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【連載】世界の高音質レーベル詳解 「Sono Luminus ソノ・ルミナス」

2016/04/28
Sono Luminus(ソノ・ルミナス)は、Cisco Systems(シスコ・システムズ)の創業者、Sandy LernerとLen Bosackによって米国で1995年に設立された、クラシック音楽中心の音楽レーベルだ。シスコ・システムズで培ったデジタル信号処理の知識、ノウハウを最大限に活かした超高音質のデジタル録音を標榜している。今回は、2012年第55回グラミー賞において、最優秀サラウンドアルバムにノミネートされた「Rupa-khandha http://www.e-onkyo.com/music/album/dsl92150/」や、クラシック部門最優秀録音賞にノミネートされた「Americana http://www.e-onkyo.com/music/album/dsl92157/」などを手掛けたエンジニアである、同レーベルのヘッドエンジニア、ダニエル・ショレス氏にメールでインタビューを行った。
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【バックナンバー】
<第2回>世界の高音質レーベル詳解『Yarlung Recordsヤーラン・レコーズ』
<第1回>世界の高音質レーベル詳解『Linn Records リン・レコーズ』
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--- ソノ・ルミナスの作品の特徴や、大切にしているポリシーなどを教えていただけますか?

ソノ・ルミナスにおいて私たちは“パフォーマンス・フィデリティ”を追い求めています。つまり如何なるフィルターやコンプレッション、エフェクトなども用いずにその楽器の求めうるベストの音を捉える、ということです。まず録音の際にベストな音が録れるようマイク配置を入念に行い、録音後にあれこれといじることなく、必要最低限の工程で済むように進めます。ほとんどのプロジェクトはサラウンド(最大9.1チャンネル)で録音しています。1つのマイクが1つのスピーカー、というように1対1のアプローチでレコーディングしていきます。

--- 録音やミックス、マスタリングはどなたが手掛けられているのですか?

ソノ・ルミナスでは、私が録音からミックス、マスタリングまで全て手掛けさせていただいています。スタッフの協力を得ながら、プロデューサーのDan Merceruio(ダン・メルセルイオ)と私が中心となり編集を行います。

--- 録音からミックス、マスタリングにおいてはどのような機器を使用しますか?

録音にはDPA4006、AEA A840、Scheops Mk2などを、その時々の使用される楽器にあわせて使用しています。レコーダーはPyramixで、Merging TechnologiesのHorusコンバーターを使用しています。モニター用にはGrace Designのヘッドホンアンプに、ゼンハイザーのヘッドホンです。
ミックス、マスタリングについては、もう必要最小限のことしか行いません。アウトボード機器は使用しませんので全てPyramixでの作業ですね。モニターにはLegacy AudioのFocus SEスピーカー。コンバーターはMerging TechnologiesのHapiを使っています。

--- どのようなスペックで録音を行っていますか?

現在のところ全ての作品についてDXD(352.8kHz/24bit)を採用しています。

--- 素晴らしい音質で音楽制作をするための秘訣というものはありますか?

対象となる音楽にとって最適であり、かつ私共が求めるクオリティに適った作品を作るうえで重要なことは、出来るだけマイクの数を減らすなど、物事をシンプルにしておくことです。そうすることで、私たち制作者を介してではなく、音楽そのものがリスナーに直接語りかけることが出来るようになるのです。

--- 特におすすめの作品をいくつか挙げていただけますか?

特に最近の作品ですかね。多種多様な音が含まれていて制作していて楽しいものがありました。3つ挙げてみましょう。

『Peter Gregson: Touch』/Peter Gregson

チェリスト、ピーター・グレグソンの「Touch」。様々なチェロの音色に加えピアノ、ストリングス、エレクトロニクスなど多彩ですが、それらを同じ部屋でせーので一発録音しました。



『Thorvaldsdottir: In the Light of Air』/International Contemporary Ensemble

インターナショナル・コンテンポラリー・アンサンブルの演奏による、アイスランドの現代作曲家、AnnaThorvaldsdottir(アンナ・ソルヴァルドスドッティル)の「In the Light of Air」。小編成の室内楽ですが、ピアノの内部で弦を弾いたり鐘にスピーカーを括りつけたりと、非常に特徴的で魅力的な音のランドスケープを聴くことができます。



『Crossing Over』/Skylark Vocal Ensemble

スカイラーク・アンサンブルの「Crossing Over」。現世と来世というものを取り上げたアカペラ作品です。壮麗なハーモニー、テクスチュアとともに編まれたアカペラ・アンサンブルの奥深さを堪能することが出来ます。


--- 日本のオーディオファン、音楽ファンへメッセージをお願いします。

音圧を上げ、音楽をより派手に聴かせるために必要以上にコンプレッションをかけ、さらにサイズを小さくするために圧縮してしまう、といった時代において、音の重要性に気を払ってくださる方々がいることを嬉しく思います。音楽を聴き、楽しむ方々へ求めうる最高の経験をお届けするものであれば、それは素晴らしい音と言えるでしょう。決して解像度や数字の高低で図れるものではありません。ただ、やはり素晴らしい演奏がないことには、そういったことをいくらわきまえていても駄目なわけですが!