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NHK「おはよう日本」特集作品 五木田岳彦「森の詩」

2014/11/28
11月28日(金)早朝、NHK「おはよう日本」でハイレゾの特集が放送されましたが、ご覧になりましたか?ハイレゾを聴きながら脳波測定をしたりと、面白い切り口で分かり易い内容でしたが、この特集で最後に紹介された作品「森の詩」とその制作過程について、作曲家・五木田岳彦に寄稿していただきました。


『森の詩』(DSD5.6MHz, 2.8MHz, 192kHz/24bit,96kHz/24bit)
/五木田岳彦


こんにちは、作曲家の五木田岳彦です。

11月28日(金)に、NHK「おはよう日本」でハイレゾ音源関連の事が特集されました。
その番組内で紹介された作品「森の詩(うた)」は森の中に存在する様々な音や響きの中に音楽を編み込んでいく形で作曲した作品です。
番組では、僕が実際に山の中で森が奏でる様々な音をバイノーラルマイクとDSDレコーダーでレコーディングをしている様子や、スタジオでの作業の様子などが紹介されました。

放送された番組の内容はこちらです。(>>NHKおはよう日本番組サイトへ


自然界の音との共演は、今までも様々な形で創造されてきましたが、今回はその試みをDSDハイレゾ作品という形で、作ってみようと思いました。
なぜ、森の音のレコーディングにバイノーラルマイクを使用したかというと、立体的な臨場感あふれる世界が、この作品には欲しかったからです。
まずは収録場所を探すところからスタートしました。丹沢や小田原、八ヶ岳から諏訪方面、また千葉県のいくつかの場所をまわりましたが、なかなか良い場所にめぐり逢いませんでした。
その中で、いくつか良い場所を見つけたのですが、密着取材として「おはよう日本」の番組ディレクター、カメラマン、音声さんやスタッフと共に山をすこしばかり登ることになりました。


重い機材を持っての山登りになってしまい、スタッフの方々には申し訳なかったです。ただ、都会の雑踏や低周波の轟音、様々な人工的な雑音が入らないピュアーな森の音をレコーディングすることは、現代の日本ではかなり大変なことだということも実感しました。山奥に行っても、飛行機が飛んでいたり、どこかで木を切る電動のこぎりの音が響いていたりと、、、。また、あまり山奥に行くと、本来そこの住人である熊に遭遇してしまったり、それを避ける為に人間が腰にぶら下げている鈴や携帯ラジオの音が鳴っていたりと、、、、。雑音(または命の危険)から逃れるのは難しい社会ですね。


森の音の収録に使用した機材はバイノーラルマイクとステレオマイク。レコーダーはKorg MR-1000とMR=2の2台のDSD レコーダー。MR-1000ではバイノーラルマイク使用でDSD5.6。MR-2はステレオマイク使用で、DSD2.8のレートでレコーディングです。
バイノーラルマイクは、山登りを想定していた理由から、ダミーヘッド型ではなく、イヤフォン式のマイクをカスタムメイドの装着機材に付けて使用。
2台のDSDレコーダーを肩から掛けながらのレコーディングを行いました。
マイク用小型プリアンプも数種類使用。プラグインパワーは使用せず、電源もプリアンプから供給しました。


360度のバイノーラルDSDサウンドの世界が僕の脳を刺激します。
水の音、波の音、風に揺れる森の響き、そして語り合う野鳥の鳴き声や虫たちのささやき。この星は様々な美しい音に包み込まれていることに気づきます。そんな森からのメッセージが樹木の間から聞こえてきます。作曲は森の中でスケッチとして楽譜を書く事から始まり、出来上がったテーマをスタジオに持ち帰り、ピアノ、ボーカル、また小さい鐘や貝殻、そして風鈴の音色なども織り交ぜて、1つのアンサンブルにしてみました。


他にも川のせせらぎや別の場所の森の音なども収録しました。こちらもDSD5.6でのレコーディングです。


ピアノのシンプルな音の響き、また音と音との間にある空気感、そして倍音が滲み合いながら消えていく美しい響きの世界をベースに、野鳥の声や、虫のささやく声、川のせせらぎ、貝殻、木々たちがそれぞれの葉先を使って語り合う音。風や、その風が運んでくる海のさざ波の音などがヘッドフォンから聞こえるバイノーラルサウンドで、立体的に包み込みます。


ボーカルパートはラピスラズリに参加していただきました。歌詞のない作品ですので、ボーカルも1つの楽器としての響きを大切にして、神秘的な世界を作る為に、あえて感情を押さえた手法で歌ってもらいました。


「まるで妖精が樹冠を漂うようだ」とNHKの番組ディレクターがたとえたボーカルパートは、まさに僕が感じ取った森から聞こえてきたメロディー(メッセージ)です。


曲の構成は同じテーマを使った2曲が第1章、第2章としてつながっている形式で書かれています。 第1章と第2章の間に休みはなく、そのまま演奏をする形です。トラック1は2曲が全てつながっているバージョンです。トラック2は第1章、トラック3は第2章からのスタートとなります。


我々は普段は気づかないだけで、かなりの騒音の中で暮らしているのだということを、思い知らされました。特に都心の騒音はとても酷いものだなと驚きました。これは大変なストレスになっているのだろうと、不安な気持ちにもなり、いい音での音楽の必要性を改めて感じました。

番組内で紹介された研究所の教授のお話によると、ハイレゾ音源は人間の脳にとてもよい効果があるという研究成果があり、自然の音のなかにある葉っぱのこすれる音などが、人間に安らぎや安心感をもたらしている成分に近い存在だということです。森の音と音楽を融合した「森の詩」の中にもその成分は多く含まれているように感じます。


バイノーラルマイクでのレコーディングの独特な立体音像とピアノとボーカルの音色が創り上げる、豊かな響きの世界をDSD5.6をはじめとするハイレゾ音源で、是非お楽しみいただければと思います。
なお、バイノーラルマイクでの収録作品ですので、その立体的効果はヘッドフォンでないと体感できません。是非ヘッドフォンを装着して目を閉じて聞いてみて下さい。
この作品を聴いていただくことにより、その瞬間だけでも現実社会から、少しだけ別の世界への旅に誘うことが出来ればと思います。



『森の詩』(DSD5.6MHz, 2.8MHz, 192kHz/24bit,96kHz/24bit)
/五木田岳彦


五木田岳彦HP: http://5roku.com/
レーベルHP: http://5roku.com/timeart

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