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ライヴレコーディング作品でもなく、スタジオ収録作品でもない??amp'boxレーベルの最新作を聴く!

2013/09/03
辣腕エンジニア、山田ノブマサ氏率いる「amp'box」レーベルから待望の第3弾、実力派シンガーNobieの最新ライヴ音源が到着!
「amp'box」レーベルではこれまでに、Soil & "Pimp" Sessionsのピアニスト、丈青のピアノトリオ作品を2作品、発表している。いずれもライヴ収録とは思えぬハイ・クオリティな音質でハイレゾ・ユーザーの度肝を抜いてきたわけだが、第3弾のアーティスト、Nobieの最新ライヴ収録音源もその制作哲学を踏襲した大変な力作だ。

"Especial" Live @ praca 11 Special Edition
/Nobie(96kHz/24bit, DSD2.8MHz, DSD5.6MHz)



“PreSonusモバイル・レコーディング・システム"で48kHz/24bitで収録し、その後の一連の作業はこれまで通り「amp'box」仕様だが(※システム仕様は前回の記事をご参考ください)、今回はシリーズ初のヴォーカル作品ということもあり、当然だが歌中心のミックスになっている点が大きな違いだ。

ボーカルに使用されたのは、デビット・ボウイやプリンス、ポール&オーツなどがライヴでも使用している、ゼンハイザーのMD431。ボーカル以外の楽器との「被り」が少なく、後のミックスも比較的し易いのが特徴だという。同じくゼンハイザーでは今回、MD421がパーカッションに使用されている。
ドラムスに使用されたAKGのD190Eは、かつてビートルズの録音でもドラムスに使用された逸品だ。当然ながらこういった道具へのこだわり、出来上がりの音をイメージしたマイク設置が最終的にアプトプットされる作品の音に大きく貢献している。

ゼンハイザーMD431

ゼンハイザーMD421

AKG D190E



amp'boxレーベルの作品というと、ライヴ収録とは思えぬ極めてクリアな音場が特徴のひとつだが、今回の作品ではその点どういった工夫をしているのだろうか。

山田氏:「あらかじめ各楽器のバランスが取れているクラシック音楽のコンサートなどとは違い、今回のようなバンド演奏では各楽器の音量差が大きく、ライヴ会場ではPAで音量バランスを整えるのが前提ですよね。録音も同じです。それぞれの楽器にマイクを立ててそれぞれの音量バランスを調整するわけですが、どうしてもそれぞれのマイクが、近くの他の楽器の音を拾ってしまう「被り」が発生してしまう。例えばヴォーカルのマイクがドラムスの音も拾ってしまう、といったことですが、そういった被りは、イコライザーやディエッサー等を使用して調整していきます。ただ、単純に被りを取ってしまうのではなく、自然で、音のエネルギーを損なわないように気を使いながらの作業です。また、曲想や、曲の途中でもその場その場にあわせて処理を細かに切り替える必要がありますが、このあたりはノウハウ、テクニックの部分ですね。録りっ放しではどうしても自然には聴こえませんから、より自然に聴かせるためにこのような処理は必須です。」

ライヴ収録でありながら、スタジオ録音のようなクリアさを追求するamp'boxレーベルは、こういった山田氏の熟練の技が、まさに縦横無尽に駆使されているのだ。局面によってヴォーカルやギター、パーカッションなど、フォーカスさせたいところにリスナーの注意が自然と向かうような音作り、ミックスも心掛けているという。

山田氏:「ただ、フォーカスを定めるには、周りの音の存在も重要です。周りがあるから中心が引き立つ。例えばレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』は、中心人物のまわりで色々と起こっているのだけれど、フォーカスはやっぱり中心にありますよね。ああいった感じがまさに近いと思うのですが。」

また、山田氏のこだわりは試聴ファイルにも及んでいる。

山田氏:「試聴ファイルも実は編集しているんです。その曲でどこが聴きどころなのか、45秒という尺のなかで、リスナーにしっかりと捉えていただけるように工夫しています。ちょうど、映画の予告編のような感じですね。例えば、今回のSpecial Editionのトラック11などはギターバトルが一つの聴きどころですから、それをうまく入れてあります。効果は感じていただけると思いますよ。」

待望のシリーズ第3弾をリリースしたばかりだが、今後の方向性についてはどうなっていくのだろうか。

山田氏:「amp'boxレーベルでは、ライヴで真価を発揮できる、演奏クオリティの非常に高いミュージシャンのみを収録していきます。これは変わりません。また、作品としての仕上がりの高さ、音楽性の高さがamp'boxレーベルのポリシーですから、そういったミュージシャンが起こすミラクルをしっかり捉え、ひとつの芸術作品としてリリースしていきたいと考えています。ライヴ収録でありながらいわゆるライヴ収録作品とは違う、スタジオ収録のように聴こえながらスタジオ収録作品でもない。amp'boxレーベルならではの音を目指して作品作りをしたいと思います。」

自らミュージシャンとしても活躍し、エンジニア、amp'boxレーベルのプロデューサーとしても活躍する山田氏。例えば、アルフレッド・ライオンとルディ・ヴァン・ゲルダーが一緒になったような感じとでも言おうか。冗談は兎も角、今後のリリースを今から心待ちにしている。

【amp'box label ハイレゾ配信アイテム】

LIVE @ TOKYO
/Element 3 (96kHz/24bit, DSD2.8MHz, DSD5.6MHz)

BLUE IN GREEN
/JOSEI ACOUSTIC PIANO TRIO
(96kHz/24bit, DSD2.8MHz, DSD5.6MHz)



山田ノブマサ profile




レコーディング・エンジニア/プロデューサー/ドラマー。
集積回路の設計技術者からビクタースタジオへ入社、1993年にフリーランスのエンジニアとなり自身のスタジオ amp'box Recording studioを拠点にLOVE PSYCHEDELICO、近藤等則、moumoon、福山雅治、一三十三一など数多くのアーティストを手掛けている。
また、LOVE PSYCHEDELICOやmoumoonの制作にはエンジニアとしてだけでなくミュージシャンとしても関わっている。