【独占配信】 DSDで聴くドイツ・グラモフォン&デッカ from 『麻倉怜士セレクションSA-CD~SHM名盤50』

2019/02/13
麻倉怜士×ユニバーサル ミュージック×e-onkyo musicによる独自コンピレーション『DSDで聴くドイツ・グラモフォン&デッカ selected by 麻倉怜士』。今作は、オーディオファンから絶対的な支持を得るオーディオ評論家、麻倉怜士氏が、『麻倉怜士セレクションSA-CD~SHM名盤50』としてリリースされたSA-CDシリーズの中より珠玉の楽曲を厳選してセレクト、DSDコンピレーションとしてリリースするe-onkyo music独占のコンピレーション・アルバム。今作に収録の全20曲中16曲は、本コンピレーションがDSD音源として初出しとなる、非常に貴重な音源を集めた作品となります。尚、ここにラインナップされた音源を収録したオリジナル・アルバムのDSDバージョンは、3月27日と4月10日の2回に渡りDSDアルバムとしてリリース予定。そちらも是非ご期待ください。ここに麻倉氏が書き下ろした、今回のコンピレーションの演奏・音質解説を掲載いたします。
◆麻倉怜士氏による『DSDで聴くドイツ・グラモフォン&デッカ selected by 麻倉怜士』試聴イベントのお知らせ⇒


◆メッセージ from 麻倉怜士
 ユニバーサル ミュージックから12月に発売された「麻倉怜士セレクションSA-CD~SHM名盤50」の50タイトルから再度、DSD音源20曲をコンパイルした。50タイトルをすべて聴き直し演奏、録音ともに20世紀の音楽世界遺産として、傑作中の傑作の音源を選んだ。個々のDSDファイルは、その曲の一部(交響曲ならある楽章、組曲なら一曲)なので、ぜひ全曲版をe-onkyo musicからダウンロードして聴いていただきたい。SACDも素晴らしい音だったが、本DSDはディスクに「加工」する前のもとの音源ファイルであり、よりオリジナルに近い--というより、オリジナルファイルそのものだ。

 ドイツ・グラモフォン(DG)音源はベルリンのEmil Berliner Studiosにて、オリジナル・アナログ・マスターからダイレクトにDSD(2.8MHz)化、DECCAのオリジナル・アナログ・マスターは英Classic SoundにてDSD化された。では簡単な解説と共に、新たに20作品を聴き直したインプレッションをお届けしよう。選択の一助となれば幸いだ。

麻倉怜士



『DSDで聴くドイツ・グラモフォン&デッカ selected by 麻倉怜士』
ヴァリアス・アーティスト




◆麻倉怜士氏による収録楽曲解説

◆Tr.1
モーツァルト:交響曲第40番ト短調から 第1楽章
カール・ベーム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

●絶賛配信中!


『モーツァルト:交響曲全集 Vol.2』
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, カール・ベーム

 ステレオによるモーツァルト交響曲全集はカール・ベーム/ベルリン・フィルが初めて完成させた。1959年から1968年まで9年をかけて収録。私のセレクションでは40番、41番が選ばれている。アナログ・レコードやCDで、これまでも何度も再リリースされている超定番だ。
 盤石の造形感、覇気に満ちた堂々とした音運び、悠々としたスクウェアな進行感……ひじょうに骨太なモーツァルトだ。右の第2ヴァイオリン、ビオラと左の第1ヴァイオリンの音像的な対比が見事で、中央部はチェロと木管の響きで充満する。音場は水平方向に音像的に3分割され、それぞれが空間内に美しく溶け込んでいる。この時代の録音の特徴である、奥行きではなく、水平的なパースペクティブの広い音像の並びが聴ける。この豊かな音場感こそ、DSDの表現力そのものだ。豊潤な弦楽器倍音が音場内に躍動する様子が、眼前のドキュメンタリーのように明確に見える。1961年12月19-22日、ベルリン、イエス・キリスト教会で録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2011年に制作されたDSDマスター。


◆Tr.2
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調《ジュピター》から 第1楽章
オイゲン・ヨッフム/ボストン交響楽団

●3月27日 配信予定!


