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【特別企画】麻倉怜士 最新リミックス・ハイレゾ『ホワイト・アルバム』の音楽理論的、音質的徹底考察

2018/11/09
1968年11月、ザ・ビートルズ通算9作目であり、初のダブル・アルバムとして発売された『ザ・ビートルズ』。自身のレーベル、アップル・レコードからの第1弾でもあるこの作品は、のちに“ホワイト・アルバム”と呼ばれることになり、リリースから50年にわたり、その収録された多彩で野心的な音楽で新しい聞き手を魅了し続けてきた。

2017年に発売され世界中で大きな話題となり、成功をおさめた『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に続き、今回『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』の50周年記念エディションが複数フォーマットでリリース。新ステレオ・ミックスはプロデューサーのジャイルズ・マーティンとミックス・エンジニアのサム・オケルが担当。

e-onkyo musicでは、この『ホワイト・アルバム』のハイレゾ配信を記念して、オーディオ&ヴィジュアル評論家の麻倉怜士氏による特別企画「最新リミックス・ハイレゾ『ホワイト・アルバム』の音楽理論的、音質的徹底考察」を掲載。音楽理論とオーディオの両方の視点から、『ホワイト・アルバム』のハイレゾ・バージョンを考察します。




◆『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』50周年記念エディション


『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』全曲の新ステレオ・ミックスに加えて、同時期にレコーディングされたデモ、同作のレコーディング時に残されたセッション・レコーディング等の未発表音源を収録。



◆麻倉怜士による「最新リミックス・ハイレゾ『ホワイト・アルバム』の音楽理論的、音質的徹底考察」

 私はこの4月から、早稲田大学エクステンションセンターにて、「ザ・ビートルズ全曲分析」講義を毎週、行っている。全13アルバム+全シングル213曲の音楽理論的分析である。コード進行を中心に音階(7音音階、5音音階)、音律(教会旋法)、旋律(音型)分析も加え、理論的な切り口から、ザ・ビートルズ曲の感動の秘密を解き明かすという内容だ。あまりに徹底して分析しているので、1アルバムで平均5回も費やす。13アルバムとシングルをコンプリートするのは、来年の夏という大河(?)ぶり、だ。

 コード進行で読むと、ザ・ビートルズの四人がさまざまに新鮮なアイデアを持ち寄り、他の誰も寄せ付けないワン・アンド・オンリーの曲を作ってきたことが、よく分かる。ザ・ビートルズのコード進行は、基本的なダイアトニックコード(その調の音階音で構成される和音)での展開に加え、ノンダイアトニックコード(非音階音和音)で味付けされるという点では、一般のポップスと変わらないが、それ以外に実にザ・ビートルズならではの独自手法が多く使われている。

①ブルーノートの旋律とコードでの活用。ブルーノートとは音階の第3、第5、第7音を半音下げ、ブルージーな雰囲気を濃密に出す表現手法。セブンスコードはその一種だ。第1作アルバムの“Please Please Me (1963)”以来、全時期に渡って活用され、ザ・ビートルズサウンドの根幹を成している。

②ノンダイアトニックコードの中でも、フラット系の活用。一般にノンダイアトニックコードは、ドミナント進行(4度上に進む)を強化する意味で、シャープ系のコード進行がよく使われる(ドッペル・ドミナント、セカンダリー・ドミナント)が、ザ・ビートルズは、フラット系のノンダイアトニックを使い、ここぞという時に味の濃いサウンドを演出する。

③華麗な転調芸。基本的な近傍転調、遠隔転調に加え、ブルーノート転調、半音スライド転調……など、調の世界観を巧みに操るのが得意だ。

④旋律芸。ドレミファソラシドの音階をそのまま上行/下行,ヨナ抜きのペンタトーン……などメロディの紡ぎ方も独特だ。

⑤クリシェ。「常套句」という意味の技法。半音、もしくは音階にしたがって、下行する。コードのトップノートの場合もあれば、旋律が下行、さらにコードが下行……と、さまざまなクリシェがある。ザ・ビートルズといえばクリシェ!だ。

