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熊木杏里 キングレコード在籍時のオリジナルアルバム5作&ベスト盤の一挙ハイレゾ配信が決定!

2016/06/17
2002年デビュー。以来、TBS系ドラマ『3年B組金八先生』劇中挿入歌、資生堂CMソング、ユニクロCM ソングと次々にタイアップを獲得し、2016年3月には9thアルバムをリリース。6月にかけてコンサートツアーを敢行と精力的に活動を続けるシンガー・ソングライター、熊木杏里。 この度、改めてその軌跡を追うべく、キングレコード在籍時のオリジナルアルバム5作&ベスト盤の一挙ハイレゾ配信が決定した。
本企画を受け、本人からのメッセージが到着。さらに、デビュー時より彼女を追い続ける平賀哲雄氏より“ドキュメント・熊木杏里”と呼ぶに相応しいアルバム解説が特別に寄せられた。


【ハイレゾ・エディション】として各アルバムにボーナストラックを追加収録した今シリーズ。
マスタリングは2016年4月、キング関口台スタジオにて入念に行われた。オリジナルとはひと味もふた味も違う、「声」の魅力が如実に伝わるクオリティーに仕上がっている。



◆アルバム解説(txt平賀哲雄)------------


『ひとヒナタ【ハイレゾ・エディション】』
熊木 杏里



 資生堂企業広告テレビCMソング(新しい私になって)や映画『バッテリー』主題歌(春の風)を皮切りに、その歌声が日々メディアから聴こえてくるようになった熊木杏里だが、今作『ひとヒナタ』は収録曲のほぼすべてが何かしらのタイアップを獲得。彼女の人生=音楽が世の中に静かながら確実に浸透したことを証明した。

 5thアルバム『ひとヒナタ』(2008年)は、前へ前へと突き進んできた彼女の、ひとつの到達点。泣けるほどハイテンションな「モウイチド」から、“あなたも誰かにとってのプレゼント”という想いを込めた「my present」まで、すべてが明確なるメッセージソング。歌いたいことを歌ったら、11曲中10曲にタイアップが付いていたという、凄まじい求心力を持った一枚である。当時の熊木杏里は今作についてこう語っている。「アルバムに“ヒナタ”っていう言葉、温かい感じをずっと入れたいなと思っていて。で、その上に何かを付けたいなと思って。それを考えたときに“きみ”でも“あなた”でも“わたし”でもないな、大きく“ひと”だなって思ったんです。人がいて、自分がいて、そこを介して出てきたんだよっていう。で、ひとがヒナタみたいな。あと、ひとつのヒナタという意味も込めて。これからまだまだ多くのヒナタを作っていきたいんだけど、とりあえずは『ひとヒナタ』」

 前作『私は私をあとにして』で光のあるほうへと明確に突き進んでいく痛快さを感じさせてくれた熊木杏里が、今作では「ひと」の「ヒナタ」を作っていきたいと、光を求める側から届ける側へとシフトするまでに至った。その進化、変化は、当時のファンにとっては衝撃的であり、感動的ですらあった。なお、今回のハイレゾ配信では「晴れ人間」という熊木杏里史上1,2を争う明るいポップナンバーもボーナストラックとして聴けるので、合わせてチェックしてみてほしい。





『はなよりほかに【ハイレゾ・エディション】』
熊木 杏里



 生きる意味をその人生から紡ぎ続けてきたシンガーソングライター・熊木杏里。作品を追うごとに、一歩ずつ愛や光のある場所へと近づいていった、その過程は本当に目まぐるしかったが、気付けば、塞ぎ込んでいる人々の心を開く天才とも言える存在にまで成長を遂げた。そんな彼女がアルバム全編にわたって恋の歌をうたう。

 6thアルバム『はなよりほかに』(2009年)は、11通りの恋の物語を綴り、今にも胸が張り裂けそうな声を、塞ぎがちだった少女が人をこんなにも愛せるようになったと証明する声を響かせている、人生初のラブソングアルバム。しかも今作は“はなよりほかに”知る者がいない、独り言のような想いをさらけ出しているため、どの曲も照れてしまうぐらい裸。当時の熊木杏里は今作についてこう語っている。「実際に張り裂けそうでしたから。すごく人間としても好きな人だったんですよね。だからこそ“背負うことは何もない 君は羽を持っているよ”って、私なんかでも励まさずにいられないぐらいの気持ちになってる。この気持ちはすごく自分が出てるんですよ。失恋しているのに“顔をあげて笑ってよ”って相手に向かって思ってる自分が本当にいたんです。それぐらい大事な人だった。正に“歌だな”って思いました。溢れ出てくるものがあったから出来た曲(君の名前)。」