『シューベルト:交響曲第8番《未完成》/モーツァルト:交響曲第41番』
オイゲン・ヨッフム

 『ジュピター』とシューベルト:『未完成』という珍しい組み合わせだ。ドイツの巨匠がアメリカの交響楽団を指揮したことでも話題になった。

 オーケストラの位置が低い。私のJBL・K2スピーカーでいうと、下部ウーファーの位置から、音が出る(低音の出方では無く、音像位置が低いということ)ので、その分、垂直的に響きが立ち上がる距離が長く、天井の高いボストンシンフォニー・ホールを彷彿とさせる豊かなソノリティが聴ける。ひじょうに繊細な部分まで、グラデーションが与えられている。微細な部分まで質感の均質性が高く、すべらかで練られた音という印象だ。ドイツ的なタイトな骨格感に、ボストン交響楽団の美麗な質感が加わり、わくわくするような躍動的な音色が聴ける。弦のグロッシーな音色感、音場の深さ、そして倍音の豊かさがDSDの表現性であろう。1973年1月、ボストンのシンフォニー・ホールで録音。DSDマスターはDGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2011年制作。


◆Tr.3
シューベルト:交響曲第3番ニ長調から 第1楽章
カルロス・クライバー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

●3月27日 配信予定!


『シューベルト:交響曲第3番&第8番《未完成》』
カルロス・クライバー

 まことにクライバーらしい、極めて劇的なシューベルトだ。40年前の録音とは思えない、音の新鮮さ。躍動感と躍進感がクライバーの美質であり、本DSDはその特質を最大限に表現している。音楽的なダイナミックレンジが広大で切れ味がシャープ。時間軸の切れ込み感が明確。どんなに強音でも、しなやさと美しさを失わないウィーン・フィルの豊麗な音色感に酔う。ムジークフェライン・ザールの豊麗な音場の中でも、響きの量に埋もれることなく、鮮明な輪郭感にて、ディテールまでの粒立ちが細やかだ。一音一音に生命力が漲り、音が自在にホール空間を飛翔する様子が、ひじょうにリアル。クライバーの細部まで明確に彫塑する音楽性が音で見事に捉えられている。
 1978年9月、ウィーン、ムジークフェラインザールにて録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2012年制作DSDマスター。


◆Tr.4
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調《新世界より》 第2楽章
ラファエル・クーベリック/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

●3月27日 配信予定!


『ドヴォルザーク:交響曲第8番&第9番《新世界より》』
ラファエル・クーベリック

 ベルリン・フィルとのドヴォルザーク全集は1966年の第8番から始まり、71年から73年にかけて一気に録音された。1972年の《新世界より》は1966年6月録音の第8番とのカップリングだ。
 冒頭の金管の変ニ長調の和音が、音場奥から荘厳に聞こえ,左奥のティンパニの一撃を経て、有名な「家路」のイングリッシュ・ホルン旋律が、中央やや右に奏される。そのやや左にクラリネット、フルートがいる……と、音場的な聴き応えが第2楽章冒頭の楽しみだ。たっぷりと濃厚な表情を付けて歌うメインテーマが終わり、低弦のピッツィカートの上に木管が乗る中間部は、主部の郷愁感とはうってかわり、明確な質感にてスマートな表情を打ち出す。DSDはそんな音楽的切り口の多彩さを、見事に表現し分けている。1972年6月、ベルリン、イエス・キリスト教会で録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2011年制作のDSDマスター。


◆Tr.5
マーラー:交響曲第1番ニ長調《巨人》から 花の章
小澤征爾/ボストン交響楽団

●絶賛配信中!


『マーラー:交響曲 第1番(花の章付)』
小澤征爾, ボストン交響楽団

 小澤征爾はマーラー交響曲第1番を3回録音している。本作は1977年録音の第1作。その後、1987年に同じボストン交響楽団と、2008年にはサイトウ・キネン・オーケストラ(ライヴ)と再録音を行っている。当初、第2楽章として構想され、のちに削除された「花の章」は、1977年録音の本作のみだ。
 センター位置のトランペット音像が確実に安定。まろやかで、すべらかな音色がたいへん美しく、魅力的だ。弦が上質で、響きが艶艶している。ソロを取るオーボエ、ホルン、フルートの木管群と弦の対比が美しい。音場的に音の重心が低く、その位置から、ボストンシンフォニー・ホールの広い空間に音の粒子が滑らかに拡散する様子が躍動的に捉えられている。弦の高音が蠱惑的で、セクシー。1977年10月、ボストンシンフォニー・ホールで録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2012年制作DSDマスター。


◆Tr.6
マーラー:交響曲第3番ニ短調から第5楽章
ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団

●3月27日 配信予定!


