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【特別企画第2弾】井筒香奈江が選ぶ「井上陽水」6作品

2018/09/14
世界的巨匠、テッド・ジェンセンによる最新リマスターとして絶賛配信中の井上陽水25タイトル。ここe-onkyo musicでは、麻倉怜士氏に続く特別企画第2弾として、シンガーの井筒香奈江をセレクターに迎え【井筒香奈江がセレクトする「井上陽水」6作品】をご紹介。自身の作品でも井上陽水の楽曲をカバーするなど、井上陽水作品と関わりの深い井筒香奈江の選ぶ作品とは!?是非ご一読ください。
 「そもそもなぜ私が井上陽水さまのアルバムについて書かせていただくことになったのかと言うと、陽水さまの曲をカバーさせていただいていることもありますが、とあるイベントで「子供の頃、陽水さまの初期の作品をよく聴いていたのですよね~。家にあったのだと思うのですが、私、暗い子だったんです(笑)」なんて話をしたのを、e-onkyo musicのご担当者さんが聞いておられ、今回の運びとなりました。私ごときが井上陽水さまの楽曲についてコメントするなんてあまりにもおこがましいとは思いましたが、25作品聴ける!との喜びが勝ってしまいお引き受けした次第です。

 作品をリリース順に、年代を追いながら聴いて行きました。70年代のフォークから始まり、ロック・ポップス・プログレ・ソウル・ジャズと、その時々の流行を取り入れ生み出し、聴く側にさまざまな想像をさせる遊びを持った歌詞、脆いガラスのような、鋭い刃物のような、ベルベットの毛布のような歌声で現在まで現役で走り続けている偉大なシンガーソングライターの作品たち。正直、通して拝聴することがこんなにエネルギーを使う作業だとは思っておりませんでした。初期のアルバムにはいちいち心が揺さぶられ、中期以降の作品では聴く度に曲の印象が変わるスパイラルに嵌り、全25作の中から5作品に絞るのが非常に困難でした(結果6作になってしまいました)。うまく言葉に出来ない歯痒さもありますが、「ああ、そういう感じ方もあるのね」くらいに読んでいただけたら幸いです。」

井筒香奈江


井上陽水 25作品ハイレゾ配信タイトル一覧
特別企画:麻倉怜士が分析した井上陽水楽曲の音楽的特徴とハイレゾサウンドのポイント



◆井筒香奈江が選ぶ井上陽水


『断絶[Remastered 2018]』/井上陽水


◆『断絶』 1972年  陽水さま23歳
危うい。歌詞も曲も歌い方も、尖りながらも脆く危なっかしい。それが最大の魅力に感じられた作品。きっと傍にいたら、ぎゅっと抱きしめたくなったり、一緒に笑いながらも涙を流したりするんじゃないかと思うのです。当時陽水さまは23才。いったいどんな人生を歩んできたらこんな作品を生み出せるのでしょう。“家へお帰り”から“傘がない”に繋がるところ、考えられた曲順にもグッときます。この作品から見えてくる陽水さまは、中性的な魅力が多分に感じられ、幼い頃の私はそこにも惹かれていたような気がします。

◆◇◆


『陽水ライヴ・もどり道[Remastered 2018]』/井上陽水


◆『陽水ライヴ もどり道』 1973年  陽水さま24歳
一曲目のギターイントロですぐにその世界観に引き込まれ、噺家さんのような話しぶりに笑みを浮かべほっこりしたのも束の間、“人生が二度あれば”で鷲掴みにされた心はそのままエンディングまで掴まれっぱなしで、ただただ聴き入ることしか出来ません。もっと早く生まれて、このライヴを実際の会場で聴きたかったと思うばかりです。

◆◇◆


『9.5カラット (Remastered 2018)』/井上陽水


◆『9.5カラット』 1984年  陽水さま36歳
このアルバムを初めて聴いたのは何歳だったのかはっきりは覚えていませんが、子供心に大人の世界を感じ、歌詞の内容も分からず背伸びをしながら聴いていた気がします。この頃の陽水さまは非常にしなやか。“いっそセレナーデ”、ヴォーカルから始まるこの曲は、甘く切ない歌詞とメロディーをただただ淡々と歌う。その媚びない歌い方が逆に心に染み入り、気が付いたら涙がこぼれています。これが真の大人の色気と言うものなのでしょう。私もこんな風に歌いたいものです。

