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コラボ・モデルも絶好調!初のベスト『MAMORU MIYANO presents M&M THE BEST』を発表した本人が語る“アーティストとしての宮野真守”

2018/07/27
アーティストデビュー10周年を記念してリリースされた宮野真守さん初のベスト・アルバム『MAMORU MIYANO presents M&M THE BEST』。新曲2曲を含む全32曲が、サウンドの細部までじっくりと堪能できるハイレゾでお楽しみいただけます。声優や俳優はもちろん、アーティストとしても押しも押されもせぬ存在となった宮野さんにとって、歌うこととは? そして、目指すものとは?……ハイレゾ対応のコラボ・モデル「マモホン」も大反響を呼んでいる宮野真守さんのロング・インタヴューをお楽しみください。

インタヴュー・文◎美馬亜貴子 撮影◎山本 昇


『MAMORU MIYANO presents M&M THE BEST』/ 宮野真守



 声優、俳優、歌手という3つの顔を持つマルチアーティストにして最強のエンターテイナー、宮野真守。芸能活動は小学生時代からという長いキャリアを持つ彼だが、アーティストとしてデビューしたのは2008年のこと。それから瞬く間に歌の世界でも上り詰め、今や全国のアリーナをツアーで回るトップ・アーティストになった。このほど、10周年を迎えたことを記念して、これまでの軌跡をまとめたベスト・アルバム『MAMORU MIYANO presents M&M THE BEST』をリリース。このインタヴューでも技術にこだわり、それを追求する姿勢が印象的だったが、全てにわたる高いプロ意識に驚きつつも、これこそが宮野真守の表現に滲む圧倒的な安定感の理由なのだと納得させられる。
 今回はコラボレーション・モデルとなったハイレゾ対応のイヤホン「SE-CH3」(愛称“マモホン”)の発売にちなんで、ハイレゾの魅力についても存分に語ってもらった。



■試行錯誤を重ねて蓄えられた経験値

——今回、ハイレゾでも発売になった『MAMORU MIYANO presents M&M THE BEST』は宮野さんのアーティストとしてのキャリアを通したベスト・アルバムですが、これまでの歩みを振り返って、どんな感慨がありますか?

宮野 10年前、“役者としてどう歌っていくか”ということでアーティスト活動を始めさせてもらったんですけど、自分が歌の世界でどういうことができるのかは、楽しみであるのと同時に手探りでもあって……。でも、“自分で歌う意味”をしっかり捉えた結果が感じられるベスト・アルバムになったなと思っています。いろんなクリエイターさんとの出会いがあったからこそ歌える曲があって、ヴァラエティに富んだラインナップになった。そこに僕自身が培って来たものを注ぎ込んでどうパフォーマンスするかーーーそういうプレイヤーとしてのチャレンジを、ここまで積み重ねてこられたんだな、と感慨深いものがありました。

——“手探り”とおっしゃいましたけど、自分で「宮野真守のアーティストとしての持ち味はこれなんだ」ということを認識したのはいつ頃なんでしょう?

宮野 持ち味と言っていいのかわからないけど、そういうようなものに気づいたのは、人との出会いによってですね。いろんなクリエイターさんとの出会いで引き出されてきた部分が大きいと思います。僕自身のポリシーは最初から変わってなくて、役者として曲をどう表現するかということをずっと追求してきた。それは楽曲を歌うことだけじゃなくライヴでパフォーマンスするときも含めて、どういうものが僕から出てくればお客さんは飽きずに楽しんでくれるのかな、と。もうそれしか考えてなくて……そういう試行錯誤を重ねていったことによって、自分の中に蓄えられる経験値というのがあるんですが、それが備わったときに、クリエイターさんたちに自分の意見をどんどん言えるようになった。そういうことで自分がアーティストとしても歩めているのかな、ということは徐々に感じるようになったかもしれないですね。

——その“ポリシー”ですが、宮野さんが表現したいものというのは、ずっと一貫していたんですか。

宮野 周りに“歌って踊る”というパフォーマンスをする声優が少なかったので、自分のできることを発揮して、みんなとは違うことをやっていったら面白いエンタメが作れるんじゃないかな、というのはありました。一つのジャンルに固定してしまうのではなく、ロックもダンスもバラードも、自分でパフォーマンスできるようにして、様々なジャンルの楽曲をやるというのを自分の軸としてやってきてはいましたね。

——いろんなことをやろうと思ったのは、どういう理由、もしくは何の影響なんでしょう?

