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超高音質ハイレゾの真髄~ハイパーソニック・ハイレゾ音源とは何か

2015/03/06
〈芸能山城組〉を主宰し、アニメーション映画『AKIRA』を鮮烈に彩る音楽で日本アニメ大賞最優秀音楽賞に輝いた作曲家・山城祥二は、音の惹き起こす驚異の生理現象〈ハイパーソニック・エフェクト〉(後記のコラム参照)を発見し、その論文がアメリカ生理学会の公式サイトで最高のダウンロード数を記録して世界に名を馳せる脳科学者・大橋(オオハシ・) 力(ツトム)というもうひとつの顔を持っています。いずれも頂点に立つ芸術家・科学者の力量の融け合ったひとつの頭脳なくしては産み出せない究極の美しさ、快さそして感動に溢れた〈ハイパーハイレゾ音源群〉(DSD11.2MHz/1bit、DSD5.6MHz/1bit、PCM192kHz/24bit)が誕生し、その配信が開始されます。DSD11.2MHz/1bitおよび5.6MHz/1bitの配信は、e-onkyo musicが初めてとなります。これらの音質は卓越したものです。特に11.2MHz版では、適切な再生装置と組み合わされたとき、5.6MHz版とも本質的に違った、これまで体験されたことのない音世界を実現することでしょう。
【心奪われるDSD11.2MHzの「ナマさながらの生々しい音」】

 昨年 6月に< ビクタースタジオHDミュージック> にて192kHz/24 ビットでアップロードされた大橋版ハイパーハイレゾ音源4タイトルが、今度は から11.2MHz/5.6MHz/1ビットDSD で配信されるとの報を受け、東京・東中野にある大橋スタジオに出向いてその音を聴かせていただいた。
 ハイパーソニック・エフェクトを発見した脳科学者・大橋力さんには取材を通してこの数年親しくさせていただいており、このスタジオにも何度かおじゃましているのだが、今回聴かせてもらった11.2MHz/DSD ファイルの鮮烈な音に、かつてないほどの大きな衝撃を受けた。PCM 系ハイレゾファイルとは明らかにタッチの異なる「ナマさながらの生々しい音」に心を奪われたのである。
 試聴したのは「恐山/ 芸能山城組」「超絶のスーパーガムラン ヤマサリ」「ハイパーソニック・オルゴール< トロイメライ> 」の3作品。「恐山」は芸能山城組のデビュー作で1976年にアナログ録音されたもの、後者二つは2013年に大橋スタジオ・オリジナルの8ch 仕様のDSD レコーダーで11.2MHz/1 ビット録音されたものだ。
 それぞれのアーカイヴ音源を(DSD 音源はD/A 変換し)、大橋スタジオに設置された、200kHzまでフラットな周波数特性を持つという特別仕様のニーヴ製64chアナログコンソールを用いて2ch にトラックダウンし、そのコンソール出力を11.2MHz/1 ビットDSD に変換して「オリジナル・マスターデータ」が作成されたという。配信される11.2MHz/DSD ファイルはこのオリジナル・マスターデータそのもの、5.6MHz/DSDと192kHz/24 ビットPCM は、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)上でフォーマット変換されたものだという。
 大橋スタジオには、広帯域再生能力を持つラージモニターが設置されているが、それに加えてコンソール上には100 kHz まで良好な応答を示すという独自開発されたスーパートゥイーターが載せられている。その再生環境でそれぞれの音源を聴いたわけだが、その音は先述の通り驚きに満ちたものだった。
 それぞれの音源をCDクォリティ(44.1kHz/16ビット)、192 kHz/24ビットPCM 、5.6MHz/DSD、11.2MHz/DSD と比較していったが、強く印象に残ったのは、両DSD ファイルのナチュラルな響きだった。それに加えて両DSD ファイルは音の広がりがスムーズで、スピーカーから音が出ているというイメージが希薄になるのも興味深い。「恐山/ 芸能山城組」のキックドラムや「超絶のスーパーガムラン ヤマサリ」で使われる打楽器の低音の響きが澄みきっていることにも大きな感銘を受けた。
 192 kHz/24ビットPCM の音もCDクォリティと比較すれば、ヴェールが 1枚も 2枚もはがれた鮮やかな音でたいへんすばらしいのだが、5.6MHz/DSD、11.2MHz/DSD と比べると、音のエッジが強調され、メリハリが付きすぎているような印象受けてしまうのである。
 5.6MHz/DSDとマスターデータそのものの11.2MHz/DSD の聴感上の違いももちろんある。おおまかに言えば、後者は十分な幅と高さを実感させる前者の音場にデプスが加わる印象だ。そう、11.2MHz/DSD は奥行き方向の音場表現がより豊かになり、音楽に深い陰影がつき、より立体的に彫琢されるようになるのである。ロ-レベルのリニアリティ向上が、そのような音楽的感興を呼び起こすのだろうか。
 パイオニアU05 やオッポ( 米国)HA1 のように、比較的手頃な価格のUSB DAC でも11.2MHz/DSD が再生できるようになってきた昨今、ぜひ多くの音楽ファンにこのすばらしい音を体験していただきたいと思う。

