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ハイレゾ配信に特化した新たなライン「Flower Sound Lab Remaster」をスタートしたFlower Records

2013/10/17
25年の長きにわたり日本のクラブシーンを牽引してきたDJ/プロデューサー、そしてクラブシーンで高い評価を得るエンジニアにして、ダンスミュージック・レーベル、Flower Recordsを主宰する高宮永徹氏。そのFlower Recordsがこの度ハイレゾ配信に特化した新たなライン「Flower Sound Lab Remaster」をスタート。クラブミュージック・シーンにおいて初となる、ハイレゾ専門のシリーズを立ち上げた経緯、そして音に対するこだわりを高宮氏に特別にお伺いしてみた。

また、Flower Recordsを代表するアーティストで、新作『The Loud Works』をリリースしたMasanori Ikeda氏にも特別インタヴューを敢行。新作、そして音への信念などを語っていただいた。

「ハイレゾ」は歓迎すべき新たな潮流


- 高宮さんはクラブ・シーンの中で、エンジニアとしても高く評価されている事で知られていますが、〈音〉にこだわり始めたいきさつなどありましたらお教え下さい。

高宮永徹 (以下、高宮):元々中学生の頃からオーディオへの関心が高く、バイトしてオーディオ・システムを購入したり、サブウーハーを自作したりしていました。普通、その年頃で音楽に興味を持つと、バンドを始めたりする人が多かったのに対して、何故か僕は再生装置や録音、編集などに興味が向いたんですね。その頃の感覚がずっと体内にあるので、自然とDJとしての出音にもこだわるようになったんだと思います。



- 作品を作るうえで、音質に関してはどのような信念をもたれていますか?

高宮:作品作りという点で見れば、僕自身の作品を制作する場合は、簡単に言うとハイファイ志向だと思います。新しい作品としての刺激はありながらも、聴き疲れのしないというか、ストレスのない音を目指す事が多いです。しかし、エンジニアやプロデューサーとして、他のアーティストの作品に関わる場合は、その限りにあらず、ですね。アーティストが出したい世界観をどれだけ共有出来るか、を考えています。



- それでは、今回Flower Recordsの作品を〈ハイレゾ〉でリリースしようと考えた意図をお教え下さい。

高宮:実はかなり以前からFlower Recordsのカタログをハイレゾで出しましょう、とお声掛け頂いていたのですが、なかなか踏ん切りがつかずにいました。というのも、弊社のカタログには生音主体の音源もあれば、打込みものも多く、特に後者の音源をハイレゾでリリースする事の意味をなかなか見つけられないでいました。しかし今年の始めくらいに、頭の中で別々に考えていた事案が、線で繋がるような瞬間が訪れたのです。詳しくご説明すると、既存の音楽配信の殆どの作品に見られる、過剰にリミッティングされた音質に疑問を感じたり、クラブの現場でのサウンドデザインだったり、それにここへ来てUSBメモリを利用して24ビット音源を再生出来るようになったCDJなどのハードウェアの進歩など...。以前から不満に思っている事と、歓迎すべき新たな潮流が僕の中で繋がりました。これらを統合して考えた時に、いよいよハイレゾで音源をリリースする時期が来たのかな、と感じました。



- なるほど。では具体的にハイレゾ・バージョンのメリットは?

高宮:クラブの現場で主流となっているメディアは現在、アナログ、CD、それにPCですが、44.1kHz/16bitのCDフォーマットでは、アナログの音質を超える事は難しいと考えています。また、PCでDJプレイをする人もかなり増えましたが、実情そのファイルフォーマットはMP3だったり、CDをリッピングしたものを再生していて、これまたアナログの音質を超えるどころか、場合によっては耐えられない程ひどい音質だったりしています。肝心のアナログも、かつてのようにどんどん新譜が必ず12インチで発売される、という状況でもなく、クラブの現場での音質向上には、近々手詰まり感がでるのではと思っていましたが、ハイレゾ配信によりCDよりも高音質で、かつリリースする側のハードルもアナログ程高くない、という新たな「道」が開けるのではないかと。そういった意味で、今後の新たな方向性を感じています



「ハイレゾ」はCDビジネスの持つ負の宿命から解放されたメディア


- 通常のCDバージョンと今回のハイレゾ・バージョン「Flower Sound Lab Remaster」との違いは?また音的に意識した点は?

