PC SP

ゲストさん

NEWS

スターダスト☆レビュー スペシャルインタヴュー!

2018/08/10
1981年5月のメジャーデビュー以来、そのキャリアは実に37年。紛うことなき国民的バンドであるスターダスト☆レビューが、2014年の『SHOUT』以来、約4年振りとなる日本コロムビア移籍第1弾アルバム『還暦少年』をリリースしました。

先行ダブルA面シングル「世界はいつも夜明け前」(BSジャパン 火曜ドラマJ『くノ一忍法帖 蛍火 』主題歌)、「You`re My Love」(東海テレビ開局 60周年 応援ソング)を筆頭に、文句なしの充実度。

根本 要さん(Vocal, Guitar)、柿沼清史さん(Bass, Chorus)、寺田正美さん(Drums, Chorus)、林“VOH”紀勝さん(Percussion, Chorus)、添田啓二さん(Keyboards, Chorus)、岡崎昌幸さん(Acoustic Guitars, Keyboards & Chorus)の6人に、新作の話題からハイレゾへの思いまでをお聞きしました。

◎インタヴュー・文:印南敦史


『還暦少年 (96kHz/24bit)』スターダスト☆レビュー >


――根本さんは少し前に入院されましたが、ご病気の方はもう大丈夫ですか?

根本 要(以下:根本):はい、もう大丈夫です。幸い、早期発見というのが随分とよかったらしくて。今は元気でライブやれてます。

――安心しました。ところで4年ぶりの新作『還暦少年』を作ってみてどう感じていますか?

根本: 37年くらいスターダスト☆レビューをやっているわけだけど、毎回新しい音にチャレンジしてます。それはデビューした頃から何も変わらない。音楽をやる人って、好きで始めるんだけど、でもプロになると、否応なしに優劣を感じるわけですよね。びっくりするくらいうまい人にもいっぱい出会うし。そんな中、それでも少しでもうまくなりたくて、音楽を続けてるんです。現実には、そのうまさっていうのも人それぞれ感じ方が違うし、特に僕らはバンドだから、個人の技術も大事だけど、『どうやったらバンドとしてうまくなれるんだろう』って日々考えているんですよね。そんな気持ちがこの『還暦少年』では、すごく自然に出せた。

――なるほど。

根本:周りから見ればね、ただ好きなことで遊んでいるように見えるのかもしれないし、遊んでいて仕事になるんだったらいいよねって言われるんだけど、僕らはプレイヤー(player)だからね。だから、『好きなことで遊んでいていいんだ!』ってハタと気づいて(笑)。その“プレイヤー”っていう言葉が、今回の『還暦少年』に込めた思いにつながってます。本当に、やっていることは中学の頃から変わらない。だからその、楽しさっていうか音楽をやる喜びを改めてまとめたくて、そしてまだまだ成長したくて『還暦少年』という言葉が出てきたんです」

――本質的な意味でスタレビっぽいと思ったのが「世界はいつも夜明け前」。聴く人が聴けば、アイズレー・ブラザーズへのオマージュだっていうことがわかりますよね。

根本:はい、はい(笑)。その通りです。今回はプロデューサーに佐橋(佳幸)が入ってくれたんだけど、佐橋は最初、ギターリフがカッコいい曲を作りたいって、ドゥービー・ブラザーズを目指していたんですよ。で、佐橋の作ったリフを家に持ち帰ったんだけど、本当に湯水のごとくメロディが出てくる(笑)。で、僕なりに工夫しながらいろいろやっていたら、「おっ、これはアイズレーっぽいな」って。


――「恋するTシャツ」も、モータウンっぽい感じがありますね。

根本:そうですね。森雪之丞さんの詩もすばらしいし、スタレビならではのサウンドオマージュがあります。楽曲ができたときにまず大事なのは、かつて聴いたこんな曲あんな曲がイメージされること。「You’re My Love」のバックグラウンドにあるフィル・スペクターとか大瀧詠一さんの世界観もそうなんですけど、創る側にとっては、その音楽がなかったら出てこなかったものなんです。

――「You’re My Love」は音像が立体的ですね。

根本:空気感っていうのがすごく大事なんだと思うんです。「You’re My Love」では4回アコギを重ねたんですよ。佐橋と2人で弾いて、ギターを変えてマイクの位置も変えていく。つまり全部で8人で弾いているような感じにして、それぞれの空気感に違いを出したくてね。ギターとマイクの間の空気感まで取り入れようって。