*注(パイオニアはU05 での11.2MHz/DSD ファイルの再生を保証をしていないが、実験してみたところ何の問題もなくスムーズに再生できた)
*e-onkyo注(パイオニアU05での再生はfoobar2000をインストールしたWindows PCで、ASIOネイティヴ環境下でのみ再生を確認したものです。Macでは再生は確認されておりません)
山本浩司(オーディオ評論家)


【ハイパーハイレゾ第一弾4アルバムの概要】

『恐山/銅之剣舞』(11.2MHz/1bit DSDIFF, 5.6MHz/1bit DSDIFF, 192kHz/24bit WAV)
/芸能山城組

ハイパーソニック・ピュア


[ハイパーハイレゾ・芸能山城組アルバム]
芸能山城組がLPレコードの全盛期にリリースしたアルバムのアナローグ・マスターの多くは、複雑性超高周波を豊富に含み、優れたハイパーソニック・サウンド音源に達しています。これらを最新の技術でよみがえらせることに成功しました。そうした第一弾の母体となるLP『恐山/銅之剣舞(1976年発表)』の凄まじいサウンドが登場したとき、それに驚愕し共感したモダン・ジャズの巨匠マックス・ローチが共演を求めてグループを率い来日するほど、世界のファンが熱狂しました。その伝説のサウンドに新たな音素材と先端技術を加え、パワーもスケールも空前のものとなったハイパーハイレゾ版を完成。「ハイパーハイレゾとは何か」を鮮やかに描き出した必聴版。

『チベット密教 極彩の響き』(11.2MHz/1bit DSDIFF, 5.6MHz/1bit DSDIFF, 192kHz/24bit WAV)
/ナムギャル・タツァンの僧侶たち

ハイパーソニック・ウルトラ


[ハイパーハイレゾ・ワールドサウンズ] 〈JVCワールドサウンズ〉CD音源のウルトラ方式によるハイパーソニック化第一弾。ヒマラヤのふところ深く抱かれて、鎖国状態の中で独自の発展をとげたチベット密教とその音楽。それは、通常の概念を遠く離れた、とび切りの「不可思議音宇宙」を聴かせてくれます。何人も驚かずにはいられない、重低音が炸裂するトゥン・チェン(チベット・ホルン)の超常の轟(とどろ)きと、荘厳な迫力に満ちた聲明の響きがハイパーハイレゾ・ワールドサウンズとしてさらにリアルによみがえります。

『超絶のスーパーガムラン ヤマサリ』(11.2MHz/1bit DSDIFF, 5.6MHz/1bit DSDIFF, 192kHz/24bit WAV)
/ヤマサリ

ハイパーソニック・ピュア


[ハイパーハイレゾ・ワールドサウンズ] バリ島のパヨガン村の庭園にしつらえられた自然の植生がつくるアコースティックを活かした絶妙の野外録音。それは、とうてい野外録音とは思えず。かといってホールの臭いもまたくない、奇蹟的な響きです。未CD化の11.2MHz/1bit×8ch DSD録音を編集したファイルを配信のみでリリース。超高周波の最高に豊かなバリ島ガムランの真価が横溢。眼前で楽器のふるえが見えるようなリアリティー。大地をゆるがすゴング。これまでの録音で解像できなかった高速演奏もクリアに分離され、しかも全体は潤いを失いません。これまでのガムラン録音とはまったく次元を異にするハイパーハイレゾの実力に驚きます。バリ島ガムランの頂点を示す名曲、名演、名録音。

『ハイパーソニック・オルゴール トロイメライ』(11.2MHz/1bit DSDIFF, 5.6MHz/1bit DSDIFF, 192kHz/24bit WAV)
/ハイパーソニック・オルゴール

ハイパーソニック・セラピー


[ハイパーソニック・オルゴール] 音楽家・山城祥二こと脳科学者・大橋 力は〈ハイパーソニック・オルゴール〉という発音マシンを発明しました。これは、可聴域における非常に音楽性の高いオルゴール演奏と、100kHzをこえる超高周波の発生とを両立させた類例のないハイパーソニック音源となりました。このオルゴール音の11.2MHzマルチトラック録音から配信用ファイルが創られています。 たとえようもなく流麗甘美な音色とともに脳をとろかすような癒しのひびきがもたらす趣(おもむき)は、ことばではあらわせません。いま話題の「オルゴールセラピー」などへの応用も期待されます。