 今回のホワイト・アルバムは、それらザ・ビートルズ的音楽理論のデパートだ。ザ・ビートルズが自分たちの独自メソッドを活用して、絶対的な音楽的境地を切り拓いたことが明確に識れるのが、本アルバムであり、特にメンバーによる音楽性の違いが色濃く表出されたのが、特徴だ。リミックスとハイレゾ(96kHz/24bit)化により、そうした音楽的な作品観が、CDに比べどのように違ってきこえるだろうか。1枚目から“Dear Prudence”、“Glass Onion”、“Ob-La-Di, Ob-La-Da”、“While My Guitar Gently Weeps” 、“Blackbird”、 “I Will”、“Julia”、2枚目から“Honey Pie”、“Good Night” ----の9曲のCDとハイレゾ(BDオーディオ)を比較分析した。なぜこれらの曲なのか?私が特に好む曲だからだ。



“Dear Prudence”
 前曲“Bach in the U.S.S.R”のジェットエンジン逆噴射音から被る、冒頭のセンター定位のギターがリミックス・ハイレゾではひじょうに明瞭。CDではギターが右にいたが、リミックス版では、中央やや左だ。音色もCDでは単音が目立っていたが、リミックス版では合奏感が強い。CDに比べジョンのヴォーカルの質感が緻密で、Prudenceに優しく呼びかけるように、語尾を丁寧に語る。

 2018年10月1日、ユニバーサル・ミュージックでの試聴会。ジョージ・マーチンの息子で、本アルバムのリミックスを担当したジェイルズ・マーティンは、言った。「“ディア・プルーデンス”のギターの入りの部分がステレオになったことでより美しくなったというのが私の実感です。きっとジョンもこのサウンドを目指していたんじゃないかと、思っています」。 

 ザ・ビートルズの音楽的特徴である、クリシェ進行は冒頭から大大的に出現。ギターによるEからほとんど1オクターブ下のF#まで音階を敷衍、下行する大規模クリシェだ。CDでは音の輪郭がくっきりと描かれ、下行具合がはっきり聴き取れるが、リミックス版は、クリシェは全体のサウンドの中にきれいに溶け込み、それに特別な仕上げ感は、ない。つまり、トータルな音楽的なまとまりを重視したリミックスと、聴ける。

 9小節目からのBメロディの「♪The sun is up, the sky is blue」の部分の半音クリシェするベースは堂々と輪郭を立て、マルカート(はっきり、明確に)に奏する。CDでは単音的に、くっきりと盛りあがったベース音だが、リミックス版ではそこだけがフィーチャーされるのではなく、合奏の一員としてバンドを支えるような気概も聴ける。音の密度感がハイレゾではより感じられるのだ。

 D音のドローン(持続音)が鳴り続け、「♪Look around, round」を繰り返すサビ部分は、ジョンのボーカル、ジョージのギター、そして呪文の様なコーラスが重なり、驚くほど盛りあがりをみせるが、ここでの各音要素の分解能的な描写が秀逸であると同時に、それらが統合され、濃密な一体感が演じられていることが、ハイレゾでは聴き取れる。
 次に冒頭と同じ「♪Dear Prudence」との呼びかけに、左チャンネルにギターが明瞭なリフを奏でる。この部分のジョンのヴォーカルは金属的で鋭い。個々の要素を強調しているCDより遙かにバンドとしての統合感、換言するとインストゥルメンタルとヴォーカルとコーラスの融合感が濃くなったのが、リミックス&ハイレゾ版の音楽的ポイントだ。

“Glass Onion”
 個々の音を強調するのではなく、融合感、一体感を打ちだそうというリミックス方針は、3曲目のGlass Onionでも色濃く、聴ける。CDではドラムス、ベース、ギターが、音像的に明確にフィーチャーされるが、リミックス版では、全体の合奏感が主体になる。楽器とヴォーカルの質感は、CDより遙かに優れる。粒子サイズが圧倒的に小さく、細やかになり、それらが絡み合い、高密度に充填されるというイメージだ。