――全体的に、スタジオ・ライヴ的な感じがありますね。

根本:まさにそうでした。佐橋はスタジオで全員で「せーの」でやることにこだわってたからね。それまでも生でレコーディングしてたけど、メンバーが順番にスタジオに入り、デモ音源を生楽器に差し替えていくという過程。「せーの」にこだわったからそれなりの広いスタジオも必要だし、事前準備も大変だったけど、楽しい出来事でしたね。

――バンド本来の魅力を引き出したような形だったんですね。

根本:佐橋はスタレビというバンドにリスペクトを持っていてくれたから、このメンバーが生き生きと演奏できること、歌えることを一番のポイントに置いてくれたのかなーと。あれはね、一番ありがたいプロデュースの仕方ですね。だから構えることもなく、いまの自分たちのいいところを出せたのかなって気がします。

――本当の意味でのプロデューサーですね。

根本:彼は本当に素晴らしかったですね。僕の思っていた当初のやり方とは違ったけど、それが心地よくて。今回は39枚目のアルバムなんですけど、こんなに悩まず滞りなくレコーディングをしたのは初めてでしたね。


――話は変わりますが、みなさんはOnkyoのカスタム・イン・イヤー・モニター(以下:イヤモニ)をお使いですよね? 添田さんがきっかけとなって、みなさんが使い始めたそうですが。

根本:彼はうちで一番音にうるさいですよ。僕らにとってのイヤモニっていうのは、単純に歌う人間が心地よくなれるっていうところが大きいんですよね。普通のイヤホンと違って音を聴くのが目的じゃないから、(普通のイヤホンとは)かなり趣を変えたものにしていますね。心地よく聴けるかっていうよりは、ちゃんと必要な音がリアルに返ってくるっていうのが大事。

添田啓二(以下:添田):音の感じが全然違うと思いましたね。上のレンジの伸びが、Onkyoのイヤモニで広がったというか。リヴァーヴ感までちゃんと聞こえるので、感激しました。

――やはり返ってくる音が違うと、プレイにも影響がありますか?


添田:そうですね、心地よくやらせていただいています。

根本:イヤモニはスターダスト☆レビューというバンドのステージを変えましたね。やっぱり僕ら自身が細かなところまで満足できる演奏がしたいですけど、どうしてもライヴって曖昧になりがちというかね。みんなが向き合って演奏しているわけじゃないから。だから向き合う部分はモニターに頼るしかない。それぞれの顔が見えてくるような音が必要になってくるね。

――しかもそれは聴いている側にはわからないことですもんね

根本:そう。お客さんっていうのはよっぽどのことがない限り、大抵は「よかった」って言って帰ってくれるわけだよね。でも僕らがモチベーションを保つには、「いい演奏をできたか」っていうのがすごく重要で、「ここまで演奏ができたから次を目指せる」っていう部分がある。あとは全員のグルーヴであったりとかね。もちろん完成形はないから、本当に数ミリずつ調整していくような作業。その意味で、イヤモニは本当に僕らの音を変えました。Onkyoのイヤモニは遮音性が格段にいいので、その点でも助かっています。


――しかも、4年前から同じモニター環境を共有したということですから、それによって変わった部分もありそうですね。

根本:そうですね、昔はドラムの寺田だけがイヤモニでクリックを聴いていたんですけど、いまは全員聞いていますからシビアさが増したというかね。なんていうか、同じ方向に向かえるようになった気がするんですよね。今までは寺田がクリックと僕らの間を埋めていたけど、いまは全員が同じ音をつくろうっていう風に変わってきた気がする。

寺田正美(以下:寺田):Onkyoのイヤモニは細かい音から大きな音まで全部聞こえるので、どうしてもシビアになりますね。「え、いまのなに?」みたいなとこまで聞こえちゃう(笑)。昔は音圧のなかで自分のプレイをしていたのですが、周りの音まで全部聴けるようになりましたから世界が変わりましたね。

――同じ打楽器として、パーカッションはいかがですか?

林“VOH”紀勝(以下:林):僕は会場の大小によって使わないこともあるんですけど、イヤモニを使いだしてからみんな生音が小さくなったんです。だから逆に僕は自分の音がよく聞こえるようになって、その意味でもやりやすくなりましたね。あとは、いつも公演の音を記録して移動時に聞いているんですが、そのときにもイヤモニの遮音性の高さに助けられていますね。

根本:イヤモニのもう一つの利便性としては、それまでヴォーカリストはステージ上で鳴ってる他の楽器の音に負けないようにモニターを上げなきゃいけなかったけど、イヤモニならすべての音を自分自身の好みの音量に合わせてコントロールできるようになる。簡単にいえばカラオケ状態になるから、歌自体が楽に歌えるようになる。これはすごく大きいです。