【ハイパーハイレゾ解説】

〈ハイパーソニック・エフェクト〉とは何か
大橋 力

ハイパーソニック・エフェクトとは、[周波数が高すぎて音として聴こえない複雑性超高周波(40kHz以上)を含む音]が人間の脳の最深部(中脳・視床・視床下部などの領域。以下、「基幹脳」と呼ぶ)を活性化して惹き起こす現象をいいます。基幹脳が活性化すると何が起こるのでしょうか。音楽を聴くときの「美しさ快さそして感動」の発生をつかさどる脳の〈情動神経系〉の働きが活発になって、音楽が心を打つ効果と魅力が劇的に高まります。また、体調を安定して保ち、がんやウィルスなど内外の敵から身を護る〈自律神経系〉〈内分泌系〉〈免疫系〉の働きが強くなって、健康増進が期待されます。


さらに、生きていく上でより望ましい方向へと人間の行動を誘(いざな)う脳の〈報酬系〉の働きが、上のふたつとよく融け合った状態で活性化し、まさしく「心身一如」の状態で至福の境地が訪れるのです。その魅力や陶酔感は、言葉に尽くせません。                    

【〈オオハシ・アーカイブ〉と〈ハイパーハイレゾ音源〉について】

基幹脳を活性化してハイパーソニック・エフェクト(上のコラム参照)を発現させることができる音を、〈ハイパーソニック・サウンド〉といいます。その代表例としては、バリ島のガムラン音楽、日本の琵琶、尺八、西欧のチェンバロなどの音、そして熱帯雨林の環境音などが存在します。なお、電子的に合成した超高周波では有害無効になる恐れがあり、ハイパーソニック・エフェクトを安全、安心のもとに発現させる超高周波は、上記のような自然物起源でなければなりません。
 こうした音源を、[内閣府最先端・次世代研究開発支援プログラム(NEXT)仁科プロジェクト]に大橋 力も参画して共同開発したオリジナル録音システム(384kHz/24bit PCM、11.2MHz/1bit DSD)などを駆使して、周波数上限96kHzまたはそれ以上を基準に多岐にわたり、多年にわたって地球規模で収集、蓄積してきました。その成果物として、〈オオハシ・アーカイブ〉が構成されています。
 このようにして蓄積された、かつてのJVCワールドサウンズの資源を含む膨大なアーカイブにビクターの保有する芸能山城組アルバムのアナローグオリジナルを中心とする原録音を加えた山城祥二=大橋 力による〈ハイパーソニック・アーカイブ〉は、現在、他に匹敵するもののない、質量ともに世界最高峰のハイパーソニック音源資産であることは疑いありません。
 この比類ない音源資産と科学者・大橋 力による最先端科学技術、そして同じ頭脳を共有する音楽家・山城祥二の感性を縦横に駆使し、ハイパーソニックを発現させうるハイレゾ規格のコンテンツを制作して、次世代のハイレゾ音源体制を先取りしていこうというのが[ハイパーハイレゾbyオオハシ]のポリシーです。
 特筆しなければならないのは、ハイパーソニック・エフェクトとその応用は、まさに純血の日本原産科学技術であることです。その生命科学的基礎論からそれを応用するオーディオ技術、音源の創作・収集・蓄積。超広帯域オーディオファイルの構成、そしてそれらの現場での活用まで、外国のモノマネや後追いは一切ありません。配信コンテンツもその例外ではないのです。
 世界を圧倒する日本のオーディオコンテンツの実力を具体的に示しているのが、配信のためのハイパーハイレゾ音源の存在であるといえるでしょう。

【ハイパー・マスタリングによるファイル構築】

このプロセスは、[内閣府最先端・次世代研究開発支援プログラム(NEXT)仁科プロジェクト]と共同して開発したきわめて独自性の高いものです。現在レコーディング・スタジオなどで一般的に行われている、[オリジナル録音→ミックスダウン→マスタリング→オーサリング]という道筋とは大きく違ったやり方で行われています。
マルチチャンネル録音を含む原アーカイブから、ミクシング・コンソール設計の神様と崇(あが)められているRupert Neveが大橋博士のために世界で一台だけ特別に造ったアナローグコンソール9098i特別仕様機(200kHzまで平坦な特性を有する。64input特注機)を使って、まず、2チャンネル〈プレマスター〉へのトラックダウンを伴う〈プレ・エディション〉が行われます。このデータは、11.2MHz/1bit DSDのオリジナル・レコーダーに収録され、〈ハイパー・マスタリング〉の素材になります。ハイパー・マスタリングは、ハイパーハイレゾ・マスターファイルを構成する特にオリジナリティの高い過程となっており、その詳細は現在、公表されていません。NEXT仁科プロジェクトで研究開発に当たっている放送大学教授仁科エミ博士、そしてパートナー・ハイパーソニック・エンジニアの高田英男さんが、他では得られない手腕をふるっています。このハイパー・マスタリングからのデータは、11.2MHz/1bitDSDオリジナル・レコーダーに記録され、〈オリジナル・マスターデータ〉となります。オリジナル・マスターデータはDAW上で加工され、11.2MHz/1bit DSD、5.6MHz/1bitDSD、192kHz/24bitPCMの各マスターファイルを、配信用ファイルとして形成します。あるいは専用機Pyramix、SADiE 5によるマスタリング処理を経て、配信用のWAVファイルを造るという究極的な体制が構築されています。こうして構成された比類のないハイパーハイレゾファイルが配信に供されることになるのです。

