ」ライヴ・シネマ形式は、冒頭紹介した岩瀬氏をはじめ伊福部昭音楽祭実行委員会のメンバーや多くの関係者の皆様のご協力があって完成・上演することができた。その後2016年現在までに、東京・京都・福岡で4回の公演を重ねているが、どの公演も熱狂的なお客様で沸き上がっている。映画上映とはひと味違ったコンテンツとして今後も定着してゆくことを願うと同時に、伊福部映画音楽の再発見と音楽演出の醍醐味を楽しんで頂ければ、編纂者指揮者、そして門弟の一人としてこれに勝る歓びはありません。
(ライナーノートより)






伊福部 昭 プロフィール
1914年5月31日、釧路町幣舞に生まれ音更で育つ。アイヌと共に育った幼少期が音楽的原体験となる。伊福部家の家学は「老子」で、幼時より父から教えを受けた。北海道大学農学部林学科に進みつつも音楽を独学し、ヴァイオリンを弾きこなすようになった。青春期には音楽好きな二人の兄や早坂文雄、三浦淳史らと、ストラヴィンスキー、ラヴェル、サティなどに親しみ作曲を始める。21歳の時に「日本狂詩曲」がチェレプニン賞を受賞するが、大学卒業後は林務官として北海道にとどまる。戦後、1946年に作曲家として生きる決意を胸に32歳で上京。東京芸大講師として芥川也寸志、松村禎三、黛 敏郎らを育てる傍ら、多くの映画音楽を生み出した。そして1954年、40歳の時に出会ったのが「ゴジラ」である。同じ年、初の交響曲「シンフォニア・タプカーラ」を発表。多くの作品、弟子、映画音楽を残して2006年2月8日に、91歳で世を去った。


和田 薫 プロフィール
(作曲・編曲・指揮・プロデュース)
 映画・TV・舞台等の音楽から現代音楽まで、幅広いフィールドで活躍。東京音楽大学で作曲を伊福部昭に師事。日本交響楽振興財団作曲賞やニューヨーク国際現代音楽作曲家コンクール等に入選。オーケストラを中心とした作品を日本・欧米で発表するとともに、アニメ「金田一少年の事件簿」「犬夜叉」などアニメの音楽も多数担当。95年には松竹映画「忠臣蔵外伝四谷怪談」で、日本アカデミー賞音楽賞を受賞。編曲もNHK「名曲アルバム」や「題名のない音楽会」、
ゲーム「KINGDOM HEARTS」や「モンスター・ハンター4」等のオーケストレーションと指揮を担当する。演奏活動としては、日本フィルハーモニー交響楽団と共に個展「和田薫の世界」、ドイツ・ケルンでの「日本の響き 和田薫の世界」をケルン放送管弦楽団で開催。いずれも熱狂的な成功を博す。伊福部作品の吹奏楽編曲や日本狂詩曲の校訂、生誕百年の記念企画である第一作「ゴジラ」のシネマオーケストラへの編曲と指揮を担当等、伊福部音楽の普及と継承に努めている。
◆和田 薫 オフィシャル・サイト



◆和田 薫 関連作品

『伊福部昭の芸術12 壮 ― 生誕100周年記念・第4回伊福部昭音楽祭ライヴ』
/ 和田薫/東京フィルハーモニー交響楽団