『マーラー:交響曲第3番』
ラファエル・クーベリック

 ラファエル・クーベリックは80年代のブーム以前からマーラーに熱心に取り組み、首席指揮者として司っていたバイエルン放送交響楽団との交響曲集は1967年から1971年に録音されている。本交響曲第3番は1967年5月にミュンヘン・ヘラクレスザールにて収録。
 オーケストラと合唱からダイレクトに音が飛翔する。児童合唱は中央やや右から、それに呼応する女性合唱は左からと、音場的な対比を伴って聴ける。アルト独唱はセンターに定位。合唱とオーケストラという異なる音色同士の合奏感と、位置の違いによる音像再現の面白さだ。ホールトーンは少なめで、声と楽器からの直接的な放射感に浸れる。混声合唱の個々の声部がひじょうに明瞭で、帯域的、また位置的な融合感がDSDならではの表現性だ。音色的に明瞭で、細部まで輪郭感が明確だ。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2012年制作DSDマスター。


◆Tr.7
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調から第1楽章
オイゲン・ヨッフム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

●3月27日 配信予定!


『ブルックナー:交響曲第7番』
オイゲン・ヨッフム

 オイゲン・ヨッフムはブルックナーのエキスパートだ。本7番だけでも、1964年の本ベルリン・フィル、アムステルダム・コンセルトへボウ管(1970年)、ウイーン・フィル(1974年)、ドレスデン国立歌劇場管(1976年)、ミュンヘン・フィル(1979年)、アムステルダム・コンセルトへボウ管(1986年日本ライブ録音)

と、6種類もリリースされている。
 高弦トレモロを背景にホルンとチェロの合奏がオクターヴを駆け上がる、冒頭のホ長調の急上昇旋律の神秘性が、優秀録音にて体感される。細部までの彫塑が見事で、ブルックナーらしい高低の周波数的な対比感、楽器・声部の音色の対比感、弱音と強音の対比感……などのコントラストの集合が演奏的にも、サウンド的にも十分な感動性を持って聴ける。音場の透明感がひじょうに高く、空間に音の粒子が緻密に充填される。トゥッティはブルックナーらしく偉容だが、分解能が高く、音の構造的な特徴もよく分かる。ブルックナーを音楽的、音響的快感を持って聴ける名アルバムだ。1964年10月 ベルリン、イエス・キリスト教会にて録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2011年制作DSDマスター。


◆Tr.8
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調から第4楽章
エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

●3月27日 配信予定!


『チャイコフスキー:交響曲第5番』
エフゲニ・ムラヴィンスキー

 ムラヴィンスキーは、手兵レニングラード・フィルを率いて、1960年10月~11月、ヨーロッパの長期演奏旅行に出た。この得難いチャンスを捉え、ドイツ・グラモフォンがチャイコフスキー後期交響曲の録音に挑戦。4番はロンドンのウェンブリー・タウン・ホール、第5番と第6番はウィーンのムジークフェラインザールで収録された。
 古今東西のチャイコフスキー5番でも、最高峰との令名が高い名演奏、そして名録音だ。咆吼するドラマティックな金管、表情の濃い弦、叩き付ける豪快なティンパニ……ロシア的な記号性が色濃く感じられる大迫力、大器量のチャイコフスキーだ。中間部の嵐のような疾走感、切れ込みの鋭さ、どんなに速くとも一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブル……、ムラヴィンスキーが厳しく彫琢したオーケストラ音響のすさまじさがDSDで生々しく再現される。DSDならではの弱音の繊細さから強音の激情までのダイナミックレンジの広さと、ソノリティの濃密さが、迫力と上質さを上手くバランスさせている。1960年11月9、10日、ウィーン、ムジークフェラインザールにて録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2012年制作のDSDマスター。


◆Tr.9
スメタナ:交響詩《わが祖国》から「モルダウ」
ラファエル・クーベリック/ボストン交響楽団

●3月27日 配信予定!


