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連載『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』 第29回

2015/12/04
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【バックナンバー】
<第1回>『メモリーズ・オブ・ビル・エヴァンス』 ~アナログマスターの音が、いよいよ我が家にやってきた!~
<第2回>『アイシテルの言葉/中嶋ユキノwith向谷倶楽部』 ~レコーディングの時間的制約がもたらした鮮度の高いサウンド~
<第3回>『ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」(1986)』 NHK交響楽団, 朝比奈隆 ~ハイレゾのタイムマシーンに乗って、アナログマスターが記憶する音楽の旅へ~
<第4回>『<COLEZO!>麻丘 めぐみ』 麻丘 めぐみ ~2013年度 太鼓判ハイレゾ音源の大賞はこれだ!~
<第5回>『ハンガリアン・ラプソディー』 ガボール・ザボ ~CTIレーベルのハイレゾ音源は、宝の山~
<第6回> 『Crossover The World』神保 彰 ~44.1kHz/24bitもハイレゾだ!~
<第7回>『そして太陽の光を』 笹川美和 ~アナログ一発録音&海外マスタリングによる心地よい質感~  スペシャル・インタビュー前編
<第8回>『そして太陽の光を』 笹川美和 ~アナログ一発録音&海外マスタリングによる心地よい質感~  スペシャル・インタビュー後編
<第9回>『MOVE』 上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト ~圧倒的ダイナミクスで記録された音楽エネルギー~
<第10回>『機動戦士ガンダムUC オリジナルサウンドトラック』 3作品 ~巨大モビルスーツを感じさせる、重厚ハイレゾサウンド~
<第12回>【前編】『LISTEN』 DSD trio, 井上鑑, 山木秀夫, 三沢またろう ~DSD音源の最高音質作品がついに誕生~
<第13回>【後編】『LISTEN』 DSD trio, 井上鑑, 山木秀夫, 三沢またろう ~DSD音源の最高音質作品がついに誕生~
<第14回>『ALFA MUSICレーベル』 ~ジャズのハイレゾなら、まずコレから。レーベルまるごと太鼓判!~
<第15回>『リー・リトナー・イン・リオ』 ~血沸き肉躍る、大御所たちの若き日のプレイ~
<第16回>『This Is Chris』ほか、一挙6タイトル ~音展イベントで鳴らした新選・太鼓判ハイレゾ音源~
<第17回>『yours ; Gift』 溝口肇 ~チェロが目の前に出現するような、リスナーとの絶妙な距離感~
<第18回>『天使のハープ』 西山まりえ ~音のひとつひとつが美しく磨き抜かれた匠の技に脱帽~
<第19回>『Groove Of Life』 神保彰 ~ロサンゼルス制作ハイレゾが再現する、神業ドラムのグルーヴ~
<第20回>『Carmen-Fantasie』 アンネ=ゾフィー・ムター ~女王ムターの妖艶なバイオリンの歌声に酔う~
<第21回>『アフロディジア』 マーカス・ミラー ~グルーヴと低音のチェックに最適な新リファレンス~
<第22回>『19 -Road to AMAZING WORLD-』 EXILE ~1dBを奥行再現に割いたマスタリングの成果~
<第23回>『マブイウタ』 宮良牧子 ~音楽の神様が微笑んだ、ミックスマスターそのものを聴く~
<第24回>『Nothin' but the Bass』櫻井哲夫 ~低音好き必聴!最小楽器編成が生む究極のリアル・ハイレゾ~
<第25回>『はじめてのやのあきこ』矢野顕子 ~名匠・吉野金次氏によるピアノ弾き語り一発録りをハイレゾで聴く!~
<第26回>『リスト/反田恭平』、『We Get Requests』ほか、一挙5タイトル ~イイ音のハイレゾ音源が、今月は大漁ですよ!~
<第27回>『岩崎宏美、全53シングル ハイレゾ化』 ~ビクターの本気が、音となって届いたハイレゾ音源!~
<第28回>『A Twist Of Rit/Lee Ritenour』 ~これを超えるハイレゾがあったら教えてほしい、超高音質音源!~
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『ジム・ホール・イン・ベルリン』、『Return To Chicago』ほか、一挙5タイトル
~多ジャンルから太鼓判続出の豊作月なんです!~


■ 再生システムの音質が向上すると、太鼓判ハイレゾ音源が増える?

