矢井田瞳15周年記念作品『TIME CLIP』のハイレゾがCD同時リリース! 「目指しているのは、隣の部屋から聞こえてくる素敵な音楽」

2016/03/02
「My Sweet Darlin'」をはじめ、多くのリスナーの心に残る数々のヒット曲を生み出してきた矢井田瞳さん。2000年のファーストアルバム『daiya-monde』以来、今年でデビュー15周年を迎え、3月2日には集大成となる記念アルバム『TIME CLIP』のハイレゾ配信がCDリリースと同時にスタートします。昨年は初めての弾き語りツアーも敢行、シンガー・ソングライターとして益々アグレッシブな活動を続けるヤイコさんに、本作『TIME CLIP』のこと、そして、これまで15年の軌跡について、お話を伺いました。

インタビュー・文◎小池千尋 撮影◎山本 昇

『TIME CLIP』
/矢井田瞳


■ 15年の軌跡を振り返りながらも未来に繋がる作品に

-- 今回のアルバムは、完成までにどのくらいの期間をかけて作られたのですか。

 今から2年半くらい前に10枚目のフルアルバムを作ることになりまして。その完成時期として「15周年イヤー以内」を目標に設定して、そこから作り出した感じです。

-- タイトルの『Time Clip』にはどんな思いが込められているのでしょう。

 時の流れの中で「切り抜いて記憶したい」「大切にしておきたい」と思う瞬間を、皆さんが大切な資料にクリップを挟むように「時間」を留めていく、その集合体がこのアルバムだなと思っています。
 今回、私が心がけたのは、自分のなかに生まれた感情をカッコつけず、ありのままにきちんと作品にすることで、それによって逆に自己満足じゃなくなるというか、ちゃんと外の人と繋がれるのではないかと、そんな願いを込めて作りました。聴いてくださる皆さんそれぞれの生活のなかの景色に、ちょっとでも馴染むものだったり、かぶるものがあると嬉しいですね。また、2年半の間にはライブがあったり、初めての弾き語りツアーがあったりと、いろいろ挟まっていたこともすごく曲作りに反映されている気がします。

-- この『TIME CLIP』が、矢井田さんにとって初めてハイレゾで配信される作品になりますね。

 ハイレゾだと、リップノイズやブレスがその場にいるように、よりリアルに聴いてもらえるのかなと思います。マスタリング・エンジニアさんに、「あなたは“ブレス”っていう曲を書いた方がいい」って言われるくらい、私は呼吸に癖があるらしくて(笑)。ギターのフィンガーノイズも消しちゃう人が多いですけど、私はわりと好きで残しているところもあるので、このハイレゾではそういうところも楽しんでいただけたら嬉しいですね。

-- 本作はアレンジが多彩で、曲によって印象がずいぶん違いますね。

 15周年を記念したアルバムでもあるから、ちゃんと自分の軌跡を振り返りつつ、丁寧に作りたいなって思っていました。参加してくれるミュージシャンも、デビュー当時にはお世話になったけど最近一緒にやっていなかった人にもう一度連絡してみたりとか。人選的にも「15年の軌跡」が詰まったものにしたかったんですよ。
 また一方で、過去を振り返るだけじゃなくて、未来を感じてもらえるようなアルバムにしたいとも思ったので、今回は新しいアレンジャーさんとの新しい化学反応を起こしてみようという意欲もありました。

-- このアルバムも矢井田さんが全曲を作詞・作曲されていますが、曲を生み出す上での苦労などはあるのでしょうか。

 一番苦しいのはゼロからイチを生み出す時なんです。書き始める時は「孤独」でもあり、またそれがやりがいなのかもしれないですけど……。  一度吐き出してしまえば、そこからは曲が一番輝くにはどうすればいいだろうと、そっちのモードに変わる感じがします。例えば、自分が夜中に書いた曲を翌日見て「すごく性格が悪い人が書いた曲みたいだな」と思う時もあるけど(笑)、じゃあこの曲のエグい歌詞をどういうサウンドに乗せたら重たすぎず届けられるかと考えたりしますね。

-- ライブで演奏される時とレコーディングで演奏される時とでは、何か違うものですか。

 以前はライブとレコーディングは別として考えていたんですけど、常に一緒の気持ちでやっていたほうがすべてにおいて血流がいいなと、活動を続けていく上で気が付きました。だから、最近は新曲のレコーディングをライブより先にする場合は、「1本目のギターはこれでこういうフレーズで、アコギはこれでこうやって弾いて……」とライブでの立ち居振る舞いを想像してレコーディングをするようになりましたね。レコーディングでは何百個もの音を重ねられるけど、それはライブでは手が足りないからできないし(笑)。音を重ねる美しさもありますけど、それより安易にそっちに逃げないで、一本のギターでグッとくる強いフレーズがないかなって考えたりとか……。そういう風にじんわり変わってきています。