【音源とその品質種類について】
大橋 力

ハイパーハイレゾ音源は、その名のとおり、ハイパーソニック・エフェクトを発現しうる情報構造をもったハイレゾリューション配信オーディオファイルを意味します。とはいえ、それらの形成過程や信号構造は単純ではなく、多様です。これらを配信するに当たって、そのいろいろな属性の中から特に重要な超高周波領域に注目し、全体を三つのカテゴリーに分類するとともに、価格設定の根拠としました。
 なお、ハイパーハイレゾの名のもとに配信されるコンテンツは、1アルバムごとに、典型的な15秒間について実測したFFTスペクトル(Fast Fourier Transform高速フーリエ変換により解析された、音源のもつ時間平均周波数スペクトル。音源に含まれる周波数成分を可視化)を添付します。
 なお、すべての音源は、予告なくバージョン・アップされることがあります。

 三つの品質種類を次のように定義します。

[ハイパーソニック・ピュア]
 オリジナル音源自体に複雑性をもつ32kHz以上の超高周波が豊富に含まれ、配信ファイルの典型的な15秒間のFFTスペクトルにおいて40kHz以上の成分の存在が明瞭に認められるもの。

[ハイパーソニック・ウルトラ]
 CD仕様などのハイカット・ディジタル音源に天然の音源に含まれている有効な複雑性超高周波成分を音楽信号の動きに合わせて加えて構成。その典型的な15秒間のFFTスペクトルにおいて40kHz以上の成分の存在が明瞭に認められるもの。

[ハイパーソニック・セラピー]
 オリジナル音源自体に40kHz以上の複雑性超高周波が持続性高く含まれ、配信ファイルの典型的な15秒間のFFTスペクトルにおいて50kHz以上の成分の存在が明瞭に認められるもの。理論的に基幹脳の活性化が高度に期待されます。
 ただし、ハイパーソニック・エフェクトの発現は、体調差、個人差、音以外の要因などの影響を排除できません。従ってコンテンツは、医療目的をはじめとする効果の発現について保証するものではありません。これについては、他の品質種類においても同様とします。
 また、すべての品質種類のコンテンツは、ハイパーソニック・エフェクトを発現しうる情報構造をもった信号を提供するものにすぎません。よって、その信号の使用によって導かれる現象については、一切を責任対象外とします。