私が太鼓判ハイレゾ音源の選出時に聴いているシステムの音質が、新製品アクセサリーの導入で飛躍的に音質向上してしまいました。10月の音展イベントで初披露した、例のアレです。もちろん音が良くなるのは素晴らしいことなんですけど、あれあれ、今月は太鼓判を押したくなる良質なハイレゾ音源が豊作になってしまっているではないですか。う~ん、自分自身の基準がブレてしまったのか・・・いえいえ、やっぱりイイ音のハイレゾがたまたま多かっただけなんです、きっと。ウン、そうに違いありません!

というわけで、一挙5タイトルをご紹介します。どれも太鼓判ですが、どれかひとつと言われると、『ジム・ホール・イン・ベルリン』がお薦め!


『ジム・ホール・イン・ベルリン』 (88.2kHz/24bit)
/ジム・ホール


冒頭のシンバルの音色に、一発で心を奪われてしまいました。ハイハットもカップも、「シンバルってこんな音なんだよな~」と、ドラム経験者なら頷くはず。カンカンではなくクァンクァン♪、チキチキではなくチャキチャキ♪という感じです。ギターの甘い音色との対比が素晴らしい!1969年の録音とのこと。ああ、何と夢のある音楽があふれる時代だったのでしょうか。

MPSレーベルのハイレゾをいくつか購入してみたのですが、音質的にもなかなかの当りが多発。MPS、要注目レーベルですよ!


『Return To Chicago[Live]』 (96kHz/24bit)
/Vladimir Horowitz


ピアノ間近で聴くサウンドが好きな私ですが、本作はステージから少し遠めの席で巨匠の演奏を楽しんでいる感じ。それはそれで、またご機嫌なんです。咳払いが多発して少々ゲンナリですが、あえて楽しむとするなら、位相=立体音像再現のチェックに最適かと。良いシステムなら、演奏と咳が平面的に再現されることなく、ステージと客席という立体映像が見えるようです。

ホロヴィッツ氏の晩年は演奏の出来に波があったとのことですが、私はこのライブ演奏を幸せな気持ちで楽しむことができました。


『レジェンド』 (48kHz/24bit)
/五嶋 龍


演奏家には、その年齢でしか出せない音楽のうねりやエネルギー感があるといつも感じています。本作には、高齢の巨匠では描くことのできない、グイグイと攻めてくるような力強く若々しい音楽の息吹きを感じました。ミージシャンの“今”を記録した貴重なハイレゾという意味で、太鼓判です!

バイオリンの音色が良いですね~。オケは個人的にはもう少し解像度が高い録音のほうが好みといえば好みなのですが、バイオリンが引き立つという意味では素晴らしい仕上がりなのかもしれません。


『Chaka Khan』 (192kHz/24bit、96kHz/24bit)
/Chaka Khan


チャカ・カーンは好きなアーティストのひとりで、アルバムも多く所有しているのですが、本作は聴いたことがありませんでした。邦題『ビバップを歌う女』です。チャカの超名盤『恋のハプニング』(1981年)と、大ヒット作『フィール・フォー・ユー』(1984年)に挟まれた、1982年作品の本作。絶頂期のチャカ・カーンですから、内容はもちろん最高です。なぜチャカ・カーンのハイレゾ作品第一弾が『ビバップを歌う女』になったのかは謎ですが、なにはともあれCD入手困難の本作がハイレゾで聴けるのとは素晴らしいではないですか!

なんといっても3曲目「ベスト・イン・ザ・ウェスト」が強力。このグルーヴ、この自由自在なボーカルといったらもう!音程やリズムをコンピュータ上で修正するのと無縁な、これぞ80年代サウンドをハイレゾで堪能できます。


『思いっきりサンバ』 (88.2kHz/24bit)
/石野 真子


VICTOR STUDIO HD-Sound.レーベルの、“アナログマスターテープからハイレゾ用に新たにリマスタリングする”シリーズは、本当に良い仕上がりの作品が多く、毎回楽しみにしています。石野真子シリーズをいくつか購入してみましたところ、私のイチオシはこの『思いっきりサンバ』 。 私は筒美京平マニアなのですが、星の数ほどの筒美氏作曲作品の中でも、『思いっきりサンバ』は大好きな一曲。冒頭の「あした~♪」と、サビ終わりの「あした~♪」が同じというのが、筒美氏マニアとしてはたまらないんですよね。『ラスト・トレイン/宮本典子』あたりと同じニオイを感じさせてくれる、真子ちゃんの名曲です。 ハイレゾ化で、「当時のビクタースタジオのマスターテープは、きっとこんな音で鳴っていたんだろうな~」と想像できるサウンドが実現しているのではないでしょうか。

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筆者プロフィール:

西野 正和(にしの まさかず)
3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。音楽専門衛星デジタルラジオ“ミュージックバード”にて『西野正和のいい音って何だろう?』が放送中。 c