 ジョンのヴォーカルもCDでは太めで粗野感が強いが、ハイレゾでは、叩き付けるような迫力が実は緻密な音楽的なコンテキストに支えられていることが、聴き取れる。いわゆるロック的な力感はCDにあるかもしれないが、リミックス版は音楽的な完成度をさらに上げた。もっとも遠隔な裏音の冒頭のA音とEb音は、ハイレゾは不気味感を質感高く、表現している。

“Ob-La-Di, Ob-La-Da”
 ハイレゾはCDとはまるで音色が違う。冒頭の鋭いジョンのピアノの音像が引き締まる。明らかに音像はタイトになり、質感が向上している。同時に(変ロ長調でドミソと奏す)ポールのベースの輪郭感に密度感が、しっかりと伴ってくる。第1から第3小節までのベース音の1オクターブ下のサブベース音が第4節から入る。このベース二重奏が、CDに比べハイレゾではたいそうクリアで、調和感が高い。

   ポールのヴォーカルも、とても上質だ。「♪Ob-la-di Ob-la-da life goes on bra Lala how the life goes on」のコーラスが非常にクリアになり、量感主体のCDに比べ、質感と明瞭さが格段に向上する。ここは前半がユニゾンで、後半が二部、三部合唱になるが、ハイレゾ版では、その音程も明確に感じられる。音の粒立ちが細かく、明らかに解像度が高く、ヌケがクリアだ。

 “Ob-La-Di, Ob-La-Da”は主要三和音(トニック、ドミナント、サブドミナント)で主に構成される、ホワイト・アルバムでは例外的なシンプルなハッピーソングだ。音楽的な要点は、「♪Ob-la-di Ob-la-da life goes on bra」の「bra」の部分のマイナーコードの2連発。ここはⅢ度のDmとⅥ度のGmが連続する。このⅢ度マイナーとⅥ度マイナーが続くのは、一般的に多くの名曲にみられる定番のコード進行だ。ザ・ビートルズ曲でも多くの例がある(“ハード・デイズ・ナイト”など)。特にトニックの代理コードであるⅥmのマイナー感は強烈。ザ・ビートルズ曲では、この「大マイナー」(私は早稲田の授業でこう呼んでいる)が、ここぞという時に衝撃的に使われる。ハイレゾ版では、ひじょうに音の粒が細やかで、キメも細かいので、「大マイナー」Gmの響きが深く、心の奥底まで到達し、ハッピーソングにおける意外なマイナー感が深く味わえる。

 そのGmの部分の旋律音はBb(2点ロ)で、本曲でもっとも高い音だ。もっとも盛りあがる音にマイナーコードを宛がうという逆説的な和声法もザ・ビートルズの得意技。さらにフィナーレのコーダに入る部分でも、曲の彩りを大胆に変える役割で使われている。ハイレゾは、そんな曲調変化も、色彩豊かに演出してくれる。サビのサックス2本の6度音程の下行オブリガートもたいへん明瞭で、このハッピーソングに花を添えている。

“While My Guitar Gently Weeps”
 ハイレゾは音質が圧倒的に良い。冒頭は左チャンネルのピアノと、右チャンネルのベース、ドラムスが主役という点は同じだが、CDはもっぱら、これらを太い輪郭とボディ感で聴かせるのに対し、ハイレゾは迫力に加え繊細さ、緻密さ、品質感も加わる。冒頭の左のピアノは同じA音を叩いているが、途中で微妙に音価(音符の長さ)が異なる。その細かな時間軸の差異は、音の立ち上がり/下がりが素直で、余計な輪郭がまとわり付かないハイレゾのほうが、よく分かる。

 CDとの違いはダブルトラックのジョージのヴォーカルでさらに識れる。CDはくっきりとした声に掛けられたリバーブが気になるが、ハイレゾは、それは飾り的な響きではなく、声質に艶を与える真摯な響きだ。50秒からハモンドオルガン(演奏はジョージ)が白玉の持続音を奏するが、その音もハイレゾでは必要以上にキラキラしない。右のベースも雄大で質感がいい。1分55秒からの左チャンネルのエリック・クラプトンのWEEPSギター。CDはぶっとく、むせび泣くが、ヌケのよいハイレゾではシャープな尖りが、よりセクシーだ。

