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作曲家・五木田岳彦と東京フィルハーモニー交響楽団が創り上げる極上の音楽体験!深田晃によるDSD11.2MHzマルチ録音で聴く圧巻の新作オーケストラ曲!

2018/07/27
2018年4月、五木田岳彦のオーケストラのための新作「葉の調べ〜The Sonority of Leaves」が東京フィルハーモニー交響楽団(三ツ橋敬子:指揮)により世界初演された。本作は、そのライブ演奏を20チャンネル以上のマルチDSD11.2MHz(DSD256)で収録した、とても貴重な作品である。さらにDXD 352.8KHz/24bitも同時配信される。レコーディング及びミキシング・エンジニアは元ソニー・ミュージック・エンタテインメント・チーフエンジニアで、世界的な活躍をする深田晃が担当。まるで映像作品のように色彩豊かな五木田岳彦のオーケストラ・サウンドの世界を是非体感していただきたい。


『葉の調べ ~The Sonority of Leaves~』
/五木田岳彦, 東京フィルハーモニー交響楽団





五木田岳彦氏からの作品解説

オーケストラ構成は2管編成にハープ、和太鼓を含む多くの打楽器と弦楽器セクション。葉の生涯を人間の一生と重ね合わせた物語を音楽で表現した、叙情的な交響詩的作品である。冒頭のフルート/ピッコロの奏でる旋律は、春の芽生えである。野鳥、虫や蝉など、多くの生き物と共存しながら新緑の時を迎えた葉は、重なる試練を乗り越え、やがて秋になると色褪せて、枯れてゆく。そしてまた春が訪れ、新しい木の葉がその姿を見せ、新世代に移り変わっていく頃に作品は終わる。

葉と葉が何層にも折り重なるように、それぞれのモティーフや音のジェスチャーが重なり合い、また時に日本の祭りを思わせる躍動的な激しさをもって、葉の一生を表現した。また秋の寂しさ、そして大地に散り、土に変貌していく生命の美しさを、弦楽オーケストラをメインに荘厳な音で描写している。



千葉銀行創立75周年記念作品として委嘱された作品であることから、初めてオーケストラを聴く人にも楽しんでもらえる作品にしたいという思いもあり、比較的古典的な手法を用いた。またオーケストラならではの、分厚い音の響きや、繊細なソロパートの美しさ、そしてオケ全体を効果的に鳴らすことを意識して作曲してみた。



三ツ橋敬子さん率いる東京フィルハーモニー交響楽団にとって、この作品は初めて演奏する楽譜であったのだが、短いリハーサル時間の中で、三ツ橋さんが新しい楽譜の意味を紐解き的確にオケに伝えていく様、また個々の演奏者が自分達の役割を理解し全容を把握しやがて巨大なアンサンブルを構築していく様は、流石、日本を代表するオーケストラだと思った。何度か演奏するうちにオケの響きや躍動感はどんどんと広がり、僕の頭の中に描いていたものが現実の音として存在しはじめた。指揮者、そして演奏家一人一人の才能が、作品に息吹を与えてくれることは、作曲家にとってはかけがえのない喜びである。



エンジニアの深田氏とは、以前僕が作曲したNHKスペシャル「激流中国」の音楽録音を担当してもらったご縁がある。深田氏の匠な技にも助けられ、素晴らしい作品にしていただいた。この番組は音楽も含め、イタリア賞、モンテカルロ国際映像コンクールなど、世界の多くの映像コンクールでグランプリを受賞した作品になったこともあり、僕にとってもとても重要な作品の1つである。今回また、彼とレコーディング作品を一緒に制作出来たことは大変嬉しく思う。

深田氏には事前にフルスコアと、僕がコンピュータのオーケストラ音源で作る、いわゆる作品のデモ音源を渡して、実際にどんな作品なのかをある程度理解していただいた上で、レコーディングプランを立ててもらった。