宮野 人に楽しんでもらいたいのと、自分自身が楽しみたいことの両方ですね。テレビっ子だったというのもあるかもしれない。昔からテレビばっかり観て、いろんな表現に触れてきましたから。それと、華やかな、賑やかなものがそもそも好きなんですね。だから劇団のレッスンに通ったりもしました。そこから役者としてデビューして、次に声優としてデビューして、その次は声優アーティストとしてデビューして……いずれにも、自分の根本から出てくるものを注ぎ込んだ方がいいなと思っていましたね。

——いろんなことに取り組む中で、“宮野真守”は最強のパフォーマーになっていったわけですけど、もうホント、何をやらせてもすごい。カードがありすぎだなって感心してます。

宮野 いやいや、むしろ、自分としては「これ!」と言えるものがあった方がいいとは思うんですけど、そういうものがなくて……もしかしたら自分に自信がないことが良い方向に転がったのかもしれません。もし自分が、「これでやってくぜ!」という確かなものがあったり、自分で楽曲を制作して歌うシンガー・ソングライターだったら、もっと一貫した世界観や表現というのがあると思いますけど、僕はそうではないので。いろんなことを表現することによって“宮野真守”が形成されていき、それがマルチな見え方になっているんだと思います。

——ご自分のことを話すときは、プロデューサー目線で宮野真守というアーティストを見ている部分がありますね。

宮野 あるかも。最近は、自分を振り返ってのインタヴューに答える機会がすごく多くて(笑)。僕は、7歳の時に劇団に入ったのですが、その頃からみると決して順風満帆とは言えない道のりだったんです。だから「うまくいかなかった」って感覚が自分の中に残ってるみたいで。劣等感みたいなものが、自分を俯瞰で見るようになったきっかけなのかもしれないですね。周りの人に観てもらうために何が必要か、何をやっていったらいいのか、そういう見方を子供の頃からしていたのかもしれないですね。


歌手としての活動などについて、真摯に語ってくれた宮野真守さん



■大事にしてきたものをより感じられるのがハイレゾ

——アルバムの話に戻りますが、今回はハイレゾでも配信されています。ハイレゾ版はご自分でもお聴きになりましたか?

宮野 はい。“マモホン”で聴きましたよ。(CDの音とは)全然違ってびっくりしました。聴いた瞬間に「スタジオで聴く音と同じだ!」と。

——ディテールの再現性が高いハイレゾは、声を武器にしている人にとってはなおさらですよね。

宮野 僕が出会ったクリエイターさんにいただいた言葉で、とても心に残っている言葉があるんです。「宮野くんは歌うときに、言葉を大事にするね」−−−自分ではそこまで意識したことはなかったんですけど、やっぱり自分の土俵で培ってきたものが染み付いているのかなと、そういうふうに言ってもらったとき、今の、自分の表現の仕方を一層大事にしようと思いました。やっぱり叙情的なものは叙情的に歌いたいし。そして、特にバラードでは息遣いまで聞こえますよね。こんなにも息で感情表現をしてたんだなというのがわかりました。僕から出てくる感情の色合いや声での表現が、ハイレゾで聴くとより感じられますね。

——ええ、細部までリアルに感じますよね。

宮野  ハイレゾって、僕が大事にしてきたことがすごく活かされる環境なんだなと思いました。声はもちろん、エフェクトとか、自分やクリエイターさんがこだわってるところがリアルに再現されるのは嬉しいです。例えばロック・サウンドの曲も、楽器の表情までもが伝わってきますよね。ギターの繊細な鳴り方も聞こえるので面白いです。

——そんな再現性の高いものを、ファンの方々に、このイヤホンで微細にわたって聴いてもらえるというのはどのような気持ちでしょう? 丸裸に近い感じがしませんか?

宮野 声優のお仕事では、細部まで声を聴いていただく機会も多いので、実は慣れています(笑)。みんないろんな環境で僕の声を聴いてくれているんです。ハイレゾだとさらにいろんな可能性が広がりますよね。優しく歌うにしても、もっとお芝居チックにもできるだろうし。

——イヤホンについては、自分のシグニチャーモデルができるというのはどんな感じですか?