■ ライブでお客さんと一緒に歌うために作った曲も

-- ミックスやマスタリングの作業には立ち会われたのでしょうか。

 ミックス、マスタリングには必ず立ち会います。音のイメージがけっこう変わるので、気になるから行っちゃうって感じですね。例えば、ここは柔らかく歌ったはずなのに、コンプのかけ具合でペターッとなってしまっていたら、声の質感が自分の体のなかで聴いている音と違ってしまって違和感がありますし……。ただ、ミックスまでは、どういう操作をしているのかは分かるので、私も細かくお願いすることができるんですが、最後の微調整をしてくれるマスタリング・エンジニアの方はどこかお医者さんのような感じで(笑)。具体的な音楽用語でこうしてほしいと伝えるよりは、「もっと明るい感じにできますか?」とか抽象的なオーダーになりますね。

-- ご自身のなかで、「こういう音にしたい」という基準はありますか。

 「隣の部屋から聴こえてきた音楽なのに、すごく素敵で気になる……」みたいな音楽を目指しています。「なんとなくいい音」「なんか気になる音」、そういう音をイメージして判断基準にしていますね。「聞き流しちゃう音楽」と「グッと引っかかる音楽」とがあると思うんですけど……。
 細かいものの積み重ねが曲ではありますが、作っているうちに視野が狭くなったり、細かくなってしまったりしがちなので、曲の放っているサイズ感というか「大枠」は絶対にちっちゃくしたくないんです。

-- 出来上がった音源を家に持って帰って聴かれますか。

 聴きますね。あと、毎回CD屋さんに行って買うようにしています。財布から何千円かが出て行く感覚をちゃんと味わおうと。

-- 自身の作品がリスナーの手に渡ったときにどういう風に聴かれるかを自分でも試されているのですね。

 そういう風に聴けるのは、本当はもうちょっと期間が空いてから、ふと他人の曲のように聴ける瞬間があるんですけど……。やっぱり作りたてホヤホヤの頃は、レコーディングのときにこんなだったなとか、晩御飯はこれ食べたなとかいろいろな情景が浮かんじゃって(笑)。ちょっと時間がかかりますけど、客観的に聴ける瞬間がくるのもわりと好きですね。

-- ご自宅では今、どんなオーディオ・システムで聴いていらっしゃるんですか。

 スピーカーで聴くことが多いですね。職業柄、スピーカーとかアンプを作ることが趣味の友達がいるので、気が付いたら手作りの真空管アンプを使っていて……。聴く前に真空管を温めたりしていますよ(笑)。

-- この15年のなかで、いろいろなことがあったと思いますが、それでも変わらないことはありますか。

 ありがたいことに、変わっていないのは19歳のときに初めてギターを弾いたときの感動。「私、これ一生できる!」って直感で思ったんですけど。その心のウキウキはありがたいことに変わっていなくて。

-- ギターを持って歌おう、と思ったきっかけは何だったんですか。

 大学に入った時、「私は自由だ! 今までの自分と違うことが何でもできそう!」と思って(笑)。それまでの自分が、水泳だったりバレーだったり体育会系な人生を歩んでいたので、私のなかで真逆といえば音楽だったんですよ。そこで「音楽をやりたい」と。歌自体は物心ついた頃から好きだったので、これを作る側に回ってみたいと思った。そこからですね。

-- 影響を受けているミュージシャンはいますか。

 「声がひっくり返るのが特徴的」ってよく言われるんですけど、気がついたときには自然にひっくり返っていたんです。いつが原点なんだろうと自分なりに紐解くと、小学生のときに石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」とか「天城越え」をめちゃくちゃ練習したんですね。自分の声がひっくり返る気持ちよさとかポイントを、あれで多分習得したんですよ(笑)。
 演歌も私の歌い方にすごく影響していると思うし、あとは小さい頃に70~80年代のフォークソングをいつもリビングで聴いていたんですね。ザ・フォーク・クルセイダーズとか、井上陽水さんとか、父が自分でスナックで歌うために聴いていたんだと思うんですけど、一緒に聴いていて、すごくかっこよくて素敵で、景色が浮かぶ曲が多いなと思っていました。そのメロディだったり、曲の暖かさは、自分でもギターを弾いていて影響がよく現れるとは思いますね。

-- 最後に、15周年を迎えてこれからの抱負をお聞かせいただけますか。

 去年行なった弾き語りツアーがとても実り多かったので、これから先もコンスタントにライフワークとしてできたらいいなと思っています。でも、バンドでのライブも好きなので、そっちもやりたいし、いろんな人とのコラボレーション・ライブもやりたいし……。音楽の師匠と思っているヒートウェイヴの山口洋さんとも、またぜひご一緒したいなと思っています。
 4月から『TIME CLIP』ツアーが始まります。アルバムのなかで、ライブでお客さんに一緒に歌ってほしいなと思って作ったのが「WAVE」や「Circle」です。また、ライブに来てくれたお客さんに向けて書いた曲が「幸せを呼ぶメロディ」ですね。今回ライブを意識して書いた曲も多いので、アルバムを聴いてから来ていただけると、とても楽しいと思います。

〈4月16日(土)から、東名阪でのライブツアーも決定!〉






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