『スメタナ:わが祖国』
ラファエル・クーベリック

 チェコの指揮者にとって《わが祖国》は最も重要なレパートリーだ。クーベリックは1971年にボストン交響楽団と《わが祖国》全曲を録音する以前に、1952年のシカゴ交響楽団、1958年のウィーン・フィルと、すでに二回録音している。本作はクーベリック57歳のまさに気力・体力とも充実していた時期の名演だ。
 冒頭のフルートの調べからして、ひじょうにクリヤーで透明感が高い。繊細でカラフルな音色感、弦の倍音の多さ、アーティキュレーションの濃密さ……は、まさにボストンの音美質だ。クーベリックは旋律にくっきりと輪郭を与え、金管のオブリガートも隈取りが明瞭だ。中間部の農民の踊りのアクセント感、明瞭な旋律線も魅力。
 録音も素晴らしい。もう50年近くも経っているのに、古さがまったく感じられない新鮮なサウンドだ。ディテールまで丁寧に描かれた表情の豊かさを、本録音はこと細かに捉えている。同じボストン交響楽団でもRCA時代の華やぎ主体から、響きと細部表現を高いバランスで保つDGスタイルに変わり、質感はたいそうヨーロッパ的だ。1971年3月 ボストン、シンフォニー・ホールで録音。 DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2011年制作DSDマスター。


◆Tr.10
ラヴェル:《ボレロ》 小澤征爾/ボストン交響楽団

●絶賛配信中!


『ラヴェル:ボレロ、スペイン狂詩曲、ラ・ヴァルス』
小澤征爾, ボストン交響楽団

 1973年、38歳でボストン交響楽団の音楽監督(第13代)に就任した翌年に録音された、小澤得意のラヴェル作品集だ。《ボレロ》他に《スペイン狂詩曲》、《ラ・ヴァルス》を収載。この時期はRCAに代わってボストン交響楽団と録音契約を結んだドイツ・グラモフォンが小澤を使い、新しいレパートリーを拡充していた。
 音場が深い。中央奥に小太鼓が位置し、その手前のフルートから始まり、次ぎに位置は同じだが、クラリネットが少しブロードな音像感で続き、3番目のファゴットは中央少し右よりで、タイトな音色を披露、弱音器付きトランペットはさらに右の奥から来る……といった具合に、ラヴェルのオーケストレーションの面白さが、明確で高解像度なサウンドの下、音色のバラエティさと、位置の変化を聴く楽しみが堪能できる。音場がひじょうに透明だから、明瞭に位置関係が分かるのである。
 音の解像度が高く、空間感が明瞭なのがDSDの美質。音楽が進行し、楽器の数が増えても、空間的な見晴らしは非常にクリアだ。管楽器の合奏ばかりでじらされた末に登場する弦合奏の何と晴れ晴れしいこと。異調が合奏する不協の躍動感も、DSDだから、より音楽的に味わえる。1974年3月、4月、ボストンのシンフォニー・ホールで録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2015年制作DSDマスター。


◆Tr.11
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》から終曲
クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団

●3月27日 配信予定!


『ストラヴィンスキー:バレエ《春の祭典》、バレエ組曲《火の鳥》』
クラウディオ・アバド

 1975年、若きアバドがロンドン交響楽団を振った《春の祭典》と《火の鳥》。後者の終曲をコンパイルした。DSDは音楽的な緊張感と音色の鮮やかさを演出する。ホルンが弱音ながら、音場を上から睥睨する。ステージ上の空気を震わせるのみならず、そのバイブレーションが2つのスピーカーの三角形の頂点で聴いているリスナーのすぐ近くの空気も振動させる。トゥッティでは、音の塊が飛翔する快感。フィナーレは弦のテンション感と金管の咆吼感が融合し、めくるめく華麗で絢爛な音の万華鏡。1975年2月、ロンドン、フェアフィールド・ホールズにて録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2012年制作DSDマスター。


◆Tr.12
ショパン:ポロネーズ第6番変イ長調《英雄》
マルタ・アルゲリッチ

●4月10日 配信予定!