宮野 嬉しいです。(資料を見ながら)何と言っても“マモホン”に“マモポーチ”ですからね(笑)。そして、この“マモリューション”!……って何だろう?(爆笑)。

——これで聴くと“マモリューション”という現象が起こるらしいですよ(笑)。

宮野 ハハハハハ。「どうする? 今日、マモリューションする?」みたいな(笑)。


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■歌手として大事にしているのは技術を磨くこと

——さて。今回のベスト盤、ディスク2はファンからのリクエストを反映させたものですけれど、選ばれた14曲のラインナップはいかがですか? 意外なものも入っていたりする?

宮野  “シングル以外の曲”ということでリクエストしたので、どんな結果になるかはわからなかったんです。「ライヴでいつも歌ってる曲とか、盛り上がる曲が選ばれるのかな?」と思っていましたが、そういう曲たちを凌いで圧倒的上位だったのがバラード曲「MOONLIGHT」だったんです。それが意外と言えば意外ですが、同時にすごく嬉しくて。バラードも僕がずっと大事に歌ってきたものなので、それがみんなにとっても大事なものになっていたんだなって。続けてきてよかったなと思いました。

——歌を歌うときに心がけていることはありますか?

宮野 やっぱり僕は“技術”ですね。技術を磨きたい。もちろん、今までもヴォイス・トレーニングなどはやってましたけど、歌ってみてから気がつくことの方が多いんです。そこで、「もっとうまく歌いたい、もっとうまく歌うためにはどうすればいいんだろう」ということを常に考えてますね。

——そのバランスは難しいですよね。技術さえ突出していれば、必ずしも人の心を打つとは限らないですし。

宮野 でも僕は、まず技術ありきだなぁと思うんです。技術があるからこそ、表現できる幅も広がるんですよね。だから自分に足りない部分とかもいっぱい見えてきちゃって、すぐ落ち込むんですけど(笑)。技術が全てじゃないとも思うのですが、だからこそ、そこに甘んじるっていうのはしたくはないんですよね。例えば他のお仕事で言うと、お芝居には正解はないので、技術だけではできないんです。歌も一見似てるんだけど、でも芝居よりも、より技術が必要とされる世界だなと感じます。鍛えてなんぼだし、求めて損はないと思うんです。

——う〜ん、さすがですね。宮野さんのお仕事でいつも驚かされるのは、「平均値の高さ」というのでしょうか、どんな仕事、どんなことをやっても圧倒的なプロの技量を見せつけるところなんですよね。「プロでありたい」という強い意志を感じるんですが、それは自分でも思っていることですか。

宮野 思っていますね。僕は飛び抜けた一個の天才ではないから、平均値を高めること、人に期待されている以上のことをやるのが大事だと思ってやってきました。

——声優の仕事でいうと、そういう宮野さんの姿勢が声優界全体のクオリティを底上げしたんだと思うんです。若い人にとって、今や声優が憧れの職業の上位にくる時代。そういう意味で、自分がしてきたことに対する自負というのは?

宮野 まったくないです(笑)。それは僕がしたことではなく、日本のアニメ文化がそうさせたんだと思います。僕は与えられた状況の中で僕なりに何ができるかということを考えてやってきただけで。特に声優は、自分にしかできない表現で戦わないとダメだと思ってきました。僕は元々声優を目指していたわけではなくて、ホントにラッキーでチャンスをいただいたわけで。自分がいい声をしてるとも思ってなかったですから、すごく素敵な声を持ってる皆さんの中で戦っていくには、普通にやってもダメだと思ったんです。それでお芝居の方向性を考えるようになったんです。だから、お芝居には並々ならぬこだわりがある。それが、もしかしたら今、いろんな形でいろんな場所で聞いてもらった時に、面白いと思ってもらえる要因になってるのかな。

——天才肌のイメージがありますけど、実際は努力の人でもあったのですね。ご自分のことをストイックだと思いますか?

宮野 どうだろう? ストイックというよりは天邪鬼だと思いますね(笑)。負けたくない、周りと同じことしたくないという気持ちが強いので。それがストイックといえばストイックなのかもしれないけど、かと言っていつも自分に厳しくトレーニングとかしてるわけじゃないですよ。むしろサボりがちなんで(笑)。



■互いに補完し合う3本の柱

——6月には初の全国アリーナ・ツアーを経験されましたが、これまでにない大規模なショウを実現させて、いかがでしたか?

宮野 規模の大きい会場も、アリーナ・ツアーとしてライヴができたこともすごく嬉しかった。応援してもらえているからこそできるっていうのをすごく感じて。それにふさわしいパフォーマンスや演出をしなくちゃということをすごく考えました。

——手応えはありましたか?