――ところで今回、DAPに『還暦少年』のハイレゾ・ヴァージョンとCDヴァージョンをそれぞれ入れてきたんです。聴きくらべてみてください。

(一同プレイヤーを手にハイレゾとCD音源を聞きくらべながら)

寺田:聴きくらべてみるとHighがやっぱり全然違うなあ。

添田:これでケーブルを2.5mm端子のバランスケーブルにすると、さらに違うんだよねえ(笑)。


――さすがマニアですね。

添田:実際、ハイレゾを聞くようになってから音づくりも変わりましたよ。いい音を基準に音をつくろうとするから。どこかでおいしいものを食べたら、再現したくなるじゃないですか(笑)。それと同じで、「こんなもんだろう」っていう基準がすごく高くなりましたね。だから自分のピアノの音も、どんどん変わってきていますね。

――それはオーディオが変化をもたらす素晴らしい点ですね

添田:そうですね、ハイレゾを聴くのと同じイヤモニで仕事の音づくりもする。普段の音づくりが完全に変わりましたね。さっき(根本)要さんも言っていた通り、打ち込みのものと生のものが混在しているんですけど、Onkyoのイヤモニは癖がないんですよね。だから打ち込みの音がガツンときた後で生の音がきても、「うわー、LOWが広がるな」みたいなギャップがないんですよ。すごくバランスがいいです。


――それでは最後に、『還暦少年』のなかから「一番聞いてほしい」と思う曲をそれぞれお聞かせください。

柿沼清史:僕は「ジグソーパズル」です。なぜなら僕が歌っているから(笑)。単にそれだけの理由なんですが。普通に1曲あげるとしたら「Windy」なのですが、僕が歌っているので「ジグソーパズル」を聞いていただければと思います。

寺田:僕は「海月~UMIZUKI~」ですね。アルバムの1曲目なので必ずみんな聴くだろうと思いますけど(笑)。サウンドもかっこいいと思うし、メロディもアレンジもすべて自分にハマりました。夏っぽさもあり、洋楽っぽさもあるし、ポップな部分もある。ドラムの音もすごくよく録れてて、この曲のスネアがアルバムの中で一番気に入っています。ぜひ聞いていただきたい。

根本:僕はスタレビでまたこういう音ができたんだっていう意味で、「世界はいつも夜明け前」かなー。だけど作品的には「恋するTシャツ」はね、日本のバンドはあんまりこういうサウンドはやらないんじゃないかなって思っていて、こういうのが作れたのがとっても嬉しいですね。佐橋のアレンジもすごくよかったし、個人的にはかなりほくそ笑んでます(笑)。でも聴きどころとしては、やっぱり「世界はいつも夜明け前」。あのサウンド感には、うまく白黒取り混ぜたよさを出せたかな。

林:これまで出た意見はサウンドのことばかりだったんですけど、このアルバムは詩がすごくいいんですよね、だから僕は「路傍の歌」を聴いてほしいですね。なんというか、お説教をされているような(笑)。還暦の人間から言われていると思うと、「そうだよな」って腑に落ちたというか、それを強く感じました。

添田:1曲に絞るのは難しいんですけど、僕は「Blues In The Rain」かな。久しぶりにオルガンを弾きました。ちょっと癖があるんですけど、ちゃんと自分で選んだ音色で。弾いていてもとても気持ちよかった。あとはゲスト・ギタリストとして(憂歌団の)内田勘太郎さんに入っていただいたんですが、そこで刺激された要さんのギターでグイグイ行く相乗効果が生まれていて、僕は非常に好きですね。

岡崎昌幸(以下:岡崎):僕は「Windy」ですね。なにがいいって、さっきハイレゾで「You’re My Love」を聴きましたが、CDじゃこの音は聴けないなって。僕はどうしてもアコースティック・ギターやコーラスを中心に聴いてしまいますから、「『Windy』のあのギターはどうやって聞こえるだろう?」と思って。僕は今回のアルバムはコーラスで参加しましたが、この曲だけじゃなくてアルバム全体で1曲1曲歌い方を変えたことまでわかるんじゃないかなって。で、いろいろ考えたけど、やっぱり「Windy」かな。この曲はいままでのスタレビではやったことのないようなコーラスの感じだったので、そういうところもぜひ聴いてもらいたいですね。

――新境地ですか?

岡崎:新境地とは言わないまでも、すごく洋楽的というか。「日本のバンドなのに、こういうことやるんだ?」みたいな感じで、なかなかないタイプのサウンドです。

――みなさま、今日は長々とありがとうございました!




『還暦少年 (96kHz/24bit)』スターダスト☆レビュー >