『ショパン:ピアノ・ソナタ第3番、他』
マルタ・アルゲリッチ

 ショパン・コンクール優勝の2年後の1967年、アルゲリッチ26歳の時に録音されたショパン・アルバム。強靭なタッチと、圧倒的にシャープな切れ味、奔放なる驀進……でも、決して粗野にならず、どんなに強音でも、音色の美しさと整然さを失わない驚異のピアニズム。アルゲリッチならではのハイエネルギー感、瞬発力、強靭なタッチ感。どんなに速いパッセージでも、一音一音が輪郭を持ち、音楽的な解像度がひじょうに高い。
 録音もアルゲリッチの演奏とまさしく同質のキャラクターを持つ。細部まで切れ込みが鋭く、高解像度で、輪郭が確実に描かれる。でもクールに徹せず、上質感が色濃く感じられるのがDSDの豊潤な表現力だ。アルゲリッチとDSDという当代随一の組み合わせによる音楽の生命力の発露が聴きどころであり、再生の方向性だ。
 1967年1月、ミュンヘンにて録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2011年制作DSDマスター。カップリングはショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58、ポロネーズ 第7番 変イ長調 作品61 《幻想ポロネーズ》 、3つのマズルカ作品59。


◆Tr.13
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調から第2楽章
マルタ・アルゲリッチ、クラウディオ・アバド/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

●4月10日 配信予定!


『プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番、ラヴェル:ピアノ協奏曲』
マルタ・アルゲリッチ

 《英雄ポロネーズ》のアルゲリッチではまさしく名刀正宗の尖鋭な切れ味を堪能した。ラヴェル:ピアノ協奏曲の抒情楽章のアルゲリッチは、しっとりとした味わいと豊かな色合いを聴かせてくれる。イングリッシュ・ホルンの陰りのある密やかな旋律を背景に、ピアノがはかなげに飛翔する。DSDは、アルゲリッチのタッチの細やかさと感傷性とメランコリーの表情をたいそう美的に表現する。1967年5月, 6月、ベルリンのイエス・キリスト教会で録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2011年制作DSDマスター。カップリングはプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番ハ長調作品26。


◆Tr.14
シューベルト:歌曲集《冬の旅》から「菩提樹」
ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ

●4月10日 配信予定!


『シューベルト:歌曲集《冬の旅》 D911』
ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ

 フィッシャー=ディースカウには、なんと7種類の《冬の旅》全曲録音がある。本作は4度目の《冬の旅》。ジェラルド・ムーアのピアノの前奏がしっとりとした味わいを醸し出し、濃淡の表情づけも明瞭だ。センター定位のピアノ音像が音場に優しく響く。フィッシャー=ディースカウの声はビロードのような濡れた光沢感。DSDは端正なテクスチャーとたっぷりとした潤いの音描写にて、「菩提樹」の世界観を暖かな雰囲気で包み込み、深みと自然な滑らかさを聴かせる。声とピアノがたえなる調和を奏で、しかも声が実在感を持つ。余韻が美しく、 滋味豊かで静かな情趣が素敵だ。1971年8月、ベルリンで録音。DGのオリジナル・アナログ・マスターから独Emil Berliner Studiosにて2011年制作DSDマスター。


◆Tr.15
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調から第1楽章
ヴラディーミル・アシュケナージ、アナトール・フィストゥラーリ/ロンドン交響楽団

●4月10日 配信予定!


『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番、ピアノ・ソナタ第2番』
ヴラディーミル・アシュケナージ

 チャイコフスキー・コンクールで優勝した翌年1963年(26歳)の初録音のラフマニノフ第3協奏曲と、1977年(40歳)の第2ソナタのカップリング。
 オーケストラに包まれるように、センターに位置するピアノの躍動。響きの質が上品で、音楽がホールに溶け込む様子が巧みにとらえられている。オーケストラもピアノもまさしく美音だ。DECCAらしい華麗さを秘めたブリリアントなオーケストラと、強靭なタッチにて和音の重層感を紡ぎ出すピアノとの合奏感がとてもスリリングだ。ピアノの低域が豊かに鳴り、音の肉付けもたっぷり。ラフマニノフらしい濃密な叙情性と、骨格のしっかりとした構築性が同時に堪能できる。1963年3月18、19日、ロンドン、ウォルサムストウ・アッセンブリー・ホールで録音。DECCAのオリジナル・アナログ・マスターより英Classic Soundにて2012年制作DSDマスター。


◆Tr.16
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調から第1楽章
サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団

●4月10日 配信予定!


