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連載『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』第16回

2014/11/07
数あるハイレゾ音源から、選りすぐりをご紹介する当連載。第16回の今回は、先月東京・お台場で開催されたオーディオ・ホームシアター展 2014「音展」、オンキヨー&ティアック・ブースで特別講演をしていただいた際に紹介された太鼓判ソフトをご紹介してまいります!当日参加された方、されなかった方も要チェック!
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【バックナンバー】
<第1回>『メモリーズ・オブ・ビル・エヴァンス』 ~アナログマスターの音が、いよいよ我が家にやってきた!~
<第2回>『アイシテルの言葉/中嶋ユキノwith向谷倶楽部』 ~レコーディングの時間的制約がもたらした鮮度の高いサウンド~
<第3回>『ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」(1986)』 NHK交響楽団, 朝比奈隆 ~ハイレゾのタイムマシーンに乗って、アナログマスターが記憶する音楽の旅へ~
<第4回>『<COLEZO!>麻丘 めぐみ』 麻丘 めぐみ ~2013年度 太鼓判ハイレゾ音源の大賞はこれだ!~
<第5回>『ハンガリアン・ラプソディー』 ガボール・ザボ ~CTIレーベルのハイレゾ音源は、宝の山~
<第6回> 『Crossover The World』神保 彰 ~44.1kHz/24bitもハイレゾだ!~
<第7回>『そして太陽の光を』 笹川美和 ~アナログ一発録音&海外マスタリングによる心地よい質感~  スペシャル・インタビュー前編
<第8回>『そして太陽の光を』 笹川美和 ~アナログ一発録音&海外マスタリングによる心地よい質感~  スペシャル・インタビュー後編
<第9回>『MOVE』 上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト ~圧倒的ダイナミクスで記録された音楽エネルギー~
<第10回>『機動戦士ガンダムUC オリジナルサウンドトラック』 3作品 ~巨大モビルスーツを感じさせる、重厚ハイレゾサウンド~
<第12回>【前編】『LISTEN』 DSD trio, 井上鑑, 山木秀夫, 三沢またろう ~DSD音源の最高音質作品がついに誕生~
<第13回>【後編】『LISTEN』 DSD trio, 井上鑑, 山木秀夫, 三沢またろう ~DSD音源の最高音質作品がついに誕生~
<第14回>『ALFA MUSICレーベル』 ~ジャズのハイレゾなら、まずコレから。レーベルまるごと太鼓判!~
<第15回>『リー・リトナー・イン・リオ』 ~血沸き肉躍る、大御所たちの若き日のプレイ~
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『This Is Chris』ほか、一挙6タイトル
~音展イベントで鳴らした新選・太鼓判ハイレゾ音源~


■ 音展イベントで伝えたかったこと

音展で太鼓判ハイレゾ音源をご紹介するミニイベントを担当しました。ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございます。来られなかった方にも、そのときお話しした内容を少しご紹介しましょう。

私が伝えたかったのは、“ハイレゾ規格の大きさと音質の良さは、ほぼ無関係”ということ。世間では、「48kHz/24bitよりも192kHz/24bitのほうが高音質、DSDは更に音が良く、384kHz/32biやDSD 11.2MHzとなると夢のような音がする」と認識されています。しかし、これはある意味で犯人のいないマインドコントロールの結果なのです。

ハイレゾ規格の大きさは、例えるなら料理の器の大きさのようなもの。盛り付けるお皿と料理の美味しさとは無関係なのと同様に、音楽の記録規格の大きさと高音質はイコールではありません。しかし、なぜハイレゾ規格の大きさが音質とイコールのように情報拡散されているのでしょう?

オーディオ機器を売る側にとっては、音質の良さは既にアピールポイントでは無くなっているそうです。96kHz/24bitくらいなら、ちょっとしたパソコンや家電でも再生可能ですから、それらと差別化するには192kHz/24bitやDSDが再生できると謳うのが簡単です。更に、384kHz/32biやDSD 11.2MHzに対応しているとなれば、お客様への大きなアピールポイントとなるでしょう。

その規格競争自体は悪い話ではありません。ですが、賢い音楽ファンとしては、“ハイレゾ規格の大きさと音質の良さは、ほぼ無関係”というキーワードをぜひ覚えておいてください。皆さんの催眠術が解けるよう、私がここで「パンッ!」と手を叩きましょう。そうしないと、音楽制作現場で困ったことが起きてしまう可能性があるためです。