 2018年10月1日の試聴会で「一番時間がかかった楽曲とその理由を教えてください」という質問に、ジェイルズ・マーティンは「もっとも大変だった曲は、“ ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス“ です。理由はあまりにも美しいサウンドだったので、あまり重々しくならないように慎重にならなくてはいけなかったからです。ミックスは全ての作業が全てのことに影響を与えます。ジョンは6弦のベースを弾いていますが、そのベースのサウンドを重くしてしまうと、ジョージの天から下りてきたような美しい歌声が失われてします。自分にとってミックスで一番重要なのは心にどう響くかです」と、素晴らしいコメントをしている。

“Blackbird”
 2フィンガー奏法により、1本のギターで、ベースとハーモニーを同時に奏し、ベース部はG A B C C# D D# E Ebと全音で上行する。冒頭の4分の3拍子の、わずか2小節のギター音で、いかにハイレゾがザ・ビートルズ音楽再生に優れるがが分かる。ギターの質感がまるで違うのである。CDでは輪郭が太く、低音弦と高音弦が交差して混ざり合っているが、ハイレゾでは、そのいずれもが繊細で、分数コードの音程と音色の違いが明瞭に聞こえ、作曲者ポールの意図がより明確に伝わる。

 「♪Blackbird singing in the dead of night」と歌い始めるポールの声も、CDに比べハイレゾは遙かに繊細で、質感がよい。CDでは輪郭の強調感があるが、ハイレゾではナチュラルで緻密だ。粒子も細かい。ダブルトラックで収録されている、サビの「♪Blackbird, fly Blackbird, flyInto the light of the dark, black night」の部分は、CDでは強調感が二重に重なり、輪郭が太く、シャープ過ぎるが、ハイレゾは同声、同音程が音楽的に重なる調和感があり、なにより音が太くならずに、繊細な質感を保っている。それこそが、Blackbirdにおけるハイレゾの意義だ。

 ハイレゾで聴くと、ポールは語尾に無限の思いを託していることがより分かる。冒頭の「♪Blackbird singing in the dead of night」の「night」は4分の4拍子の1小節まるまる歌われる。「night」の1単語が全音符に延ばされるわけで、語尾に込めたニュアンスの微細な感情部分の表現は、ハイレゾが格段に濃密だ。「♪All your life」の「life」の全音符も感情が濃い。

“I Will”
 この時期のザ・ビートルズにしては、珍しくも定番コード進行「F Dm Gm C」が使われている。CDでは、ヴォーカルもギターも、そして、本曲の特徴であるポールの「ボーカル・ベース(スキャット)」もすべて、音色的にも音像的にもぶっとく聞こえる。ハイレゾはしなやかで、肌触りがすべらか。耳の快感だ。なにより、輪郭が繊細で、素直な音調感がいい。本曲のテーマは、恋人への「優しさ」。強調感が強いCDと異なり、ハイレゾの語りかけているようなジェントルさが感情的に心地好い。

 サビの「♪Love you forever and forever Love you with all my heart」の三度音程のダブルトラック、最後のlaの三度音程のスキャットも、ハーモニーが明瞭に聴け、長三度音程だからこそ生まれる安定感、信頼感、そして思いの深さ……まで、ハイレゾでは堪能できるのである。

“Julia”
 不思議のコード進行満載の曲だ。ニ長調のドミナントコードはAメジャーだが、コーラスの「♪Julia, Julia」の2番目の「Julia」のコードはAmとAm(add9)。これは、Aがブルーノート化したドミナント・マイナーで、ザ・ビートルズ曲にはよく見られる特別なコード使いだ。(例えば”I'LL GET YOU”も同じニ長調でドミナント・マイナーAm)。

 次に「洋子」の英語呼び名の「♪ocean child」が来る。この部分のコードはB7。つまりコードのトップノートがA音→add9のB音→B音と、クリシェ上行している。これもザ・ビートルズ的なコード進行の特徴だ。