『マーラー:交響曲第5番』
サー・ゲオルグ・ショルティ

1969年、ショルティがシカゴ交響楽団の第8代音楽監督に就任して最初に録音されたのが、このマーラー第5番だ。
 冒頭の尖鋭にして柔らかなアドルフ・ハーセスのトランペットの素晴らしさ!三回繰り返される三連符の鮮明さ。その頂点のスフォルツァンドの全音符が、広大なシカゴシンフォニー・ホールの空間に、見事なソノリティを保ちながら消え行く様の美しさ。次の爆発的なトゥッティの偉容さと鮮烈さ。シャープな斬れ味!まさに、ショルティだけの峻烈マーラーだ。本録音の意義は、オーケストラを細部まで徹底的に描きだす解像度の高さと、ホールの響きの豊かさが両立していることだ。直接音も間接音も、どちらも鮮明なのである。作曲者の細部への徹底したこだわりが識れるのと同時に、演奏された場の様子も耳で分かる。第1楽章最後のホールに轟き渡る、低弦ピッツィカートの雄大なスケール感にも圧倒される。1970年3月、シカゴ、メディナ・テンプルで録音。この当時、オーケストラホールの改修工事の失敗により、サーカス公演の会場だったメディナ・テンプルを録音会場として使った。DECCAのオリジナル・アナログ・マスターより英Classic Soundにて2012年DSD化。


◆Tr.17
ホルスト:組曲《惑星》から「木星」
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

●4月10日 配信予定!


『ホルスト:組曲《惑星》』
ヘルベルト・フォン・カラヤン

 圧倒的に壮麗でカラフル、そしてブリリアント……まさにDECCAサウンドのショールームだ。1961年にウィーン・ゾフィエンザールでDECCAによって録音されなければ、今日のように《惑星》が広く人口に膾炙することは無かったかもしれない。カラヤン=ウィーン・フィルの演奏の素晴らしさに加え、DECCAの燦めき音が、《惑星》をメジャーシーンに押し上げた。まさに星が強烈に光るような本録音は、《惑星》のスコアの色彩感にベストマッチしていた。ひじょうにきらびやかで情報量が多く、スピードも速い。
冒頭のホルンの響きがゾフィエンザールいっぱいに拡がる様や、ウィーン・フィルらしいしなやかで絢爛な弦の音色もたいそうの快感。ホルンとビオラ/チェロの合奏も、ゴージャスで深い。中間部の有名な悠々たる旋律は、ホルンと全弦の合奏。倍音の饗宴が実に絢爛だ。1961年9月、ウィーン、ゾフィエンザールで録音。DECCAのオリジナル・アナログ・マスターから英Classic Soundにて2011年制作DSDマスター。


◆Tr.18
ファリャ:《三角帽子》から序奏
エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

●4月10日 配信予定!


『ファリャ:《三角帽子》《恋は魔術師》他』
エルネスト・アンセルメ

  《三角帽子》を1919年、ロンドンで初演したアンセルメの決定的名盤。1961年録音の本アルバムは1952年のモノ録音以来の3度目だ。
 冒頭の左に位置するティンパニの連打、続くセンターやや右の金管の躍動、センター位置のテレサ・ベルガンサの「奥さん、閂をかけなさい」と歌う、しっとりとした輝き。左右に拡がる男性コーラスの野性味。まさに、ブリリアントでカラフルなDECCAサウンドの極致だ。アナログ時代から名録音として、数え切れないほどリリースされてきたが、本DSDバージョンはソノリティの豊かさ、色彩感の鮮やかさ、そして雰囲気感の暖かさ……で、特段の魅力を持つ。最後のティンパニの一撃。皮がしなり、音程が少し低くなった途端に、ホールいっぱいに響きが拡がる快感を聴け。1961年2月、ジュネーヴのヴィクトリア・ホールで録音。カップリングは、1955年10月に同じヴィクトリア・ホールで収録された歌劇《はかなき人生》間奏曲と舞曲、バレエ《恋は魔術師》組曲。 DECCAのオリジナル・アナログ・マスターから英Classic Soundにて2012年制作DSDマスター。


◆Tr.19
チャイコフスキー:《くるみ割り人形》から「花のワルツ」
小澤征爾/パリ管弦楽団

●絶賛配信中!


