PC SP

ゲストさん

NEWS

【10月3日更新】 ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music

2018/10/03
衛星デジタル音楽放送ミュージックバードで、2017年1月にスタートした番組「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」と連動したコラム。音にこだわるオーディオ・ファン、ハイレゾに初トライしてみたいクラシック・ファンのために、「ハイレゾ女子」として活躍する音楽ライター・原典子が、e-onkyo musicから選りすぐりのタイトルをご紹介します。 文◎原典子
10月のテーマ:銀幕のクラシック

 サイレント映画の時代から、切っても切れない関係にあった映画と音楽。10月は「銀幕のクラシック」と題して、古今の映画の中で使われたクラシック音楽を特集する。映画のために書き下ろされたオリジナルの音楽ではなく、既存のクラシック曲がどのように使われたのか、忘れられない名シーンの数々を思い出しながらお聴きいただきたい。

◆キューブリックとヴィスコンティ

 第1週と第2週は、スタンリー・キューブリックとルキノ・ヴィスコンティの監督作品を取り上げる。どちらも完璧主義者として知られる巨匠。もちろん、使われる音楽からも一切妥協のないこだわりが感じられる。
 キューブリックといえば、なんといっても『2001年宇宙の旅』で使われたR.シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」が有名だが、私は『バリー・リンドン』の音楽が強く印象に残っている。18世紀ヨーロッパの貴族社会を舞台にしたこの映画では、ヘンデルをはじめヴィヴァルディ、バッハ、モーツァルトといった18世紀の音楽が使われている。しかし、唯一の例外がシューベルト。野心に燃える主人公バリーが美しい貴婦人レディ・リンドンを見初め、巧みに心を掴み、彼女が恋に落ちるまでの一連のシーンのバックにずっと流れているのが、シューベルトのピアノ三重奏曲第2番の第2楽章。まるでこのシーンのために書き下ろされた音楽のように、ぴったりとはまっている。
 一方のヴィスコンティはといえば、『ベニスに死す』で使われたマーラーの交響曲第5番の第4楽章「アダージェット」が有名だが、大作『ルートヴィヒ』ではワーグナーの「ローエングリン」が重要な役割を果たしている。ワーグナーに心酔し、バイロイト祝祭劇場建設を援助したことでも知られるルートヴィヒ2世は、幼少期をホーエンシュヴァンガウ城で過ごした。この城こそ、「ローエングリン」に描かれた白鳥伝説ゆかりの地なのである。まさにルートヴィヒの原点と理想を、ヴィスコンティは音楽に込めたというわけだ。

◆道ならぬ恋と音楽

 第3週以降は監督ごとではなく、テーマごとに作品を取り上げていく。ここでは、その一部をご紹介しよう。
 「道ならぬ恋と音楽」と題した第4週では、『みじかくも美しく燃え』(ボー・ヴィーデルベリ監督)、『逢びき』(デヴィッド・リーン監督)、『恋人たち』(ルイ・マル監督)という3本の映画で使われた音楽をお届けする。これらの映画に共通するのは、いずれも既婚者の恋を描いた物語であるという点。モーツァルトのピアノ協奏曲第21番、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、ブラームスの弦楽六重奏曲第1番……登場人物たちの言葉にできない想い、官能と苦悩の間で揺れる心の動きをドラマティックかつ繊細に代弁することができるのは、歌詞のないクラシック音楽だからこそと言えるだろう。
 第5週の「音楽家たちのドラマ」では、音楽家や作曲家の人生を描いた映画を取り上げる。作曲家を主人公とした映画は数あれど、ひときわ異彩を放つのはケン・ラッセル監督作品。ザ・フーのロック・オペラ・アルバムを映画化した『トミー』などでも知られるが、マーラー、リスト、チャイコフスキー、エルガーなど、作曲家を題材にした映画やドキュメンタリーを数多く手がけている。といっても、通常の伝記映画とはまったく違う。ザ・フーのヴォーカリスト、ロジャー・ダルトリー扮するリストを19世紀のロック・スターとして描いたハチャメチャお下品なコメディ『リストマニア』や、マーラーの生涯を狂気に満ちた幻想シーンを多用して描いた『マーラー』など、もうやりたい放題! 正当派クラシック・ファンが観たら怒りそう。でも、私は好きだ。
 秋の夜長、ぜひ皆さんも、映画を観ながら、そこで使われている音楽の意味を考えてみてはいかがだろう。



