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山田ノブマサ氏主宰、最高の音を届けるamp’box Labelとは

2013/06/12
辣腕エンジニアとして福山雅治、ゴスペラーズほか、多くのミュージシャンの作品を手掛ける傍ら、LOVE PSYCHEDELICOの制作にはエンジニアとしてだけでなく、ミュージシャンとしても活躍している山田ノブマサ氏。自身が手掛けるamp’boxレーベルとは、そして、エンジニアが運営する高音質レーベルとは、いったいどんなレーベルなのか?
山田ノブマサ氏のamp’box labelは、2012年9月に第1弾をリリースした、新興のジャズ・レーベルです。そのストーリーは、氏が日本の若手ジャズミュージシャンの逸材、今回amp’boxからリリースされたピアニスト、丈青のタレントに惚れ込んだことから始まりました。驚くほどの素晴らしい演奏が夜な夜な繰り広げられているにも関わらず、それがまったく録音物として残されていない。もっと多くのジャズファン、音楽ファンに届け、聴いて、感じてもらえるように自分のレーベルでリリースしよう、ということが発端です。
ライヴは一期一会のもの。その最高の瞬間を録り逃すことがないように、山田氏は何度もライヴに足を運び、そしてまるごと収録していきます。しかし、これは通常ではなかなかあり得ないことの一つです。それはなぜでしょうか。

「まず、非常にクオリティーの高い録音をする為には、モバイル録音用のバス一台分の機材が必要になってきます。そうすると、複数公演に及んだ場合は、金銭的にも莫大になってしまいますので、まず現実的では有りません。従いまして、通常のライブレコーディングは決め打ちで、何月何日のこのライブを録音しますと、決めてから機材や人を手配して録音に臨みます。結果、経費が掛かった以上はライブパフォーマンスの内容如何に関わらず、その音源を発表しなくては成らない、ということになってしまいますが、これではたまたま良いパフォーマンスが取れる事を期待するしかありません。世間のライブ盤はみなこの方式の為、ライブで良い演奏を残すのはかなり難しいというのが現状です。」


「当社の考え方はなるべく多くの演奏を記録して、その中から選りすぐりの演奏をパッケージングすると云う事です。その為には、莫大な費用を必要としない、コンパクトながらクオリティーの高い録音が出来る機材選びが必要です。そこで、色々と選び現場で録音をし試行錯誤した結果、今のシステムが最もクオリティーが高い状態で沢山レコーディングが出来るシステムだと判断しました。」

コンパクトながらクオリティーの高い録音を実現するため、山田氏はライヴレコーディングで“PreSonusモバイル・レコーディング・システム"を導入しています。チャンネル数の確保や機材の安定性を考慮し、このシステムで48kHz/24bitで収録されます。しかしその際にも、SCHOEPS、AKG、SENNHEISERと云ったマイクに加え、マイクプリアンプにNEVE1073やGML8404、イコライザーはAPI 550Bという高級アナログ機材を使用します。この音源がその後、山田氏のamp’boxスタジオに持ち込まれ、Pro Tools HDで96kHz/24bitにアップコンバートされてからミックス、マスタリングに入るわけですが、まずレコーディングの時点で、的確な位置にマイクを設置するといったことなど、最高のクオリティで録音するための、プロフェッショナルのエンジニアならではのノウハウが活かされていることも重要な点です。録音・編集ソフトや機材が手頃になった今、誰でも手軽に音楽制作をしてウェブで公開までできる時代ですが、クオリティには疑問符がつきがち。「理想的なライヴレコーディングのひとつのお手本になれば」という山田氏の思いは、作品にも色濃く反映されています。


「ミックスでは、GML8200、SONTEC、API 550B、PULTEC EQP-1、、NEVE33609といった歴史のある非常に高級なアナログEQやコンプレッサー、リヴァーブを多用して、デジタル臭く無いワイドで奥行きのある音を構築して行きます。勿論、その際リヴァーブも96KHz/24bitで処理されるので、奥行き感などは48kHz/24bitとは全く違います。
そうしてミックスダウンしたものを、再度96kHz/24bitのまま、STUDIO ONEでマスタリングしていきますが、この時もGML8200とMANLEY Stereo Variable Mu Limiter Compressorと云ったアナログ機材を使用して、奥行き感やダイナミックスを大切に音を作って行きます。 DSD音源については、それを当社の高級D/Aコンバーター、db Technology のdb4496をアードバーグ/Aard Sync II (現Antelope Audio)のクロックジェネレーターでクリスタルロックした状態で、KORG MR2000にDSD2.8MHz、そしてDSD5.6MHzで記録しています。」


「amp'box studioでは、マスタリングしている、現場でモニターしているその音をなるべく、そのままの状態に近い形でリスナーにお届けするためにこのような処理を行っており、ただ単純に48kHzで収録したからといって、48kHzでリリースはしていません。理想の音をお届けするためのこの処置は、例えば、釣った魚をそのまま生で食べるか、美味しく調理して食べるか、といった違いに通じるでしょう。」

e-onkyo musicでは、PCMであれば44.1kHz/24bitから192kHz/24bitまで、DSDであれば2.8MHz/1bitから5.6MHz/1bitまで、非常に幅広いサンプリング周波数のハイレゾ音源を取り扱っていますが、昨今のトレンドでは、その数字が高い方がより素晴らしい、という傾向も見受けられます。しかしながら、音楽の本質はそこにあるでしょうか?収録する音楽の方向性や音の性質、アンサンブルのサイズなど、総合的なバランスを考慮して、録音時のサンプリング周波数は選定されているわけで、その後、より理想的な音作りのためのミックス、マスタリングもエンジニアによって厳選されたサンプリング周波数で行われます。例えるなら、最高の料理には盛り付ける器も最適のものを選ぶように、音楽も、その内容によって最高の器(この場合はサンプリング周波数やビット数)がどれであるか、熟慮した結果として作品が出来上がっています。 単純に、その数字の高低で語ってしまう昨今のトレンドの危うさを、山田氏はその取り組みを通じて訴えています。

「クックパッドみたいに、宅録して簡単に発表できてしまうような時代ですが、便利になった反面、録音機材やツールをどう使うかが、非常に大切になってきています。そこにプロフェッショナルのノウハウが必要なわけで、良いお手本が必要だと思います。そうやって出来上がったこだわりの料理をどう召し上がっていただくか、それはリスナー次第ですが、そもそもその音源はうまく仕上がっているのか、ということが重要ですからね。」

amp’box labelの作品には、山田氏のエンジニアとしてのプロフェッショナリズムが全て、注ぎ込まれています。

【amp'box label ハイレゾ配信アイテム】

LIVE @ TOKYO
/Element 3 (96kHz/24bit)

BLUE IN GREEN
/JOSEI ACOUSTIC PIANO TRIO
(96kHz/24bit, DSD2.8MHz, DSD5.8MHz)



山田ノブマサ profile

レコーディング・エンジニア/プロデューサー/ドラマー。
集積回路の設計技術者からビクタースタジオへ入社、1993年にフリーランスのエンジニアとなり自身のスタジオ amp'box Recording studioを拠点にLOVE PSYCHEDELICO、近藤等則、moumoon、福山雅治、一三十三一など数多くのアーティストを手掛けている。
また、LOVE PSYCHEDELICOやmoumoonの制作にはエンジニアとしてだけでなくミュージシャンとしても関わっている。