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マスタリング前後の音をリリースする理由「Dear Love Songs / 榊原大」

2015/07/15
この度配信がスタートしたピアニスト、榊原大の新作『Dear Love Songs』。今作は何と、オーディオファイルには嬉しい2つのバージョン違いによる配信となっています。偶然から生まれた今回バージョン違いでの配信。それぞれの音の違いと、特性に合った聴き方を是非お楽しみ下さい。
◆マスタリング・バージョン

『Dear Love Songs (Masterd Ver.)』
/榊原大

◆未マスタリング・バージョン

『Dear Love Songs (Mix Master Ver.)』
/榊原大



マスタリングの前と後では、どのように音が変化しているのだろう?」という疑問は、おそらく大勢の人が持っていると思います。ピュアオーディオの世界では音の加工や手順が増える事を嫌う傾向がありますので、中には2chダイレクト録音を、マスタリングせずに販売しているケースもあるようです。赤川音響の基本理念は、「多様性のない世の中はつまらない」ですから、決してピュアイズムを否定するものではありません。しかしながら、日常的に音の加工もしています。すなわち、「どちらが正しいのか」という2原論を展開するつもりは無く、ユーザーの皆様にも「マスタリング前と後の音の違い」を検証できる機会があったら楽しいと思っていたのです。そして、遂に(偶然からですが)それを実現することができました。


7月15日から「Dear Love Songs / 榊原大」の赤川音響での配信が決まり、いつものようにMIX Masterをe-onkyo musicに送ったところ、担当者から「キングレコードからも同じものが届いていますが、どちらを使えば良いですか?」との連絡が入りました。 (※榊原大の作品はこれまでキングレコードからハイレゾ配信されていましたが、今回の作品は諸々の経緯から赤川音響が販売元となっています)


「ああ、だったらどっちでも良いですが」
「赤川さんの送ってくれた物の方が、ジェネレーションが一段上ですかね?」
「そうなるのかな?」
「ですよね。じゃあ、そっちにしますね」


e-onkyo musicの担当者は、おそらくデジタルデータのジェネレーションの違いで音が変わるか変わらないかを確認しようとしたのだと思いますが、僕が送ったファイルと、キングレコードから届いたファイルを比較試聴したようです。何ともマニアックです(笑)が、非常に信頼できる姿勢です。そして、音を聴いた担当者からまた電話が入ります。


「赤川さん、2つを聞き比べたのですが、どうも音が違うんですが・・・」
「どんな感じですか?」
「何か、マスタリングしたみたいな感じです」


その通りで、キングレコードに確認したところ、ハイレゾ用もマスタリングしてあって、キングレコードからはマスタリングしたファイルが送られていたのでした(笑)。僕はその連絡を受けた日は別の現場で仕事をしていたのですが、終わってから自分の作業場でキングレコードからのファイルを自分のファイルと比較試聴しました。そして、「キングレコードのファイルは確かにマスタリング後に間違い無いと思います」というメールを打ちながら、(待てよ? この違いって、みんな聴きたいんじゃないのかなあ?)と思い立ち、せっかくこんな珍しい事が起きたのも何かの縁ですから、両方UPしたらどうかと考えたのでした。というのも、どちらにも魅力があり、欠点もあるように聞こえたのです。


マスタリング後は、当然音圧が上がり、リッチな中低域とブリリアントな中高域が見事です。しかし、当然ですが、その為にピアノの音が少々固くなっています。いわばこれは小音量~中音量再生向きの音です。
マスタリング前のものは音圧が低く、やや細めですが、ピアノの音が素直で、コンプ感がありません。これは大型スピーカー、もしくは大音量再生向きの音と言えます。


個人的には、ヘッドホンにはMixMasterの方が向いていると思います。もちろん手前味噌な意見です(笑)。さらに老婆心ながら、MixMasterを聴く時は、Mastering済みのものよりも「少々」ボリウムを上げて下さい。皆様にとっかえひっかえ色々と試してもらえれば、とても嬉しいです。

赤川新一