当然、コンピュータの作る音源と実際の生のオーケストラのサウンドとは、まったく別物であり、そのダイナミックレンジや会場の残響感や響き、倍音成分、また多くのマイクを立てることから、楽器同士のお互いの音がかぶってきてしまう事(同じ楽器の音が2重3重にマイクに拾われてしまうこと)などの影響など、予測がつかないことも多いのだが、深田氏の熟練の技と感覚によるマイクの置き方や定位、音像調整によって、本番前のほんの数時間のリハーサル時のみという限られた時間の中であったにもかかわらず、それは素晴らしい音質、バランスで収録されていた。是非、このあたりも楽しんでいただけたらと思う。



ここで、深田氏にもお話を伺ってみた。

五木田 普段から、オーケストラ作品のレコーディングを多くされているそうですが、オーケストラレコーディングのこだわりなどありますか?またスタジオではなく、今回のような大型ホールでのライブレコーディングにおいて、心がけていることはあるのでしょうか?

深田 ホールでのレコーディングはスタジオレコーディングとは全く異なります。
スタジオは間接音成分を極力なくし、マイクに部屋のキャラクターが入らないように作られているんです。ですからレコーディングは各楽器の近くに立てたマイクを中心に録音を行います。また、ストリングス等は全体のブレンド感が大切なので少し距離をおいたマイクロフォンも設置することが多いんですが、それを主体的に用いることはほとんどないんですよ。それとは逆にホール録音ではオーケストラから発せられる直接音とホールの間接音成分のバランスの良いところにメインマイクを設置しています。
ほぼこれがレコーディングの主体となりますね。オーケストラの各楽器は当然その基音とともに楽器特有の倍音が出ています。それぞれの楽器の倍音は空間上で他の楽器の倍音と混ざり、倍音同士の特有のハーモニーが生まれます。その音はある程度距離のあるマイクでないと捉えることはできないんですね。スタジオ録音の近接したマイク同士を電気的にミックスしてもこの音を作り出すことはできません。
以上のことを前提として、いかに透明かつクリアにオーケストラの全体像を捉えることができるかを考えてメインマイクの位置とマイクロフォンの選択を行う事、またクロースマイクとのタイムアライメントなどをこだわっています。



五木田 メインマイクの位置やマイクの種類、それとタイムアライメントの調整が重要なポイントということですね。

深田 はい。これらはライブレコーディングでもセッションレコーディングでも変わることはありません。

五木田 マイクの種類や数、また使用機材を教えていただけますか?

深田 今回はマイクは21本使用しました。メインマイクはDPA-4006A+APE50RS(アコースティックイコライザー)他は ストリングスにScheps CMC-622,CMC64 木管楽器に Sennheizer MKH8040, Neumann KM140, トランペットは AKG C-414XLII,パーカッションには DPA-4015 等を使用しています。

PCはPyramix Masscoreを使用。ステージサイドにMerging Horus ( HA & D/A) ,そしてモニターポジションに Merging Hapi を使用しています。

五木田 Merging TechnologiesのPyramix Masscoreは世界中の著名オーケストラ録音で使用されていますね。舞台袖に設置されていたHorusとHapiの姿がなんとも頼もしく見えました。ヘッドフォンはSennheizerでしたね。

深田 HD650です。



五木田 DSD11.2MHzのマルチということと、一発勝負のフルオーケストラレコーディングとなると、音質のみでなく機材の安定性なども気になるところですが、やはり緊張などされますか?

深田 必ずバックアップレコーダを使用しますね。いつも同じスペックでレコーディングしているので特に緊張することはないですが、機械なので壊れる事はあるとはいつも認識しています。

五木田 僕のこの「葉の調べ」は、例えば第1バイオリンパートや第2バイオリンパートは全パートが2分割または4分割に音が割り振られていたり、異なる楽器同士でのダブリング(同じ音を演奏すること)やオクターブでの手法も、少しずつ違った形で組み合わされていたり、ロマン派頃までのクラシカルなオーケストラ作品の楽譜よりも、より細分化して書いています。このあたりのバランスなどで、何か注意されたことなどありますか?



