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「bloom」DSD11.2MHz配信に寄せて~溝口肇

2015/08/28
グレースミュージックレーベルとして、初めて私、溝口肇以外のアーティストをプロデュースします。

ピアニスト Emy Todoroki-Schwartz (エミィ トドロキ・シュワルツ)のデビューアルバム。繊細さと大胆さを併せ持った、これからが非常に楽しみなピアニストです。
録音は最新鋭のDSD11.2MHz、そして全ての工程でDXDなどへの変換をせずに、DSDネイティブにて作業を終了しております。

以前、私がストレスから体調を崩していたとき、Emyさんからメッセージが届きました。朝起きたらまずGavotteを練習して身体を起こし、寝る前はBach Sinfoniaのような、ゆったりとした曲を練習して一日を終えます、という内容でした。美しい曲なので聴いて癒されてみてはいかがでしょう、と紹介された2曲はそれぞれのシーンにぴったりで、それから私はピアノ小品曲が急に気になり始めました。
私は小さい頃からクラシックを勉強してきましたが、実は聴くことに関しては少々苦手意識があります。コンサートは大変楽しいのですが、家でCDなどを聴く場合、音のダイナミクス(強弱)の差が大きく「あぁうるさい!」「あれっ?聞こえない...」の繰り返しになるのがちょっと面倒くさいのです。もちろん音楽的には大変正しいことですが、BGMとして聴くには大変扱いづらいものと思っていました。
しかし、教えてもらった曲がとても美しくストレス緩和にも大変役に立ったので、改めて良い音楽は良い生活のリズムを生み出すことを実感しました。そして苦手だったクラシックを、私自身の感じるところ、経験から更により聴きやすいものにして「人生のBGM」とならないだろうかと考えたのが、今回のアルバム「bloom」です。

『bloom』
/Emy Todoroki-Schwartz


ピアニストはもちろん、私を含めた音楽家は自分の想いをどう人に伝えるかが、最優先となります。譜面にフォルテシモと書かれていたら、いかに楽器を上手く鳴らすかという技術的なものはもちろん、自分の持てるもの全てを曲に演奏にぶつけようとします。コンサートでは良いのですが...家ではそれが時々うるさいな、と感じてしまうのも事実なのです。愛のたくさんつまった音楽を静かに聴きたい、と言うのが今回の私のわがままです。

私が2ヶ月以上かけてクラシックピアノ小品曲を調べて、私が聴いていたい、こんな音楽が流れていたら幸せ、というものを独断と偏見で集めました。思いがけず美しい曲に出会って涙が止まらなかったり、演奏家による曲の解釈違いを勉強したりと、大変有意義な時間だったとも感じています。(Bachのゴールドベルグなどは自分でピアノを練習し、スコアから来る作曲家の想いを考えました。)
集めた曲は有名なものからそれほど知られていないもの、そして年代的にも非常に幅広いものです。唯一の共通点は美しい音楽であること、人生のBGMになり得る深い愛がつまった曲であることです。
ピアニスト、Emy Todoroki-Schwartzにとっては年代が広いと言うことは、大きな負担になったかもしれません。解釈の違いも整理が大変ですし、曲へのアプローチも難しかったと想像します。

今回は個人的にどうしても入れたかったモーツアルトコンチェルトの2楽章を、ピアノ一台で曲がまとまるように少しだけ編曲をしております。通常のきちっとした譜面ではないものを弾くこと、これはクラシック演奏家にとってはさぞ負担でプレッシャーだと思われますが、私としてはこのような美しい曲を何故一人で弾かないのだろうと、不思議でなりませんでした。
Emyさんはモーツアルトが苦手と、この曲を弾くことを固辞しておりましたが、出来上がったものは見事に完成された演奏で、ソロピアノの名曲がひとつ増えた気がしています。

今回のレコーディングはハイレゾとしては最新鋭のDSD11.2MHzでの録音です。私自身、個人的にはまだ再生出来る装置を持っていないほど新しいものですが、音は素晴らしいものです。初めてアナログを超えた音ではないか、と言う印象も持っています。
ただ、一つ残念だったのは夏のレコーディングであったこと。そして2015年は7月から大変暑い日が続き、しかもたくさんの台風が発生し、レコーディング当日も大雨になってしまいました。本来でしたらホールの空調を切って無音状態にしての録音が基本ですが、湿度の問題からピアノの状態を考慮し、空調を切らずに録音をしました。そのため低音域での空調ノイズが入っておりますが、気になさらず音楽に没頭出来る演奏、録音と自負しております。
DSD11.2MHzはピラミックスで録音され、使われたケーブル全てアコースティックリバイブの製品です。
特に最近発売されているトリプルC素材のケーブルがほとんどで、更なる高品質な音となっています。録音から配信までの作業は、全てDSDネイティブで行われております。









アルバムの企画を始めて10ヶ月近くが経とうとしておりますが、毎日のように曲を聴いても飽きることがありません。テレビを見る時間が減り音楽に浸っていたいと思う時が増えました。目覚めたとき、寝る前、クルマを運転しているとき、どんなときにもこのアルバムは私に寄り添い新しい世界を作ってくれます。
是非美しい音楽に包まれて、至福の時をお過ごしいただければと思います。才能豊かなEmy Todoroki-Schwartzをご紹介出来ることを嬉しく思い、「bloom」が人生のBGMになることを切に願っています。ありがとうございます。
2015年8月吉日
溝口肇