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ランティス初のアニソン・ハイレゾ配信!音楽制作プロデューサーにスペシャル・インタヴュー

2013/10/30
日本のアニメソング界を席巻するレーベル・ランティス。今大注目のアニメ・ゲームのための音楽を作り続ける同社の作品がいよいよハイレゾ配信に初登場!とことん拘って制作されるその"音"や制作の舞台裏、今回のハイレゾ配信に託した思いを、アイウィルの音楽制作プロデューサー佐藤純之介さんに伺いました!
- 今回のハイレゾ配信に至った経緯をお聞かせいただけますか?

 弊社では将来的にどんなフォーマットが主流になっても良いようにレコーディング現場では常に最新のフォーマットで制作を行っています。その中で、実は4年程前からレコーディング・スタジオで聴いている音源そのものを配信等でユーザーに届けることが出来ないか??と模索しておりましたが、ユーザーの再生環境やサポート、権利処理等を考えると実現するには沢山のハードルがあり断念せざるえませんでした。

 しかし、今年に入ってからオーディオ・ヴィジュアルライターの野村ケンジ様をはじめとするオーディオ業界屈指の識者の方々に最新のオーディオ機器やユーザーの事情をご教授いただき、e-onkyo様での配信であればすべての懸案事項がクリアとなり、高音質な音楽を求める意識の高いユーザーに私達が作ったマスターを手軽に届けることができると判断し、今回のリリースが決定いたしました。

- 配信される音源には「TRUE STUDIO MASTER」と「HD RENEWAL MASTER」の2種類があるとのことですが、その違いを教えていただけますか?

「TRUE STUDIO MASTER」

こちらは、レコーディングを経て、スタジオにてミックスダウンが終わった段階のマスターファイルをそのまま配信する形式です。CDではマスタリングスタジオでのマスタリング作業を経て流通してますが、こちらはマスタリング前のいわゆる「RAWデータ(生データ)」での配信となります。CDはCDとしての我々の考える最高のクオリティーで提供しておりますが、より音にこだわる方に向けてまっさらな音源を提供したいと思い企画いたしました。ダイナミックレンジを最大限に表現するためにCD音源より音量が若干小さくなっている場合があります。

「HD RENEWAL MASTER」

 上記のオリジナルのマスターの提供とは違い、制作時のマスターデータを最新の環境でハイレゾ形式にリマスタリングした上で提供する形式となります。リファレンスとするスタジオでの業務用モニターでのチェックはもちろん、年々進化しクオリティーが上がっていくハイレゾ対応機器でのチェックも行い、ハイエンドユーザーにも納得していただける音を提供させていただければと思います。第2弾配信の麻生夏子の楽曲に関しては表現として優れていたのでリニアPCMを選択しましたが、音源のジャンルやマスターの種類に応じたリマスタリング作業をその都度行うため、将来的にはDSDでの配信もあるかもしれません。

- スタジオには200本を数えるマイクが取り揃えられているそうですね。機材面でも相当なこだわりを感じますが、マイキングをはじめ、制作はどのような点に拘って進められるのでしょうか?

 200本は言いすぎたかもしれません、、、(笑)ただ、相当の数があるので200本に近い数字だと思います。今度数えてみます。マイキングでは、マイクと口の距離には相当こだわって収録しています。歌詞や言葉に合わせて距離を変えて歌って頂くこともあります。アニソンや声優さんの歌で一番大事なのは「声」だと考えているので、なるべく生で聴く声に近い形で録音出来るようにマイクやケーブルを選んでます。他には声優さんやシンガーのコンディション、スタジオの室温、ドリンク等への配慮はもちろん、いかに楽しく歌うことに没頭してもらえるかに集中して環境作りを行っております。ミックスダウンの際には、タイアップの作品に寄り添えているか?聴きづらいパートは無いか?等、常に客観的に聴いて確認出来るように努力しております。非常に細かいディティールにこだわっていますので、それがしっかり表現できるハイレゾとアニソンは相性が良いと思います。

- これまでのCDでのリリースと、ハイレゾでのリリースで、制作されているお立場からその違いや特色といったものはどこにあるとお考えになりますか?

 CDでは一人でも沢山の人達に手にとっていただき満足して頂きたいので、「歌詞」「声」「メロディー」にスポットを当てたマスタリング作業を行いリリースしております。今回のハイレゾでのリリースに関して、はっきり明言しますと「マニア向け」です(笑)私自身もオーディオ機器やレコーディング機材のマニアなので、より良い再生環境を追求して、電源ケーブルやポータブル環境に散財(汗)しているのですが、年々スペックが上がっていくオーディオ機器に対し、リリースされる音源がCDや圧縮音源が主流なので、所有するオーディオ機器のスペックを活かしきる音源がリリースされるとマニアの皆様は喜んでいただけるのではないか?と考えました。

- 第1弾「ラブライブ!」は48kHz/24bitとなりますが、このサンプリング周波数となった理由は?

 サンプリング周波数に関しては、「数値が高ければ高いほど表現力が増す」訳では無く、48khzは48khzの、96khzには96khzのメリット・デメリットがあり、音楽的な観点から聴き比べた結果、レンジ感と歌の一体感の表現に優れていた24bit/48khzに判断いたしました。今回の配信には含まれませんが、TVアニメ版「ラブライブ!」のOP曲「僕らは今のなかで」以降の楽曲はProTools|HDXの導入、バージョンアップにより新たに対応した32bit(floating)/48khzにて制作を行っております。現時点のコンシューマー機器ではなかなか再生出来ない形式なのですが、ビット深度の向上でより豊かな歌声で収録が可能となりました。

- 今回の「ラブライブ!」については、どういった点を特にお聴きいただきたいと考えていらっしゃいますか?

 とにかく「声」を聴いていただきたいです!数多の多人数アイドル曲がリリースされる中、徹底的に差別化をすべく声優の個性の"分離"と"一体感"という相反する目的をいかに表現するかに研究を重ね実践して参りました。木皿プロデューサーによる映像的なアプローチの歌い分けへのこだわりはもちろん、ソロパートはキャラクターの個性を最大限に発揮できるように、9人でユニゾンするパートは"重なった9人"の声ではなく"μ'sの歌声"として表現するようにミックスを行っております。皆様にとって最高の環境でお楽しみ下さい!

- 最後に、リスナーの方々にひと言いただけますか?

マニアの方もマニアで無い方も、頭を柔らかく柔軟に高音質を楽しんでいただければと思います。今回のハイレゾ配信という選択肢が増えることで、アニソンのクオリティーの高さが浸透し、私達がこだわり抜いて作っているランティスのサウンドが一人でも沢山の人に届くと嬉しいです。にっこにっこにー!

プロフィール

株式会社アイウィル 制作部プロデューサー
佐藤純之介

1975年大阪生まれ。YMOに憧れ90年代後期よりテレビや演劇の音楽制作の仕事を始め、2001年に上京。レコーディングエンジニアとして市川由衣、上戸彩、玉置成実、Sowelu等J-POPの制作に参加する。2006年式会社ランティスに入社。ディレクター兼A&Rとして10組以上のアーティストの発掘、デビューまでを手がける。2011年、ランティスの音楽制作部が独立し設立された株式会社アイウィルに転籍。アイウィル制作部のプロデューサー、ディレクター、エンジニアとして、アニソンのみならず、他のレーベル作品やインディーズ作品の制作に携わっている。