◆◇◆


『ハンサムボーイ (Remastered 2018)』/井上陽水


◆『ハンサムボーイ』 1990年  陽水さま42歳
1曲目の“Pi Po Pa”の不思議な魅力にまんまとやられて中毒。気づくと無意識に口遊んでいます。同じアルバムに“少年時代”も入れてしまう、そういう感性も天才と言われる要因ではないかと感じました。飽きません。バラエティに富んだ選曲とアレンジがまるでおもちゃ箱や宝箱のようにワクワクさせてくれます。初期のアルバムではなかなか出来ない「電車の中で聴く」(目が腫れるし遠くに行きたくなっちゃうので)ことが出来る、ヘビーローテーションな一枚です。

◆◇◆


『ガイドのいない夜 (Remastered 2018)』/井上陽水


◆『ガイドのいない夜』 1992年  陽水さま44歳
セルフカバーアルバムですが、その変貌ぶりに「なぜこうなった?何が起こった?」という好奇心を掻き立てられた作品。先に書いた『陽水ライヴ もどり道』で歌われている“東へ西へ”、“夏まつり”の変貌ぶりには戸惑うばかり。“カナリア”、“とまどうペリカン”も好きな曲なので興味津々。当時あったと思われる何かを勝手に深読みをしながらオリジナルと聴き比べるのも、こちら側の心情ともリンクして面白いのではないかと思うのです。

◆◇◆


『魔力 (Remastered 2018)』/井上陽水


◆『魔力』 2010年 陽水さま62歳
やっぱり色っぽい方だな…と改めて感じました。初期の作品で感じた儚さと鋭さを纏った色気とも違うし、声の出方や歌い方も変わってはいるけれど、バラードに見るちょっと枯れた良い意味での力の抜けた感じ。そこに年齢のなせる業的な柔らかさや深さが感じられて好きになりました。“覚めない夢”、“赤い目のクラウン”を聴きながら、私はあと何年現役で歌い続けていられるのだろうなんて、考えてみたりして。

◆◇◆

最後に。
歌い続ける、作品を残し続けることは精神的にも肉体的にも、もちろん経済的にも大変なことです。ですが、音楽は作る側だけでなく聴く側からしても、その時々の時代背景が分かり歴史をも感じ知ることの出来る本当に素晴らしい文化だと感じました。それを改めて再認識出来たことにも心より感謝いたします。 

井筒香奈江


◆井筒香奈江 関連作品


『リンデンバウムより』
/井筒香奈江

※“氷の世界”収録


『時のまにまに Ⅴ』
/井筒香奈江

※“いっそセレナーデ”収録



◆井筒香奈江 関連記事
ヴォーカリスト井筒香奈江が気心の知れたトリオで一発録りを敢行! 変化に富んだ意欲作『Laidback2018』が完成


井筒香奈江 プロフィール

「Jazz/Popsのソロシンガーとしての活動の後に、70年代の洋楽を中心にカバーするユニット「Laidback」のボーカルとしても活動を始める。
2011年、昭和の楽曲をカバーしたソロアルバム「時のまにまに」をリリース。2013年リリースの「時のまにまにⅢ?ひこうき雲?」よりハイレゾ配信販売を開始。e-onkyo musicで売上ランキング1位を獲得。以降発売したアルバムがハイレゾ配信(e-onkyo music)、CD・アナログ盤(diskunion)の売り上げランキングで1位を獲得。2016年には映画「キリマンジャロは遠く」の主題歌「A Desperate Man」を収録した6枚目のソロアルバム「リンデンバウムより」を発売。ハイレゾ大賞9月度のe-onkyo music代表作品に選ばれる。
2018年5月16日、エンジニア兼サウンドプロデュースに元ビクターの高田英男氏を迎え、ソニーミュージックスタジオ・スタジオ1で収録、ビクタースタジオでミックス&マスタリングを施した新譜「Laidback2018」を発売。発売当日にe-onkyo musicで売上ランキング1位、アマゾン・ジャズフュージョンランキング3位を獲得。ディスクユニオンJazzTOKYOでもチャート1位を獲得。
ジャンル問わず、自らの感性に響く楽曲をレパートリーに取り入れ、都内を中心にライブ活動中。高評価を得ているオーディオ業界でもトークイベントや試聴会で活動中。」

◆井筒香奈江 オフィシャルサイト




井上陽水 25作品ハイレゾ配信タイトル一覧
特別企画:麻倉怜士が分析した井上陽水楽曲の音楽的特徴とハイレゾサウンドのポイント