【高速標本化1ビット量子化録音(DSD録音方式)との永い道のり】
大橋 力

 ハイパーソニック研究の初期の1980年代後半ころ、100kHzという当時の音響学からすると狂気の沙汰と思われるような音源を準備しようとしていた私の前に立ちふさがった大きな壁、それはレコーダーの周波数応答が、そうした私の要求とあまりにも遠く離れていたことでした。アナローグ、ディジタルを問わず、特にフィールド録音が可能な可搬性の実用性のあるレコーダーは、可聴域上限とされる20kHzを少し上廻る程度のものしかありませんでした。アナローグのポータブル機NAGRA IV-Sを改造して50 kHzをかろうじてこえるものを造るなど、苦心惨憺していたのです。
こうした状況にブレークスルーをもたらし、この研究にとってかけがえのない貢献をしてくださったのが、山崎芳男早稲田大学教授(当時)の開発による〈高速標本化1 bit量子化〉(いわゆるDSD)方式によるディジタル録音でした。この方式はPDM(Pulse Density Modulation、パルス密度変調)の一種で、一般的なPCM方式とは違い、記録に必要とする情報量を相対的に大幅に低くとどめながら超高周波を含む帯域成分を効率的に記録できる画期的な方式です。この新方式が山崎教授のもとで実現しつつあることをパイオニア株式会社の山本武夫副社長(当時)から教えていただき、あわせて山崎教授にお引き合わせいただくとともに、試作機を試聴させていただきました。その特性はもとより、その音質も、当時のアナローグ録音、PCMディジタル録音のいずれとも一線を画する、素晴らしいものでした。
そこで早速、私たちの研究が射程に定めた100 kHzまでを録音可能な、しかも小型軽量でバッテリー駆動が可能なポータブル・レコーダーの開発をお願いし、その一号機は1991年に実現しました。それは、768 kHz高速標本化、1bit量子化のA-D/D-A機能をもち、エンファシス回路の力で100kHz−3dBという驚くべき性能を実現しました。構成はA-D変換部、データ記録部(SONY、DENONのDATを利用)、電源部からなり、いずれも小型軽量で、三つに分けてどこにでも運べる、私たちの研究にとってまことに適切な性能を具えていました。この機材は、早速、パナマの熱帯雨林の環境音の録音などで、大活躍しました。引き続き山崎先生には、1992年にYAMAHA DRU-8を改造した1.902 MHz 1bit機、1995年末にFOSTEX A-DATを改造した3.072 MHz 1bit機をはじめいくつもの機種を開発していただき、ついにSONYのスタジオ用24chマルチトラックレコーダー3324を改造して、3.072 MHz 1bit ×6チャンネル機という本格的なスタジオ録音が可能な機材に達しました。その後、2005 年に5.6 MHz 1bit×8ch、2010年に11.2 MHz×2ch、2013年には11.2 MHz×8chなどのレコーダーを独自に開発しています。
 こうしてふり返って見ると、私たちのプロジェクトは、1991年から高速標本化1 bit量子化の録音に、生理実験を含むアカデミックな研究と商業用スタジオレベルの高品位録音との両方を目的として20年以上にわたって取り組んでき、おそらく世界に例のないキャリアに達していると思われます。その間、高速標本化1bit量子化録音の宿命ともいえる1bitノイズの処理、ハイパーソニック・エフェクトを発現しうる40kHz以上の帯域成分の処理をはじめ、PCM録音ではありえないDSD録音特有の幾多の難問に遭遇し、多くの優秀な協力者の方々とともに知恵を絞って、実用水準に達する解決を進めてきました。
 そうした経験をふまえた、DSD方式に特化した私たちの録音技術は、超高周波成分を豊富に含む特に優秀な音源(例えばバリ島のガムラン音楽、ブルガリアやグルジアの民族合唱、ハイパーソニック・オルゴールなど)に対して、驚くほどの適合性を示します。とりわけ11.2 MHz 1bitのデータからは、再生系、特にスーパー・トゥイーターに高性能のものが得られたとき、従来の録音物の概念を完全にくつがえす、驚異的な異次元の響きを味わうことができるでしょう。
 こうしたものを将来、多くの方々にぜひお楽しみいただきたいと、私はかねてから願っており、基本となるマスターデータはすべて11.2MHzで創り、蓄積していました。ところが、この度思いがけなく、e-onkyo社の英断によって、この夢が現実に実行可能となったことに驚くとともに、大いに歓んでいます。その想像を絶する音世界に、どうぞご期待ください。

【ハイパーソニック・ウルトラ方式について】
大橋 力

 ハイパーソニック・ウルトラ方式は、特に安全性に対する配慮に重点を置き、さらに、有効性にも注意を払って開発されました。
すなわち、48kHz16bit、44.1 kHz16bitといったハイカット・ディジタル規格によってハイパーソニック・ファクターを失ってしまった少なからぬ数にのぼるアーカイブをいかにしてハイパーソニック・サウンドとして蘇らせるか、という大きな課題として捉え、正面から対峙して本格的な検討を行ったものです。
 このような場合、DAT、CDなどのハイカット・ディジタル音源の中に記録されている可聴音信号に対して電子的処理を加え、可聴域上限とされる20kHzをこえる高周波信号を人工的に造成し、それを元の音に加えて再生音の帯域を伸長させる技術がいくつか知られており、〈レガートリンク方式〉、〈フルエンシー方式〉、〈サンプル値制御方式〉、〈エンコードK2方式〉などがすでに提案され、実用化されています。
 また、それらとは原理の異なるものとして、ホワイトノイズを電子的に発生させ、それを可聴音の振幅変動に合わせてミックスする〈ハーモネーター方式〉は、その有効性がかなり多くのユーザーたちに支持されています。
 こうした方式はこれからも開発されていく可能性があり、優れたものが登場することが期待できます。しかし、これらに共通する「人類が悠久の進化の歴史の中でかつて出逢ったことがなく、初めて遭遇する人工音である」という性質について無視することは危険であり、それらを人間に向かって放つことについては、慎重でなければならないと考えます。なぜなら、それらの人工物が果たして人間に対して生理的に負の影響を及ぼさないかどうかが全く確かめられていず、それを確かめるためには、生命現象にかかわる事柄であるゆえに、長期にわたる精細で大規模な生理学・医学的な検証が必要になるからです。
 ところが、そうした安全性だけでなくその有効性さえ、事実上検証されたも同然の超高周波資源が一つだけ実在することを、私たちは見出しました。それは、私たち自身の実測の結果明らかになった、熱帯雨林の環境音に含まれている強力な複雑性超高周波、すなわち〈ハイパーソニック・ファクター〉の存在です。
その安全性、有効性の背景は、オランウータンの祖先にはじまり私たち現生人類に至る2000万年にも及ぶであろう〈大型類人猿〉の進化の揺り籠が一貫して熱帯雨林であり、私たちと同じ遺伝子をもつ現生人類(ホモ・サピエンス)16万年の歴史もその例外ではない、という進化人類学の知見です。つまり私たちの遺伝子は、熱帯雨林という環境を鋳型にし、それにぴったり合うように進化してきているのです。生命科学的、理論的にいえば、私たちの遺伝子も脳も、熱帯雨林という環境と鍵と鍵穴のようにぴったり合った状態に達していると考えられます。それは音環境についても同様であり、人類の遺伝子と脳にこれほど適合した音環境は、他に考えられません。