宮野 ありました。皆さんに「どういうふうに受け取ってもらえるかな」とドキドキしてたんですけど、「10周年らしいライヴだった!」っていう声をいただいて嬉しかったです。

——ご自身でも集大成的な意味合いが強いライヴだったんでしょうか。

宮野 いや、集大成というよりも、むしろ新しいことにチャレンジしたかったんですよね。今までの軌跡を盛り込みながらも、「ここからまたすごいの見せちゃうぜ」という新たな一歩を示すようなものを作りたくて。だから今までのライヴとはガラッと変えたんですよ。

——一般的に、ああいう大きな会場でやること自体が一つの目標になることが多いですよね。例えばロック・バンドで言うところの「武道館」みたいな。

宮野 そうですね。さいたまスーパーアリーナに立たせてもらえて、そこでパフォーマンスができるというのはありがたいことなんですけど、そういうことができるってことだけに満足しちゃダメだなと思って。そこで宮野は何を見せてくれるんだ?っていうところに果敢にチャレンジしていきたかったんです。

——そこからまた新たな目標が生まれましたか?

宮野 より、“アーティスト・宮野真守”として歌っていけたらいいなと思いました。今までは“アーティスト”っていう存在に、どこか憧れがあって。役者・宮野真守がどう歌わせてもらえるか、どうパフォーマンスできるかってところに終始してた気がするんですけど、この10年で一つの自信みたいなものがついた気がしています。それは10年歩んできたという事実があるからそう思えるわけで。ずっとライヴをやり続けてきたし、これだけのクリエイターさんと会えて、これだけの音楽を作ってこられたっていうことも含めて。これは僕だけにしかできないアーティスト像だっていうことが、この10周年のライヴで見えてきた気がします。

——宮野さんは、自分に要求されていることを感じ取る能力が高いですよね。

宮野 うん、そこで生きてきたのはあるかな。今、僕の基盤になってる声優はまさにそういう仕事なので。短い収録時間で、瞬発力が必要とされる現場で、舞台のように何度もリハーサルがあるわけでなく、その場での判断というのが多いんです。しかも、監督や自分のアイディアだけじゃなく、アニメーションのキャラクターの表情や動きから自分のお芝居を導き出さないといけないので、いろんな瞬発力が必要とされるんです。でもそうやっていろんな活動をやらせてもらっているからこそ気づかされることが多くて。例えば舞台は自分の体を使うし、表情も自分の顔を使うから、自分で考えて作り出していかなくちゃいけないんですよね。自分主体でやっていく芝居と、声優の総合演出的な芝居、そしてアーティストとして歌うことでの表現というのは、それぞれ違います。

——声優、俳優、アーティストの3本柱、全部が補完し合ってるんですね。

宮野 そうなんです。その関係性が今、すごく面白くて。だからこそ全部の平均値を上げたい(笑)。どれか一つになるんじゃなく、全部が影響しあって上がっていくイメージですね。

——高いパフォーマンスを維持するために、何がモティベーションになっているのでしょう?

宮野 なんだろうなぁ。やっぱりテレビ漬けだったということが大きいのかな。それを「好きだ!」って思った子供時代の体験……「好き」という感情って、尊いなと思うんですよね。

——目指すは完全無欠のマルチエンターテイナーですか。

宮野 どうなんでしょう(笑)。例えば、子供の頃に描いた夢って、テレビに出たいとか単純明快じゃないですか。でも、大人になるとシビアになって、「じゃあ、それを実現するためにどうするんだ?」っていうのを考えるようになる。そういう意味で、僕にとっては“宮野真守”をどう料理するかって俯瞰で見ることが一番の目標なのかもしれませんね。

——では最後に、e-onkyo musicのリスナーへ向け、メッセージをいただけますか。

宮野 ハイレゾの音には僕自身も本当に衝撃を受けましたし、そうした音楽環境が広がるのはとてもありがたいことです。皆さんには僕が普段から大事にしている声や歌の世界をより面白く感じてもらえると思います。そして、僕らはそういう環境があることを前提に、自らのパフォーマンスをさらに高めていきます。ぜひ、一緒に楽しんでいきましょう。


「僕らが日頃、音作りこだわっているのと同じように、今のリスナーの皆さんも音に対して敏感になっていると思います。今回のコラボ・モデルは、そんな方々の感性に刺さってくれたのではないでしょうか」