 熊木杏里は恋をした。『ひとヒナタ』の頃からまた2倍も3倍も人を好きになる気持ちを知った。その結果として、今作は容易く聴き手の心も裸にし、未だかつてないほどに高純度の共感を生む。前述の「君の名前」をはじめ、今作の収録曲はライブ会場でも多くの人々の涙を誘っており、例えば「バイバイ」は本人も歌いながら涙する瞬間があった。キングレコード時代の彼女をハイレゾ音源で振り返る上で、この穏やかな声ながら最も強いエモーションが詰まった今作は欠かせない。





『風と凪【ハイレゾ・エディション】』
熊木 杏里



 デビュー8年目、熊木杏里最大の転機となった2010年。それまで共に歩いてきたキングレコードやプロダクションの仲間たちと離れ離れになるタイミングで、初のベストアルバム『風と凪』はリリースされた。

 今作には、デビューシングル曲「窓絵」(※)から当時の最新シングル曲「君の名前」まで、さらには「長い話」や「ゴールネット」「最後の羅針盤」など、熊木杏里の物語を語る上で欠かせない重要なアルバム及びカップリング曲も習得。曲調ではなく、その曲が生まれてきたときの気持ちでDISC1<風>とDISC2<凪>に振り分けるという、彼女らしいコンセプトで構成されたベストアルバムだ。以下、当時のインタビューより抜粋。「私はまだ、例えば“オリコンで勝負をしよう”みたいな曲を書いたことがなくて、常に周りにいる誰かや出逢った人からもらった何かを歌にしていて。“音楽を作る”っていうよりかは“自分が音楽”みたいな部分が多くある。いろんなモノを取り入れたときに“それで今、自分は何を放てるんだろうか”っていうところから離れきれないまま曲を作ってきていて。だから誰かの為に曲を作っていた訳じゃないんですよ。でもそれが誰かの背中を押すというパワーになっていたっていうのは、確かな熱量みたいなモノが曲の中にあったんだろうなって」

 本人も自覚していたように、熊木杏里の音楽はゆえに純度が高くまるで水のように心に沁みこんでは、リスナーの“心の拠り所”となる歌になってきた。そのスタイルの基盤を完成させたのは間違いなくキングレコード時代の活動であり、作品であり、ここに収められた楽曲たちである。不器用ながらも、心のまま歌える音楽を追求し続けた熊木杏里と、その音楽を世の中に届けようと必死だった仲間たちの、言わば“青春”が生み出した楽曲群。今回のハイレゾ配信を機にぜひ体感してもらいたい。

 そして、この“青春”後の熊木杏里の音楽ストーリー、大人になる過程に苦しみながらも生み出してきた傑作たち、さらには「奇跡を夢見るほど 子供じゃないことくらい分かってる 惨めなくらい私はもう 現実にいるけど……望むことがある以上、この席を空ける訳にはいかないんだ」とまで歌うようになった今の熊木杏里にも耳を傾けてもらえたら幸いである。

(※) 本[ハイレゾ・エディション]には収録されておりません。ご了承ください。





『無から出た錆 【ハイレゾ・エディション】』
熊木 杏里



 誰かを信じたくても信じ切れず、素晴らしい世界に想いを馳せながらも動き出せない。未完成のまま、憂鬱を抱えたままで、それでも何かを届けようとしたデビューアルバム『殺風景』から2年、覚醒の一途を辿り続けたキングレコード時代の第一弾アルバム(2005年)。

 17歳~22歳までの自伝的フォークソング「長い話」から始まる今作は、なぜ生きているのかを知らぬままに<なにかになりたい>と藻掻いて生み出した、全編ノンフィクションアルバムだ。当時の熊木杏里は今作についてこう語っている。「自分で感じた事があるのに、それを忘れてしまう事とか見過ごす事が結構あってですね、大きな括りでしか物事を考えないようなところがあったので、“それはちょっと違う、やめてみよう”って。それで、嘘が無い、もうちょっとその辺を考えてみようと思ってね。“夢ばっかり見てるような、きれい事みたいなのをやめよう”という気になったんですよね」

 より自分の感情に近い部分の表現に方向転換し、ありのままの自分を歌詞に、歌に、音に、メロディーに乗せてしまうことを躊躇わなくなった第一歩。その結果、ふるさとの長野を思い出しながら「私は旅立ちをしたんだ」と知った「夏蝉」、ボブ・ディランの影響を受けて「何かを訴えてみよう、若者らしく」と生み出した「景色」、グラウンド・ゼロ(9.11アメリカ同時多発テロ 世界貿易センター跡地)に足を運び、素直な想いを綴った「イマジンが聞こえた」、事務所の大先輩である武田鉄矢にお説教をされて、そこで言い返せなかった悔しさを歌にした「説教と楓」等、フォーク然とした楽曲が顔を並べている。