<スタンリー・キューブリック~『2001年宇宙の旅』、『バリー・リンドン』、『アイズ・ワイド・シャット』>

●『R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」他』
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団




●『シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番、アルペジオーネ・ソナタ』
アンチェ・ヴァイトハース(vn)マリー=エリザベス・ヘッカー(vc)マルティン・ヘルムヒェン(p)




●『ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲第1番、第2番』
ドミトリ・ヤブロンスキー指揮ロシア国立交響楽団




<忘れられないシーン~『惑星ソラリス』、『ワイルド・アット・ハート』、『ゴッドファーザー PART III』>

●『バッハ:オルガン作品集』
塚谷水無子(org)




●『R.シュトラウス: 交響曲「死と変容」、4つの最後の歌』
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S)ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団


●『イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集』
アンドレア・バッティストーニ指揮カルロ・フェリーチェ劇場管弦楽団・合唱団




<道ならぬ恋と音楽~『みじかくも美しく燃え』、『逢びき』、『恋人たち』>

●『モーツァルト:ピアノ協奏曲第6、17、21番』
ゲザ・アンダ(p)モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ、ザルツブルク




●『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 他』
ガブリエラ・モンテーロ(P)カルロス・ミゲル・プリエート指揮ユース・オーケストラ・オブ・ジ・アメリカ




●『ブラームス:弦楽六重奏曲 第1&2番』
ルノー・カピュソン、クリストフ・コンツ(vn)ジェラール・コセ、ゴーティエ・カピュソン(vc)他




<音楽家たちのドラマ~『秋のソナタ』、『25年目の弦楽四重奏』、『マーラー』>

●『ショパン:24の前奏曲』
Grigory Sokolov




●『ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番』
ジャスパー弦楽四重奏団




●『マーラー:交響曲第10番(1976年クック版)』
ヤニック・ネゼ=セガン指揮ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団 他




<アニメ映画~『ファンタジア』、『千夜一夜物語』、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』、『時をかける少女』>


●『デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」、ミヨー:バレエ音楽「世界の創造」
ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団




●『リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」』
小澤征爾指揮ボストン交響楽団、ショゼフ・シルヴァースタイン(vn)




●『甘き死よ来たれ/ゲリー・カー・バッハを弾く』
ゲリー・カー(cb)




●『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』
高橋悠治(p)








【バックナンバー】
<第1回> 違い歴然!ハイレゾで聴きたい名曲名盤
<第2回> ポスト・クラシカルが止まらない!
<第3回> 世界のこだわりレーベル探訪 その1!
<第4回> 春の声
<第5回> 確信犯的クラシック――革新的NEXT GENERATIONS
<第6回> 雨の日の音楽
<第7回> 世界のこだわりレーベル探訪 その2 ~自主レーベル篇
<第8回> エキゾでフォークなクラシック
<第9回> 来日オーケストラ&演奏家特集2017
<第10回>物語から聞こえる音楽
<第11回>
いま聴きたい弦楽器奏者たち
<第12回>
話題作&私的ベスト2017
<第13回>
神々の音楽
<第14回>
フランスの色と香り
<第15回>別れと旅立ちのクラシック
<第16回>4月のテーマ:アメリカのリズムとメロディ
<第17回>5月のテーマ:子供と音楽
<第18回>6月のテーマ:世界のこだわりレーベル探訪 その3 ~音の匠編
<第19回>7月のテーマ:先取りコンサート情報&来日アーティスト特集
<第20回>8月のテーマ:ライジングスターをキャッチせよ!
<第21回>9月のテーマ:21世紀のレジェンドたち





※ミュージックバードとは
音楽にこだわる人の「高音質」音楽放送サービス。
本格派クラシック、ジャズをはじめ、歌謡・演歌、ロック、J-POPなど、 音楽ジャンルごとに専門チャンネルを放送。
いい音にこだわる オーディオ・ファンのためのチャンネル「THE AUDIO」も絶賛放送中!
初期費用無料、月額2,000円(税別)で楽しめる「コミコミLight」プラン好評受付中。
「コミコミLight」の詳細はコチラ→ http://musicbird.jp/komikomi/a


お問合せは、
ミュージックバード カスタマーセンター TEL 03-3221-9000
<平日・日・祝日>10:00~12:00、13:00~18:00 (※土曜休業)
オフィシャル・ウェブサイト


*********
出演者:原典子(はら・のりこ) 音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。
*********