高宮:一番大きな違いは、最終段でデジタル・リミッティングを全く行なっていないところが特徴だと言えます。CDのマスタリング作業においては、その昔、音圧上げ競争がありました。今もなお、少なからずデジタル・リミッティング処理をし、最終的な音圧を稼いでいるのがスタンダードですが、ハイレゾ音源は、ラジオ・プロモーションや試聴機でのファースト・インパクトといった、CDビジネスが持つ負の宿命から解放されたメディアだと感じているので、無理に音圧を上げる必要はありません。それにより、自宅で聴くよりも遥かにハイパワーで再生されるクラブなどの現場で、音に詰まり感がなく、ストレスを感じないというか、「大きい音だけどうるさくない」そんな音空間が現出するように、その部分を重視しています。



- スタジオワークの際に音質の事で特にこだわっている点は?

高宮:当たり前の事ですが、キャリブレーションをしっかり詰めたり、RMSメーターでのレベル監視などに気を使っています。これらはかつて、オープンリールをマスターとして使用していた時の名残ですが、そのようなアナログ的なコントロールは、今でも大切だと思っています。



- では実際にミックスなどを行う際はどのようなシステムを使用されますか?

高宮:コンピュータ - Apple Mac Pro (OS10.6.8)
メインで使用しているソフト - MOTU Digital Perfomer 7.24
プラグイン - Universal Audio UAD-2、Waves、その他
オーディオインタフェース - Apogee Ensemble(2台)
サミングミキサー - Neve 8816
モニタースピーカー - Adam A-7x
その他アウトボード - SSL Bus Comp、Tube - Tech MEC-1A、Neve Portico 5042、Drawmer 1960、Lexicon PCM-80、Roland SDE-2000、などなど...



- 因みに普段プライベートで音楽を聴くときはアナログ派?それともデジタル派?

高宮:自宅では完全にアナログ・レコードです。「Thorens TD 320 Mk3」のプレイヤーにカートリッジが「DENON MC-103」または「Shelter 501」。プリアンプが「DENON PRA-2000」でパワーアンプが「Hafler P3000」。スピーカーは「Dynaudio Audience 62」というセッティングです。車中や移動の時は、レコードから取り込んだ音源を聞く事が多いですね。



- それでは今後ハイレゾ配信に期待する事は?

高宮:いよいよハイレゾ音源の再生機器も価格がこなれて来た感がありますが、まだまだ広く一般的には認知されていないのが現状です。ダンス・ミュージックに限らず、新旧問わず良質な音源を沢山リリースして頂き、一般の方々が選択肢のひとつとしてカジュアルに、ハイレゾ音源を選ぶ事が出来るまで浸透して行って欲しいですね。スペック重視ではなくて、本当にアーティストが表現したかった世界観を、多くの人々に体験してもらいたいですね。



- 最後に今回配信となる作品に関してひと言お願いします。

高宮:今回、Flower Recordsより5タイトル(1アルバム、4シングル)を配信させて頂きました。それらは今年リリースされた3タイトルに加え、10年ほど以前にアナログでリリースしたタイトルも含まれています。この古い音源マスターはDATだったので、新たに24bitのマルチデータから立ち上げ直し、ミックスとマスタリングをしています。初めてお聴きになられる方には、単純に楽曲の世界観を楽しんで頂ければと思います。また、CDや他の配信でお聴きになられたことがある方には、是非とも比較試聴をして、その違いをも楽しんで頂ければ幸いです。



高宮永徹 プロフィール

Flower Records主宰/DJ/プロデューサー/ミキシングエンジニア
1980年代末期よりクラブDJとして活動を始め、同時にあらゆるアーティストのリミックスやプロデュースを手掛け、1995年インディペンデント・レーベルFlower Recordsを立ち上げる。これまでにReggae Disco Rockers、Jazztronikをはじめとしたアーティスト及び、その作品を世に送り出している。また、自身のユニットであるLittle Big Bee名義で、国内外アーティストのリミックスやプロデュース、自らのオリジナル作品を発表し続け、オリジナルアルバム『WATERMAN』をリリース。
井筒和幸監督作品の映画「ゲロッパ!」では音楽監督を務め、CM音楽やTVドラマ「湯けむりスナイパー」ではサウンドトラックを担当。DJのみならず制作、マネジメントなど多方面にて精力的に活動中。


■Flower Recordsオフィシャルサイト

- 作品を作るうえで「音質」に関してはどのような信念をもたれていますか?