 当時の彼女の生々しいまでの暗さ、重さ、同時にそこに存在する郷愁や渇望が、ハイレゾ音源で聴くことで面白いぐらい生々しく感じられる。





『風の中の行進 【ハイレゾ・エディション】』
熊木 杏里



 自分の感情や生活を嘘なく伝えたいと思い始めた前作『無から出た錆』から約1年半。何にだって触れようと思えば触れられる、変えようと信じれば変えられる。窓の外の景色を眺める時期を超えて、外の世界へと“行進”を始めた変革の一枚が3rdアルバム『風の中の行進』だ(2006年)。

 粒ぞろいのアルバムであるが、序盤4曲から感じられる、新たな決意を胸に歩き出すときのアノ高揚感は、間違いなく今作のハイライトだ。そして彼女自身の人生もこの直後、確かな前進を見せる。当時の熊木杏里は今作についてこう語っている。「熊木杏里ってこういう前向きな人なんだって思われるかも知れないけど、過去からの流れを知ってくれたら、この人は後ろ向きな自分からこういう風に変わっていったんだって分かると思うし、それを感じてくれる人がいればいいなと思うし。ただこの「それぞれ」(1曲目)だけを聴いても、聴いたその瞬間に人が歩き出そうとするときの熱みたいなモノは感じてもらえると思います」「歌いながら、詞の中のような自分になっていこうとしてましたから。目標とか、“こういう自分になる”とか、今まで言えなかった決意みたいなことをすごく正直に書いてみて、それによってそういう自分になっていきたかったんですよね」

 また、今作には、「戦いの矛盾」という、彼女が戦争のニュースを見たときに「将来の夢はアメリカ人を殺すことだ」と言ってる子供の映像が流れ、その子供の目が輝いている姿に衝撃を受け、自分の考えをさらけ出した楽曲が収録されている。優しく穏やかな曲調ではあるが、何度も何度も歌われる「私は満たされすぎている」というフレーズは、より混沌としてきた今の時代に深く突き刺さることだろう。

 人が静かな決意を胸にゆっくりと歩き出す際の高揚感、それは彼女の声、音、メロディー、そして行間からもはっきり感じ取れる。この機会にハイレゾ音源で聴いてみてほしい。





『私は私をあとにして 【ハイレゾ・エディション】』
熊木 杏里



 窓の外の景色を眺める時期を超えて、外の世界へと“行進”を始めた変革の一枚『風の中の行進』から1年。その間に彼女のもとには、資生堂企業広告テレビCMソング(新しい私になって)や映画『バッテリー』主題歌(春の風)など、大型タイアップの話が続々と飛び込んでくるようになり、熊木杏里の声は日々メディアから聴こえてくるようになった。

 4thアルバム『私は私をあとにして』(2007年)は、そんな時期に制作されたこともあって“人は変われる、世界は変えれるんだ”という喜びに満ち、最もドラマティックな作品に仕上がっている。ジャケット写真もアルバムとしては初の笑顔だ。当時の熊木杏里は今作についてこう語っている。「凝り固まった自分じゃなくて、もっと正直で良いだろうし、もっと何かを受け入れられる自分でいいだろうし。“しがらみとか要らないよ。気持ちのままに生きたい”って歌ってる。だからこの曲(水に恋をする)は、自分の中では、熊木杏里のテーマソングみたいな気持ちなんですよ。さっきまでは僕だったけど、風になったり、雲になったりして、心をいろんなところへどんどん飛ばしていけたらいいなって。自分の中だけに置かないで。流れていきたい」「とにかくすごく好きです!好きなアルバム。何回聴いても、いつも新しいみたいな。すごくその時々を切り取った、今現在をぎゅぎゅっと詰め込んだアルバム」

 人は暗闇に目を塞がれてしまいがちだけど、本当はいくらだって光を見出せるし、自分や他人を好きになって、世界を変えちゃうこともできるんだよという、熊木杏里自身の気付きや開きによって生まれたメッセージ。デビュー当時は「心の天気に晴れはない」って歌っていた彼女が、明らかに光のあるほうへと明確に突き進んでいく痛快さが今、ハイレゾ音源で鮮明に蘇る。


★熊木杏里 Official Website