こうした考え方に基づいて、純正度の高い熱帯雨林から周波数が特に高域にまで延びている複雑性の大きい音源を収録し、その音源から可聴域をこえ音として聴こえない超高周波成分を電子的に抽出して、〈ハイパーソニック・ファクター〉としてファイル化することを実現しました。  そうして厳選されたハイパーソニック・ファクターの120kHz以上に及ぶ信号を、先にアーカイブされていたハイカット・ディジタル音源の音の動きに合わせて変調させ、元のハイカット・ディジタル信号とミックスするという原理で、ハイカット・ディジタルアーカイブからハイパーソニック・サウンドを再構築する方法を開発しました。その効果は、信号構造の上で、生理的効果の上で、音質の上で、そして何よりも音楽的感動の上で、目覚ましいものを導いてくれることがわかって実用化され、〈ハイパーソニック・ウルトラ方式〉と名付けられたのです。

【ハイパーハイレゾファイルの再生環境について】
(この項目は暫定的であり、繰り返し更新される予定です。引き続きご注視下さい。)

 一般市場に流通する音メディアとして、これまでにない高密度化を実現したハイレゾリューション配信――。それが許容する最高密度の超高周波を満載したハイパーハイレゾファイルを「新しい酒」というならば、そのファイルをプレイバックして超絶のハイパーソニック・エフェクトの醍醐味を体験するための「新しい器」として、[それにふさわしい再生環境]を構築しなければなりません。そうでなければ、せっかくコンテンツとして準備された超絶のハイパーソニック体験が実現せず、画にかいた餅になってしまいます。途方もない密度に達するコンテンツ・ファイルを構築しながら、その再生については関知しない、というのは、現在そして近未来のメディア状況にふさわしくない無責任な態度かもしれないのです。こうした背景から、現在進行中のハイパーハイレゾ音源の構築に並行して、もう一方でその究極的なスペックをもつファイルを余すところなく空気振動に変換できる空前の性能をもつスーパートゥイーター(アドオン型)の開発が、大橋博士を中心にして進められてきました。こうすることで、入力と出力の平仄(ひょうそく)は合うはずです。
 ところがこのテーマは、ハイパーハイレゾの配信が実際に始まった現時点において、一時的ながらやや微妙な状況を迎えています。具体的に言えば、ハイパーハイレゾファイルというソフトウェアが完成段階に入り市場に投入されるのに対して、ハードウェアであるアドオン型スーパートゥイーターの製品化がやや遅れているのです。すでに、プロトタイプの試作と運用によって、従来のどのようなスピーカーとも発想も原理も違うこのアドオン型スーパートゥイーターが期待おどりの性能を発揮することは、確かめられています。とはいえ、この新しいスーパートゥイーターの製品化、市場化には多くの課題があり、オーディオファイルの配信開始との間で時差が生じる状況になっているのです。
 このような状況をふまえ、ここではまず、ハイパーハイレゾ用再生環境がどうあるべきかの〈原則論〉を明らかにするとともに、それに対して今どのような対応が可能であるかの〈現実論〉を述べ、さらに最終的な着地点を展望してみることにしました。