Masanori Ikeda:ダンス・ミュージックを作っているので空気を通して鳴らした時に自然に身体が動くような出音(音質?)になるように気を付けながら制作しています。



- 普段プライベートで音楽を聴くときはアナログ派ですか?それともデジタル派ですか?またどういったセットを主に使用されますか?

Masanori Ikeda:主にアナログをプライベートでは聴きます。ターンテーブルからDJミキサー、真空管アンプ等を通して聴いています。もちろんデジタルも聴きます。



- クラブなどでDJをされる際はデジタルも使用されますか?その際はご自身の楽曲は24bitでプレイされますか?

Masanori Ikeda:使用します。USBから24bitでプレイしています。



- 楽曲制作をされる際のシステムをお教え下さい。

Masanori Ikeda:DAWはロジックを。最近は様々なソフトシンセやシミュレータ、HDレコーダーをPC内で使用し最近はハード器機は余り使用していません。基本とてもシンプルな環境です。



- スタジオワークの際に、音質の事で特にこだわっている点をお教え下さい。

Masanori Ikeda:自分名義の作品に於いてはミックスダウン・エンジニアの方々との様々意見交換を重視しながら楽曲を最終的な完成形に仕上げるようにしています。



- ハイレゾ配信に今後期待する事は?

Masanori Ikeda:とにかく高音質で配信されるカタログ群は一リスナーとして大変興味があります。様々なジャンルのカタログをハイレゾリューションな音質で聴いてみたいです。



- では、最後に今回の配信タイトルに関してひと言。

Masanori Ikeda:とにかく今回のハイレゾ配信は自分の制作パートナーでもある高宮永徹氏のマスタリングのエンジニアリング手腕が大きくフォーカスされた作品でもあります。自分も今回の仕上がりがどの様な変貌を遂げたのかいちリスナーとして非常に愉しみです。



Masanori Ikeda プロフィール

1990年代初期よりロンドンでDJの活動を始める。
伝説的クラブWAG等の様々なレジデントDJを経て帰国後、活動の拠点を東京に移し音楽制作の活動も開始。Masanori Ikeda、ソロユニットMansfieldや数々の名義でアルバム、12インチEPを発表。中でも2008年にリリースした"City Lights"は、アナログ・リリースされると即ソールドアウトになるほどの人気を博した。諸作品は、国内外の様々なコンピレーションアルバムにもライセンスされ、リミキサーとしても様々なアーティストのRemixを手がける。そしてDJ、選曲家として様々なオフィシャルMix CDシリーズやコンピレーションアルバムを各社(V2,Avex,EMI,Flower Recored他)から発表。ハーゲンダッツ、JRA他のCM音楽プロデュースも多数手がけている。近年はその膨大な音楽知識とコレクションから、様々なオブスキュアー・ダンスミュージックをシームレスに紡いでいくDJスタイルで、主要オーバー&アンダーグラウンド・クラブの週末を沸かせている。2013年はMax Essa主催のJansen JardinからAfro Tipsy EPのアナログリリース、日本が誇る老舗ダンスミュージックレーベルFlower RecoredよりNew EPのデジタルリリースがBeatport等、様々な世界主要ダンスサイトから配信を予定しているなど、創作活動も活発に行なっている。


■Masanori Ikedaオフィシャルサイト
Flower Records タイトル一覧


The Loud Works (Flower Sound Lab Remaster)
/Masanori Ikeda(96kHz/24bit、DSD2.8MHz)



Nori's EP (Flower Sound Lab Remaster)
/DJ Nori (48kHz/24bit)



High Clouds (Flower Sound Lab Remaster)
/Little Big Bee (48kHz/24bit)



Choice (Flower Sound Lab Remaster)
/SPECTA (48kHz/24bit)



Shout Alt (Flower Sound Lab Remaster)
/SPECTA (48kHz/24bit)



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