『チャイコフスキー:《くるみ割り人形》組曲、《眠りの森の美女》組曲』
小澤征爾, パリ管弦楽団

 《眠れる森の美女》抜粋とカップリング。この組み合わせでは、1990年にドイツ・グラモフォンが製作したボストン響のアルバムがある。《くるみ割り人形》組曲は1993年、ベルリン・フィルとのヴァルトビューネコンサート「ロシアン・ナイト」のライブがDVDでリリースされている。
 優雅でジェントル、空間に拡がる響きが美しく、ニュアンスの表情がデリケート。速めの闊達なテンポで、グイグイと踊りを牽引する。DECCAレーベルだが、実はフィリップス録音。なので、いわゆるDECCAのような絢爛な油彩感ではなく、繊細でグラデーション豊かな、水彩的なサウンドだ。解像感を強調せず、全体的な音の凝縮感を大切に描く。クリスマスのあでやかな雰囲気が美しく描写されている。1974年2月25-27日、パリのサル・ワグラムで録音。英Classic Sound制作2015年DSDマスター。


◆Tr.20
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調から第1楽章
ラドゥ・ルプー アンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団

●4月10日 配信予定!


『シューマン&グリーグ:ピアノ協奏曲』
ラドゥ・ルプー

 古今、シューマンとグリーグのイ短調・ピアノ協奏曲がカップリングされたアルバムは多いが、決定盤がこれ。音場が深い。冒頭のピアノの短いカデンツァが終わった後の木管合奏の哀愁の旋律は、ステージの奥から。抒情と歌いの透明な美しさを特徴とするルプーとアンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団の音楽的な同調性が聴き物であり、サウンド的にも2者はひじょうにウェルバランスだ。自然な音の輪郭感、節度感覚とカラフルさが好ましい。聴くものを包み込むような、ゆったりとした響きが心地好い。1973年6月、ロンドンのキングズウェイ・ホールで録音。DECCAのオリジナル・アナログ・マスターより英Classic Soundにて2012年DSD化。



◆コンピレーション収録楽曲のオリジナル・アルバム・リリース予定

●3月27日配信予定
①シューベルト:交響曲第8番《未完成》/モーツァルト:交響曲第41番 オイゲン・ヨッフム
②シューベルト:交響曲第3番&第8番《未完成》 カルロス・クライバー
③ドヴォルザーク:交響曲第8番&第9番《新世界より》  ラファエル・クーベリック
④マーラー:交響曲第3番  ラファエル・クーベリック
⑤ブルックナー:交響曲第7番  オイゲン・ヨッフム
⑥チャイコフスキー:交響曲第5番  エフゲニ・ムラヴィンスキー
⑦スメタナ:わが祖国  ラファエル・クーベリック
⑧ストラヴィンスキー:バレエ《春の祭典》、バレエ組曲《火の鳥》  クラウディオ・アバド

●4月10日配信予定
①ショパン:ピアノ・ソナタ第3番、他   マルタ・アルゲリッチ
②プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番、ラヴェル:ピアノ協奏曲  マルタ・アルゲリッチ
③シューベルト:歌曲集《冬の旅》 D911    ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ
④ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番、ピアノ・ソナタ第2番  ヴラディーミル・アシュケナージ
⑤マーラー:交響曲第5番  サー・ゲオルグ・ショルティ
⑥ホルスト:組曲《惑星》  ヘルベルト・フォン・カラヤン
⑦ファリャ:《三角帽子》《恋は魔術師》他    エルネスト・アンセルメ
⑧シューマン&グリーグ:ピアノ協奏曲  ラドゥ・ルプー

ユニバーサル ミュージック『麻倉怜士セレクションSA-CD~SHM名盤50』シリーズ

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