深田 スコアを見てストリングスのディテールが見えやすいように各マイクのバランスをとっています。楽器同士のダブリングに関してもスコア上、どのようなバランスが良いのかを常に考えているんですが、楽器の混ざった音が大切なので響きに注意していますね。

五木田 この作品の1つの特徴として和太鼓やグランカッサ、ティンパニ、タムタムなどの大物の打楽器からシロフォン、クロタル、シンバル各種、チャイムなど、数多くの打楽器が登場していますが、オーケストラ後方に幅広く設置されているこれらの打楽器群とオーケストラ全体とのバランスなどは、どのようにされたのでしょうか。

深田 打楽器が多く登場するオーケストラ作品はレコーディングするのがとても難しいです。どんなにマイクを立てても音量の大きい楽器はすべてのマイクに入ってきますから。また、特に打楽器は近接したマイクを用いるとメインマイクとの時間差で音がにじみますのでやはりタイムアライメントが重要になります。今回はあえてパーカッションそれぞれにはマイクを立てずパーカッションのLRの全体像を捉えるようなマイキングを行いました。



五木田 ハープも重要な役目として、時おり作品の上に浮かび上がってきますが、そのあたりがいかがでしたか。

深田 ハープはスコアで聞こえてほしいところをかなり細かく調整しました。

舞台袖からの指揮者、三ツ橋敬子マエストロ

五木田 色々お答えいただき、ありがとうございました。素晴らしい形で作品を音に残すことができ、大変感謝しています。リスナーの皆さんにお届けするのが楽しみです!

深田 こちらこそ。はい、楽しみですね!



五木田岳彦プロフィール

アメリカのニューイングランド音楽院作曲科卒業。ハーバード大学大学院作曲科を優待奨学生(全授業料免除)として卒業、博士号取得。ハーバード大学で教鞭をとる。作曲をバーナード・ランズ、マリオ・ダビドブスキー、アール・キムに師事。ピアノを長峰和子、指揮をマイケル・プラットに師事。ボストンではジョン・ケージ、ルチアノ・ベリオ、オリヴィエ・メシアンなどのクラスに参加。またボストン・ポップスの音楽監督であった作曲家ジョン・ウイリアムスのアシスタントとしてコンサートスコアの制作などに携わるなど多くの経験をする。数多くの作品がカーネギー・ホール、ボストン・シンフォニー・ホール、リンカーン・センター、アスペン音楽祭、イースタン音楽祭など全米各地で初演される。ボストン公共ラジオ局のクラシック音楽番組に作曲家として出演多数。読売日本交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、またアメリカのPro Arte室内管弦楽団などのオーケストラや室内楽団が作品を演奏。またウォルト・ディズニー、映画音楽制作、またミュージカル、ダンスパフォーマンスの作曲など、アメリカと日本を拠点にジャンルを超えて活動。
ボストンにて行われた皇太子御成婚の祝賀コンサートで作品が演奏され、その模様がNHKニュース7で放送される。
日本では、NHK「クローズアップ現代」、「時論公論」、NHKスペシャル「映像の戦後60年」、「赤い翼」他、多くのNHK番組の音楽や「デジタルモンスター」、「妖怪人間ベム」等のアニメの音楽を作曲。音楽を担当したNHKスペシャル「激流中国」は、イタリア賞をはじめ世界各国のメジャー国際コンクールで最優秀賞を受賞。
NHK音楽集「地空風人」(キングレコード)、現代フルート曲集「Incantation」(VAI)をはじめ、多くのCD、DVDがメジャーレーベルより発売。2016年よりNHK国際放送「NEWSLINE」の音楽を手がけ、世界150以上の国や地域で流れている。

