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【新連載】生形三郎の「学び直し! クラシック攻略基礎講座」 1時限目その3「古典派」

2019/02/21
音元出版が発行するオーディオ雑誌「NET AUDIO」誌との連動企画【生形三郎の「学び直し! クラシック攻略基礎講座」】がスタート!本企画は、オーディオアクティヴィスト(音楽家/録音エンジニア)、そして評論家としての肩書を持ち、オーディオファンのみならず、録音愛好家や音楽ファンからも支持を得る、生形三郎氏を講師にお迎えし“クラシック音楽の頻出ワード”を1から分かりやすく解説。そして関連する音源を合わせてご紹介することで、クラシック音楽の魅力をより深く知っていただこう、という連載企画です。

「NET AUDIO」誌Vol.33掲載の、生形三郎の「学び直し! クラシック攻略基礎講座」とあわせてお楽しみください。

◆季刊・Net Audio vol.33 Winter 2019年1月19日全国一斉発売




◆1時限目「クラシックの歴史」その3 「古典派」

 クラシック音楽は、様式化が始まる16世紀中頃から数えても、実に450年以上もの歴史を持っています。そして、時代ごとに音楽の様式は勿論のこと、作曲の目的や楽器の編成なども、当然、大幅に異なってきます。そこで、まずはそれら時代ごとの特長を大まかに把握して、予め全体像を掴んでしまいましょう。そしてその後、クラシックの「頻出ワード」を毎回テーマに挙げ、攻略を行なっていく予定です。

 時代の分け方は様々にありますが、ここでは、「中世」、「ルネサンス」、「バロック」、「古典派」、「ロマン派」、「近代」、「現代」と分けてご紹介します。これらの特長と代表的な曲を、駆け足で見ていきましょう。そして勿論、紹介する音源は高音質タイトルを厳選。今回は、前回の「バロック」に続いて、「古典派」をご紹介していきます。

【古典派】
 古典派の時代は「ウィーン古典派」と呼ばれる作曲家、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの3人が代表選手です。そこでは、啓蒙主義の台頭と共に、音楽においても理性的かつ合理的な表現が追求されます。作曲においては、「動機」と呼ばれる音楽の最小単位のパーツを駆使し、それを巧みに変形させ活用しながら音楽全編を編み上げる合理的な作曲手法が主流となります。「ソナタ」という音楽形式を中心とし、交響曲や弦楽四重奏曲のスタイルが確立されるのもこの時期です。独立した線が絡み合うこれまでの多声音楽とは異なり、よりメロディと和音の役割が重視されるようになります。そしてそれらは、単なるメロディと伴奏という主従関係に留まらず、お互いに緊密に連携し合って緻密に作曲されるのが特徴です。


!必聴音源その1!


『Haydn & Hummel: Trumpet Concertos』
/Alison Balsom

 交響曲の父とも呼ばれるのがハイドンです。上記3人の中で最年長で、明朗快活で素朴な曲調が特徴的です。トランペット協奏曲はハイドンの代表曲であり、膨大な数の交響曲や弦楽四重奏曲を書き終える頃の最晩年に作曲された傑作です。威厳に満ちながらも快活なオーケストレーションと、高らかに歌い上げられる清潔感溢れるアリソン・バルサムのトランペットが実に爽快です。(4~6曲目がハイドンのトランペット協奏曲) 他にも、古典派の交響様式を完成に至らしめた第90番前後の交響曲を世界最高峰のテクニックと優美さで楽しめるベルリンフィルハーモニー&サイモン・ラトルの音源や、弦楽四重奏曲の古典派様式を完成させた「太陽四重奏曲」をしなやかで美しい弦楽器の音色で楽しめるキアロスクーロ四重奏団の音源も必聴です。


!必聴音源その2!


『モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク』
/ギュンター・ピヒラー

 癒やしの音楽としても有名なモーツァルト。その音楽のほとんどが備える底抜けの朗らかさは、逆に怖ろしくなるほどです。中でも誰しも必ず一度は耳にしたことがある「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第一楽章は、古典派のシンプルなソナタ形式を表わす模範的な曲とも言えます。2つの主題を提示する「提示部」、それを転調して展開する「展開部」、主題を再び提示する「再現部」から成り立つことがシンプルに判ります。オーディオ的にもオススメなのが、モーツァルトの祖国オーストリアが誇る世界的弦楽四重奏団「アルバン・ベルク四重奏団」の第一ヴァイオリニスト ギュンター・ピヒラー指揮&オーケストラ・アンサンブル金沢による透明感溢れる演奏と録音です。CM等でもお馴染み「ディヴェルティメント ニ長調K.136」や、ちょっと切ないメロディが印象的な「ディヴェルティメント へ長調K.138」などの傑作も収録されています。お馴染みの交響曲ピアノ協奏曲は、まずは定番、カール・ベーム&ウィーンフィルハーモニーの甘美な音色を堪能できるリマスター音源がオススメです。


!必聴音源その3!


『Beethoven: Symphonies Nos. 4 & 5』
/Nikolaus Harnoncourt

 形式を重んじながらも通例を打ち破る作曲構成と、音楽としてのポップさを絶妙なバランスで描くのが、お馴染みベートーヴェンです。日本の年末には欠かせない「第九」こと「交響曲第9番」は特に有名ですが、同じく著名な「運命」こと「交響曲第5番」は、古典派の合理的な作曲手法である「主題動機労作」をまさに体現する典型例です。冒頭の「タタタ・タン」という主題のリズムと音型は、最終楽章まで、楽器や音程を入れ替えたりリズムを引き伸ばしたりと、徹底的に、執拗なまでに駆使され続けます。それらを野性味溢れる持ち味で楽しめる、現代の巨匠ニコラウス・アーノンクールの現役最後の録音となった迫真のライヴ音源がこちらです。ピリオド楽器と呼ばれる作曲当時の楽器が使われるとともに、実に明晰な解釈で作曲構造を俯瞰することができます。他にも、情緒的なメロディが美しい初期のピアノ・ソナタ「悲愴」などを1960年代ながらも豊富な情報量で捉えたグレン・グールドのリマスター音源も、演奏的にもオーディオ的にも必聴音源のひとつです。


 なお、音元出版「NetAudio」誌の当該連載では、国産ハイエンド・ネットワークプレーヤーメーカー、「スフォルツァート」試聴室でのハイレゾ音源試聴レポートを掲載しています。ぜひそちらも併せてご覧下さい。

SFORZATOの試聴室
ネットワークプレーヤー:DSP-Vela
NAS:fidata HFAS1-XS20
プリアンプ:QUALIA INDIGO Line Amplifier
パワーアンプ:QUALIA DOGMA600
スピーカーシステム:B&W 802D3


次回は、ロマン派の音楽をご紹介します。






生形三郎 プロフィール

オーディオ・アクティヴィスト

音楽家、録音エンジニア、オーディオ評論家。昭和音楽大学作曲学科首席卒業。東京藝術大学大学院修了。音楽家の視点を活かした録音制作やオーディオ評論活動を行なう。「オーディオ=録音⇔再生」に関して、多角的な創造・普及活動に取り組む。各種オーディオアワード及びコンテスト審査員を務めるほか、スピーカー設計にも積極的に取り組む。

オフィシャルサイト


◆季刊・Net Audio vol.33 Winter 2019年1月19日全国一斉発売