例えば、44.1kHz/24bitの素晴らしいマスター音源があるとします。アーティストやエンジニアは、「44.1kHz/24bitのままハイレゾで販売しましょう」と訴えるわけです。しかし、ハイレゾ音源を買う私達が「44.1kHz/24bitなんてハイレゾじゃないし。最低でも96kHz/24bitでないと買わないよ」という態度を取っているとどうなるでしょう?レコード会社の指示で、その素晴らしい44.1kHz/24bitマスターは「マスタリングで96kHz/24bitに変換しなさい」となってしまいます。44.1kHz/24bitから96kHz/24bitへの変換作業で、音質向上する可能性はかなり低いです。マスター音源の良さが失われる確率のほうがはるかに高い、リスキーなマスタリングと言えるでしょう。私達リスナーは、規格の大きさを聴きたいのでしょうか?それとも大好きな音楽を良い音で楽しみたいのでしょうか?

音展のミニイベントでは、そのことを解説してみました。例として、連載第6回の 『Crossover The World/神保 彰』を鳴らし、44.1kHz/16bitと44.1kHz/24bitを比較試聴。イベントの環境から厳密な比較実験ではなかったものの、そのサウンドの雰囲気は感じていただけたのではと思います。

■ 太鼓判ハイレゾ音源が大漁

音展イベントに合わせて太鼓判ハイレゾ音源を漁っていたところ、嬉しいことに大豊作でした。今回は、実際に音展イベントで鳴らして好評だった新選・太鼓判ハイレゾ音源の一挙6タイトルをご紹介します。


『This Is Chris (Remastered 2014)』 (96kHz/24bit)
/Chris Connor



女性ボーカルの名盤は、なんと1955年の録音にして超リアルサウンド。最新レコーディング技術をもってしても半世紀以上前の録音に勝てないのではないかと、頭を抱えてしまいます。ハイレゾ音源は、時にタイムマシーンとなって1955年のクリス・コナーと私達を会わせてくれるのです。


『The Colors Of Rhythm』 (96kHz/24bit)
/Rodney Kendrick



今回のイベントで鳴らした中でもイチオシの、ピアノ・トリオ好きに絶対お薦めの作品。このドラムの切れ味は、CD規格で再現するのは困難でしょう。イベントでは5曲目を鳴らしました。


『Bach, J.S.: Italian Concerto; French Overture; Aria Variata』 (96kHz/24bit)
/Vladimir Ashkenazy



アシュケナージ氏による、バッハのピアノ・ソロ。2013年と2014年の録音で、音質的には2013年のほうが若干良いように感じました。音像が遠いクラシック作品が多い中、このピアノのエネルギーは素晴らしい!


『Imagine』 (96kHz/24bit)
/John Lennon



私の住む軽井沢は、ジョン・レノン氏が訪れていたことで有名な地。軽井沢に立つジョンの写真を見ると、やはり興奮せずにはおれません。手持ちのCD盤『イマジン』と聴き比べて驚きました。ハイレゾ版が圧倒的に素晴らしい!リマスタリング成功の鍵は音楽愛だと私は感じていますが、本作は並々ならぬイマジン愛を感じる仕事っぷり。イベントでもCD盤とハイレゾ版を比較試聴し、驚きの声が上がりました。


『時の流れに身をまかせ/つぐない』 (192kHz/24bit)
/テレサ・テン



音展会場広しといえど、『つぐない』を鳴らしたのは私くらい?これは日本のレコード会社による、プロの仕事を感じるハイレゾ音源です。まるでレコーディング・スタジオでマスター音源を聴いているような、非常にクオリティーの高いサウンド。『つぐない』もイベントの評判は上々でした。


『ART OFFICIAL AGE』 (44.1kHz/24bit)
/Prince



イベント会場のデモ・スピーカー“ONKYO/D-77NE”自慢の30cmウーファーを、破壊せんばかりの勢いで鳴らした本作。現代録音における、ひとつの理想的仕上がりだと私は感じています。そしてイベントを最も沸かせた本作は、なんと44.1kHz/24bit作品。私も音展当日のお昼休みまで、てっきり96kHz/24bitだと思っていました。“ハイレゾ規格の大きさと音質の良さは、ほぼ無関係”というキーワードを再認識できる、超強力サウンドです。

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筆者プロフィール:

西野 正和(にしの まさかず)
3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。