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【新連載】ヴァイオリニスト寺下真理子の「音楽の神様に愛される音楽家になるために」 第1回

2018/12/19
『AVE MARIA』『ロマンス』の2作のソロ・アルバムがオーディオファンからも高い人気を誇るヴァイオリニスト、寺下真理子。ソロでの活動のほか、最近では「美少女戦士セーラームーン Classic Concert」への出演やテレビのバラエティ番組への出演などでも注目を集める彼女の新連載、ヴァイオリニスト寺下真理子の「音楽の神様に愛される音楽家になるために」がスタート。演奏家がどのようなことを考え、どのように音楽を捉えているか、など、演奏家視点でクラシックをご紹介します。
◆第1回「私の愛する作曲家、ブルッフ」

私は5歳からヴァイオリンを始めて、これまで、多くの作品と出会ってきましたが、とりわけ、好きな作曲家が何人かいます。その時によって、自分の中のブーム(今はこの作曲家が好き!と言った)もあるのですが、小さい頃から今でも変わらず大好きな作曲家が、マックス・ブルッフです。

ブルッフはドイツ・ケルン出身のロマン派の作曲家です。あまり、知名度の高い作曲家ではないかもしれません。

けれど、とても美しい作品をこの世に残しています。ヴァイオリン協奏曲第1番とスコットランド幻想曲がヴァイオリンの作品の中ではとりわけ有名ですし、私も大好きな作品です。




今年の夏に、長年の憧れであった「スコットランド幻想曲」を関西フィルハーモニー管弦楽団と共演させていただきました。




この曲が好きすぎて、とにかく、私はこの作品と私だけの生活がしたいと思い、コンサートに向けて、ずっと彼の作品のことを考えていました。 作曲家の魂に触れられるような感覚にまで登りたい一心でした。




私は、個人的に練習する時には、録音しながら練習を進めていきます。自分の理想とする音楽と、現実での演奏のギャップを埋めていくのが練習だと思っています。

音は瞬間で消えてしまいます。それを全て客観的にキャッチしていくのは至難の技です。(練習の際)自分は出来てる!と過信するのが一番怖い。なので、練習の過程では録音しながら、一音一音チェックして、理想の形へと変化させていきます。細かい単位だと、1小節だけを録音して、音の向きや、流れ、表情を何度もチェックしていきます。そうすると、頭の中で、感覚が数値化されていき、論理的に理解していくことができます。この作業を通して私の中では、楽譜の全体を読み込むという感覚につながっています。毎回感覚だけで演奏していると、その時に感覚が優れないと、わからなくなる瞬間が出てきますし、説得力のある演奏ができません。

わかりやすくいうと、建築と同じイメージかもしれません。

骨組みがしっかりしていてこそ、完成した時に崩れないものになるという感じです。長さや、重さが適当だと崩れてしまいますよね?小さい単位から(木はどの材質を使うのか、重さは?長さは?等)こだわりを固めて行くということです。しかし、全体像も見ていなければなりません。このバランスが大事です。

とても地味で大変な作業ではあるのですが、プロである以上、このこだわりが、音楽の仕上がりを一段極めてくれると信じています。

一方、感性、インスピレーションを磨く事も大切です。今年の2月、ドイツ・ベルリンに行く機会があったので、ブルッフのお墓を訪れてきました。この日は雪の降る寒い1日でした。しかし、儚く降る雪とお墓が映画のワンシーンのように美しく、そして、小さい頃から大好きな作曲家に会えた感動で、感極まってしまい、涙が溢れてきました。お墓までもが、ブルッフの作品のように美しく、そこに佇む空気がまさに、ブルッフの音楽そのものだったんです。この感動は、コンサートでの演奏にも大きなインスピレーションを与えてくれたように思います!




こうして、いろんな面から作品に対してアプローチをしていき、完成させていっています!

今回は、私の大好きな作曲家ブルッフのお話と、作品に対して、どういう向き合い方をしているのか・・・というお話でした!

次回も、お楽しみに!


◆「ブルッフ:スコットランド幻想曲」





◆寺下真理子 関連作品









◆寺下真理子×SUGURU(TSUKEMEN)「ムーンライト伝説」弾いてみた動画


◆寺下真理子×SUGURU(TSUKEMEN)「乙女のポリシー」弾いてみた動画



寺下真理子 プロフィール

5歳よりヴァイオリンを始める。
東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校、
同大学、ブリュッセル王立音楽院修士課程卒業。

1993年、第1回五嶋みどりレクチャーコンサートに出演。
1996年、第50回全日本学生音楽コンクール中学生の部、大阪大会第2位受賞。
1997年、第2回宮崎国際音楽祭にて、故アイザック・スターン氏の公開レッスンを受講。
五嶋みどりデビュー20周年記念コンサート(大阪NHKホール)にて五嶋みどりと共演。
2004年には第2回東京音楽コンクール弦楽器部門第2位(ヴァイオリン最高位)受賞し注目を集めた。
2014年、大桑文化奨励賞を受賞。
2015年11月6日には初の台湾公演を行い大成功を収めた。
2015年2月4日「Ave Maria」(KING RECORDS)をリリースし、高音質ハイレゾ音源配信サイトにて全ジャンルの中から週間1位を獲得。Yahooニュースにも掲載された。
韓国の大手ハイレゾ音源配信サイト”groovers”にて、4位にランクイン。その後も長期間に渡りTOP50にランクインした。
2017年2月22日に2枚目のアルバム「ROMANCE」(KING RECORDS)をリリース。
同年4月から全国5都市にて、「ハウス食品グループ ファミリーコンサート」、8月2日、3日には「美少女戦士セーラームーン 25周年記念Classic Concert」にソリストとして出演。

また同年、「平成29年度 和歌山市文化奨励賞」を受賞。

これまでに東京フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、日本センチュリー交響楽団、九州交響楽団などと共演。

各地での様々なコンサート・リサイタル・公演の他、テレビ・ラジオなどにも積極的に出演中。

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