 このB7というコードは。ニ長調のダイアトニックにはない和音。普通は、セカンダリー・ドミナント(曲の途中でドミナント進行する)を構成し4度上のEに行くはずが、何の関係もないG(ニ長調のサブドミナント)に進み、次ぎにGがマイナー化し、サブドミナントマイナーとなる。短いサビの「♪Her hair of floating sky」では、ニ長調とまったく関係のないC#mという不思議なコードだ。進行せず、すぐにトニックDに戻る。このように、“Julia”はザ・ビートルズ的な香りが濃密な、夢見るようなコード進行のオンパレードだ。

 CDでもこれらの音楽的特徴はもちろん知れるが、音像描写が緻密でナチュラルなハイレゾでは、ヴォーカルとスリー・フィンガー・ピッキングによるアコースティック・ギターの融合感が高く、ハーモニーのクリアさが際立ち、コードの持つ音楽的意味合いが、より明確に、明瞭に聴けるのである。

“Honey Pie”
 大正ロマン(?)のノスタルジア。78回転のSPレコードのノイズ音も入り、懐かしい戦前の雰囲気満喫のデジャヴ的ナンバーだ。和声的なハイライトはコーラスに入って3小節目のEb7のコード。ト長調では、普段はまったく使わない特殊なコードだ。「♪Honey Pie you are making me crazy」の「crazy」の部分だ。理論的には「準固有和音」といい、同主短調(主調がト長調だからト短調)のダイアトニックコードを借用するテクニック。ザ・ビートルズ曲では、このⅥbコードが特に感情を濃く表現するところで、活用される(例えば、“I Saw Her Standing There”)。crazyといっても、狂乱的なmadではなく、「君に首ったけ」という軽く、しゃれた感じ。それ雰囲気をⅥbコードはおしゃれに表現している。

 まとめこの部分はスペシャルだが、楽曲全体では緊密なドミナント進行が多く使われ、和声的な進行感、安定感は高い。ヴァースはホ短調で少しメランコリー。次いでコーラスで平行調のト長調に転調し、朗らかな雰囲気に変わる。さらに特殊な準固有和音が加わり、懐かしくも色濃い感情が聴ける。

 ハイレゾの表現力は圧倒的だ。ヴァース冒頭の「♪She was a working girl North of England way」のセンター定位のヴォーカルのクリアな艶感と、左チャンネルの調子の外れたピアノの懐かしい古物感との対比がいい。コーラスに入ってもヴォーカル、ピアノ、ギター、ベース、ドラムスの各音像がひじょうに明瞭で、音場の透明度が高い。ヴォーカルの粒立ちも細かい。四拍子を刻むピアノの4和音が、確実な音の進行を支えている。半ばから活躍する管楽隊の量感も格段だ。

“Good Night”
 豊潤な弦楽に包まれて、気持ち良く歌うリンゴ。ハイレゾで聴くと、マントヴァーニのようなスウィートな音調だ。同じストリングス使いでも“イエスタディ”や“エリナー・リグビー”のドライでシャープな切り口とは対照的だ。CDではストリングスもヴォーカルも輪郭が強調され、音の粒子が粗いが、ハイレゾでは粒立ちがひじょうに細やかで、煌びやかで、深い音調だ。音色も華やかで、質感がすべらかだ。音像的にも、CDではストリングスとヴォーカルが混然としているが、ハイレゾは分離度が高い。つまり音像が輪郭強調されない形で、ボディ感豊かに表出するのである。ハイレゾで素敵な夢が見られそうだ。

まとめ
今回のリミックス&ハイレゾのホワイト・アルバムはザ・ビートルズを深く識る上で、是非とも聴かなければならないマストアイテムだ。リミックスにて、より楽曲のサウンド的構造が明瞭になり、ハイレゾで(CDでは分からなかった)音楽的構造が、クリアに見えてくる。リミックスとハイレゾ化にて、本アルバムの価値が飛躍的に高まった。



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