●ハイパーソニック・エフェクトを体験できる再生システムをいかに構築するか

そのために欠くことのできない条件がいくつかあります。まず、ファイルに収録された96kHzあるいは100kHz以上の帯域に及ぶ超高周波成分を忠実に再生できる規格に達したオーディオシステム(USB DAC、ネットワーク・プレイヤー、アンプ、スピーカー)を使って再生しなければなりません。そのとき注意しなければならないのは、超高周波の再生には、イヤフォンやヘッドフォンを使ったのでは効果が出ないので、必ずスピーカーを使って聴取者の体全体を超高周波が包み込むようにしなければならないことです。なぜなら、ハイパーソニック・エフェクトを発現させる超高周波のセンサーは、耳や聴覚系には存在せず身体の表面に分布するからです。
 これまでのオーディオ分野の通念からすると、100kHzになんなんとする超高周波成分を豊富に持ったコンテンツが出現することや、まったく聴こえないその成分の忠実な再生を真っ向から要求されることなど、思いも寄らない事態といってよいでしょう。このような問題を浮かび上がらせたハイパーハイレゾの配信の開始は、現代オーディオ技術の空白を衝くものとなりました。既存のオーディオ機器の性能がハイパーハイレゾに満載されたハイパーソニック信号を確かに再生できる水準に達しているかどうかを、改めて問い直す状況を迎えています。もちろん、現有のシステムの性能が必要な水準に達していれば、スタートを切る上で問題ありません。しかしそれは、後記のように、現状ではほとんどありえないのです。

●ハイパーハイレゾファイル中のハイパーソニック・サウンドを再生するためにシステムが備えなければならない性能

1.D/Aコンバーター
 USB DACやネットワーク・プレイヤーなどの性能を決めるのは、ディジタル信号をアナローグ信号に変えるD/Aコンバーターです。PCM方式の場合、192kHz/24bit以上が望ましく、96kHz24bitは帯域不足で効果を発揮できません。DSD方式では、2.8MHz/1bitでは帯域不足の上に宿命的に混在する1bitノイズの影響を受けて、適切な再生は困難です。そうした恐れの少ない5.6MHz/1bit、11.2MHZ/1bitの使用が推奨されます。ハイパーソニック・サウンドが基幹脳を効果的に活性化するためには、すくなくとも40kHz以上、本格的には50kHz以上のハイパーソニック・ファクターが含まれていることが望ましいのに対して、96kHzサンプリングでは48kHzまでしか録音できず有効な高域成分が欠けるからです。

2.プリアンプ、パワーアンプ
アンプ類が超高周波成分を忠実に再生できなければならないことはいうまでもありません。市販の名の通ったアンプならほとんど問題はないはずですが、稀に、超高周波帯域の特性を顕著に減衰させているアンプがディジタル、アナローグを問わずあります。ディジタルアンプの場合には、可聴域以上の高周波成分を意図的にカットしている場合があるので、注意が必要です。カタログなどで仕様を調べてから導入を決めた方がよいでしょう。また、高い周波数になるに従い動的応答が悪くなるようなパワーアンプでは、スーパートゥイーターを十分にドライブできないこともありえます。アンプの性能評価は難しいのですが、ひとつの目安は、アナローグアンプの場合、いわゆる「A級動作」を主体に設計されたアンプ類であるかどうかです。

3.スピーカー・システム、特にスーパートゥイーター
ハイパーハイレゾ音源の信号構造上の特徴は、いうまでもなく、各種ファイルフォーマットのもつ伝送可能周波数の上限までをおおいつくすような複雑性超高周波の強大な勢力分布です。そしてこの超広帯域成分をハイパーソニック発現力をもつ空気振動に変換するという最も重要な役割を担当するのが、スーパートゥイーターです。
それはもちろん、ふつうのオーディオ技術にも通じる一般的課題かもしれません。しかし、一足踏み込んで、実際にハイパーハイレゾ音源を再生してその強力なパワーを発現させようとすると、50kHz~100kHzという、これまでのオーディオ領域で注目された例(ためし)のない超高帯域成分の有効な再生が要求されます。しかし現実には、50kHz以上の帯域に焦点を合わせたスーパートゥイーターが存在した例(ためし)はありません。
もちろん、有力で良心的なメーカーが作った本格的な既存のスーパートゥイーターの中には、少数ながら100kHzをこえる応答をもつ機種があります。ところが、問題は超高周波帯域への応答の他にもうひとつ、指向性の面に強く現れてくるのです。繰り返し述べているように、ハイパーソニック・エフェクトを発現させる条件は、[可聴音を耳から、超高周波を体表面から受容する]という特異なものです。こうした条件をつくり出すためには、スーパートゥイーターから再生される超高周波が良く拡がり、空間に溢れるような状態で聴取者の全身を包み込んでくれることが望まれるわけです。
ところが、そもそもスーパートゥイーターというものは、動作原理のいかんを問わず指向性がきわめて狭く、50kHzをこえるような帯域では、ほとんどビーム状になってしまうものなのです。カタログに掲げられているデータは、その細いビームが的中した地点だけに届いた高周波ということになります。それ以外の場所には超高周波は届かず、期待した大きな効果が現れません。
もちろん、いま標準的なオーディオシステムを基本にしたハイレゾ再生環境でも、ハイパーハイレゾが他と較べて一頭地を抜いた効果を示すことは間違いないはずです。しかし、指向性の問題がいかに深刻かは、優秀なスーパートゥイーターを通常の2倍、4倍と集め、それらを上手く展開して超高周波を拡げてやることによって、ハイパーハイレゾらしさが歴然と浮かび上がってくることでわかります。多くの人々の納得をえられるのが普通です。
このような現在のスーパートゥイーター状況は、そのままでは、ハイパーハイレゾファイルの忠実な再生は困難であり、そのためハイパーソニック・エフェクトの発現が有効圏内に達しないことを予想させます。そこで、前記のように、ハイパーハイレゾ音源のもつ周波数構造に合わせてそれを建前通り再生できる、これまでとは原理的に異なるアドオン型スーパートゥイーター・システムが構想されその開発が推進されてきました。その仕様は、周波数帯域として50kHz以上で実力を発揮し、100kHzを十分上廻る帯域まで応答を有し、指向性は100kHzでもビーム化せずすくなくとも60°以上の拡がりを実現する、というものです。
これは、現在のスーパートィーターの概念からすると実現できそうもない性能です。しかし、私たちはまったく新しい発想に立ってこれをクリアする見通しを得るに至っています。ただ、あまりにもこれまでのスーパートゥイーターと発想や機構の差が大きく、製作体制の構築にも時間がかかって、市場に送り出す日がコンテンツの配信開始に同期せず、大幅に遅れているのが実情です。しかし、その実現は時間の問題となっています。