五木田岳彦 オフィシャルHP


三ツ橋敬子プロフィール

小澤征爾、小林研一郎、G・ジェルメッティ、E・アッツェル、H=M・シュナイト、湯浅勇治、松尾葉子、高階正光の各氏に師事。2003年東京藝術大学を 卒業、2005年同大学院を修了2004年よりキジアーナ音楽院より特別奨学金を得て学び、2006年に最優秀学生に贈られる名誉ディプロマを授与。
  2005年よりウィーン国立音楽大学に留学し、翌2006年トスカーナ管弦楽団とのツアーを指揮してヨーロッパデビュー、2007年ミラノ・ジュゼッペ・ ヴェルディ交響楽団にてオペラデビューを果たした。さらに、2008年第10回アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールにて優勝。併せて聴衆賞、ペ ドロッティ協会賞を受賞し、最年少優勝で初の3冠に輝いた。2009年より小澤征爾音楽塾及びサイトウ・キネン・フェスティバル松本にて小澤征爾氏のアシ スタントを務め、2009年の中国公演、2010年のカーネギーホール公演にも参加。2011年小澤征爾音楽塾中国公演では小澤征爾氏の代役で指揮、ピー ター・ゼルキン氏と共演した。2010年第9回アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールに 女性初の受賞者として準優勝。併せて聴衆賞も獲得。
  これまでに札響、仙台フィル、群響、都響、読売日響、東響、東京フィル、日本フィル、新日本フィル、東京シティ・フィル、名古屋フィル、京響、大阪フィ ル、日本センチュリー響、関西フィル、大阪響、アンサンブル金沢、広島響、九響に客演。その他スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団などヨーロッパでの 定期演奏会への客演も多く重ねている。
 2015年4月、大阪交響楽団定期演奏会にて「カヴァッリーニ:ティンパニ協奏曲(世界初演)」を、同年 9月には群馬交響楽団創立70周年記念オペラ「蝶々夫人」を指揮し好評を博した。2016年8月、サントリー芸術財団主催によるサマーフェスティバル「サ ントリーホール30周年記念 国際作曲委嘱作品再演シリーズ」では、タン・ドゥン(指揮)と共に「武満徹:ジェモー(双子座)」を指揮し成功に導いた。2016年から、神奈川県立音楽 堂にて「三ツ橋敬子の新★夏休みオーケストラ」がスタート。子供たちに多彩な音楽体験を届ける企画内容が好評を得ており、本年8月には横須賀芸術劇場にて 第3回を迎える。
 2009年Newsweek Japan誌にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。2011年には、TBS系列ドキュメンタリー番組「情熱大陸」に取り上げられた。2013年第12回齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞。


東京フィルハーモニー交響楽団プロフィール

1911年創立。2011年に日本のオーケストラとして最初の100周年を迎えた、日本で最も長い歴史をもつオーケストラ。メンバー約130名。シンフォニーオーケストラと劇場オーケストラの両機能を併せもつ。名誉音楽監督にチョン・ミョンフン、首席指揮者にアンドレア・バッティストーニ、特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフを擁する。Bunkamuraオーチャードホール、東京オペラシティ コンサートホール、サントリーホールでの定期演奏会や「平日/休日の午後のコンサート」を中心とする自主公演、新国立劇場等でのオペラ・バレエ演奏、『NHK名曲アルバム』『NHKニューイヤーオペラコンサート』テレビ朝日系『題名のない音楽会』などの放送演奏により全国の音楽ファンに親しまれる存在として、高水準の演奏活動とさまざまな教育的活動を展開している。


深田晃プロフィール

株式会社dream window 代表取締役

  CBS/SONY(現Sony Music Entertainment)録音部チーフエンジニア、NHK放送技術局・番組制作技術部チーフエンジニアを歴任。 数々のCD制作及びTV番組制作、音響空間デザインを行う。
 2011年 dream window inc. を設立し、アーティストのCD、映画のスコアリング録音、クラシック録音のプロデュースまたエンジニア・ディレクターとして音楽制作を行っている。また、5.1ch~22.2ch、3D audioまでにいたるマルチチャンネル音響作品制作や音響空間デザインを行うとともに、ハイレゾルーション作品のリリースも行っている。

AES(Audio Engineering Society) Fellow
IPS 英国放送音響家協会会員
JAPRS 日本音楽スタジオ協会理事
洗足学園音楽大学 音楽・音響デザイン客員教授