【現実的着地点の例】
お手持ちのスピーカー・システムを、先に述べたようなスーパートゥイーターを増設することで暫定的にハイパーハイレゾに対応させていくという対応は、ハイパーハイレゾの威力を垣間見るにすぎないにせよ、新しい音の世界のいくばくかは実感していただけるのではないかと信じます。こうした場合にシステムに追加する機種としてお薦めなもののひとつに、PIONEER PT-R4というリボン型スーパートゥイーターがあります。お薦めする理由は、下記の3点です。


 1)約100kHzまでのハイパーソニック・サウンドを良い応答で再生できる。
 2)値段がお手頃である。(2015年2月現在 実勢価格 50,000円前後/ 1台)
 3)フィルターが付属しているので、これまでのスピーカー・システムにそのままアドオン(追加)するだけでよく、詳しい知識や技術がなくても簡単に使える。

このスーパートゥイーターを今使っているフロントスピーカー左右にひとつずつ計2個つけ加えるだけでも、これまでとは次元の異なる至福の音体験の一端を楽しむ道を拓く可能性があります。
PT-R4をL、Rチャンネルに1台ずつ増設するくらいでしたら、これまで使っていたスピーカー・システムの端子に、このスーパートゥイーターへのケーブルをプラスしてつなぐだけで可能です(図参照)。フィルターの設定は、お手持ちのスピーカーが、可聴域の中でも高域が充実した性能をもつものでしたら、30kHzを選べばよく、組み合わせるスピーカー・システムの高域が不足しているようなら、低い方の設定(20kHz)が有効かもしれません。その場合はスーパートゥイーターが可聴域もサポートすることになるので、あまり大きな入力を入れるとトラブルにつながるおそれがあり注意が必要です。
 より本格的に、もっとたくさんのスーパートゥイーターを動かすとなると、そのための専用アンプを準備しなければなりません。そのようにして、片チャンネル当り3台、4台とスーパートゥイーターを増設することは、オーディオファイルが真に優れた超高周波成分を豊かに含んでいるとき、ハイパーソニック・エフェクトの手応(てごた)えを比較的わかりやすく示してくれるはずです。
現在開発が進行中のアドオン型スーパートゥイーターは、超高周波数領域への応答出力の指向性がきわめて広く、従来型のすくなくとも数台分〜十数台分の超高周波を再生するはずです。その効果は歴然たるものとなることでしょう。ご期待ください。

参考文献
1) Inaudible high-frequency sounds affect brain activity: A hypersonic effect, Oohashi T, et al., Journal of Neurophysiology, 83: 3548-3558, 2000.
2)『音と文明−音の環境学ことはじめ』、大橋 力、岩波書店、2003.
3) The role of biological system other than auditory air-conduction in the emergence of the hypersonic effect, Oohashi T, et al., Brain research 1073-1074, 339-347, 2006.
4)『音楽・情報・脳』、仁科エミ・河合徳枝、放送大学教育振興会、2013.
5) Frequencies of inaudible high-frequency sounds differentially affect brain activity: Positive and negative Hypersonic Effects, Oohashi T, et al., PLOS ONE, e95464, 2014.